第4回 横浜市障害者差別解消検討部会会議録 日時 平成27年3月24日(火)10時00分〜12時06分 開催場所 市庁舎5階 関係機関執務室 出席者 (五十音順)石渡委員、井上委員、内嶋委員、大野委員、大羽委員、神崎委員、佐藤委員、清水委員、須山委員、中瀬委員、永田委員、奈良ア委員、西川委員、浜崎委員、前沢委員、松島委員、山下委員、和田委員 欠席者 鈴木委員 開催形態 公開(傍聴者2人) 議題 議 題 1 事例募集の結果について    2 寄せられた事例の分類について    3 課題の整理(今後の検討事項)についていて 議事 1 開会 ・出席状況報告 ・配付資料確認 ・傍聴者に関する報告 2 議題 (1) 事例募集の結果について (石渡会長)議題1の「事例募集の結果」について、事務局から資料1の説明をしてもらい、説明後に、ご意見やご質問のある方に発言をお願いし (事務局) (資料1について説明) (石渡会長)それでは、ご質問等のある方はお願いしたい。 (神崎委員)質問ではないがお伝えしたい。障害児の保護者のグループの方から聞いたが、学校から事例募集のチラシが下りて来なかったとのことであった。そのグループの方には今からでも提出した方がよいと話をしたが、なかなか行き渡らないということもあるのだと感じた。 それからもう一つ、パーキンソン病で全盲の方から、自分では事例を書けないので私に連絡があった。私が代わって紹介したい。町内会に入っていて会費は毎年払っているが回覧板は回って来ない。自分の所にも回してほしいと頼んだら、「あなたはどうせ読めないんでしょ」と言われた。 自分としては誰かに読んでもらってでも何か参加できるものがあれば参加したいと思っており、そのことを区役所に伝えたが、民生委員から、区役所に楯突くんじゃないと言われた。まだそのような世の中なのかとも思ったが、事例として紹介しておきたい。 (石渡会長)考えさせられる事案であった。学校の状況については事務局で把握していることはあるか。 (事務局) 全学校にチラシの配付は行ったが、コピーをして全児童生徒に配付をしてくださいとまでの依頼は行っていない。 (和田委員)障害別内訳についてであるが、まだまだ偏見もあるのかもしれないが、精神障害が49%と大変多い。これは想定外であったのか。 (事務局) 前回もご報告させていただいたが、浜家連から団体として行った同趣旨のアンケートの提供が300 件以上あったため、その結果、件数の割合が多くなっている。 (石渡会長)事務局から説明があった。団体としての差別に対する考え方もあると思われる。 (2) 寄せられた事例の分類について (石渡会長)それでは、議題の2、「寄せられた事例の分類について」に移りたい。本日の議論のポイントである。事務局から資料2と資料3の説明をしてもらい、説明後に話し合うことが@からBまで3つあるので、一つひとつ進めていきたい。 (事務局) (資料2及び資料3について説明) (石渡委員)資料2、資料3について説明があった。資料3の分類の表については、前回の議論をもとに修正した点などについて説明があった。なるべく分かりやすいように、分類しやすいようにと修正をした案であると思う。 本日の会議が始まる前に、井上委員、永田委員、奈良ア委員が分類について検討していたが、その中では、資料3の表の@の「絶対にしてほしくないこと」は「×」、Aの「できればしてほしくないこと」は「△」と考えたそうである。×△も分かりやすいと思う。資料3では、そうした区分に加えて、差別的取扱いと適切な配慮をしなかったものに分け、更に意識して行ったものと無意識に行ったものとに分類している。 まずは資料2の話し合うことの@であるが、この資料3の分類の案について、分かりづらい点、直した方がよいと思う点についてご意見をお願いしたい。 (大羽委員)議論の前に話しておきたいことがある。差別事例を集めて整理するという方向は間違っていないし、これから先の検討に結びつける良い方法であると思う。ただし、こうした方向づけ以外に、事例を集めた目的を考えたい。どのような差別があるのか、差別とは何なのかを一般の市民の皆さんに知っていただき、考えていただきたいと思う。 横浜市で障害者差別解消法をどのように考え、実行していくのか、市民に問うことが必要ではないか。差別に対する考え方を共有することが出発点となるはずである。今日でなくてもよいが、この検討部会で話し合う必要があると思う。 