別紙1-2次期福祉のまちづくり推進指針原案(別冊) 1ページ(表紙) 表題:ふくまちガイド (イラスト:さまざまな人が横浜のまちを背景に円になっている。) 副題:みんなのまち(インクルーシブなまち)は、わたしたちのアクションから (別冊)もっともっとアクション編 2ページ 見出し:ふくまちガイドについて ふくまちガイドは、「横浜市福祉のまちづくり条例*1」に基づいて策定した「横浜市福祉のまちづくり推進指針*2」の愛称です。より多くの人に、もっと身近に、親しみを持って手に取っていただけるよう名付けました。 本冊子は「ふくまちガイド(別冊)もっともっとアクション編」として、市民・地域・事業者の皆さんが、それぞれの立場で福祉のまちづくりの実現に向けてできることを見つけ、行動に移すきっかけとなるよう、参考事例を交えながら、より実践的なアクションを紹介しています。 ・ふくまちのビジョン(未来像) 横浜にかかわるすべての人が、互いを認め合い、自由に自分らしく過ごせるインクルーシブ*3 なまち ・ふくまちのポリシー(理念) ポリシー1 違うことは自然なこと ポリシー2 まずはやってみる ポリシー3 もっともっとバリアフリー ・ふくまちのアクション(行動) 横浜で暮らす・訪れる人のアクション ・・・P4 地域で活動する人たちのアクション ・・・P8 横浜で働く人や事業者のアクション ・・・P11 ・まちにはどんな人がいる? ・・・P24 *1 横浜市福祉のまちづくり条例?福祉のまちづくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進し、横浜に関わる全ての人が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的として、平成9年に制定しました。 *2 福祉のまちづくり推進指針?「福祉のまちづくり条例」第12条に基づき、誰もが安心して暮らせるまちを実現するために、福祉のまちづくりに関する施策を総合的かつ計画的に進めるための基本方針です。 *3インクルーシブ?多様なすべての人が参加、活動できるようにという意味で、専門用語では包摂性ともいわれます。だれもとり残すことなく全員参加をめざすまちづくりに必要な視点です。 3ページ 見出し:まちにはいろいろな人がいます (イラスト:まちを俯瞰したイラスト。車いす使用者、視覚に障害のある人、高齢者、乳児を連れた家族など様々な人が描かれている) ■みんなで進める福祉のまちづくり 福祉のまちづくりは、特定の人のためではなく、横浜市に関わるすべての人のための取り組みです。暮らす人、働く人、訪れる人― それぞれが福祉のまちづくりに関心を寄せ、できることから行動することが、誰もが自分らしく暮らせるまちづくりにつながります。 ■気づきと対話がつなぐ社会 「こうあるべき」「これが普通」といったステレオタイプな決めつけは、多様な人の参加を妨げることがあります。年齢や性別、国籍、身体的特徴、考え方、障害の有無などの違いは、社会に自然に存在するものです。 違いを認め合い、互いの考えに耳を傾けることは、過ごしやすいまちづくりにつながる大切な一歩です。 こうした対話の積み重ねが、相手への理解を深め、互いを尊重しながら共に生きる「共生社会」を育む土台となります。 4ページ 見出し:横浜で暮らす・訪れる人のアクション あなたの何気ない行動や慣習、そして周囲の状況が、誰かにとってバリアを生み出すこともあれば、解消することもあります。一人ひとりが「もし自分がその立場だったら」と想像力を働かせることが大切です。日常の中でできる具体的な行動について考えてみましょう。 ■エスカレーターで (イラスト:横並びで立つ親子や片手が不自由な人のあいだを縫うように移動する人。吹き出し:横に並んで乗りたいな。左手が不自由で、右手しか使えないの) ・2列で立ち止まって利用しましょう エスカレーターでの歩行や、右側を空ける習慣は、障害のある人や高齢者、こども連れの人、病気・疾患のある人などにとって、安心して利用できない原因になります。 ■エレベーターで (イラスト:車いす使用者やベビーカー利用者、スーツケースを持った人がエレベーターに乗れずに困っている。吹き出し:乗れない。何台も待っているのに。) ・エレベーターでしか移動できない人がいます 内部障害など、外見では分かりづらい人も含め、エレベーター以外での移動が困難な人がいます。階段やエスカレーターで移動できる人はそちらを利用しましょう。 ・広いスペースを必要とする人がいます 車いすやベビーカーなど、広いスペースを必要とする人がいます。扉付近に立ち止まらず、奥へ詰めることで、スムーズな乗り降りにつながります。 5ページ ■横断歩道で (イラスト:横断歩道に視覚に障害のある人が立っている。吹き出し:今渡っても大丈夫かな?) ・信号は目の見える人にしか情報を伝えません 視覚に障害のある人は、信号の色の変化を、周囲の車の音などから推測するしかなく、安全な横断に必要な、確実な情報の提供が受けられないため、横断には命の危険と不安が伴います。 特に、スクランブル交差点のような交差点では、そこが歩車分離式であることの情報を伝えておらず、たとえ知っていても、車の動きだけで信号の色を推測するのは困難です。 「今はまだ赤です」「青になりましたよ」といった周囲の声掛けにより、横断の安全性を高めることができます。 ■電車の中で (イラスト:ヘルプマークを付けた人が立っている。吹き出し:心臓が悪いから立つのはつらい・・) ・必要としている人に席を譲りましょう 外見からは分かりづらい障害のある人もいます。ヘルプマークを見かけたら席を譲りましょう。ペースメーカー使用者への電波の配慮もお願いします。 ・音量に配慮しましょう 大きな音や特定の音に敏感な人がいます。