表紙 誰もが安心して自分らしく健やかに暮らすための更生支援の方向性 −横浜市再犯防止推進計画− 目次 第1章 概要 1頁 1 策定にあたって 1頁 (1) 趣旨 1頁 (2) 国や神奈川県の状況 2頁 (3) 位置付け 3頁 (4) 方向性(計画)の期間 3頁 (5) 犯罪をした者等とは 4頁 2 基本方針 5頁 第2章 横浜市における再犯防止を取り巻く状況 6頁 1 犯罪の発生状況 6頁 2 更生保護に関する状況 10頁 3 横浜市保有データ 13頁 4 司法手続きの流れ 13頁 5 国や民間団体の取組(掲載予定) 16頁 第3章 施策の展開 20頁 1 福祉保健医療サービスの活用 21頁 (1) 生活保護、生活困窮者自立支援制度 22頁 (2) 高齢者支援 23頁 (3) 障害者支援 24頁 (4) 薬物依存症者等への支援 25頁 2 住まいの充実 26頁 3 就労の場の確保 27頁 4 普及啓発 29頁 5 非行の防止、修学支援 30頁 6 安全・安心のまちづくり(地域防犯)33頁 第4章 誰もが安心して自分らしく健やかに暮らすための更生支援の推進 34頁 策定経緯 35頁 1 検討体制 35頁 1頁 第1章 概要 1 策定にあたって (1) 趣旨 横浜市における刑法犯の認知件数は平成16年をピークに減少に転じ、平成29年には20,046件(ピーク時の26.8%)となっており、検挙される者の人数も減少傾向にあります。 しかしながら、初犯者と比べて、再犯者の検挙人員は減少幅が小さく、ここ数年、神奈川県で検挙される者の約半数(48.5%〈平成29年〉)が再犯者です。 司法手続きが終わり地域社会へ戻る際、様々な生きづらさを抱えることなどにより、再び犯罪等を繰り返してしまう者もいます。 横浜市ではこれまでも、市民に身近な行政機関として、市民一人ひとりに寄り添った支援を行っていますが、再犯防止の取組を進めるにあたっても、関係者と連携しながら、犯罪をした者等当事者に寄り添い更生を支援していく必要があります。 このため、助けを必要としながらも孤立した状況にある犯罪をした者等が、自分らしく健やかに暮らすための支援のあり方を明らかにするとともに、市内で活動している民間協力者等への支援や連携を促進し、更生や再犯防止につなげ、犯罪被害に遭う人の減少と、立ち直ろうとする者を受け入れる地域社会の実現を目的に「誰もが安心して自分らしく健やかに暮らすための更生支援の方向性 横浜市再犯防止推進計画」(以下、「方向性(計画)」)を策定します。 2頁 (2) 国や神奈川県の状況 全国において刑法犯により検挙された再犯者は、平成18年をピークに徐々に減少しているものの、それを上回るペースで初犯者の人員が減少し続けています。 このため、検挙人員に占める再犯者の人員の比率(再犯者率)は一貫して上昇し続け、平成28年には、統計を取り始めた昭和47年以降最も高い48.7%となりました。 こういったことから、平成28年7月には犯罪対策閣僚会議において薬物依存者や犯罪をした高齢者又は障害者等に対して刑事司法のあらゆる段階のみならず、刑事司法手続終了後を含めた息の長い支援の実施を盛り込んだ「薬物依存者・高齢犯罪者等の再犯防止緊急対策〜立ち直りに向けた〈息の長い〉支援につながるネットワーク構築〜」を決定しました。 その後、同年12月には「再犯の防止等の推進に関する法律」(以下、「再犯防止推進法」という。)が施行され、国に「再犯防止推進計画」の策定を義務付けるとともに、都道府県及び市町村に国の「再犯防止推進計画」を勘案して「地方再犯防止推進計画」を策定することの努力義務が課されました。(再犯防止推進法第8条第1項) これを踏まえ、国は平成29年12月に「犯罪をした者等が円滑に社会の一員として復帰することができるようにすることで、国民が犯罪による被害を受けることを防止し、安全で安心して暮らせる社会の実現に寄与する」ことを目的として「再犯防止推進計画」を閣議決定しました。  また、神奈川県では平成31年3月に「罪を犯した人が立ち直り、地域社会の一員としてともに生き、支え合う社会づくりを促進する」ため、「神奈川県再犯防止推進計画」を策定しています。 【国や県の状況】 平成24年7月「再犯防止に向けた総合対策」閣議決定 平成26年12月「宣言:犯罪に戻らない・戻さない〜立ち直りをみんなで支える明るい社会へ〜」決定 平成28年7月「薬物依存者・高齢犯罪者等の再犯防止緊急対策〜立ち直りに向けた“息の長い”支援につながるネットワーク構築〜」決定 平成28年12月「再犯の防止等の推進に関する法律」の公布・施行 平成29年12月「再犯防止推進計画」閣議決定 平成31年3月「神奈川県再犯防止推進計画」策定 3頁 (3)位置付け 再犯防止推進法第8条第1項に規定する「地方再犯防止推進計画」として策定します。 