別紙1-1次期福祉のまちづくり推進指針原案 1ページ(表紙) 表題:ふくまちガイド 副題:みんなのまち(インクルーシブなまち)は、わたしたちのアクションから (イラスト:さまざまな人が横浜のまちを背景に円になっている。) 2ページ わたしたちの一歩が、まちを変える -「ふくまちガイド」とともに- このたびは、横浜市福祉のまちづくり推進指針「ふくまちガイド」を手に取っていただき、誠にありがとうございます。 「ふくまちガイド」の改定にあたっては、前回の改定から5年を経て、社会全体で「共生」への関心が高まるなどの変化が見られる中、大型イベントでの当事者参画や教育分野における啓発事業等の取り組みを反映し、「人権」「多様性」「社会モデル」といった視点を取り入れるなど、福祉のまちづくりをより広く、深く捉え直しています。 あわせて、これまで福祉のまちづくりに関わりのなかった人にも身近に感じてもらえるよう、内容や表現を工夫するなどの検討を重ねてきました。 福祉のまちづくりは、特定の誰かのためではなく、すべての人のためにあるものであり、私たち一人ひとりの暮らしに深く関わるものです。このガイドをきっかけに、あなた自身の視点で「福祉」や「まちづくり」について考え、行動してみませんか。小さな気づきや一歩が、まちの未来を変えていく力になります。 最後になりますが、本改定にあたり、多くの皆様から貴重なご意見とご協力をいただきました。この場を借りて、心より感謝申し上げます。 横浜市福祉のまちづくり推進会議 一同 目次 1 共生社会に向けたみんなのまちづくり・・・4ページ 2 社会環境をよりよくする社会モデル・・・5ページ 3 ビジョンからポリシー、アクションへ・・7ページ (1)ふくまちのビジョン・・・7ページ (2)ふくまちのポリシー・・・8ページ (3)ふくまちのアクション・・・10ページ 基本のアクション(共通)・・・10ページ ・ 市民(横浜で暮らす人・訪れる人のアクション)・・・11ページ ・ 地域(地域で活動する人)・・・11ページ ・ 事業者(横浜で働く人や事業者のアクション)・・・12ページ ・ 行政(横浜市のアクション)・・・14ページ 参考資料・・・16ページ 3ページ ふくまちガイドの3つの柱 ふくまちガイドは、横浜が目指すまちの「未来像(ビジョン)」、その方向性を示す「理念(ポリシー)」、そしてそれを実現するための「行動(アクション)」から構成されています。 ・ビジョン(未来像) 横浜が目指す福祉のまちの未来像です。 ・ポリシー(理念) ビジョンの実現に向けた3つの基本方針です。 ・アクション(行動) ポリシーを踏まえ、ビジョンを実現するための具体的な行動や取組です。 また、ふくまちガイドには、以下の2冊があります。 ◆ ふくまちガイド ビジョン、ポリシー、アクションの3つを軸に、横浜市の福祉のまちづくりの考え方と方向性を示しています。また、バリアフリーに関する基礎知識、横浜市の福祉のまちづくりの取組(行政のアクション)なども掲載しています。 ◆ ふくまちガイド(別冊)もっともっとアクション編 ふくまちガイドをベースに、「市民」「地域」「事業者」のアクションについて、参考事例を交えながら、より具体的かつ実践的なアクションを紹介しています。 また、障害のある人、高齢者、外国人、子育て中の人、こどもなど、横浜のまちに暮らす様々な人の特性についても取り上げています。 (画像:ふくまちガイド本体とふくまちガイド別冊それぞれの表紙) 4ページ 1共生社会に向けたみんなのまちづくり 横浜市では、誰もが自由に移動でき、サービスや施設を利用できるまちづくりを進めるため、「横浜市福祉のまちづくり条例*1」を制定しています。そして、条例に基づき、横浜市の目指すまちの未来像や理念、取り組みの方向性などを、具体的に示したものが、この「ふくまちガイド(横浜市福祉のまちづくり推進指針)*2」です。より多くの方に、もっと身近に、親しみを持って手に取っていただけるよう「ふくまちガイド」と愛称を名付けました。 ところで、皆さんは「福祉のまちづくり」と聞いて、何をイメージしますか? 「福祉」という言葉から、高齢者や障害のある人のためのまちづくりをイメージする人が多いかもしれません。 横浜市の「福祉のまちづくり」では、年齢、性別、国籍、障害の有無を問わず、横浜に関わるすべての人を対象としています。また、横浜に「暮らす人」だけでなく、「働く人」や「訪れる人」など、その一人ひとりが、横浜のまちを形づくる大切な一員です。