第2章 横浜市における生活困窮者を取り巻く状況  本制度による支援を適切に実施する前提として、何らかの課題があり支援の対象となる可能性のある人の実態を把握するため、生活困窮者支援に関連する統計資料等を紹介します。 1 生活保護 (1)生活保護受給者数等  過去5年間の動向を見ると、生活保護受給者数については、ほぼ横ばいですが、受給世帯数は微増となっており、受給世帯における世帯構成員の減少が考えられます。   平成25年度 人口 3,693,788人 受給者数 69,906人 受給世帯数 51,308世帯 保護率(人員) 1.89% 平成26年度 人口 3,702,093人 受給者数 70,428人 受給世帯数 52,054世帯 保護率(人員) 1.90% 平成27年度 人口 3,712,170人 受給者数 71,022人 受給世帯数 52,907世帯 保護率(人員) 1.91% 平成28年度 人口 3,726,365人 受給者数 70,773人 受給世帯数 53,424世帯 保護率(人員) 1.90% 平成29年度 人口 3,728,124人 受給者数 70,475人 受給世帯数 53,684世帯 保護率(人員) 1.89% (出典:横浜市生活保護統計月報 各年度4月1日時点) (2)生活保護受給世帯数(内訳別)  高齢者世帯、障害者世帯及びその他世帯は増加傾向にあります。    平成25年度 高齢者世帯 23,117世帯 母子世帯 3,851世帯 障害者世帯 6,305世帯 傷病者世帯 8,170世帯 その他世帯 9,765世帯 合計 51,208世帯 平成26年度 高齢者世帯 24,120世帯 母子世帯 4,058世帯 障害者世帯 6,537世帯 傷病者世帯 7,538世帯 その他世帯 9,709世帯 合計 51,962世帯 平成27年度 高齢者世帯 25,441世帯 母子世帯 4,009世帯 障害者世帯 6,756世帯 傷病者世帯 6,797世帯 その他世帯 9,813世帯 合計 52,816世帯 平成28年度 高齢者世帯 26,398世帯 母子世帯 3,809世帯 障害者世帯 6,983世帯 傷病者世帯 6,307世帯 その他世帯 9,818世帯 合計 53,315世帯 平成29年度 高齢者世帯 27,109世帯 母子世帯 3,608世帯 障害者世帯 7,185世帯 傷病者世帯 5,525世帯 その他世帯 10,156世帯 合計 53,583世帯 市全世帯数 平成25年度 1,609,747世帯 平成26年度 1,623,606世帯 平成27年度 1,638,946世帯 平成28年度 1,638,946世帯 平成29年度 1,665,516世帯 (出典:横浜市生活保護統計月報(停止世帯を除く)) (3)生活保護に至らなかった人の数  生活保護の相談者のうち、受給開始者数を除いた人数は平成24年度から平成27年度にかけて減少傾向にありましたが、平成28年度からは増加に転じ、平成29年度は21,317人となっています。   平成25年度 延べ相談者数 29,719人 生活保護開始者数 9,255人 相談に来たが生活保護に至らなかった数 20,464人 平成26年度 延べ相談者数 28,294人 生活保護開始者数 8,851人 相談に来たが生活保護に至らなかった数 19,443人 平成27年度 延べ相談者数 27,412人 生活保護開始者数 8,747人 相談に来たが生活保護に至らなかった数 18,665人 平成28年度 延べ相談者数 27,594人 生活保護開始者数 8,345人 相談に来たが生活保護に至らなかった数 19,249人 平成29年度 延べ相談者数 29,550人 生活保護開始者数 8,233人 相談に来たが生活保護に至らなかった数 21,317人 (出典:生活保護法施行事務監査の実施結果報告) 2 高齢者の世帯数(単独、複数世帯)  65歳以上高齢者世帯数は増加しており、近年は複数世帯よりも単独世帯が多くなっています。 (出典:国勢調査(基幹統計調査)) 3 障害者手帳所持者数  身体障害者手帳の所持者数については微増傾向で、平成29年度は99,361人となっています。  精神障害者保健福祉手帳及び療育手帳(愛の手帳)の所持者数は年々増加傾向にあり、 平成29年度は精神障害者保健福祉手帳が34,578人、療育手帳(愛の手帳)(※)が29,409人となっています。 (出典:横浜市統計書) (※)療育手帳(愛の手帳)  児童相談所又は障害者更生相談所において、知的障害と判定された人を対象に交付 4 児童扶養手当受給世帯数  本市の児童扶養手当受給世帯数は平成25年度以降は減少傾向にありましたが、平成29年度に増加に転じています。  児童扶養手当は、父母の離婚などで、父又は母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭(ひとり親家庭等)の生活の安定と、自立の促進に寄与し、児童の福祉の増進を図ることを目的として、手当を支給する制度です。 (出典:横浜市統計書) 5 就学援助を受けている子ども  就学援助を受けている子どもの数は、平成25年度から平成29年度にかけて約4,000人減少し、35,470人となっています。  平成29年度に就学援助を受けている子どもの割合は、13.6%となっています。  就学援助は、経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対して、学校教育法第19条の規定に基づき、学用品費、通学用品費、学校給食費、修学旅行費等を援助しています。就学援助の対象となる保護者は、生活保護を受給しているか、 それに準ずる経済的困窮の状況にあると本市が認定した人です。 (出典:横浜市教育委員会事務局) 6 子どもの貧困率  本市において、国の貧困線を下回る水準で生活する子どもの割合は7.7%(平成27年時点)で、約44,000人となっています。 (出典:横浜市子どもの貧困対策に関する計画(平成28年3月))  なお、厚生労働省が発表している、国の子どもの貧困率(※)(平成27年時点)は13.9%と前回調査(平成24年時点)より2.4ポイント低下しました。   