それから2つ目は、資料3の分類の話であるが、合理的配慮がほしいという事例もあると思うが、この表では、絶対にしてほしくないこと、できればしてほしくないことの区分になっており、絶対にしてほしいこと、できればしてほしいことの分類がないように思う。それらも、適切な配慮をしなかったものの分類に含めていくのか。 (石渡会長)市民の理解の促進をいかに進めていくか、この検討部会の大きな課題である。 (大羽委員)今日の検討内容でなくてもよいが、案のように作業を進めていくと、効率的に差別をどのようになくしていくのかの検討につながっていき、行政的なものも見えてくると思う。 しかし、差別は何なのか、分類し終わってから市民に公表するか、それとも差別事例をこんな事例がありますよと分類の前に市民に見てもらうのか、いずれにしても、差別に関する意識の共有について具体策を検討していく必要がある。 (内嶋副会長)私も感覚的には大羽委員とそれほど違わないと感じているが、今日も既に事例の紹介があり、ある意味ショックも受けている。こういうダイレクトな感想というものをストレートに伝えるということもあると思うが、障害とか差別とか、この場にいる方は理解が高く、差別について感覚的にも共有している部分があると思うが、市民の方々に伝える際には、市民の方々がどのように受け止めるのか、ある程度は予測しておかないといけない。 資料3の分類の案については、割と積極的に賛成と考えているが、障害者差別解消法に沿って行政機関、事業者、それ以外の一般市民などに分けることは意識せざるを得ない。 それからもう一つ、今回特に伝えたいのは、差別を受ける側、又は合理的配慮を受ける側である当事者の主体的な意見を聞いてみたいということである。 当事者でない者が当事者に代わってこういった分類をすることはあると思うが、この検討部会ではそれは避けたい。せっかくこれだけの方々が集まっているので、当事者の方が日常生活において、この差別は正直きついとか、なくなった方がよいがもう少しは待てるなどの意見があるはずである。しかし、それがなかなか私たちに伝わって来なかった。 当事者の視点からの濃淡を何か付けられないかと考えた。そうすると、このような表になるのかと思う。当事者の目線、フィルターを通したものを市民に提供していくのも、この検討部会のあり方と思っている。そのような趣旨で事務局に提案したものである。 市民に対して、時間を経ずに事例をそのまま知らせることも効果があるかもしれないが、ここで議論したものを市民に出していった方がよいと考える。議論の中身としては、法律の定めによる仕分けもあると思うし、市が行わなければならないことについての仕分け、それから私が今回特に重点に置きたかった、当事者の視点からはどうなのかということを検証してから出すということもあると思う。 大羽委員の意見も理解するし、個人的には差別とは何か、差別を生む人の心の内に触れていきたいとも思うが、時間的な制約もあるので、このような分類の案を提案したところである。 この分類の案についてはさまざまな意見があると思うが、当事者の方の意見、先ほどの×、△の感覚の表現は最後まで大事にしたい。 (石渡会長)市民の方々にどのように伝えていくかという大きな課題はあるが、これからの社会をどう変えていくのかということを考えていく上で、この分類は活きてくると思う。本日はまず分類について進めていきたい。 市民にどう伝えていくのかについては、また話をする機会があると思うので、心に留めておいていただきたい。 また、このような配慮があったらよいというものについては、そのような応募事例もあるので、今後話をしていくこととしたい。 (清水委員)行政機関と事業者の仕分けについて質問しておきたい。病院については公立病院と民間病院がある。国立から独立行政法人になったものもあるが、これは行政機関とみなすのか。また、学校も公立の学校と私立の学校があるが、どちらに分類されるのか。 (事務局) 法律上の区分としては、独立行政法人は行政機関に含むとされている。例えば、横浜市においては、横浜市立大学は公立大学法人であるので行政機関のグループに分類される。 一方、市民病院のある病院経営局や、交通局、水道局は事業者に分類される。学校については、公立は行政機関、私立(学校法人)は事業者に該当する。 (清水委員)応募事例では、例えば、学校に関しては学校名又は公立・私立の記載があれば分類できるが、記載のないものがほとんどであると思われる。