横浜市は、これらすべての人が、安心して、自らの意思で自由に行動し、自分らしく過ごせるまちを目指しています。 本ガイドの副題に「みんなのまちは、わたしたちのアクションから」と掲げ、福祉のまちづくりの担い手を「市民」「地域」「事業者」「行政」の4つに分けて、それぞれの立場からの行動のヒントを紹介しています。また、「みんなの」に「インクルーシブな*3」とルビを振ることで、誰一人取り残さない、誰もが関わり、誰もが担い手となるまちづくりの姿勢を表しています。 一人ひとりが自分ごととして福祉のまちづくりについて関心を寄せ、一つずつ行動を変えていくことが大切です。「ふくまちガイド」が、皆さんのはじめの一歩につながることを願っています。 *1 横浜市福祉のまちづくり条例:福祉のまちづくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進し、横浜に関わる全ての人が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的として、平成9年に制定しました。 *2 福祉のまちづくり推進指針:「福祉のまちづくり条例」第12条に基づき、誰もが安心して暮らせるまちを実現するために、福祉のまちづくりに関する施策を総合的かつ計画的に進めるための基本方針です。(⇒18ページ) *3 インクルーシブ:多様なすべての人が参加、活動できるようにという意味で、専門用語では包摂性ともいわれます。だれも取り残すことなく全員参加をめざす福祉のまちづくりに必要な視点です。 5ページ 2社会環境をよりよくする社会モデル バリアについて 「バリアフリー」の「バリア」とは、日本語で障壁(かべ)を意味します。バリアは、多様な人がいることを考えずにまちが作られることによって生まれる不便や困りごとです。バリアフリーとは、そのバリアをなくす(フリーにする)という意味です。 もともとは、道路や建築物の入口にある段差など、物理的なバリアを取り除くことを指す建築用語でしたが、現在では、あらゆる人が社会生活の中で不便を感じることや、様々な活動をしようとするときに障壁になっているバリアを取り除くという意味で用いられています。 社会モデルの考え方について バリアは、個人の機能障害と社会の環境にある様々な障壁との関係によって生じるものであり、そのバリアを取り除く責任は社会にある。という考え方、これを社会モデルといいます。この考え方では、バリアの原因は個人でなく、社会の環境にあると考えます。 例えば、車いす使用者が建物に入れないのは、その人の身体の状態が原因ではありません。建物の入り口に段差があり、スロープが設置されていないことなど、環境の整備が不十分なことがバリアを生み出しているのです。機能障害のある人などだけにあるのではありません。 こうした「社会の環境にあるバリア」は、「社会的障壁」と呼ばれ、機能障害の有無に限らず、あらゆる人に影響を与えます。 社会モデルの考え方に基づいて、社会の側が環境を整えたり、制度や意識を変えたりすることで、誰もが安心して暮らせる「インクルーシブなまち」に近づいていきます。 個人モデル (医学モデル) バリアの原因を「本人の心身機能の障害」と捉えるのが「個人モデル(医学モデル)」の考え方です。バリアによって生じる困難を克服するためには、個人の努力やリハビリテーシ ョン、医学的治療が中心となり、解決の責任は本人とその家族が負うことになります。バリアを個人の問題とすることは、偏見・差別の助長や、機能障害を理由とした社会参加の制約など、社会の構造的な問題や責任を見過ごすことにつながります。 これに対して、社会モデルは、バリアによって生じる困難の原因を社会の環境に見出し、 社会的障壁の解消を社会全体の責務とすることで、共生社会の実現を目指すものです。 この理念は、障害者権利条約(国際連合)に明記され、国際的な潮流となっています。 6ページ 社会の環境にあるバリア(障壁)について (4つの社会的障壁) 社会モデルの考え方では、社会には次の4つのバリアがあると考えられています。共生社会の実現のため、これらのバリアを一つ一つ確実に取り除きましょう。 ■物理的なバリア 公共交通機関、道路、建物などにおいて、移動時や利用時に、困難をもたらす物理的なバリアのことを言います。 →こんなバリアがあります ・路上の放置自転車、狭い通路、急勾配の通路、ホームと電車の隙間や段差、建物までの段差、すべりやすい床、座ったままでは届かない位置にある物など。 ■制度的なバリア 障害のある人などが、社会のルールや制度を理由に、機会の均等を奪われているバリアのことを言います。 →こんなバリアがあります ・学校入試、就職や資格試験などにおいて、障害があることを理由に受験の機会や免許などの付与を制限するなど。 ■文化・情報面のバリア 情報の伝え方が不十分であるために、必要な情報が平等に得られないバリアのことを言います。 →こんなバリアがあります ・タッチパネル式のオーダーシステムや、無人レジ ・音声のみによるアナウンス。 ・点字・手話通訳のない講演会。 ・わかりにくい、難しい言葉など。 ■意識上のバリア 周囲からの心無い言葉、差別、偏見、無関心など、人を見かけや性別、国籍、障害の有無などにより根拠なく区別し、受け入れないバリアのことを言います。 →こんなバリアがあります ・「どう接していいかわからない」「間違ったら怖い」といった不安から、関わることを避けてしまう。 ・一方的に「かわいそうな存在」「助けが必要な人」と決めつけ、高圧的な態度をとるなど。 2.ビジョン(未来像)          7ページ 3ビジョンからポリシー、アクションへ 横浜にかかわるすべての人が、互いを認め合い、自由に自分らしく過ごせるインクルーシブなまち ・横浜にかかわるすべての人が、互いを認め合い、 横浜に暮らす人はもちろん、訪れる人や働く人も含め、すべての人が互いの人権と尊厳を大切にしながら、支え合う社会を育てていきます。 ・自由に自分らしく生活できるインクルーシブ※なまち 誰もが、心置きなく自由に、自分の意思で暮らし、働き、訪れるなど、様々な活動に参加できるまちの実現のため、横浜に関わるすべての人が、知識や意識、情報などといったソフトと、施設や設備などといったハードが一体となったバリアフリーの取組を、協力して進めます。 8ページ (2)ふくまちのポリシー(理念) ビジョンの実現に向けて、誰もが「自分のこと」として考え、できることから一歩を踏み出せるよう、3つのポリシー(理念)を掲げました。中でも、ポリシー1はすべてのポリシーの土台となる考え方です。 ポリシー1 違うことは自然なこと (相互理解) ・違いを知る 人はそれぞれ異なる背景や価値観を持っています。お互いのことを知ろうとする姿勢は、偏見や思い込みの壁を取り払い、社会に多様な人がいることへの理解につながります。 ・互いを認めあう 多様な人が共に生きる社会を実現するためには、自分の考えを一方的に押し付けたり、相手の価値観を否定したりしないことが大切です。違いを理解し、受け入れることが、互いを尊重し合う社会の土台となります。 ・多様な人の社会参加を尊重する 人は年齢、性別、国籍、職業、障害の有無など、個々に異なる特性や能力、背景を持っています。多様な人が、社会とつながりや関わりを持つことを尊重し、社会の環境を整えていくことが大切です。 9ページ ポリシー2まずはやってみる (始動) ・できることから少しずつ始める 福祉のまちづくりは、誰もが身近なところから少しずつ始められるものです。手助けが必要と思われる人を見かけたときには、ちょっとした声かけや配慮を意識しましょう。 この時、手助けを必要とする人から声をあげることも大切です。みんなが、できることから少しずつ「やってみる」ことで、福祉のまちづくりは広がっていきます。 ・対話をする 違いを認め合い、互いの考えに耳を傾けることは、相手への理解を深め、必要な配慮につながる大切な一歩です。会話や対話の積み重ねが、互いを尊重しながら共に生きる共生社会を育む土台となります。 ・一緒に活動してみる 様々な人とつながり、共に過ごす事が、自然と互いの感じ方や考え方を理解する機会になります。こうした関わりが、共生社会の実現に向けた第一歩となります。 ポリシー3もっともっとバリアフリー (推進・展開・発展) ・バリアフリーを着実に推進する 今までもバリアフリーは進められてきましたが、誰もが安心して自由に過ごすことのできる「環境」を目指して、バリアを着実になくしていくことが重要です。 ・必要な人に届く情報を整える バリアフリーに関する情報を集約し、適切に提供することが求められています。アクセシビリティ、ユーザビリティ*4を意識し、必要な情報を、必要とする人に、手軽にスムーズに、また確実に届くようにしましょう。 ・利用者の意見を取り入れ、よりよい環境にする 定められた基準を守るだけでは、実際に利用する人でなければ気づけない問題を見過ごしてしまう可能性があります。誰もが使いやすい環境の実現のため、様々な特性や背景を持つ人の意見を聞いてみましょう。 *4 アクセシビリティ、ユーザビリティ:「近づきやすさ」、「利用しやすさ」などの意味を持つ英単語です。情報技術分野では、身体の状態によらず、情報などを様々な人が同じように利用できる状況のことを指します。 10ページ (3)ふくまちのアクション(行動) バリアを取り除くためには、ビジョン、ポリシーをふまえて、具体的に何ができるかを考えることが大切です。ここでは、市民、地域、事業者、行政の4つの視点から、どのようなアクションを行えばよいか見ていきましょう。 ■基本のアクション( 共通 ) ・想像してみる 悩みごとや困りごとを抱えている人に気づける「福祉のまちづくりのアンテナ」を身につけましょう。「もしかしたら、この人は何か手助けが必要な状態にあるかも」と、周りの様子に 気を配る意識を持つことは、社会のどこにバリアがあるか、何がバリアとなっているかに気づくためのはじめの一歩です。 ・きいてみる バリアに気づけたら、それらを解消する方法を知るため、相手とコミュニケーションをとってみましょう。例えば、同じ車いす使用者でも、困っていることや必要なサポートは一人ひと り異なります。想像だけで行動することなく、「何に困っているのか」「どのようにしたらいいのか」、相手の声に耳を傾けることが大切です。このとき、困っている人の方から声を上げることも大切なことです。 ・行動してみる 気づいて、話を聞いたら、次は実際に行動してみましょう。大げさなことをしようとしなくても構いません。困っている人を見かけたときには、ちょっとした配慮や声かけを意識しま しょう。 市民・地域・事業者・行政それぞれの立場で、できることから始めます。 11ページ ■市民 ~横浜で暮らす人・訪れる人のアクション~ 「福祉のまちづくりのアンテナ」でまちを見渡してみると、駅や公共施設にあるエレベーター、歩道に敷かれた点字ブロック、音声案内付きの信号機など、様々なバリアフリー環境があることに気付くでしょう。近年、これらの目に見えるバリアフリー整備は着実に増えていますが、「ハード面」だけで、すべてのバリアを取り除くことはできません。 ハード面と同じように大切になるのが、人の意識などソフト面のバリアフリーです。こうした設備が誰のために設置されているのかを理解し、「もし自分がその立場だったら」と想像力を働かせ、自分にできる具体的な行動について考えてみましょう。 ■地域 ~地域で活動する人のアクション~ ・いろいろな人がいることを知る わたしたちの地域にはどんな人がいますか?世代、文化的背景、身体的特徴、生活スタイル、考え方など、人には様々な違いがあります。相手の背景や価値観を知ることは、偏見や誤解を減らし、共感や尊重の気持ちを育むきっかけになります。「福祉のまちづくりのアンテナ」で、わたしたちの「地域」を見渡してみましょう。情報が届いていない人、声を上げにくい人、孤立している人など、配慮が必要な人がいるかもしれません。 ・一緒に活動する 誰もが暮らしやすいまちづくりを進めるには、住民同士が協力し合い、誰もが安心して暮らせる地域を築いていくことが大切です。そのためには、地域で「一緒に活動すること」が欠かせません。日々の小さなアクションが、地域のつながりを深め、支え合えるまちづくりにつながっていきます。 近年その重要性が一層高まっている防災の観点においては、避難所の運営や安否確認など、日頃からの顔のみえる関係性がとても重要です。ごみ拾いや見守り活動など、誰もが気軽に参加できる活動の場を築きながら、いざという時にも、地域全体で支え合える関係づくりを目指しましょう。 ふくまちガイド (別冊) アクション編 市民、地域、事業者の皆さんが実践できる具体的な行動については、別冊で事例を交えながら詳しくご紹介しています。ぜひ、あわせてご覧ください。 (QRコード:ふくまちガイド別冊アクション編へのリンク) 12ページ ■事業者 ~横浜で働く人や事業者のアクション~ 提供するサービスや施設に、バリアを生み出さないこと、そして、既存の建物などでバリアが生じてしまっている、それらを解消することが大切です。以下のような取組を通じて、インクルーシブなまちづくりを推進しましょう。 ・アクセシブルな情報提供 障害のある人や高齢者だけでなく、外国人、妊産婦、こども、病気・疾患のある人など、様々な人が必要な情報にアクセスできるよう、音声、点字、手話、やさしい日本語、イラストなど、様々な手段を組み合わせた情報提供を心がけましょう。 施設を利用時に必要な情報を事前に知ることで、移動や利用への不安が減り、安心して利用できます。インターネットでの情報検索は主流となっており、ホームページでの情報提供は、非常に効果的な手段のひとつです。なお、ウェブサイトは誰もが利用できるよう、デジタル庁の「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」*5などに則って制作しましょう。 また、事前の情報提供に加え、案内設備の整備など、現地での情報支援も大切です。 ・様々な意見を取り入れたバリアフリー(当事者参画) 障害のある人や高齢者だけでなく、外国人、妊産婦、こども、病気・疾患のある人など、様々な人が使いやすいサービスや施設の設計・運営には、当事者(利用者)の意見を取り入れることが重要です。事業者にとっては、様々な当事者の声を聞くことで、多様なニーズを知ることができ、より使いやすい、実現可能な計画につながります。一方、当事者にとっても、自分にとって何がバリアとなっているかを直接伝えることで、納得のいくサービス・施設整備が期待できます。 このような「当事者参画」を進めるには、事業者と当事者が対話を重ね、互いの立場や事情を理解しながら、一緒に課題に対する解決策を考えていくことが大切です。サービスや施設が完成した後では、変更が難しく、使いづらいままになってしまうこともあります。よかれと思って整備したものが、実際には使えない・・そのような事例も少なくありません。できるだけ早い段階で声を聞き、当事者の視点に立った、実効性のあるバリアフリーを実現しましょう。 *5ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック: 「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」の実現のため、デジタル庁が作成したガイドブックです。専門知識がなくても理解できるよう、図解や平易な言葉で構成され、ウェブアクセシビリティの基本的な考え方や取り組み方を、ゼロから学べる内容となっています。 13ページ ・合理的配慮の提供 人の特性は様々です。そのため、最大限の人が使いやすいと想定される環境を整えても、バリアが存在していることがあります。「合理的配慮の提供」とは、障害のある人などから「利用しづらい」など、環境の改善やバリアの解消等の申し出があったときに、事業者などが過重な負担のない範囲で行う、変更や調整のことです。 サービスや施設を利用する人と直接かかわる「働く人」、そしてそれらを提供する「事業者」が、それぞれの立場で4つのバリアによる不公平をなくし、誰もが同じようにサービスや施設を利用・移動できるようにすることが目的です。「合理的配慮の提供」にあたっては、障害のある人などと事業者が協力して、具体的なニーズや課題を話し合い、解決策を見つけるプロセスである「建設的対話」が重要です。 利用者との建設的対話を通じて、最適な解決策を利用者とともに見つけ、適切かつ円滑な「合理的配慮の提供」を実施することで、より多くの人々がサービスや施設を利用する機会の創出にも繋がります。 ・合理的配慮の提供を的確に行うための環境整備 合理的配慮を的確に提供するため、事前に様々な準備をしておくことを環境の整備と言います。例えば簡易スロープや筆談ツール、多言語対応メニューのようなバリアフリー化に必要な備品の準備や情報提供の工夫、従業員向けの研修などがこれにあたります。 令和6年4月、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(いわゆる「障害者差別解消法」)の改正が施行されました。 これにより、それまで努力義務とされていた民間事業者による合理的配慮の提供が、法的義務として課されることになりました。 ふくまちガイド (別冊) アクション編 市民、地域、事業者の皆さんが実践できる具体的な行動については、別冊で事例を交えながら詳しくご紹介しています。ぜひ、あわせてご覧ください。 (QRコード:ふくまちガイド別冊アクション編へのリンク) 14ページ ■行政 ~横浜市のアクション~ 横浜市は、共生社会の実現に向けて、制度や仕組みを整え、その方向性を示す役割を担います。 