なお、横浜市では、「よこはま笑顔プラン(横浜市地域福祉保健計画)」のほか、福祉保健の分野別計画や住宅分野の基本計画である「横浜市住生活基本計画」、地域の防犯力向上のための基本的な考え方や方策、推進体制を示した「よこはま安全・安心プラン」等分野に応じた計画を策定しています。方向性(計画)では「地域共生社会の実現」を目的とする福祉保健をはじめ、関連する分野別計画との調和のとれたものとして策定しています。 (4) 方向性(計画)の期間 犯罪をした者等に対する横浜市の支援や取組の方向性を示すものとして策定し、再犯防止推進法や国、県計画等の改訂状況などを踏まえ、随時改訂できることとします。 4頁 (5) 犯罪をした者等とは 再犯防止推進法において「犯罪をした者等」とは、犯罪をした者又は非行少年若しくは非行少年であった者と規定されています。犯罪をした者等の中には、犯罪の嫌疑がないという以外の理由により公訴の提起を受けなかった者が含まれています。 また、「再犯の防止等」とは、犯罪をした者等が犯罪をすることを防ぐこと(非行少年の非行をなくすこと及び非行少年であった者が再び非行少年となることを防ぐことを含む。)と規定されています。犯罪をした者等の全てが矯正施設(刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院)に入所することはありません。保護観察官や保護司が更生に向けた指導や支援を行う保護観察についても全員が対象となることはありません。 矯正施設の入所や保護観察が付いていない犯罪をした者等は刑事司法手続きの様々な段階において犯罪をする前と同様の社会生活を送ることとなります。 5頁 2 基本方針 再犯防止等の取組は、これまで主に刑事司法関係機関により実施されてきました。 しかし、様々な生きづらさを抱える犯罪をした者等が地域社会で孤立せず立ち直っていくためには、刑事司法関係機関とともに地方自治体、民間協力者等の関係者が一丸となった息の長い支援が必要となります。 このため、横浜市では市民に身近な行政機関として、助けを必要としながらも孤立した状況にある犯罪をした者等を含め、誰もが安心して自分らしく健やかに暮らせるよう、次のとおり基本方針を設定します。 (1) 関係者との緊密な連携協力    犯罪をした者等には刑事司法手続等を通じて国や司法関係者、民間団体など多くの機関・団体が関わります。 本人の更生を支援するためには関係者相互の連携が重要となることから、関係者間での緊密な連携協力関係を築き、犯罪をした者等が孤立することのない社会の実現に向けた施策を推進していきます。 (2) 切れ目のない支援    刑事司法手続は非常に複雑で、検挙後すぐに地域社会に復帰することがある一方、状況によっては、地域社会に復帰するまでに長い時間がかかることもあります。 関係者との連携協力を通じて、犯罪をした者等が刑事司法手続きのいずれの段階で地域社会へ復帰することとなっても、本人の希望を踏まえ切れ目のない支援を受けることができるようにします。 (3) 犯罪被害者等の尊厳への配慮 犯罪をした者等の立ち直りを支援するに際しては、犯罪被害に遭う人を減らすという視点を持ったうえで、「横浜市犯罪被害者等支援条例(平成30年12月公布)」に基づき、犯罪被害者等の人としての尊厳を重んじ、被害者等の安全及び心情等に最大限配慮します。 (4) 普及・啓発   犯罪をした者等が立ち直り、円滑な社会復帰を果たすためには、本人の努力だけでなく、周囲の人や地域社会の理解と協力が必要です。 地域社会の理解や協力を進めるために犯罪をした者等への更生支援の必要性について幅広く普及・啓発をしていきます。 6頁 第2章 横浜市における再犯防止を取り巻く状況 1 犯罪の発生状況 (1) 横浜市内における認知犯罪件数の推移 平成16年74,667件、平成17年54,902件、平成18年46,769件、平成19年43,649件、平成20年44,830件、平成21年37,490件、平成22年35,458件、平成23年32,571件、平成24年29,484件、平成25年30,323件、平成26年26,146件、平成27年23,668件、平成28年21,454件、平成29年20,046件(資料:神奈川県警察本部より) (注)認知犯罪件数:犯罪について被害の届け出・告訴等により、警察において発生を確認した事件の数のこと。 (2) 神奈川県内での刑法犯検挙者中の再犯者数及び再犯者率 平成25年 検挙人員18,907人、再犯者8,949人、再犯者率47.3% 平成26年 検挙人員18,841人、再犯者8,809人、再犯者率46.8% 平成27年 検挙人員18,185人、再犯者8,805人、再犯者率48.4% 平成28年 検挙人員16,356人、再犯者7,891人、再犯者率48.2% 平成29年 検挙人員14,431人、再犯者7,004人、再犯者率48.5% (資料:神奈川県再犯防止推進計画より) (注) 再犯者率は、検挙人員に占める再犯者の割合。 7頁 (3) 非行少年の検挙・補導状況 平成25年 刑法犯4,448人、特別法犯555人、ぐ犯少年6人 平成26年 刑法犯3,935人、特別法犯644人、ぐ犯少年10人 平成27年 刑法犯3,357人、特別法犯574人、ぐ犯少年11人 平成28年 刑法犯2,731人、特別法犯532人、ぐ犯少年13人 平成29年 刑法犯2,306人、特別法犯502人、ぐ犯少年6人 (資料:STOP! THE 少年非行(神奈川県警察)より) (注) 非行少年:犯罪少年、触法少年及びぐ犯少年の総称 ぐ犯少年:少年法に定める一定要件に該当し、かつ性格又は環境に照らして、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする恐れのある少年 刑 法 犯:刑法に規定する罪(道路上の交通事故に係るものは除く)のほか、爆発物規定物取締罰則、決闘罪ニ関スル件、暴力行為等処罰ニ関スル法律、盗撮等ノ防止及処分ニ関スル法律、航空機の強取等の処罰に関する法律、火炎びんの使用等の処罰に関する法律、航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律及び人質による強要行為等の処罰に関する法律に規定する罪 特別法犯:刑法犯以外の罪(道路上の交通事故に係る刑法第211条の罪及び自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律に規定する罪並びに交通法令違反以外の罪) 8頁 (4) 刑事司法手続きにおける件数・人数推移(横浜地検管内) 平成25年 受理件数54,712人、不起訴(起訴猶予・嫌疑不十分・その他)39,474人、起訴9,597人、自由刑(懲役・禁固)の確定裁判を受けた者2,653人、(内訳)懲役2,426人、禁固227人、刑の全部執行猶予者総数1,661人(うち、保護観察付執行猶予者数205人)、全部実刑の裁判確定による刑務所入所者992人、少年院入所者220人 平成26年 受理件数50,377人、不起訴(起訴猶予・嫌疑不十分・その他)36,527人、起訴8,738人、自由刑(懲役・禁固)の確定裁判を受けた者2,483人、(内訳)懲役2,271人、禁固212人、刑の全部執行猶予者総数1,623人(うち、保護観察付執行猶予者数182人)、全部実刑の裁判確定による刑務所入所者860人、少年院入所者172人 平成27年 受理件数48,200人、不起訴(起訴猶予・嫌疑不十分・その他)34,585人、起訴9,385人、自由刑(懲役・禁固)の確定裁判を受けた者2,660人、(内訳)懲役2,455人、禁固205人、刑の全部執行猶予者総数1,786人(うち、保護観察付執行猶予者数177人)、全部実刑の裁判確定による刑務所入所者874人、少年院入所者189人 平成28年 受理件数45,966人、不起訴(起訴猶予・嫌疑不十分・その他)32,821人、起訴9,429人、自由刑(懲役・禁固)の確定裁判を受けた者2,625人、(内訳)懲役2,394人、禁固231人、刑の全部執行猶予者総数1,825人(うち、保護観察付執行猶予者数185人)、全部実刑の裁判確定による刑務所入所者720人、少年院入所者171人 平成29年 受理件数44,975人、不起訴(起訴猶予・嫌疑不十分・その他)32,603人、起訴9,180人、自由刑(懲役・禁固)の確定裁判を受けた者2,638人、(内訳)懲役2,386人、禁固252人、刑の全部執行猶予者総数1,881人(うち、保護観察付執行猶予者数192人)、全部実刑の裁判確定による刑務所入所者639人、少年院入所者205人 (資料:検察統計年報及び神奈川県再犯防止推進計画より) 9頁 (5) 横浜刑務所出所者の人数推移 平成25年 満期釈放294人、仮釈放417人、うち出所時に帰住先がない者259人、帰住先がない者の割合36.1% 平成26年 満期釈放293人、仮釈放383人、うち出所時に帰住先がない者237人、帰住先がない者の割合35.0% 平成27年 満期釈放284人、仮釈放375人、うち出所時に帰住先がない者217人、帰住先がない者の割合32.9% 平成28年 満期釈放253人、仮釈放381人、うち出所時に帰住先がない者215人、帰住先がない者の割合33.9% 平成29年 