第5回 横浜市障害者差別解消検討部会会議録 日時 平成27年5月14日(木)10時00分〜12時13分 開催場所 横浜市研修センター7階 702・703研修室室 出席者 (五十音順)石渡委員、井上委員、内嶋委員、大野委員、大羽委員、鈴木委員、佐藤委員、清水委員、須山委員、中瀬委員、永田委員、奈良ア委員、西川委員、浜崎委員、前沢委員、松島委員、山下委員、和田委員 欠席者 神崎委員 開催形態 公開(傍聴者1人) 議題 1 事例募集の結果の公表について(報告)    2 寄せられた事例の分類について    3 今後の検討予定について 議事 1 開会 ・出席状況報告 ・配付資料確認 ・傍聴者に関する報告 ・事務局の人事異動紹介 2 議題 (1) 事例募集の結果の公表について(報告) (石渡会長)事例募集の結果の公表について、事務局から資料1の説明をしてもらい、説明後に、ご意見やご質問のある方に発言をお願いしたい。 (事務局) (資料1について説明) (石渡会長)資料1の報告について質問があればお願いしたい。 (中瀬委員)事例の市ホームページへの掲載についてであるが、学校等、周知に協力していただいたところへ、ホームページ掲載に関するお知らせはするのか。 (事務局) すでに概要をお伝えしているところはあるが、周知にご協力いただいたところには、何らかの形で結果がまとまった旨の情報提供をしていこうと思う。具体的な方法については今後検討したい。 (2) 寄せられた事例の分類について (石渡会長)議題の二つ目、「寄せられた事例の分類について」に移りたい。前回の話し合いの内容をもとに、分類の表が修正されているが、まず資料2と資料3について事務局から説明をしてもらい、説明後に、分類の表についてご意見をいただきたい。 (事務局) (資料2、資料3について説明) (石渡会長)修正してすっきりした分類になった。資料3について、大羽委員、奈良ア委員、永田委員、井上委員から何か補足説明等はあるか。 (特になし) (石渡会長)それでは、資料2の分類の表について、「Bできればしてほしくないこと △」はあった方がよいか、それとも削除した方がよいか、ご意見を伺いたいと思う。 (松島委員)差別は差別であるので、曖昧なもの(△)は削った方がよいと思う。「絶対にしてほしくないこと」の一本にした方がよい。 (鈴木委員)前回欠席で議論に参加できなかったが、「差別的取扱いをしたもの」と「適切な配慮をしなかったもの」の二つに分けること自体が難しいことではないかと感じている。しかし、第三者であるこの部会や市が状況を読み込む中で分けることはできるかもしれない。 ただし、「A絶対にしてほしくないこと」と「Bできればしてほしくないこと」に分けることは、資料3の大羽委員の意見にもあったが、提供した人に問わなければならないとあるように、主観的なものであり難しい。また、たくさんの事例があるので、一つひとつ時間をかけて細かく分類できるのであれば、この部会の責任で分類をしてもよいかもしれないが、AとBに全て分けることは現実的ではないように思う。 (和田委員)「Bできればしてほしくないこと △」はない方がよいと思う。また、合理的配慮については、「絶対にしてほしくないこと」ではなく、「絶対に」を削って、「してほしくないこと」でよいと思う。 (前沢委員)これまで出ている意見と同様である。理由としては、表はシンプルになったが、深く事例を読み込んでどちらかに分類することは困難である。「A絶対にしてほしくないこと」と「Bできればしてほしくないこと」の主観的な部分もなかなか難しいように思う。Bはない方がよいと思う。 (石渡会長)「Bできればしてほしくないこと △」はない方がよいという意見が続いているが、この部会としては、「△」は無しを結論としてよいか。 (佐藤委員)正直言ってよく分からないというところがある。分類の表の「行政機関によるもの」、「事業者によるもの」、「行政機関・事業者以外によるもの」の区分は分かるが、「差別的取扱いをしたもの」と「適切な配慮をしなかったもの」の整理においては、分かりやすい事例もあるが、おそらく分類できない事例がたくさん出てくるように思う。