社会モデルの考え方をふまえた「横浜市福祉のまちづくり条例」に基づき、施設や設備の整備といった“施設整備(ハード面)”の対応に加え、教育や啓発活動など“人の意識(ソフト面)”からの働きかけも重視し、制度と意識の両面から福祉のまちづくりを推進していくことが求められます。 ・施設整備の質の確保と合理的配慮の促進 ~事前協議における合理的配慮の提供に関するチェックリストの導入~ 横浜市福祉のまちづくり条例に基づき、指定施設の新築・増築・改築・用途変更等を行う際には、横浜市と事業者との間で事前協議を実施しています。この協議では、条例で定める整備基準の遵守状況を確認し、建築物や道路、公園、公共交通機関が、誰にとっても安全で使いやすいものとなるよう、必要に応じて助言・指導を行います。 令和7年より新たに、事前協議を実施する際には、事業者に対して、「合理的配慮の提供」に関するチェックリストの提出を求めています。このチェックリストは、合理的配慮の提供を実践する際に重要となる建設的対話の流れなどを確認するものであり、事業者が合理的配慮を適切に提供できるよう行政が支援する仕組みです。 ・共生社会の意識を育む教育・啓発活動の展開 ~こどもリーフレットの作成・配布~ 未来を担うこどもたちが、社会モデルの考え方に基づき社会の環境にあるバリアについて学び、共生社会の実現に向けた意識と行動を育むことを目的に、小学生向けこどもリーフレットを市民との協働のもと作成しています。 また、学校での活用を支援するため、教員向けの指導資料も提供し、教育現場と連携して共生の意識を育てる取組を進めています。 (QRコード:こどもリーフレットへのリンク) 15ページ ・災害時要援護者支援体制の構築 ~ガイドや手引きを活用した支援~ 障害のある人や高齢者、妊産婦や乳幼児、病気や疾患のある人など、自力での避難が困難な人の円滑な避難支援のため、地域住民や関係機関と連携しながら、平時からの備えと災害時の共助体制の構築を促進しています。その一環として、災害時要援護者本人と家族及び支援者の取組のポイントをまとめた「災害時要援護者支援ガイド」や、地域で支え合う体制づくりのポイント、避難支援や安否確認の具体的な取組などを整理した「共助による災害時要援護者支援の手引き」を作成し、災害に備えています。 ・包括的な施策の推進  横浜市障害者プラン 「誰もが自分らしく生きられるまちヨコハマ」の実現を目指し、障害者計画・障害福祉計画・障害児福祉計画の3つを一体的に策定した、中長期的な障害福祉施策の方針をもって包括的に事業を推進しています。  横浜市地域福祉保健計画 「誰もが安心して自分らしく暮らせるよこはま」の実現を目指し、市民や関係機関と協力して、地域で支え合う仕組みづくりや福祉保健活動の基盤整備、多様性と包摂性を尊重した市民参加の促進など、包括的な施策を展開しています。 (コラム)国際イベントにおけるアクセシビリティの確保 ~2027年国際園芸博覧会アクセシビリティ・ガイドラインの策定~ 令和 9 年(2027 年)開催予定の GREEN×EXPO 2027(2027年国際園芸博覧会)では、誰もが安全・快適に参加できるよう、国・地域、文化、人種、性別、世代、障害の有無などに配慮したアクセシビリティ・ガイドラインを、様々な当事者の意見を反映しながら策定するなど、イベントの企画段階からインクルーシブな視点を取り入れています。 16ページ ・横浜市における福祉のまちづくりの歴史 1974年、横浜市では、地域社会の中で福祉の芽を育てる環境づくりを目的として、市民同士が支え合うことの大切さを学び合う「福祉の風土づくり運動」を開始しました。これと並行して、1977年には、福祉の視点から建築物などの整備を進めるため、「福祉の都市環境づくり推進指針」を策定し、「福祉の風土づくり推進事業」として、ソフトとハードの両面から福祉のまちづくりを推進する取組が始まりました。 ソフト面とハード面の整備をより総合的、一体的に進めることを目指し、市民、事業者、学識経験者などで構成された「福祉のまちづくり検討委員会」の提言を受けて、1977年に「横浜市福祉のまちづくり条例」を制定しました。 条例では、「福祉のまちづくり」を、「高齢者、障害者などを含む全ての人が相互に交流し、支え合うとともに、安全かつ円滑に施設を利用することができ、あらゆる分野の活動に参加することができる環境を整備すること」と定義づけています。