平成21年 子どもの貧困率 15.7% 平成24年 子どもの貧困率 16.3% 平成27年 子どもの貧困率 13.9% (出典:国民生活基礎調査) (※)子どもの貧困率…17歳以下の子ども全体に占める、貧困線を下回る等可処分所得しか得ていない世帯に属する17歳以下の子どもの割合 7 高等学校中途退学者  神奈川県の公立高等学校における中途退学者数については、平成29年度は2,920人となっており、全日制が前年度より増加していますが、定時制及び通信制は減少しています。  中途退学率(※)については全日制が1.2%、定時制が10.6%、通信制が13.7%となっています。   平成25年度 中途退学者数 3,330人 全日制 1,230人(1.0%) 定時制 1,067人(11.5%) 通信制 869人(15.0%) 平成26年度 中途退学者数 3,076人 全日制 1,126人(0.9%) 定時制 1,180人(12.7%) 通信制 770人(14.6%) 平成27年度 中途退学者数 2,753人 全日制 1,127人(0.9%) 定時制 928人(10.7%) 通信制 698人(14.4%) 平成28年度 中途退学者数 2,856人 全日制 1,400人(1.1%) 定時制 838人(10.3%) 通信制 618人(14.4%) 平成29年度 中途退学者数 2,920人 全日制 1,585人(1.2%) 定時制 810人(10.6%) 通信制 525人(13.7%) (※) 中途退学率は各年4月1日現在の在籍者数に占める中途退学者数の割合 (出典:神奈川県児童・生徒の問題行動調査結果)     本市における生活保護受給世帯の子どもの高等学校等の中途退学者数については、下記のとおりで、平成29年度は120人(6.3%)となっています。              平成25年度 在籍者数 1,913人 中途退学者数 82人 中途退学率 4.3% 平成26年度 在籍者数 1,895人 中途退学者数 97人 中途退学率 5.1% 平成27年度 在籍者数 1,898人 中途退学者数 86人 中途退学率 4.5% 平成28年度 在籍者数 1,934人 中途退学者数 107人 中途退学率 5.5% 平成29年度 在籍者数 1,895人 中途退学者数 120人 中途退学率 6.3% (出典:横浜市健康福祉局生活支援課年度末報告) 8 ひきこもり状態にある人の数(推計値)  本市においては、市内在住の15歳から39歳までの若者のうち、ひきこもり状態にある人(※)は約15,000人(平成29年度)と推計されており、前回調査(平成24年度時点)より増加しています。  また、40歳から64歳までの人について、新たに調査対象としたところ、ひきこもり状態にある人は約12,000人と推計されています。   平成24年度 15〜39歳 8,000人 40歳以上 ― 平成29年度 15〜39歳 15,000人 40歳以上 12,000人 (出典:横浜市子ども・若者実態調査/市民生活実態調査) 9 住居のない生活困窮者の状況(ホームレス状態にある人の数)  「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法第2条」では、「ホームレスとは、都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者」と定義されています。ホームレス状態にある人の数は減少傾向にありますが、全国的には、ホームレスの高齢化、路上生活期間の長期化が課題となっており、本市においても同様の傾向が見られます。なお、本法(生活困窮者自立支援法)では、上記に定義される「ホームレス」の他、 終夜営業店舗等で寝泊まりをしている生活困窮者や広く居住の不安を抱えている層も「住居のない生活困窮者」として支援の対象としています。しかし、このような方の実態は把握できていません。 (出典:ホームレスの実態に関する全国調査) 10 自殺者数  平成29年の本市における自殺者数は、495人となっています。平成25年以降、減少傾向となっています。 (出典:人口動態統計)    自殺の原因・動機(複数回答)に関しては、「健康問題」が最も多く、次いで、「経済・生活問題」、「家庭問題」の順となっています。 平成29年分 自殺者数 443人(9.5% 家庭問題 42人(34.8%) 健康問題 154人(13.1%) 経済・生活問題 58人(5.9%) 勤務問題 26人(2.5%)男女問題 11人(1.8%) 学校問題 8人(6.1%) その他 27人(46.5%) 不詳 206人 (出典:自殺統計)  なお、「自殺統計」は横浜市内で発見された自殺者数の統計であるため、住所地を基にしている「人口動態統計」の数とは一致していません。   11 失業者数  平成27年国勢調査における横浜市の完全失業者数は64,687人となっており、前回調査(平成22年時点)から大きく減少しています。                    (出典:国勢調査 就業状態等基本集計)  なお、平成29年における横浜市の有効求人倍率については、1.39倍となっており過去3年間で最大となっています(数値は各年平均)。 平成27年 失業率(全国) 3.4% 有効求人倍率(全国) 1.20倍 有効求人倍率(横浜市) 1.10倍 平成28年 失業率(全国) 3.1% 有効求人倍率(全国) 1.36倍 有効求人倍率(横浜市) 1.26倍 平成29年 失業率(全国) 2.8% 有効求人倍率(全国) 1.50倍 有効求人倍率(横浜市) 1.39倍 (出典:横浜市経済局 統計・調査資料) 12 市民の生活に関する意識  心配ごとや困りごとについては、「自分の病気や健康、老後のこと」が最も多く、次いで「家族の病気や健康、生活上の問題」、「景気や生活費のこと」が上位3項目となっています。  「景気や生活費のこと」については、平成24年度調査時は30.6%でしたが、29年度では21.4%に減少しています。 (出典:横浜市市民意識調査)