イヤホンの音漏れや、会話の声の大きさなど、周囲に配慮しましょう。 ・困っている人を見かけたら声をかけましょう 電車には、障害のある人、高齢者、外国人、妊産婦、こども、病気・疾患のある人など、様々な人が乗車しています。困っている様子であれば、「お手伝いしましょうか?」と、声をかけてみましょう。 6ページ ■まちなかで (イラスト:まちなかで大きな声を出している子ども。周りの人たちは自然に見守っている) 発達障害や知的障害のある人の中には、環境の変化や予想外の出来事に戸惑いや不安を感じる人がいます。また、音や光などの刺激に敏感なこともあります。 ・混乱しているのを見かけたら そうした行動の背景には、必ずその人なりの理由があります。 周囲の人の理解の不足による偏見のまなざしが、その人や家族にとって大きなバリアとなるため、危険がない場合には、そっと見守る姿勢が大切です。 ■道で (イラスト:ベルを鳴らしながら、聴覚に障害のある女性の脇を走り抜ける自転車。驚く女性。) 「聞こえていないかもしれない」「見えていないかもしれない」という視点を持つことが大切です。 ・音では気づけないことがあります ベルやエンジン音が聞こえない人もいます。「聞こえているはず」と思い込まず、後方から接近する際は注意しましょう。 ・気づいていない人がいたら、そっとサポートを 緊急車両などに気づいていない様子なら、まず声をかけ、反応がなければ、ゆっくり視界に入り、緊急車両の方を指し示す動作をするなど、相手を驚かせないよう配慮して伝えましょう。 7ページ ■トイレで (イラスト:バリフリートイレで着替えをする人。外では、車いす使用者とオストメイトが待っている。吹き出し:もう30分以上も待っているのに。僕はこのトイレしか使えないんだよな)・・・着替えをする人のイラストは、女性2人が化粧をしているイラストに変更する。 ・バリアフリートイレが必要な人とは? 車いす使用者?回転できる広いスペースと手すりが必要です。 オストメイト?装具の交換や洗浄のため、専用の設備が必要です。 介助が必要な人・乳幼児連れ?おむつ交換や着替えのため、大型ベッドなどの設備が必要です。 ・本当に必要な人が使えるように ここでしか用を足せない人のため、必要でない人は一般トイレを利用しましょう。 また、大型ベッドは、使用後に必ず元の位置に戻しましょう。 出しっぱなしは車いす使用者がトイレに入れなくなるなど、利用の妨げになります。 ■駐車場で (イラスト:車いす使用者用駐車区画に駐車する健常者と通りすがりの人。吹き出し:あれ、ここに停めていいのかな) ・外見からは分かりづらい障害もあります 内部障害のある人や妊産婦など、外見からは分かりづらい事情を抱えている人もいます。こうした人達が気兼ねなく利用できるよう、パーキング・パーミット制度利用証*5の掲示を推進しています。理解と配慮をお願いいたします。 ・必要な人が利用できるようにしましょう 出入口に近いといった理由などから車いす使用者用駐車区画や優先駐車区画*4を使用すると、本当に必要な人が利用できなくなってしまいます。 *4優先駐車区画?施設の入口近くに設けられた移動に配慮が必要な人(妊産婦、内部障害のある人など)のための一般幅の区画 *5パーキング・パーミット制度利用証?「歩行が困難」または「移動の際に配慮が必要な人」に交付し、駐車時に掲示することで、安心して駐車できるようにするためのものです。 8ページ 見出し:地域で活動する人たちのアクション          福祉のまちづくりには、住民同士が協力し合い、誰もが安心して暮らせる地域を築くことが大切です。そのためには、地域にどのような人が暮らしているかを知り、一緒に活動することが大切です。特に災害時には、避難所運営や安否確認など、日頃からの顔の見える関係性が欠かせません。誰もが気軽に参加できる場をつくり、地域全体で支え合う関係づくりを目指しましょう。 ・いろいろな人がいることを知る どうやって知る? ・日常的な会話 挨拶やちょっとした会話などを通じて、地域の人の暮らしや困りごとを自然に知ることができます。顔のみえる関係を築くことで信頼が生まれ、話しづらいことも聞けるようになります。こうした会話の積み重ねが、地域のつながりを深め、支援が必要な人に気づくきっかけにもなります。 ・アンケートや聞き取り調査 アンケートは多くの人の意見を集めるのに有効で、聞き取り調査は個々の生活や思いを深く知るのに適しています。両方を組み合わせることで、地域の全体像と個々の声を把握できます。 ・地域行事を通じて 清掃活動や祭りなど、地域の様々な行事を通じて、地域に暮らす様々な人を知ることができます。これにより、以前はよく見かけていたのに、最近顔を見かけなくなった人など、孤立しがちな人や支援が必要な人に気づくことができます。 (イラスト:地域には様々な人が暮らしている様子が描かれている)? 9ページ ■一緒に活動する みんなが関われる地域活動のために‐より多くの人が参加しやくするための視点‐ ・顔の見える関係づくり 地域のイベントや集まりを通じて、住民同士の交流を深めましょう。日常の挨拶やちょっとした会話も、信頼関係を築く大切なきっかけになります。 ・地域の課題を共有する 「困っている人はいないか」「どんな支援が必要か」など、地域の困りごとを話し合う場を設けましょう。みんなで支え合える関係性を築くことが、安心して暮らせる地域づくりにつながります。 ・小さなアクションから始める ごみ拾いや、見守り活動など、誰でも気軽に参加できる活動から始めましょう。無理なく関われることが、継続的な参加につながります。 ・地域活動の見直しと工夫 「参加しない人が悪い」と考えるのではなく、「どうすれば参加しやすくなるか」という視点で活動を見直すことが大切です。