分類しなければならないのかという話も出てくるような気がする。 ここから先の意見は議論に取り上げる必要はないかもしれないが、要は「やってはいけないこと」だけではないかという気がする。そういう意味では、そもそも差別的取扱いがあったとして事例が挙がって来ているのであるが、「差別的事例があった」とするのみの分類でよいような気もする。 それから、「適切な配慮をしなかったもの」については、「絶対に」という形容詞が付くと大変(表現が)強いので、△も必要になってくる。そういう相対的なものではないかと思う。表現として「絶対に」とすると、△を置かないと表現がきつ過ぎるように思う。いろいろ話をしたが、差別があったかなかったか、それのみのように思う。これが一つ。もう一つは、「絶対に」とすると△も必要になるので、「絶対に」は削って一本でよい感じがする。 (奈良ア委員)△についてすごく悩んでいるが、宿題で事例の分類を考えているときに、私は△をいっぱい付けた。知的障害の人は、資料4の中で、「こうしてほしかったこと」の記載が少ない。他の障害の人は割と記載されている。 例えば、33 番の事例であるが、これが自分であったらとか、この人はどう思ったのだろうと考えた。自分の障害のことを言ったのかな、言わなかったのか、自分がどこまで書けるのか、先生が理解できるのか、それらを考えて△(できればしてほしくないこと)をつけた。事例の中身によっては△も大事だと思った。 (和田委員)私も自分で分類してみた。合理的配慮について、自分がどう決 めたかというと、これは絶対にしてほしくないと思ったものは「×」。こ れはそれほど大したことではないからこのくらいでよいかなくらいの感 覚で付けてしまった。しかし、私としては、やはり△はない方がよいと 考えている。また、「絶対に」も消してほしい。 (鈴木委員)国のQ&Aを見てみると、個別の事案において、それが差別に該当するか否かは、それぞれの事案において、個別具体的に判断されるものであり、本法(障害者差別解消法)では、障害を理由とする差別について、あらかじめ一律に定めることはしていないとある。 今、正にたくさんの委員の方から、事例の分類について迷うという話があったが、個別具体的に判断されるのは法施行後の姿ではないか。一つの提案であるが、先ほどの佐藤委員の意見に賛成であるが、差別的取扱いと合理的配慮の不提供を分けるということは、あえてしないで、比較的、部会として分類がしやすいものについて、例示的にいくつかの事例をこれは差別的取扱いに当たる、なぜならば、こういう理由で。これは合理的配慮の不提供に該当する、なぜならば、こういう理由で。と、いくつか例示を出すことでよいのではないか。 ここで、差別的取扱いと合理的配慮の不提供に当たるのかどうか、900 の事例について全て示していくのは、横浜のスタンダードをここで作ってしまうことになる。個別具体的に判断することはとても難しいことであると、分類の表を見ていて、あらためて感じたところである。 (石渡会長)分類の難しさの話があったが、分類については、差別的取扱いと合理的配慮の不提供を分けない方がよいという意見か。 (鈴木委員)表現は考えないといけないが、そういうことである。国のQ&Aでも、これから国の対応指針や対応要領で具体的な事例が示されるということであるので、それを待ってから、一つひとつの事例を考えていく方がよいように思う。一つのケースが「差別的取扱い」と「合理的配慮の不提供」のどちらに入るかは法律家でもなかなか難しいところなのではないかと思う。これを市が行ってくれるのであれば有難いとは思うが、相当の判断の難しさがあると思う。 (内嶋副会長)分類の案の元を考えたのは私であるが、障害者差別解消法の第7条では役所、第8条では会社などが行ってはいけないことが書いてある。 一つは差別的取扱いをしないこと。