記載があれば分類できると思うが、どうしていくのがよいのか。 (内嶋副会長)行政機関、事業者、それ以外の区分は障害者差別解消法の区分に従ったものである。しかし、実際の生活の場面では、生活者は病院の公立・私立の区分はしない。学校に通学している人にとっても公立・私立は区分しない。学校も一旦入学すると簡単に学校を変えられるというものではない。 法律に沿った区分自体は市としては今後の取組を考える上で堅持してもらいたいということであると思うが、一つ提案であるが、当事者の側から見て、その機関との関わりは選択肢がほとんどない、実質的に選択肢がない公共的な機関に関する対応と、例えばレストランのように選択肢のあるものとに分け、濃淡をつけてもよいのではないか。 今思いつくのは病院や学校である。選択肢がなく逃げ場のないものについては濃淡をつけていくという考え方もあるのではないか。 (石渡会長)病院は事業者の分類になると思うが、今のご意見は公共性のある、実質的に選択肢のないものについては、行政機関の分類になりうるということか。清水委員の公立・私立の区分の指摘については、各事例の分類の中で考えていかなければいけないと思う。ご意見はあるか。 (清水委員)今後詰めないといけないが、そうすると、他に選択肢がない場合は必ずしなければならない、選択肢がある場合は努力義務という仕分けになるのか。 (内嶋副会長)法的には行政機関、事業者に分けてそれぞれ法的義務、努力義務ということになるが、法律の枠組をそのままこの場の議論に持ち込んでもよいのかということはあると思う。 当事者の側からすると、公立か私立かではなく、自分たちにとって切実かどうかの問題である。その視点からすると、行政機関はもちろん差別的取扱いをしてはならないが、それに準ずる取扱いとして、病院、私立学校等の事業者を行政機関に近い義務を課すものとして位置づけるのかどうかなど、分類の表にどのように表現していくのかを考える必要がある。 (石渡会長)分類の仕方を議論しているが、抽象的に議論をしていてもなかなか煮詰らないところがあると思われる。本日は、資料4に27 個の事例があるので、その検討の中で、これまでに出た意見を考えていくこととしたい。他にご意見はあるか。 (松島委員)絶対にしてほしくないこと、できればしてほしくないことの分類は、それぞれの障害の種類によって、また、人によって異なることも多いのではないか。そうであれば、絶対にしてほしくないことと、できればしてほしくないことに分けることに少し疑問を感じる。 人によって心は異なるので、例えばAさんは絶対にしてほしくない場合でも、Bさんはそうでもないと思うなど、同じ障害であっても、人によって感じ方は異なると思う。絶対にしてほしくないことと、できればしてほしくないことを分けずに一つにすることでもよいのではないか。 (大羽委員)先ほどお話しした合理的配慮の意見の関連であるが、最近、他の障害のある人と話す機会が多いが、障害による差別は受けている側は分かっても、している側は分からないということがよくある。 例えば、車いすの方が電車に乗るとき、最近は駅員が車両とホームの間に板を渡して介助してくれ、降りる駅でも駅員が手配されているが、降りる駅に駅員がいなくて降りられなかったという事例もあると聞いた。よって、車いすで自力で移動ができるように、ホームと電車との段差をなくしてほしいという意見であった。これが差別に当たるのかどうかは受ける側にしか分からない。 同じように、視覚障害の方が強く望んでいるのが、ホームドアであると聞いている。ホームドアがないためにホームから落ちる危険がある。JRはまだまだであるが、東横線は年内に全駅で整備されると聞いている。お金がどのくらいかかるのかも関係するが、ホームドアは生命に関わる問題である。 また、別の事例であるが、視覚障害の方から最近聞いたのは、神奈川県ライトセンターが夜間運営されていない。東北の震災前は夜間も運営されていたが、電力不足でそれ以来、夜間の運営を止めてしまった。 しかし、ライトセンターを利用する方は昼は仕事をしていて夜にスポーツをする。そういう場がなくなってしまった。この方は、おそらく差別を受けた、少数者だから切り捨てられたと思っている。 このような合理的配慮をしてほしいという意見というのは、障害者差別に該当しないと考えられる事例に分類するのか、適切な配慮をしなかったものとして、絶対にしてほしくないこと、又はできればしてほしくないことの中に分類していくのか。 (石渡会長)3つの事例をご紹介いただいた。差別を受けた側でないと気づけないということも強調していただいた。また、松島委員の意見も含めて、ある行為をどう受け止めるか、障害種別等によって、同じ行為でも意味するところが違うと思われる。 私見であるが、資料3の分類は、少数意見を切り捨てるわけではないが、社会がどう変わらなければいけないかという大きな方向性を見い出しつつ、必要な目配りをしていくという非常に難しい役割を担っている。そのようなことを踏まえて、まずは事例を整理をしていこうというのが、この分類であると思う。 (浜崎委員)分類の表の行政機関、事業者、それ以外という、誰がするのかの区分はよいと思う。左側の絶対にしてほしくないこと以下の区分には、障害の分類を入れてほしい。どのような人が提案、応募をし、それについてどのような問題があるのかが分かるものになるとよいと思う。 (石渡会長)浜崎委員からも、障害の種別等と具体的な差別は非常に関係性が深いとの意見があった。実際に資料4の27 個の事例の分類を通して表の区分のことを振り返って考えることでもよいのではないか。 各委員の意見であらためて難しさも感じていることと思うが、分類を進める中で、検討部会としての方向性を示していく必要がある。障害種別によって分類は異なると思うが、どのように分類して方向性を示していくのかを考えていかないといけない。 (大野委員)松島委員、浜崎委員の発言に関連するが、それぞれの意見を重く受け止めているが、一方で、一定の分類というのも議論を進めていく上で必要である。事例を分類の表に落とし込む過程で、絶対にしてほしくないという事例について、例えば別の障害種別の方はできればしてほしくないという場合は、絶対にしてほしくないことで分類するとか、方法を決めて分類していくこともできるかと思う。 それからもう一点、資料3の分類についてであるが、やや区分が細かいという印象を持っている。×、△、〇の意見はとても重要と考えているが、その先の分類は差別的取扱いと適切な配慮までとする、又は意識・無意識のみにするとか、そのくらいの分類とした方がよいのではないか。 (石渡会長)障害種別のところは、具体的に事例を分類する中で見ていくこととしたい。それぞれの事例について、各委員によって受け止め方も異なると思う。また、分類がやや細かいとの意見もあった。 (須山委員)多くの事例を分類していくというのは大変なことであると思うが、この表は障害の種別ごとにまとめるものと思っていた。この表の中に更に障害の種別を入れるとなると細かくなるので、まずは障害の種別ごとに作成してみることでよいのではないか。その上で、合理的配慮などについて、また考えていけばよいと思う。 (奈良ア委員)会議の話がどんどん進んでいくので驚いている。合理的配慮については、私たちはまだ勉強会等もしていないので、その意味が分からない。会議の前に説明は受けているが、分かりにくい言葉が入ってしまっている。もう一つ、資料3の表の意識・無意識や〇×△なども分かりにくい。 「障害者」という言葉がよく出てくるが、最近、いろいろなところで話をすると、障害って何?という話になる。知的障害の仲間に会うと、自分の障害のことを知らないので、知的障害ってという話になるし、差別解消法にも「障害」という言葉がキーワードとして出てくる。障害の種別ごとに分類するという話も、まず障害とは何なのかを具体的に示して伝えていかないといけないと思う。 (石渡会長)「合理的配慮」、「障害」とは何かいうことを検討部会の中でも確認していかないといけないという意見であった。 (井上委員)行政機関に関する意見がいくつあった、事業者に関する意見がいくつあった、それ以外がいくつあったと集計し、円グラフに表すと分かりやすいのではないかと思う。 (石渡会長)具体的に事例について考えた後に、グラフにして整理するとよいのではないかという提案であった。 (西川委員)分類の仕方がやや行政寄りであると感じる。それから、個人的な意見であるが、私は善意による差別もあるのではないかと思った。善意によってこうしていこう、それによって苦しむ側もいる。社会を変えていこうということも分かるが、社会の変えなくてもよい部分まで変えられてしまう気がする。抽象的な発言が多いので仕方がないと思うが、置き去りにされ、善意でこうしようという議論の中で傷つく部分もあるので、その点もよろしくお願いしたい。 (石渡委員)決して差別をするつもりでなく、善意でということがご本人にとって厳しい状態に追いやられてしまっていることもある。その辺りも考えつつ進めていきたい。 分類については、いろいろとご意見をいただいた。分類をしてみようというのは、行政機関、事業者、それ以外の市民などがどのように障害者差別と向き合っていかなければならないか、障害者差別解消法のスタートを迎える中で、市民や関係者に働きかけをしていくことが検討部会が目指すべきところであると思う。そのためにまずは分類をしていこうというのが前回からの議論である。 奈良ア委員からは、合理的配慮や障害ということをどう捉えるのかという話があった。今までの意見に関して事務局から何かあるか。 (事務局) いくつか整理しておきたい。まず、合理的配慮とは何かという点であるが、本日配付の障害者権利条約のパンフレットの3ページの下から4行目に「合理的配慮とは、障害者が困ることをなくしていくために、周りの人や会社などがすべき無理のない配慮のこと」とある。どこまでが無理のない範囲なのかは会社などによって異なるので難しいところであるが、そのような説明である。 次に、大羽委員からあった「してほしい配慮」についてであるが、これは適切な配慮をしなかったことの裏返しであると思われ、事務局としては適切な配慮をしなかったものの分類に入れていけばよいのではないかと考えている。 それから、冒頭にあった病院、学校のことについては、行政機関なのか、事業者なのか分かりにくいと思うが、応募事例に具体的な名称がない場合、例えばであるが、市民の方の目線に沿って考えると、病院も学校もお店や会社に近いようなものに考えられるので、事業者によるものとして分類することを原則としてはどうか。公立の学校はもちろん行政機関として取り扱われることになるが、事例の整理においては、市民に分かりやすいものとすることも必要ではないか。 障害者権利条約のパンフレットの3ページに「社会モデル」とあるが、障害は障害者ではなく社会が作り出しているという考え方である。もちろん社会には障害のある人も含むが、多くの場合は障害のない人が差別を作り出している。そうであるとすれば、市民の方々に何が差別であるのか、分かりやすい分類がよいのではないかと考える。 (石渡会長)合理的配慮について、外務省の資料をもとに説明があったが、なかなか十分に理解するには至らないかと思う。大事な言葉ほど説明が難しいが、まだ整理しきれていない部分もあるので、また改めて整理していきたい。 また、市民にとって分かりやすい情報を提供していくという話もあった。そのことも踏まえて、27 個の事例が具体的にどのような分類になるのか、各委員からご意見を伺いたいというのが本日の重要なテーマである。 (和田委員)私は昨日、実際に分類をしてみたが、意識して行ったものと、無意識に行ったものはどう違うのか。意識して行ったものとは、わざと、悪意を持ってと考えてよいか。無意識とは、無知、知らないからやってしまったものと考えてよいか。 (内嶋副会長)法律では、差別(差別的取扱い)は行政機関も事業者も禁止である。合理的配慮については、事業者は努力義務であるが、行政機関は行わなければいけないことになっている。よって、法律の規定からは、できればやめてほしい差別(差別的取扱い)というものはないはずである。よって、その部分の「できればしてほしくないこと」の記載は修正しないといけない。 合理的配慮の部分については、濃淡がつく可能性が十分あると思う。つまり、当事者の側が合理的配慮をしてほしいと考えるものと、少し待てるができればしてほしいと考えるものに分かれる可能性がある。そうしないと、法律上の規定と合わなくなってくる。 (大羽委員)差別的取扱いを不利益的取扱いに変えるとはっきりすると思う。「差別」は差別的取扱いと適切な配慮をしなかったことであるが、不利益的取扱いにすると表現上明確になるのではないか。 (石渡会長)差別的取扱いか不利益的取扱いかは、法律の用語にも関わってくると思う。分類の表としては、内嶋副会長から、資料3のAのできればしてほしくないことは、差別的取扱いについては行政機関、事業者ともにあり得ないとの指摘があった。 各委員の皆さんが事前にご自分で分類してみた際も、できればしてほしくないことに分類されるものは少なかったのではないか。Aのできればしてほしくないことはカットすることでよいのではないか。 (事務局) 少し確認をさせていただくが、法律との関係で言うと、表の分類で「差別的取扱い」と「適切な配慮をしなかった」(合理的配慮をしなかった)は、法律に沿った分類になっていると理解している。 それから、障害者差別をしてはいけないことはもちろんのことで、事務局としては、@の絶対にしてほしくないことと、Aのできればしてほしくないことは共に法律上のしてはいけないこととして認識していた。その中でも改善していく優先順位によって@、Aを示したものと考えている。差別の受け止め方、改善の優先順位を表現しておこうということであれば、Aの△に当たる部分を残す必要があり、そこまで示す必要はない、△は要らないということであれば、Aはカットするという整理になると思われる。 (石渡会長)@は絶対にこれはしてはいけないと社会にアピールしていくものになると思う。Aの△、できればしてほしくないの分類をあえて残すとするのかどうか。 (事務局) 分類は検討部会として決めていただいてよいものである。これまでの議論では、Aの「できればしてほしくないこと」に当たる部分をカットするのかどうか。また、分類がやや細かいという議論もあったので、意識・無意識の区分をカットするのかどうか、この辺りをご議論いただけるとよいのではないか。 (佐藤委員)分類の中身についてであるが、分類は現状把握を明確にしていくものと考えている。横浜市における差別の実態について明らかにしていくことであると思う。ということで考えると、例えば、差別をした側と受けた側があるが、基本的には受けた側がどのような形で、どのような気持になる行為を受けたのかを具体的に整理していくことになる。そこがはっきりすればよいと考えていた。法律の規定の位置付けはあまり気にしないで、起こったことがクリアになればよいと思う。 具体的な分類については、意見も出ていたが、あまり細かくすると分かりにくくなる。本当にやってほしくない、イヤだというものと、できればこうした配慮がよい、うれしかったという2つのことが表現できればよいと思う。 それからもう一つ。障害の部位別で大幅に事例の数が異なる。精神障害と知的障害の方からの応募が際めて多い。両方で全体の6割を超える。 集まり方自体に特徴があったと言えるかもしれないが、障害者差別が実際に行われている中身と差別に対する我々の受け止め方にもかなり大きな偏りがあるのかもしれない。その辺りも分類の中で分かるものにした方がよい。 簡単に言うと、現状の差別のかなりの部分は精神障害の方への差別であるかもしれないよと、分かるものにした方がよいのかもしれない。その点を明確にしておくためには、障害の種別による分類をした方がよいのではないか。 (石渡会長)△、×という点についてはどうか。また、意識・無意識の分類や、差別的取扱いと合理的配慮についてはどうか。 (佐藤委員)×と△。〇を入れると3分類でよいのではないか。意識・無意識の分けはカットした方がよい。 (須山委員)資料3の@、Aの両方に「止めてほしいこと」があるのは紛らわしいので削除した方がよい。絶対にしてほしくないこと、できればしてほしくないことに分けることでよいのではないか。 (奈良ア委員)一覧表に整理して示してもらうと、話している内容が分かりやすい。内容を入れて少し作ってみてもらうと理解ができると思う。 (佐藤委員)絶対にしてほしくないこと(×)、できればしてほしくないこと(△)の2つに分類するのがよいと考える。受け止める側としては2つしかないだろうと思う。更に差別的取扱いと配慮がないことに分けるのは構わない。 (松島委員)この検討部会の中では理解されると思うが、市民向けに出していくときに「できれば」は理解されにくい。できればということは、差別ではないと受け取られ、やらないことも許されることになる。差別は差別として絶対にしてほしくないに集約した方がよいのではないか。 (内嶋副会長)できればしてほしくないことのところに、おそらく不適切な配慮、つまり差別ではないが合理的配慮が足りないという濃淡が出てきて、当事者の側からすると、この合理的配慮は優先的にしてほしいものと、もう少し待てるものに濃淡をつける。この場合は、「差別」(差別的取扱い)と「不適切な配慮」(合理的配慮の不提供)の濃淡の大きく3つの区分となる。 (和田委員)Aのできればしてほしくないという差別はあるのか。×の絶対にしてほしくないのみでよいのではないか。 (石渡会長)差別(差別的取扱い)は絶対にいけないということに集約していくということでまとまってきたように思う。 (内嶋副会長)抽象的な話であると分かりにくいが、資料4の33 番の事例は事業者による差別的取扱い。この辺りは全員がほぼ同じ認識ではないか。 16 番は行政機関による配慮がない可能性のある事例。視覚情報がないことについては、差別(差別的取扱い)とは異なるが、聴覚障害で社会参加している人が多い中にあって、実際に聴覚障害の方から見て、もう少し待てる内容であるのか、早く改善してほしいものとするのか、あえて濃淡をつけるとすればこの辺りではないか。 実は、障害者差別解消法では、配慮がないという部分は、行政機関は必ずしなさい、事業者はがんばりなさいという定めである。お金の問題、合理性の問題など議論が必要になってくるところであるので、法律もまずはこういう規定になっている。よって、この合理的配慮については、この検討部会でもよく話していかないといけない。 これまでの議論としては、差別(差別的取扱い)については、×か〇の2つに分類するという意見が大勢になってきているように思う。松島委員からも、差別的取扱いは×に集めていくという意見があり、あとは合理的配慮について、濃淡をつけるのかどうか、そこの議論かと思う。 (石渡会長)整理が明確になってきたと思う。また、具体的に資料4の事例の33 番と16 番をもとに説明もしていただき、これまでのまとめをしていただいた。あとは、合理的配慮の部分について、「絶対に」と「できれば」に分けるのかどうかということである。 (大羽委員)本日提出した参考資料を見ていただきたい。浜家連で実施したアンケートを集計したものであるが、1ページ目で分野別に分類している。共通分類区分(1) として、不利益取扱いと合理的配慮の欠如に分類。 それから、共通分類区分(2) で性質によって分類しているが、合計と比べていただくとその両方に該当するものがあることが分かると思う。つまり、合理的配慮の欠如によって不利益取扱いが生じており、両方に該当するものがある。 例えば先ほどの33 番の事例では、配慮がないことで不利益取扱いが生じているが、合理的配慮をすることでその不利益取扱いがなくなる。分類するときに、どちらかに分類する必要は必ずしもないのではないか。分類は必要であるが、両方の性質を持っているものもあるのではないか。 (石渡会長)分け方としては、差別的取扱いと合理的配慮の区分けは必要であるが、どちらかに分類できないものもあるという意見であった。そろそろまとめをしないといけない時間である。 (事務局) 本日の議論を元に分類の表を修正し、会長、副会長にご確認い ただいた上で、各委員にお送りし、修正すべき点についてご意見をいた だき、次回の検討部会で確定したい。行政機関、事業者、それ以外に分 けることは異論のないところと思われ、応募事例も千数百件あるので、 ご確認いただく過程で分類の表の見通しがおおむね立った時点で事例の 分類作業は進めていきたいと思う。 (石渡会長)それでは、本日の議論をもとに整理した分類の案を各委員に後日ご確認いただくことにしたい。資料4の27 個の事例を具体的に分類してみることについては次回に持ち越すこととする。 3 その他(連絡事項等) (石渡会長)事務局から連絡事項等をお願いしたい。 (事務局)それでは、次第のその他であるが、3点お伝えする。 1点目であるが、本日、参考資料2として2月24 日に策定された国の基本方針をお配りした。両面1枚の要約版も作成し、添付したのでご確認いただきたい。 2点目は、外務省作成の障害者権利条約のパンフレットについてである。本日お配りしたが、神崎委員には、後ほど点字版、音声版のアクセス先をお伝えする。 3点目は、次回の第5回検討部会の開催予定であるが、5月14 日(木)午前10 時からの予定で、会場は未定である。追ってご連絡をさせていただきたい。 資 料・特記事項 資料1 事例募集の実施結果について(2月28日現在) 資料2 寄せられた事例の分類について −第3回検討部会で出された主な意見− 資料3 検討用分類(案) 資料4 障害者差別を受けたと思った事例、適切な配慮がなくて困った事例など(一部抜粋) 資料5 今後の検討事項(確認) 参考資料1 大羽委員提供資料 参考資料2 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針