参加できない理由を想像してみましょう。 (イラスト:町内会が主体となった炊き出し体験会)? 10ページ ■地域で活動する人たちのアクションの事例                         見出し:「ピンチをチャンスに!減災共助の会」による防災活動 自然災害の危険性が高まる中、障害のある人、高齢者、外国人、子育て中の人、こども、病気・疾患のある人など、様々な人たちの避難が想定され、避難所での共同生活等の対応が課題となっています。こうした状況の中、地域において日ごろから助け合える関係を目指して、活動しています。 〇ポイント ・障害のある人とその支援者、高齢者、子育て世帯、外国人団体など、地域住民、事業者、行政がそれぞれ協力して活動しています。 ・災害時に被害を受けやすい障害のある人や高齢者などが講座の講師を務めるなど、地域とかかわりを持ちながら、減災活動の担い手として活動しています。 〇活動内容 ・災害時要援護者理解講座の実施(いろいろな人がいることを知る) 発達障害理解講座「みんなちがってあたりまえ」 高齢者理解講座「認知症サポーター養成講座」 聴覚障害者理解講座「聴覚障害の理解と手話」 精神障害理解講座「精神疾患・精神障がいの理解」 外国人理解講座「せやくの がいこくじんを しろう!」 妊産婦・乳幼児理解講座「子連れの避難、周囲はどうする?」 ・実践的な避難所体験(一緒に活動する) 【自助】段ボールを用いた議事避難所体験イベントを開催 【共助】多様な人の視点から減災を進めていけるよう、地域防災拠点における避難訓練に参加。障害の有無関係なく、発災前後に何ができるのかを探る (写真2点:校庭に集合して説明を受けている、段ボールで簡易パーテーションを作っている)? 11ページ 見出し:横浜で働く人や事業者のアクション  インクルーシブなまちの実現のため、すべての人が利用しやすいサービスや施設の提供が求められます。最も重要なことは、バリアを生み出さないこと、バリアフリーなサービスの提供や施設整備を行うことです。一方で、既存の建物などにおいて、やむを得ずバリアが生じてしまっている場合には、バリアを解消することが大切です。          ■アクセシブルな情報提供 アクセシブルな情報提供とは、情報を必要とする人に、その人に合った方法で届けることです。例えば、視覚に障害のある人には音声、外国人にはやさしい日本語のように、その人に分かりやすく、伝わりやすい方法で情報を届けることが大切です。事業者や働く人がこれを実践することで、誰もが安心して施設を利用できるまちづくりにつながります。 ◆事前の情報提供 施設のエレベーター、トイレ内のバリアフリー設備、利用可能なサービス、対応言語、混雑状況、授乳室やベビーカー対応の有無などをホームページやSNSを活用し、事前にわかりやすく発信することで、利用者の不安を軽減し、安心して訪れてもらうことができます。 ◆現地での情報提供 施設や店舗を訪れた際、案内表示が見えづらい、スタッフに声をかけづらいなどのバリアがあると、利用が難しくなります。誰にでもわかりやすい表示や動画、音声案内、ピクトグラムの活用、スタッフによる丁寧な声かけなど、現地での情報提供も重要です。 (イラスト:外国人が建物内の床に書かれた矢印を参考に目的地に向かう。視覚に障害のある人がスマートフォンの音声案内を参考にトイレに向かう)?? 12ページ ■アクセシブルな情報提供の事例 見出し:触る地図の事例 NPO法人横濱ジェントルタウン?楽部は、魅力ある横浜のまちを誰もが楽しめるように、様々な活動を行っています。その活動のひとつとして作成した「触る地図」は、横浜の中心部の地図で、以下のような特徴があります。 〇様々な人にわかりやすい「共用マップ」 カラー印刷で、誰にでも便利な観光マップに、次のような工夫を加えて、様々な人にわかりやすいマップをめざしています。 ・海、公園、鉄道、主な道路等が透明な樹脂で浮き出し印刷され、視覚に障害のある人が触ってわかる地図 ・車いす使用者用のトイレ、駐車場や坂(丘陵地)がわかる地図 ・知的障害のある人や外国人もわかりやすいピクトグラムや建物の絵の導入 〇情報を補い合うことで広がるまちのイメージ 視覚に障害のある人が地図を触って得られる情報には限界があります。 障害のある人とない人が、一つの地図を一緒に触りながら情報交換することで、まちの空間への理解が深まり、より豊かな情報を共有することができます。 (写真:触る地図) 13ページ 見出し:横浜観光バリアフリー情報の事例 横浜市観光協会では、障害のある人や高齢者だけでなく、外国人、妊産婦、こどもなど、様々な人が快適に観光できるように、市内の様々な施設のバリアフリー情報を集めたウェブサイト「横浜観光バリアフリー情報」を用意しています。 このサイトは、日本語または英語で閲覧できるほか、文字の大きさを拡大したり、背景が黒で文字が白、もしくは背景が黄色で文字が黒に変えたりできるなど、弱視などの方の見やすさに配慮しています。 〇市内の様々な施設のバリアフリー情報を提供 市内の観光施設やショッピングスポット、ホテルなどのバリアフリー情報を提供しています。施設の一覧を見ることができるほか、施設の設備等をピクトグラムで表示し、条件を指定して検索することもできます。 (写真:バリアフリー情報を掲載したウェブサイトの画像) 〇モデルコース このサイトでは、観光スポットや移動ルート上のバリアフリー情報、楽しめるポイントなどをわかりやすく紹介した4つのモデルコースを見ることができます。 ・主要スポットが続く開港の道を歩く(赤レンガ倉庫、山下公園、中華街ほか) ・新港エリアを楽しむショッピングコース ・中華街エンジョコース (画像:「横浜観光バリアフリー情報」ウェブサイトより、横浜ユニバーサルツーリズム・モデルコースなど) 14ページ ■当事者参画の実施 すべての人が使いやすいサービスや施設をつくるには、障害のある人や高齢者だけでなく、外国人、妊産婦、こども、病気・疾患のある人など、様々な人(当事者)の意見を取り入れることが重要です。事業者は、当事者の声を聞くことで本当のニーズを把握でき、より使いやすく細やかな計画が立てられます。 当事者にとっても、自分の困りごとなどを伝えることで、納得できるサービスや施設づくりにつながり、他の当事者のニーズを知る機会にもなります。また、事業者側に様々な制約があることを理解することができます。 参画のタイミング 可能な限り、早い段階から当事者参画を開始することが求められますが、特に基本設計や実施設計などの早期の段階では、より具体的な意見を求めることができます。 (表)実施のタイミングと期待できる効果 基本構想 コンセプトを決める段階で、ユニバーサルデザインを目標に加えるなど、方針を共有できます。 基本計画 設備等の配置・規模・形状などを決める段階で当事者から意見を求めることができます。 実施設計 より詳細な図面等を用いて設備内容を説明することで、それらについて意見を求めることができます。また施設利用にあたって重要な案内設備等についても意見をもらい、反映することができます。 施工 設計変更が難しくなるため、可能な限りの対応となりますが、設備や案内サインの位置等の修正が可能です。また現地での確認が可能な段階では、これまでの意見がどのように反映されたかを共有することができるほか、設備の運用についても意見を求めることができます。 事後検証 竣工後も当事者からの意見を求めることで、運用面での工夫や改修計画への反映ができ 15ページ 当事者参画の実施にあたって ◆共通事項 事業者と当事者が協力して、「みんなにとって使いやすい、よりよい施設」を作ることをともに目指すという意識を共有し、「当事者参画」を実施しているという認識をもって臨むことが大切です。 ◆事業者に求められること 事業者は、専門用語を避け、図面に不慣れな人にも配慮しながら、当事者に分かりやすく説明することが求められます。また、情報の受け取り方は人それぞれ異なるため、事前に本人に適切な伝え方を確認することが大切です。 当事者の意見には、実現方法をよく検討し、難しい場合も代替案を示すなど、できる限り反映する姿勢が求められます。 ◆当事者に求められること 当事者は、自身のニーズを伝えるだけでなく、同じ立場の人のニーズを代表して伝え、実現方法をともに考える姿勢が大切です。また、事業者側に様々な制約があることを理解し、建設的な対話を心がけ、他の当事者の意見にも耳を傾けることなどが求められます。 (イラスト:建物の模型を事業者と当事者等が囲み、話し合いをしている)? 16ページ ■当事者参画の実施の事例 見出し:小柴自然公園インクルーシブ遊具広場の整備の事例                       障害があってもなくても誰もが遊べる広場にしたいという願いから、インクルーシブ遊具広場のプロジェクトははじまりました。 〇ヒアリングについて 障害者団体や子育て支援団体、特別支援学校など多様な団体にヒアリングを実施しました。最初は「こんな公園だったら」「こんなことがしたい」「できなくて困った」ことなど大きなイメージを共有することから始めました。その後も複数回にわたり意見交換などを実施し、設計に反映していきました。 〇基本コンセプト ヒアリングを重ねて、「すべてのこどもが同じ空間で体験や景観を共有できる」という基本コンセプトがまとまりました。特性が異なるこどもたちが、「同じこと」はできなくても「今日は公園で遊んで楽しかった」という体験を共有できることを目指したものです。 〇インクルーシブ遊具広場の整備から得られたポイント ・できるだけいろいろな人に話を聞いてみること 障害のある人や高齢者、こども、子育て中の人、外国人などできるだけいろいろな人に話を聞くことが大切です。中には声を上げづらい人もいることを認識しておくことが大切です。 ・できるだけ早い段階で話を聞くこと 計画や設計など早い段階で話を聞くことで、対応できることも増えます。後からの対応になると、費用も時間もかかってしまいます。 ・意見は違って当たり前、言葉を尽くして議論すること 意見を聞くことは、その通りにすることではありません。整備する自分たちの意見も含めて、聞いて、説明してできるだけ最適に近い答えを出すことが大切です。 ○今後に向けて(2期・3期と続く整備に向けて) 今回の整備で得られた効果検証の結果や知見を次期整備に活かし、早期から多様な声を取り入れながら、対話と改善を重ねて、より使いやすく親しみやすい施設づくりを目指します。 17ページ ○障害があってもなくても誰もが遊べる遊具の整備 【参加者からの意見】 ・体を動かすことが得意な子もいる ・全員がすべての遊具を同じに使えなくてもよいのでは 【こんな風に変えました】 大型複合遊具など、高難易度で挑戦しがいがある遊具と障害のある子も一緒に遊べる遊具を併設しました (写真:高難易度で挑戦しがいがある遊具と障害のある子が遊べる遊具) ○駐車場の整備 【参加者からの意見】 車室が短く、介助用スロープを使用すると車路にはみ出してしまい危険 【こんな風に変えました】 一般的な車いす使用者用区画より長い車室を整備し、降車後もグリーンベルトで安全に移動できるスペースを確保しました (写真:奥行きのある駐車区画) ○案内サインの整備 【参加者からの意見】 分かりやすい案内・サインで、公園の利用をめぐるトラブルが起きないようにしてほしい 【こんな風に変えました】 障害があってもなくても誰もが遊べることを明記した案内や、交代の目安となる時間や回数を具体的に示したサインを設置しました (写真:ルールを分かりやすく示した案内サイン) 18ページ 見出し:横浜美術館の什器・サイン整備の事例 横浜美術館では、大規模改修にあわせて、受付カウンターやテーブルなどの什器やサインについて、インクルーシブなデザインの考え方を取り入れて設計を検討しました。