もう一つは社会的障壁についてであるが、生きにくさは障害があるから生きにくいのではなく、障害を生きにくさにさせている社会の在り方、これをバリアと言っているが、それが障害のある方の生きにくさを産んでしまっている。つまり、障害のある方に問題があるのではなく、周りの社会に問題があるという考え方である。そして、バリアを作ってしまっている社会の側が変えていこうというのが合理的配慮である。分かりやすく言えば、周りの人が少し気を使えば済むことではないかということである。 一つ目の差別的取扱いは、ワザと意図的なものになると思うが、これは法律では、絶対にやるなとなっている。それから、社会のバリアを変えていこうというのは、割と最近出てきた考え方であるが、例えば、JRの人が車いすの人が電車に乗るときにスロープを渡してあげたり、又 は周りの乗客が持ち上げてあげたりなど、このような配慮が必要ではないかという議論が二つ目の話である。 さて、分類の表で@、A、Bを分けるのは難しいのではないかという意見があったが、確かに難しい。私も宿題として自分で分類をしてみたが、かなり悩んだ。ただし、難しいからここで分類をしなくてよいのかというのが私の課題の投げかけである。先ほど鈴木委員から、国の指針が出てからでよいのではないかと話があったが、私は国の指針が出る前にやるべきと考えている。 つまり、それが横浜市で時間とお金をかけて、こうしてみんなで集まっている意義であると思う。国が作るのはそれはそれでよいと思うが、おそらくまとまりのよいオーソドックスなもの。そこには悩みは出てこない。多くの人が出してくれた生々しい事例について悩んでみるということは、時間の許す範囲で私はやってみるべきだと思っている。その上で、分類ができないものはかなりあるかもしれない。一方で、分類ができて、差別的取扱いが実際には多くあるんだということであれば、旧来型の差別がまだまだあるということで、それは深刻な問題である。そこは、私は緊急的に優先して解決していかなければならないと考える。 また、合理的配慮については、障害のない人の相当の理解を必要とするものである。なぜならば、それはワザとやっているものではないからである。例えば、車いすの方が電車に乗れないのを見て、心の中では助けてあげたいと思っている人はきっといるはずであるが、日本人の特性として助けられない。誰か一人が助けていると周りの人も集まる。よって、障害のある人が、できればこうしてほしい、これは配慮してほしいと声を大にして言っていただけると、障害のない人に対して、皆さんがこういう風に困っているので、社会でこういうことを見かけたら、ちょっと頑張ってもらえませんかというメッセージを出せる。 一方、まだまだ自分たちで何とかなるかもしれない、先ほど和田委員の発言もあったが、あえて優先順位を付けるという考え方に立てば、早くやってほしいことと、ちょっと待ってもよいことの意見を障害のある方からいただけるのであれば、法律にも当事者の意思表示に基づいてとあるので、このような分類を考えてみた。私も分類は難しいと思ったので、△はなくしてもという気持もあるが、△は障害のない人の意見ではなく、障害のある人の意見を優先させたいと思う。 (△を)区分することがナンセンスということであれば、なくしてもよいと思う。 ただし、ワザと差別的取扱いをしているパターンと、うっかり、気が付いていなくて差別が発生しているもの(配慮が行われていないもの)とは、やはり何らかの形で分け、メッセージとして伝えることが必要であると思う。なお、鈴木委員からあったように、分からないものは除いておくというのは同意見である。迷うものは、事例の集積、国の見解を待つことでもよいのではないか。 私の趣旨は、全ての事例をこの表の枠に入れていくというのではなく、ここに入らない枠の外にあるものもあるだろうと考えている。 (石渡会長)これまでの意見をまとめると、分類としては、@差別的取扱いをしたもの(絶対にしてほしくないこと)、A適切な配慮をしなかったもの(してほしくないこと)、Bどちらにも入らないもの(現時点で分からないもの、△に当たるものを含む)の3つかと思う。 (鈴木委員)今の整理でよいと思うが、一つ確認しておきたい。全ての事例をこのフィルター(分類の表)にかけるのか。今出ているディスカッションの方が大切であると思うが、特徴的なものについて、例えば、合理的配慮について10 件ほどを選んで、それについてディスカッションし、その議論した内容を報告書にまとめていくのがよいと思っている。900 を分けて、100 が差別的取扱い、100 が合理的配慮の不提供、残りの700 はよく分からないという出し方はあまりよくないと思う。900 の事例をどう扱っていくのか、その点を確認しておきたい。 (事務局) 本日はこの後、資料4の27 個の事例について実際に分類を行うことになっており、分類を進める中で、各委員の考え方、部会としてのご意見がある程度見えてくるのではないかと考えている。よろしければ、その本日の部会でのご意見、考え方に沿って、事務局において全事例についてできる範囲で分類作業をさせていただき、次回の検討部会でその分類の内容についてご確認いただく。 そのような形で作業を進めていきたいと考えている。もちろん、いずれにも分類できないものも出てくるかもしれないが、本日のご意見をもとに作業を進めていきたいと思う。 (石渡会長)それでは、実際に分類する中で考えていきたいと思うが、資料2の分類の表については、@差別的取扱いをしたもの(絶対にしてほしくないこと)、A適切な配慮をしなかったもの(「絶対に」は削除して、してほしくないこと)、Bどちらにも入らないもの(その他。現時点で分からないもの、△に当たるものを含む)の3つの区分。誰によるものかの区分は、案のとおり、行政機関によるもの、事業者によるもの、行政機関・事業者以外によるものの3つでよいか。 (大羽委員)@差別的取扱いをしたものと、A適切な配慮をしなかったものの両方に入るものもあるのではないか。3つ目のBを「どちらにも入らないもの」とせずに、両方に入るものを含めて「その他」としておくことでよいのではないか。 (石渡会長)それでは、@とAの両方に該当するものも、「その他」とは分けて考えていくこととする。 (石渡会長)それでは、資料4の事例の分類を一つひとつ進めていきたい。それぞれの事例について発言をしたい方はお願いしたい。また、対象の障害に該当する委員の方には特に発言をお願いしたいと思う。まず、5番の事例についてご意見をいただきたい。 (永田委員)私はこの事例は「A適切な配慮をしなかったもの」に該当すると思う。行った者は「事業者によるもの」。 (内嶋副会長)行政機関による場合もあるかもしれない。 (石渡会長)「A適切な配慮をしなかったもの」に該当し、事業者による場合と行政機関による場合があるという整理でよいか。14 番の事例についてご意見をいただきたい。 (中瀬委員)場面の想定が、ツアー自体に参加することを断られたのか、受付の時点で手話のできる人がいればツアーに参加できたのかなどがよく分からない。「@差別的取扱いをしたもの」、「A適切な配慮をしなかったもの」、場面によっていずれかになると思われる。他にもあると思うが、当事者がどのような扱いを受けたのか、場面によって分かれると思う。 (奈良ア委員)私も「@差別的取扱いをしたもの」か、「A適切な配慮をしなかったもの」であると思う。障害者を専門としているところだと@。それ以外の一般の旅行代理店であれば、(障害のことを)何も分からないのでAかと思う。 (清水委員)最近、旅行会社でバリアフリートラベルという商品を売り出している。ただし、価格が高く、安価なツアーの倍くらいする。事業者によるものの分類になるが、手話通訳を入れると安くは売れなくなってしまう。そういう意味で「A適切な配慮をしなかったもの」であると思う。 (須山委員)「A適切な配慮をしなかったもの」に該当すると思う。ただし、「手話のできる人を雇い入れること」とあるが、手話のできる人を雇い入れなくても、ちょっと筆談してくれるなどの配慮でも、楽しい旅行ができると思う。なお、車いすの方などの場合については、少し違いが出てくるかもしれない。 (松島委員)文章だけ読むと、「A適切な配慮をしなかったもの」であると思うが、障害者同士のツアーを断られると書いてあるので、「@差別的取扱いをしたもの」に近いような感じがする。 (内嶋副会長)おそらく障害のみをもってお断りとなると、「@差別的取扱いをしたもの」。受け入れてあげたいが、聴覚障害が障壁になって、上手くチケットがとれないとか、ツアーの安全が確保できないとしてお断りとなると、「A適切な配慮をしなかったもの」になるのかと思う。 (石渡会長)「@差別的取扱いをしたもの」の場合もあるが、多くの場合は「A適切な配慮をしなかったもの」に当たるという整理でよいか。続いて、16 番の事例は行政機関によるものであるが、ご意見をいただきたい。 (永田委員)私はAであると思う。 (須山委員)市役所や区役所は差別的取扱いをしないことになっているので、是非「@差別的取扱いをしたもの」に入れてほしいと思う。 (井上委員)お年寄りのことも考えると、地震などが起こったら大変であるので同じ意見である。 (内嶋副会長)文章に沿って考えると、「A適切な配慮をしなかったもの」となるだろう。須山委員、井上委員の意見は、公的な機関には障害のある人も高齢の人も多く集まる。 その中で火事や震災等の命に関わる最も重要な情報が提供されないということを考えると、@にしたいという意見である。私はAにしたが、当事者の委員の方から、@にしたいという意見が聞けてよかったと思っている。 (石渡会長)「A適切な配慮をしなかったもの」に該当するが、行政機関による場合で命に関わるような事案については「@差別的取扱いをしたもの」にした方がよいのではないかという意見もあった。23番の事例についてご意見をいただきたい。 (和田委員)「@差別的取扱いをしたもの」に入ると思うが、どちらにも入るようにも思う。病気のことを分かっていない、理解していないことでダメと言ったのであれば、Aの合理的配慮の不提供なのかと感じる。 (内嶋副会長)消防団員は行政機関に含まれるのかどうか確認しておきたい。 (鈴木委員)地方公務員法を見ると、非常勤の消防団員は特別職になっており、地方公務員法の適用は受けないとなっている。病歴を理由にしてとなると、限りなく「@差別的取扱いをしたもの」と考えられる。行政機関の中での位置づけについて確認をお願いしたい。 (事務局) 消防団員の位置づけについてはあらためて確認したい。今日のところは役所、行政機関として分類をしておいていただければと思う。 (石渡会長)続いて、29 番の事例についてご意見をいただきたい。 (清水委員)市立の中学校、行政機関によるものと考えたが、これは「@差別的取扱いをしたもの」であると思う。障害者権利条約でインクルーシブ教育が言われているが、その実現について、一般教育の下で障害者について受け入れていくことが保障されている。しかし、文部科学省は運用で対応していくとし、曖昧になっているが、これは後々問題になってくると思う。この事例は@である。 (石渡会長)続いて、先ほど奈良ア委員の意見にも出てきたが、33 番の事例についてご意見をいただきたい。(奈良ア委員)この事例の本人が自分であるとしたら、「A適切な配慮をしなかったもの」かと思う。知的障害でもいろいろな方がいる。 先日、たまたま知人が習字を習いたいから教えてと相談に来たが、字が書けるのであれば入ってくださいと言うが、書けない人にどのように教えるかは大変難しいことである。障害者を受け入れると看板に掲げていれば@であると思うが、@かAか、いろいろ悩んだ。 (松島委員)たとえ字が分からなくても、字を習うための習字であり、障害を理由として断っているので、「@差別的取扱いをしたもの」であると思う。 (永田委員)私も松島委員と同じで@であると思う。 (井上委員)声を出したりすると入れないこともあるので、状況によっては、その他(どちらにも該当しないなど)に該当することもあるかもしれない。 (須山委員)お稽古事というのは、受け入れる側の準備体制の問題があると思う。