当初、バリアフリーの整備基準は、「福祉のまちづくり条例」と「建築物バリアフリー条例」の2つの条例によって定められていましたが、より一体的にバリアフリー化を進めるとともに、市民・事業者にとって分かりやすい制度とすることを目的に、2012年に両条例を統合し、「改正福祉のまちづくり条例」として一本化しました。また、改正条例では、福祉のまちづくりの基本理念や、市民参画の確保などを明文化しています。 ・福祉のまちづくりの課題 横浜市福祉のまちづくり推進指針(令和3年度~7年度)では、ヒアリングやアンケートなどから「多様性の理解促進」「情報発信方法の工夫」「バリアフリー施設の利用マナー向上」「施設のバリアフリー化」を取り組むべき課題として掲げています。これらの課題は、一過性のものではなく、継続的に向き合うべき重要なテーマであることから、直近の社会背景も踏まえながら、改めて次の3つの視点で整理しています。  理解の促進 福祉のまちづくりは、障害のある人、高齢者、子育て中の人、こども、外国人、病気・疾患のある人など、「特定の人のため」ではなく「すべての人のため」の取組です。誰もがその人らしく暮らし、相互に理解し互いを尊重しあえるよう主体的に関わることが大切です。  行動の促進 福祉のまちづくりは、行政や専門家だけが担うものではなく、市民一人ひとりの「気づき」と「行動」によって支えられるものです。市民一人ひとりが「自分のこと」として行動することが、まちを変える力になります。  バリアフリー化の促進 段差の解消や設備の整備といった物理的なバリアだけでなく、制度や慣習、情報、意識におけるバリアの除去も含めた包括的な取組が必要です。 そのためには、関係者における理解と多様な人々の声を反映できる機会を設けることが大切です。 17ページ ・横浜市を取り巻く近年の状況  障害者数の推移について 障害者手帳を所持している人の数は、この10年で21.49%増加しています。 2015年 156,136人 → 2024年 189,683人  超高齢化について 令和7(2025)年3月末時点における65歳以上の高齢者の割合は約29.4%と、約3.3人に1人が高齢者です。このうち75歳以上の後期高齢者が約55.5%を占めています。  地域のつながりの変化について 自治会町内会の加入率や近隣との関係性(親密な付き合い)の低下が見られます。 <自治会町内会加入率> 平成25(2013)年 76.6% → 令和5(2023)年 67.7% <近隣との関係性(親密な付き合い)の変化> 平成25(2013)年 13.8% → 令和5(2023)年 9.0%  市民の多様化・多文化共生について 横浜市に在住する外国人の数は、平成12(2000)年と比較して約12.7万人と、約2倍に増えています。(令和7(2025)年3月末時点) ・障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)  「障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)」のいわゆる「社会モデル」の考え方に基づき、平成28(2016)年4月に障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が施行されました。令和6(2024)年4月には、人権と尊厳を尊重する共生社会の実現を促進するため、事業者による「合理的配慮の提供」の義務化などの改正が施行されています。  横浜市では、「横浜市福祉のまちづくり条例」や「横浜市障害を理由とする差別に関する相談対応等に関する条例*6」などを定め、共生社会の実現に向けた取組を推進しています。 *6横浜市障害を理由とする差別に関する相談対応等に関する条例:障害を理由とする差別に関する相談の対応、あっせんの手続きなどを定めることで、差別に関する紛争の防止や解決を図ることを目的とした条例。(平成28(2016)年策定) 18ページ ・【第1次~第3次】 「ソフトとハードが一体となった福祉のまちづくりが進み、誰もがヨコハマの良さを感じながら暮らすことのできるまち」となっていることを、2010年に向けての長期目標として掲げ、実現に向けた短期目標を第1~3次の推進指針でそれぞれ設定しました。 