その過程で、様々な特性を持つ人たちに意見を聞くワークショップを行いました。 〇模型を用いた意見交換 ・設計段階で意見を聞く場合、図面や小さな模型では、空間をイメージしたり使い勝手を想像するのは非常に難しいと考えられます。この事例では、テーブル、椅子、受付カウンター、展示ケース、看板(サイン)などについて、段ボールで原寸大の模型を作成し意見を聞きました。 ・原寸大の模型は、実際に大きさや高さなどの寸法を実感できるので、什器の細部や材質などにも質問が出て、非常に具体的な意見が多く出されました。 ・このほか、フリースペース全体の1/50の模型も提示され、図面だけでは把握しにくい空間の全体像を参加者が理解するのに役立ちました。 〇多様な特性を持つ人々による意見交換 ・ワークショップでは、次のような障害や特性を持つ人たちと意見交換を行いました。 車いす使用者(手動・電動)、視覚障害者(全盲・弱視)、杖使用者、 聴覚に障害のある人、知的障害のある人、高齢者、ベビーカー利用者、こども ・参加者は、自分とは異なる特性を持つ人の意見を聞くことで互いに気づきが得られ、他の特性を持った人達に配慮する意見が多数聞かれました。 ・主催者側も、多様なニーズがあると同時に、共通の意見もあることがわかり、様々な特性を持つ人たちが一緒に利用する場面を具体的にイメージすることができました。 (写真2点:車いす使用者を含む参加者が展示ケースの模型を囲んでいる、参加者がカウンターの模型を囲んでいる) 19ページ 〇設計に反映された主な意見 ・什器の配置や間隔は、大きめの車いすやベビーカーでも通りやすい空間が必要。 ・テーブルや椅子は、いろいろな人が使いやすいよう、大・中・小、高いものや低いものなど、いろいろあると良い(電動車いすの膝も入る高いテーブル、こども用、大人数人用など)。 ・視覚障害者やこどもに配慮し、什器の角は丸いと良い。 ・チケットカウンターの高さは、低い方が、圧迫感がない。 ・寝転んだり、くつろいだり、リラックスできる場があると良い。 ・サインの色彩や文字の大きさは、高齢者や弱視の人でも見やすいようにしてほしい。 (写真3点:できあがった横浜美術館の什器類。カウンターやテーブル、椅子など) 20ページ ■合理的配慮の提供 合理的配慮とは、障害のある人などから社会の環境にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要としているとの意思が伝えられたときに、事業者が過重な負担のない範囲で行う変更や調整のことです。行政や事業者に対し、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(以下、「障害者差別解消法」という。)」により、提供が義務付けられています。物理的なバリアや、制度、慣習、偏見により生じる不公平 をなくし、誰もが同じようにサービスや施設を利用・移動できるようにすることが目的です。 ステップ1?障害のある人等からの申し出 障害者差別解消法では申し出があった場合としていますが、実際には困っていることを伝えることが難しい人もいますので、こちらから声を掛けることも大切です。この際、コミュニケーションの方法は人それぞれであることに注意する必要があります。 ステップ2?ニーズの確認 相手の申し出の趣旨をよく確認しましょう。ニーズを正しく把握することにより、適切で効果的な建設的対話につながります。 ステップ3?建設的対話 障害のある人などと事業者や関係者などが互いの情報や意見を交換し理解し合いながら、一緒に解決策を見つけるためのコミュニケーションです。提案された方法が難しい場合も対話を重ねて他の方法を検討していきます。 ステップ4?合意の形成と合理的配慮の提供 互いに納得できる解決策を見つけたら、その内容に沿って必要な配慮を行いましょう。 ■合理的配慮を的確に行うための環境整備 合理的配慮を的確に提供するため、事前に様々な準備をしておくことを環境の整備と言います。例えば、簡易スロープや筆談ツール、多言語対応メニューのようなバリアフリー化に必要な備品の準備や、情報提供の工夫、従業員に対する研修の実施などがこれにあたります。 21ページ ■合理的配慮の提供の事例                       ここでは、合理的配慮の事例をいくつか紹介します。同じ障害名でも必要な配慮は人によって異なるため、実践にあたっては、当事者との建設的な対話を通じて、個々に最も適した配慮を検討してください。 見出し:聴覚障害者や知的障害者への合理的配慮の提供の一例 窓口で、聴覚に障害のある人から質問を受けました。手話での対応が難しかったため、職員が筆談で、タブレットによる文字入力でのコミュニケーションを提案し、了承を得ました。また、知的障害のある人から「書類の内容が分からないので教えてほしい」と申し出がありました。口頭で説明しましたが伝わらなかったため、ふりがな入りの資料を提供するとともに、職員がやさしい日本語で、図やイラスト、コミュニケーションボードを使った案内を提案し、了承を得ました。 (イラスト:受付で、筆談やコミュニケーションボードによる対応を行っている) 見出し:車いす使用者への合理的配慮の提供 店舗の入口に段差があり、車いす利用者が入店できない状況でした。そこで、店員が簡易スロープを設置し、スムーズな入店を支援しました。