車いすの方で机でないとできないという場合に、場所が畳に座る所であることなども考えられ、「A適切な配慮をしなかったもの」になると思う。 (石渡会長)受け入れる側の状況によっては、「@差別的取扱いをしたもの」と言えないこともあり、「A適切な配慮をしなかったもの」でよいのではないかという意見であった。49 番の事例についてご意見をいただきたい。 (奈良ア委員)事例としては二つあると思う。一つは仕事の内容を教えてくれない。もう一つは名前を呼び捨てにされる。一つ目は、私も同じ障害のある人と仕事をするときにやってしまうかもしれないが、例えば何回まで教えればよいのか、職場でルールを決めてほしいと思う。以前、介護職の仕事のときは3回まで聞いてよい、教えるよとしていた。 @、Aのいずれでもないと思う。二つ目は、会社の社長から自分も○○さんと呼ばれたことは1回もないなと思った。@、Aのいずれでもないと思う。 (内嶋副会長)事例を二つに分けるのはよいと思う。一つ目は、忙しくて教える時間がないという状況なのかもしれない。もう一つは、呼び捨てにされるのが「自分だけ」というところに注意したい。この人だけがそうされているということを前提に議論すべきである。 (大野委員)事例を二つに分けるというのは私も同感であり、二つ目について「自分だけ」に注意しなければならないことも同じ考えである。それからすると、前者は「A適切な配慮をしなかったもの」、後者は「@差別的取扱いをしたもの」に当たるのではないかと考える。 (石渡会長)前者は「A適切な配慮をしなかったもの」、後者は「@差別的取扱いをしたもの」で、事業者によるものという整理でよいか。68 番の事例についてご意見をいただきたい。 (須山委員)聴覚障害者としては困ることである。事業者によるもので、「A適切な配慮をしなかったもの」でよいと思う。 (石渡会長)続いて、82 番についてご意見をいただきたい。 (内嶋副会長)事例が長いので、私なりの解釈をお話ししたい。一つは、障害者施設の建った地域の住民の方々からの反対。それをどう取り扱うのかの問題。 もう一つは、その地域の方々との話し合い、融和を図らずに強行に建ててしまったこと。この方のご意見では、行政がその元凶であり、行政がもっと配慮し、トラブルを収めてから建設に進めばよかったのに、無理に建てた、行政に原因があったのではないかという意見のようである。 施設を建てた代表者の人も含まれてくるかと思うが、地域と行政等の人がもう少し何らかのことをすればよかったということであると思う。 (奈良ア委員)三つあると思う。一つは行政は×(バツ)で、行政の人は専門家であるので、住民に伝えるべきだと思う。何で説明しないのかと思う。よって、行政の人は×(バツ)で@の差別であると思う。住民はAの配慮に該当。住民に伝えるのはまず行政だと思う。本人が障害のことを伝えるのはつらい。誰がその人の障害をよく知っているかと考えると、支援者か役所のワーカーの人が伝えるのがよいと思うので@かA。文も長いので、作業をやり直すのであれば、分離して考え直した方がよいと思う。 (石渡会長)続いて、92 番の事例についてご意見をいただきたい。 (井上委員)テレビの設定のこともあると思うが、「A適切な配慮をしなかったもの」になると思う。 (須山委員)どこのテレビ番組かによっても変わってくると思う。テレビ神奈川の市からのお知らせであれば、全て字幕を付けてほしいと思う。大切な情報提供であるので@にしてほしい。テレビ局は事業者なのでAであるが、テレビ局に依頼する市は@にしてほしい。字幕を付けることはお金もかかるし、簡単ではない。 現に聴覚障害者はテレビ神奈川に字幕を付けてほしいと要望しているが、なかなか付けてくれない。しかし、市からの情報提供については必ず付けてほしい。 (石渡会長)時間がなくなってきたが、事務局から先に197 番と422 番についてご意見を伺いたいとのことである。197 番の事例についてご意見をいただきたい。 (奈良ア委員)精神障害の制度を教えてほしい。