第1次短期目標:「ヨコハマで暮らし、活動する全ての人が少なくとも1回は、「福祉のまちづくりを考える」機会を持つこと」 第2次短期目標: 「みんなで福祉のまちづくり情報をキャッチボールしよう!」 第3次短期目標: 「さぁ、行動しよう!福祉のまちづくり」 ・【第4次】 第3次までの「長期目標」を継承し、「基本となる方向性」として位置づけ直しました。 「ソフトとハードが一体となった福祉のまちづくりをみんなで進め、ヨコハマのよさを感じながら、その良さを次世代につなげることのできるまち」 ・【第5次】 「基本となる方向性」を継承しつつ、取組の柱として次の4つを掲げています。 ①福祉のまちづくりに関する啓発・教育の推進 ②必要な人に必要な情報が届く仕組みと地域のつながり ③福祉のまちづくりの新しい担い手との協働 ④利用者参加による多様な施設のバリアフリー ・【第6次】 「基本となる方向性」を継承しつつ、目指すまちの未来像を、「ソフトとハードが一体となった取り組みをみんなで進め、多様性を尊重するヨコハマのよさを育み、安心して自由に生活できるインクルーシブなまち」としました。 インクルーシブなまちづくりを目指し、ビジョン、ポリシー、アクションの3つの柱から構成される内容となっています。 19ページ ・横浜市福祉のまちづくり推進指針策定にあたって 本指針の策定にあたっては、学識経験者、関係団体、事業者、市民等で構成される「横浜市福祉のまちづくり推進会議」およびその下部組織の「小委員会」において、内容の検討を重ねました。 また、市民ヒアリングや意見募集などを実施し、広くご意見を伺いながら、寄せられた声を指針の内容に反映しました。 横浜市福祉のまちづくり推進会議 令和7年 8月 ・ 12月 横浜市福祉のまちづくり小委員 令和7年 6月 ・ 7月 ・ 10月 市民ヒアリング 令和7年 6月 市民意見募集 ・ 関係団体説明 令和7年 9月1日~9月30日 ・横浜市福祉のまちづくり推進会議委員名簿 (五十音順、敬称略) 有泉 絵美  一般社団法人 神奈川県建築士会 理事 板橋 由紀  横浜商工会議所 議員 太田 俊己  市民公募 大原 一興  横浜国立大学 地域連携推進機構 学長特任補佐 名誉教授 岡田 江里子 横浜市心身障害児者を守る会連盟 幹事 小堤 健司  一般社団法人 神奈川県バス協会 常務理事 音田 園惠  特定非営利活動法人 横浜市精神障害者家族連合会 副理事 小泉 暁美  NPO法人横浜市視覚障害者福祉協会(公益社団法人 横浜市身体障害者団体連合会) 国分 宏樹  東日本旅客鉄道株式会社 横浜支社 企画総務部経営戦略ユニット担当課長 柴崎 政美  神奈川県警察本部 交通総務課長 高橋 明代  横浜市脳性マヒ者協会 事務局次長 (公益社団法人 横浜市身体障害者団体連合会) 高橋 敬太郎 横浜市社会福祉協議会 地域活動部 担当部長 田之畑 有美 一般社団法人ラシク045(NPO法人びーのびーの) 田村 清香  一般社団法人ラシク045(NPO法人びーのびーの) 中村 美安子 神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部社会福祉学科 教授 仁木 尚美  一般社団法人 横浜市聴覚障害者協会(公益社団法人 横浜市身体障害者団体連合会) 松村 光雄  公益財団法人 横浜市老人クラブ連合会 副理事長 水野 千鶴  一般社団法人 横浜市医師会 常任理事 森田 憲和  京浜急行電鉄株式会社 鉄道本部鉄道統括部事業統括課長 八木 佐知子 一般社団法人 横浜市建築士事務所協会 理事 山根 則子  横浜市オストミー協会 会長 (公益社団法人 横浜市身体障害者団体連合会) 和久井 真糸 市民公募 渡邉 郷史  国土交通省関東地方整備局 横浜国道事務所 副所長 ・横浜市福祉のまちづくり小委員会委員名簿 (五十音順、敬称略) 恵良 隆二  横浜市芸術文化振興財団 専務理事 大原 一興  横浜国立大学 地域連携推進機構 学長特任補佐 名誉教授 岡田 江里子 横浜市心身障害児者を守る会連盟 幹事 音田 園惠  特定非営利活動法人 横浜市精神障害者家族連合会 副理事 田之畑 有美 一般社団法人ラシク045(NPO法人びーのびーの) 中村 美安子 神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部社会福祉学科 教授 山根 則子  横浜市オストミー協会 会長 (公益社団法人 横浜市身体障害者団体連合会) 20ページ 裏表紙