また、テーブルに設置された椅子を移動してスペースを確保し、車いすのまま着席できるよう調整しました。 (イラスト:文脈に即したイラスト) 22ページ ■合理的配慮を的確に行うための環境整備の事例               見出し:横浜美術館における環境整備の事例 ・備品・設備の整備 横浜美術館のグランドギャラリーには階段状のスペースがあり、車いすのままでは鑑賞ができませんでした。車いす使用者から鑑賞の要望を受け、美術館では車いす対応の階段昇降車を設置し、従業員向けに操作講習を実施するなど、環境整備を行いました。 (写真:階段昇降車の操作講習の様子)? ・聴覚に障害のある人に向けた案内 聴覚に障害のある人向けに、横浜美術館の施設を紹介する手話映像を用意しています。親子の手話ナビゲーターが、展覧会の鑑賞、ワークショップへの参加、カフェや休憩スペースの利用など、美術館の様々な楽しみ方を紹介しています。 ・発達障害のある人などに向けた案内 発達障害のある人をはじめ、初めて訪れる人や利用に不安を感じる人に向けて、絵や写真、わかりやすい文章で横浜美術館を紹介する社会学習ツールを公開しています。(「Social Story初めて美術館に行きます。横浜美術館」) 23ページ 見出し:鉄道駅係員研修の事例 合理的配慮の提供の事前準備の一つとして、接客にあたるスタッフの研修も重要です。ここでは、横浜高速鉄道みなとみらい線の駅係員の職員研修の事例を紹介します。 〇概要 参加者は、声が出せない人・障害のない人・視覚に障害のある人の役を演じ、声以外の方法で伝言を伝える協力型ゲームに取り組みました。このほか障害のある人の「ありがちな体験※」を紹介し、どうすべきだったかを議論しました。 ※車いす使用者は何台もエレベーターを見送っているのに、一緒に待っていた他の人は次々と乗っていく。視覚に障害のある人が待ち行列に気づかず入店した際、店員に「ちゃんと並んでください」と注意されてしまう。 〇取組のねらい ・非音声コミュニケーションの難しさを体感すること 声が出せない人は、身振りや筆談などで伝える必要がありますが、視覚に障害のある人には伝わりにくく、情報が届かないことがあります。 ・無意識の排除に気づくこと 声が出せない人と障害のない人のやりとりが中心になり、視覚に障害のある人が取り残される場面から、特定の人が意図せず排除される現実に気づきます。 ・協力と配慮の重要性を理解すること 3人が互いの状況を理解し、工夫して協力することで、誰もが安心して利用できるサービスのあり方を考えるきっかけになります。 (写真:伝言ゲームをおこなっているイラスト)? 24ページ 見出し:まちにはどんな人がいる? 福祉まちづくりを進めるためのアクションでは、様々な人の参加を願っています。ここでは、社会の環境にあるバリアにより制約を受ける可能性が高い人について、その特性やバリア解消のポイントについて紹介します。思い込みや偏見にならぬよう留意してください。? ■高齢者 加齢により筋力や視力、聴力といった感覚機能が低下し、転倒や事故のリスクが高まります。さらに、認知機能の変化により、新しい機器や制度への適応が難しくなることもあります。段差の解消や見やすい案内表示、音声案内の充実、使いやすい機器の導入など、ユニバーサルデザインの視点を取り入れた環境整備などで、バリアの解消につながります。 ■認知症 認知症は、加齢や病気、事故によるものなど様々な原因により、脳の神経細胞が損傷を受けたり、機能が低下することで、記憶力や判断力、理解力などの認知機能に障害が生じた状態です。道に迷いやすくなる、情報の理解が難しくなるなど、日常生活に支障をきたすこともあります。誰もが発症する可能性があり、加齢に伴い発症リスクが高まりますが、65歳未満で発症する若年性認知症もあり、仕事や家庭生活に大きな困難をもたらすことがあります。 わかりやすく統一された案内表示、音声・色彩・図記号などを活用した情報提供、見守り支援の仕組み、地域住民の理解促進など、環境・情報・人的支援の充実などでバリアの解消につながります。 25ページ ■子育て中の人 乳幼児期のこどもがいる場合、ベビーカーを利用して移動する際に、段差や狭い通路がバリアになることがあります。加えて、授乳やおむつ替えなどに関する配慮も必要です。 そのため、ベビーカー利用がしやすい建物や駅の整備、授乳室やベビーベッド、ベビーチェアの設置、必要な情報の提供など、環境の整備がバリアの解消につながります。 公共交通機関など、公共の場において、こどもは、泣いたり、大きな声を出したり、予期せぬ行動をとることがあります。このとき、周囲の理解や配慮があることによって、子育て中の人は、安心して外出することができます。 ■こども こどもは、身体や心が育っている途中にあり、行動やものごとの理解のしかたも様々です。身体の発達がまだ十分でないため、階段や段差などで転びやすく、事故の危険もあります。また、注意力や危険予測の力が十分に育っていないため、大人の見守りや環境面での工夫が必要です。 こどもの目線に合わせた案内表示や施設の整備などでバリアの解消につながります。 コラム 共生社会の意識を育む教育・啓発活動の展開 未来を担うこどもたちが障害の社会モデルの考え方を学び、共生社会の実現に向けた意識を育むことを目的に、小学生向けこどもリーフレットを市民との協働のもと作成しています。 また、学校での活用を支援するため、教員向けの指導資料も提供し、教育現場と連携して共生の意識を育てる取組を進めています。(QRコード) 26ページ ■外国人 外国人は、言語や文化の違いから生活に不安を感じることがあり、特に日本語が十分に理解できない場合、必要な情報にアクセスしづらくなります。 