横浜市内は1,200 円払えば、そのまま乗車券を買えるようになっているのではないか。 (和田委員)バスについては、市内から市外へも、市外から市内へも本人は無料。本人はそうであるが、ガイドヘルパー等は無料になっていないので、それは差別であると思う。 (大野委員)法律的な点から1点お伝えしたい。一つ前の92 番の情報提供の事例や16 番の事例に関連するが、行政については差別的取扱いに反した場合も、合理的配慮の不提供についても、両方とも法的義務である。よって、必ず行政にこうしてほしいから@にするということは必要ない。 やってもらいたいということでは、どちらも同じである。なお、故意にやっている差別なのか、そこまでではない配慮なのかは、分類として考慮してもよいのかなとは思う。 (内嶋副会長)介護者の運賃の件は、法律の定めはあるが、心情的には@にしてほしいということなのだと思う。 (和田委員)相鉄線やJRについて、身体の方には優遇措置があると思うが、精神については認められていない。見た目で判断できないからかもしれないが、差別ではないかと思う。 (石渡会長)続いて、422 番の事例についてご意見をいただきたい。 (松島委員)これは言語障害のある私たちに多くある事例である。家族と話をするケースが圧倒的に多いが、そういうときは、僕の目を見て話してくださいと言う。 健常者には分かりにくいのかもしれないが、聞き取ってほしい。やはり介助者ではなく、本人に聞いてほしい。@になると思う。これは当たり前の気持であると思う。 (石渡会長)事例に誰がやったことかの記載はないが、いずれの場合もあると思う。 (和田委員)子供の学校の面談で、先生が主人の方ばかりに聞いて私に聞いて来ないことがあった。私に言っても分からないと思われていたのではないか。 (奈良ア委員)権利条約からすれば@かもしれないが、AかB(どちらとも言えない)かと思う。知的障害や重心は家族や専門家が代弁していることが多い。権利条約のとおり、私たちのことは私たち抜きで決めないでと言っても、親の立場からはAが結構多いと思った。ヘルパーなどプランを作る人はBかなと思った。 (内嶋副会長)当事者からすると「@差別的取扱いをしたもの」。家族からすると「A適切な配慮をしなかったもの」。支援者からするとB辺りではないかということか。 (奈良ア委員)そうである。 (和田委員)生活支援センターでピアスタッフをしている。初来館の方にセンターの説明をすることがあるが、当事者に家族や支援者が付いて来た場合に、本人が疲れや緊張で話をしても無理であろうと感じることも結構ある。本人に言っても反応がないので、家族に話すこともあるが、基本は本人であると思うし、そうしないと差別であると思う。 (須山委員)聴覚障害者の場合であるが、周りの状況の話がやはり全ては入って来ていない。その中で本人が決断する場面では、本人ではなく家族に聞いた方がよい場面もある。結局のところ1から10 まで本人に説明する時間があるのか、環境、状況によって誰に話した方がよいのかということもあると思う。 よって、「A適切な配慮をしなかったもの」になると思う。本人としては、話を全て聞いて判断できる人については、「@差別的取扱いをしたもの」にも当たると思うが、聴覚障害者のように全部の情報が届いていない場合については危ない面もある。本人に1から10 まで全ての情報が届くような配慮が必要であり、そういう意味ではAになると思う。 (松島委員)全部をよく理解できない場合であっても、まずは本人に聞く必要があると思う。@だけでよいと思う。どのような障害であっても本人に聞いて、本人が隣の人に聞いてくださいという場合は、そのようにするべきだと思う。 (須山委員)私の例を挙げると、私が手術を受けたときであるが、医師からの説明の際、聴覚障害者であるので、医師からはどなたか家族や親戚の人が同席してくださいと言われた。説明は紙にも書いてくれたが、説明後に同席した者と確認をしたら、私は説明の60%しか分かっていなかった。 そのとき、聞こえているようであるが、やはり全部は聞こえていないのだと思った。