そのため、やさしい日本語や多言語での情報提供、翻訳・通訳支援、視覚的にわかりやすい案内表示など、多文化共生の視点を取り入れた環境整備がバリアの解消につながります。 ■LGBTQ+など(セクシャル・マイノリティ) 性自認や性的指向が社会で多数を占める人々と異なることから、日常生活や地域社会において、理解不足による誤解や偏見に直面することがあります。 行政や医療、教育の場面では、適切な対応が受けられなかったりする場合もあります。特に、戸籍や書類上の性別と本人の性自認が一致しない場合、手続きや対応に困難が生じることがあります。 性別に配慮した表現を用いることや、職場や学校等における、周囲の理解促進などがバリアの解消につながります。 27ページ ■杖を使用している人 加齢や障害、病気などにより歩行の安定を杖で補っている人は、段差や傾斜、滑りやすい床での転倒のリスクが高く、特に雨天や夜間は危険が増します。また、片手がふさがるため、ドアの開閉など、日常動作に制約が生じることがあります。案内表示が高すぎたり、移動経路が複雑だと目的地への到達が困難になる場合もあります。 見て分かりやすい案内表示、移動しやすい動線や通路幅の確保、段差の解消、手すりの設置、滑りにくい床材の使用などの環境整備がバリアの解消につながります。 ■車いす使用者 車いすは手動式と電動式があり、段差や傾斜、狭い通路などの物理的なバリアによって移動が制限されます。また、身体の状況により、ドアの開閉やエレベーター等のボタン操作に制約がある場合があります。 また、視線の高さや移動範囲の制約により、案内表示が見えにくく、情報が伝わりにくい場合もあります。特に公共施設や交通機関、災害時の避難誘導では、情報の受け取りやすさが安全に直結します。 車いす対応のトイレや駐車場・客席、スロープやエレベーター、操作しやすい設備の導入に加え、視認性の高い案内表示や多様な情報伝達手段の整備がバリアの解消につながります。 28ページ ■上肢障害 上肢障害とは、病気やけがなどにより腕や手の機能に支障が生じ、物を握る・持つ・操作するなどの動作が難しくなる状態です。ドアの開閉やボタン操作、券売機の利用、荷物の持ち運びなど、日常動作に制約が生じることがあります。特に片手しか使えない場合や補助具を使用している場合は、設備の高さや操作方法が使いやすさに大きく影響します。操作しやすい設備の導入や、ボタンやスイッチの位置や形状の工夫、荷物置き場の設置などの環境整備がバリアの解消につながります。 ■内部障害 内部障害とは、心臓や腎臓、呼吸器、肝臓、膀胱・直腸、小腸、免疫系など、体内の臓器に機能障害がある状態を指します。例えば、心臓ペースメーカーや酸素ボンベ、ストーマ(人工肛門・人工膀胱)などの医療機器や、人工透析など継続的な治療を必要とする人も多くいます。 障害があることが外見からは分かりづらい人も多く、周囲の理解を得にくいなどの特徴があります。 疲れやすさや体調の変動もあり、公共交通機関や施設では優先席や休憩スペースの確保や、オストメイト対応設備を備えたトイレなどの環境整備がバリアの解消につながります。 また、ハート・プラスマークの周知などを通じて、内部障害に対する理解の促進が大切です。 29ページ ■視覚障害 視覚障害には、全く見えない「全盲」と、少し見える「弱視」があります。弱視の人の見え方は様々で、明るさやコントラスト等、条件で見え方も変わり、その見え方は十人十色です。 全盲の人に限らず、移動に必要な情報が視覚から十分に得られない弱視の人も、白状や盲導犬を使って周囲の安全を確認しながら歩きます。盲導犬は法律により公共施設や交通機関への同伴が認められています。 点字ブロックや音声案内、見やすい色使いや大きな文字の案内表示など、多様な見え方に対応した環境整備とともに周囲の人の声掛けによる情報提供などで、バリアの解消につながります。 ■聴覚障害 聴覚に障害のある人(ろう、中途失聴、難聴)は、音による情報取得が困難であり、聴力の程度や発症の時期により、手話・文字・口話などコミュニケーション方法が異なります。 ろうの場合は先天性または乳幼児期に聴力を失ったため音声言語の習得が難しく、手話や文字によるコミュニケーションを主に使用します。 中途失聴の場合は音声言語を習得していることが多く、口話や読話・文字を活用する傾向があります。 難聴は、聞こえの程度に幅があり、その程度によって、コミュニケーションの方法が異なります。 聴覚に障害のある人にとって、照明の暗さやマスクの着用は、コミュニケーションの妨げになることがあります。字幕や表示板、ピクトグラムなどの視覚的な案内、光や振動による通知装置、手話通訳や筆談対応窓口の整備、理解促進などがバリアの解消につながります。 30ページ ■知的障害 知的障害は発達期にその特性があらわれ、学習や判断、問題解決などに制約があり、日常生活で支援を必要とする場面が多くあります。情報の理解に時間がかかり、複雑な説明などで混乱することがあり、周囲の理解と配慮が重要です。 やさしい日本語や図・イラストによる情報提供、視覚的にわかりやすい案内表示、落ち着ける空間の確保、地域による見守りや声かけの体制づくりがバリアの解消につながり ■発達障害 知的障害はないものの、生まれつきの脳の働き方の違いによって、コミュニケーションや行動、感覚の受け取り方などに特性が現れる障害です。障害の程度や年齢(発達段階)、生活環境などによっても症状は違ってくるなど、多様であることを理解する必要があります。 対人関係やコミュニケーションが苦手で、こだわりが強い傾向があったり、集中が続かず、衝動的な行動をとることがあったり、特定の学習分野に困難を抱えることがあります。また音や光などの刺激に敏感だったり、環境の変化に不安を感じやすいことがあるほか、情報の理解や伝達に時間がかかることもあります。見た目ではわかりにくく、周囲の理解が得られにくいこともあるため、周囲の人の配慮や支援が重要です。 まずは、本人に目を向けて、どんなことができて、何が苦手なのかといった特性を理解したうえで、やさしい日本語や図・色分けによる情報提供、落ち着いて過ごせる待機スペースの設置など、適切な環境の配慮と支援があることでバリアの解消につながります。 31ページ ■精神障害 精神障害とは、脳の機能や構造の変化によって思考や感情、行動、対人関係に影響が出る状態を指します。 例えば日常生活においてストレスを感じやすいため、不安や緊張から不安定になりやすかったり、幻覚や幻聴、判断力の低下、対人関係の困難などが見られたりすることもあります。症状の現れ方や程度には個人差があり、良くなったり悪くなったりを繰り返すこともあります。 まずは、本人の特性を理解したうえで、静かで落ち着いた空間の確保や混雑を避けられる環境づくり、わかりやすく整理された情報提供、地域での見守り、正しい理解を広める啓発などがバリアの解消につながります。 以下、四角囲みの説明 発達障害、知的障害、精神障害は、それぞれの特徴が少しずつ重なり合って現れることもあり、どのタイプにあたるかを明確に切り分けることは難しいとされています。 また、年齢や育つ環境によって目立つ症状が変化するため、診断された時期によって診断名が異なることもあります。 例えば、知的障害と診断されていた人が、後に発達障害の特性による学習障害だったと分かるケースや、発達障害と精神障害が併存するケースなどがあります。 そのため、「診断名」だけで判断するのではなく、何が得意で何が苦手かといった、個々の特性にも目を向け、適切な環境の配慮と支援があることでその人らしい生活を送ることができます。 32ページ 見出し:マークの一覧 知っていますか?マークの意味 各団体などが作成・所管する障害のある人、高齢者、妊産婦、子育て中の人などに関する代表的なマークを紹介します(順不同)。 このようなマークを見かけたら、ご協力・ご配慮をお願いいたします。 なお、各マークの詳細は、それぞれの問い合わせ先にお願いいたします。 (以下、マークの解説とあわせて、マークと公式ホームページにリンクするQRコードを表示) ・障害のある人のための国際シンボルマーク 障害のある方々が利用できる建築物や施設であることを示す、世界共通のシンボルマーク ・盲人のための国際シンボルマーク 視覚に障害のある人の安全やバリアフリーを考慮した建物・設備・機器などにつけられている世界共通のマーク ・ほじょ犬マーク 盲導犬、介助犬、聴導犬の啓発のためのマーク ・ヘルプマーク 身体の内部に障害のある人や妊娠初期など、配慮を必要としていることを周囲に知らせ、援助が得やすくなることを目的としたマーク 33ページ ・耳マーク 聞こえが不自由なことを表すと同時に、聞こえない人・聞こえにくい人への配慮を表すマーク ・手話マーク ろう者等から提示する場合は「手話で対応をお願いいたします」、窓口等で掲示する場合は「手話で対応します」という意味を伝えるマーク ・筆談マーク 筆談を必要としている人が提示する場合は、「筆談で対応をおねがいします」窓口等で掲示する場合は「筆談で対応します」という意味を伝えるマーク ・身体障害者標識 肢体に障害のある人が運転する車に表示するマーク ・聴覚障害者標識 聴覚に障害のある人が運転する車に表示するマーク ・高齢者運転標識 70歳以上の方が運転する車に表示することが推奨されているマーク 34ページ ・マタニティマーク 周囲の方が妊産婦へ配慮を示しやすくするためのマーク ・ベビーカーマーク ベビーカー使用者が安心して利用できる場所や設備を表すマーク ・ハート・プラスマーク 身体の内部に障害(心臓、腎臓、呼吸器機、ぼうこう・直腸、小腸、免疫機能)があることを示すマーク ・オストメイトマーク ストーマ(人工肛門、人工膀胱)を造設した人が利用する設備があること及びオストメイトであることを表すマーク 35ページ 見出し:問い合わせ先 ・障害のある人のための国際シンボルマーク 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 電話:03-5273-0601 FAX:03-5273-1523 ・盲人のための国際シンボルマーク 社会福祉法人 日本盲人福祉委員会 電話:03-5291-7885 FAX:03-5291-7886 ・ほじょ犬マーク 厚生労働省障害保健福祉部企画課自立支援振興室 電話:03-5253-1111(内線3636) ・耳マーク 一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会 電話:03-3225-5600 FAX:03-3354-0046 ・手話マーク、筆談マーク 一般社団法人全日本ろうあ連盟 電話:03-6302-1430 FAX:03-6302-1449 ・ヘルプマーク 横浜市役所健康福祉局障害施策推進課 電話:045-671-3598 FAX:045-671-3566 ・ハート・プラスマーク 特定非営利活動法人ハート・プラスの会 電話:186-080-4824-9928 E-mail:info@heartplus.org  ・オストメイトマーク JOA横浜市支部・横浜市オストミー協会 電話:045-475-2061 FAX:045-475-2064 ・身体障害者標識、聴覚障害者標識、高齢者運転標識 神奈川県警察本部交通部 電話:045-211-1212 ・マタニティマーク 「健やか親子21」事務局 E-mail:sukoyaka21@shopro.co.jp ・ベビーカーマーク 国土交通省総合政策局安心生活政策課 電話:03-5253-8111 36ページ 裏表紙