命に関わることなので、そういうことも考えると、本人に説明し、判断させることが危険なこともあることは知ってほしい。 (石渡会長)本人に対してが大前提であると思うが、それぞれの方の障害の状況によって考えなければいけないことがあるということだと思う。 (内嶋副会長)須山委員、松島委員ともに、本人の意向に従ってほしいということであると思う。 おそらく全部を家族に話してほしいということではなく、本人の力のみで補えないところは家族等の力に頼りたい。それも須山委員の意思であると思う。松島委員の意見では、本人の意向を無視して家族や支援者に話をすることは止めてほしい。この点は和田委員も同様であったと思う。この部分は大変大事な部分であると思う。 (石渡会長)時間も予定を過ぎているので、事例の分類はここまでとしたい。 (3) 今後の検討予定について (石渡会長)議題の三つ目。今後の検討予定について、事務局から資料5の説明をしてもらい、説明後に何か質問等があればお願いしたい。 (事務局) (資料5について説明) (石渡会長)今後の検討予定について説明があったが、何か質問等はあるか。 (石渡会長)次回までに、この1,000 件を超える事例について分類をしてみるということか。 (事務局) 分類作業について少しお話をさせていただきたい。本日、お手元に応募事例の一覧を配付させていただいた。2つお配りしたが、一つは場面別に分類して並べたもの、もう一つは障害別に分類して並べたものである。 本日の部会の分類も継続になると思われるため、全ての事例を分類することはできないと思うが、本日の議論において、各委員がほぼ同じ意見であろうというものや、部会の意見としてはこうであろうと、いろいろ考え方を伺えた部分があったので、それらをもとに、できる範囲で分類作業を行ってみたいと思う。 今後の部会での議論を待たないと分類できないものについては、次回の検討部会での議論や考え方が示されるのを待って進めていきたい。 (石渡会長)今日の議論をもとに、できる範囲で分類作業を進めてみるということである。 3 その他(連絡事項等) (石渡会長)事務局から連絡事項等をお願いしたい。 (事務局) 1点目は、本日の事例の分類についてであるが、時間があれば、事務局からいくつかご質問したい点があった。交通運賃の割引の話など、他の制度に関わる話もあり、障害者差別解消法が定めている不当な差別的取扱いや合理的配慮の範囲を超えていると思われるものもあったと思う。部会として、法律を超えて横浜市はこうすべきというご意見をいただくこともあるかもしれないが、次回整理していくつか教えていただきたい。 2点目は、先ほどもお話をさせていただいたが、本日の議論をもとに、可能な範囲で事例の分類作業を進め、後日、各委員に資料を送付させていただく予定である。よろしくお願いしたい。 3点目は、本日配付の応募事例の一覧であるが、まずは目を通していただければと思う。なお、本日、障害者プランも配付させていただき、持ち帰る資料がかなり重くなるため、ご自宅宛に郵送もさせていただきたい。ご希望の方は遠慮なく申し出ていただきたい。 最後に次回の開催予定であるが、6月16 日(火)午後2時から、会場は市庁舎5階の関係機関執務室である。 (石渡会長)各委員から何かあるか。 (大羽委員)寄せられた事例は、差別であると感じて出てきているものであり、それを公表することはよいが、差別であるかないかは、はっきりさせていかないといけない。 先ほど手術の内容を家族に伝えることの話があったが、家族に説明すること自体は差別ではないだろうと思う。また、事例には、事実誤認や勘違いもある。よって、次回は差別か差別でないかの分類についても含めていただきたい。 資 料・特記事項 資料1 事例募集の実施結果(速報)について 資料2 検討用分類(修正案) 資料3 分類の表の修正案(資料2)についての意見 資料4 障害者差別を受けたと思った事例、適切な配慮がなくて困った事例など(一部抜粋) 資料5 今後の検討予定(案)