満期釈放248人、仮釈放386人、うち出所時に帰住先がない者175人、帰住先がない者の割合27.0% (資料:法務省 矯正統計より) 10頁 2 更生保護に関する状況 (1) 保護観察終了時に無職である者の状況 平成26年 保護観察終了人員(職業のものを除く)856人、うち保護観察終了時に無職である者の数126人、14.7% 平成27年 保護観察終了人員(職業のものを除く)727人、うち保護観察終了時に無職である者の数119人、16.4% 平成28年 保護観察終了人員(職業のものを除く)670人、うち保護観察終了時に無職である者の数120人、17.9% 平成29年 保護観察終了人員(職業のものを除く)651人、うち保護観察終了時に無職である者の数136人、20.9% (資料:法務省横浜保護観察所管内より) (注)保護観察:犯罪をした者または非行のある少年が、社会の中で更生するように、保護観察官及び保護司による指導と支援を行うもの。 (2) 協力雇用主数 平成25年 協力雇用主54人、うち実際に雇用している協力雇用主4人、協力雇用主に雇用されている刑務所出所者等3人 平成26年 協力雇用主64人、うち実際に雇用している協力雇用主10人、協力雇用主に雇用されている刑務所出所者等3人 平成27年 協力雇用主74人、うち実際に雇用している協力雇用主40人、協力雇用主に雇用されている刑務所出所者等10人 平成28年 協力雇用主106人、うち実際に雇用している協力雇用主26人、協力雇用主に雇用されている刑務所出所者等9人 平成29年 協力雇用主128人、うち実際に雇用している協力雇用主33人、協力雇用主に雇用されている刑務所出所者等17人 (資料:法務省横浜保護観察所内より) (注)協力雇用主:犯罪・非行の前歴等のために定職につくことが容易でない保護観察又 は更生緊急保護の対象者を、その事情を理解したうえで雇用し、改善更生に協力する民間の事業主。 11頁 (3) 保護司数及び充足率 平成27年 保護司613人、充足率84.1% 平成28年 保護司621人、充足率85.2% 平成27年 保護司606人、充足率83.1% (資料:法務省横浜保護観察所管内より) (4) 「社会を明るくする運動」参加人数 平成25年54,649人、平成26年53,968人、平成27年48,534人、平成28年76,652人、平成29年82,124人 (資料:神奈川県再犯防止推進計画より) (県及び地区推進委員会において実施した行事の参加人数) 12頁 (5) 保護観察対象者に関する状況 平成25年 1号観察445人、2号観察122人、3号観察268人、4号観察127人、薬物事犯保護観察対象者96人 平成26年 1号観察394人、2号観察106人、3号観察289人、4号観察121人、薬物事犯保護観察対象者78人 平成27年 1号観察283人、2号観察59人、3号観察299人、4号観察118人、薬物事犯保護観察対象者93人 平成28年 1号観察315人、2号観察87人、3号観察292人、4号観察117人、薬物事犯保護観察対象者86人 平成29年 1号観察308人、2号観察75人、3号観察246人、4号観察113人、薬物事犯保護観察対象者79人 (資料:法務省横浜保護観察所調べ) 保護観察開始人員は、1号観察から4号観察(更生保護法)までの合計人数 1号観察:保護観察処分少年 2号観察:少年院仮退院者 3号観察:仮釈放者 4号観察:保護観察付執行猶予者 (6) 神奈川県地域生活定着支援センターによる調整件数の推移 平成25年27人、平成26年57人、平成27年57人、平成28年51人、平成29年66人 (資料:神奈川県地域生活定着支援センターが支援した矯正施設等出所者の状況 平成30年9月 神奈川県社会福祉士会神奈川県地域生活定着支援センターより) 13頁 3 横浜市保有データ (1) 非行相談に係る新規相談受付件数推移(児童相談所) 平成26年 ぐ犯240人、触法369人 平成27年 ぐ犯280人、触法297人 平成28年 ぐ犯214人、触法176人 平成29年 ぐ犯276人、触法191人 平成30年 ぐ犯221人、触法183人 (資料:横浜市児童相談所より) 4 司法手続きの流れ (1) 成人による刑事事件の流れ @警察など 警察などが犯人を検挙して必要な捜査を行った事件は、原則としてすべて検察官に送致されます。 A検察庁 検察官は、送致された事件について必要な捜査を行い、法と証拠に基づいて、被疑者を起訴するか、不起訴にするかを決めます。また、検察官は、自ら事件を認知したり、告訴・告発を受けて捜査することもあります。 B裁判所 裁判所は、公開の法廷で審理を行い、有罪と認定した場合は、死刑、懲役、禁錮、罰金などの刑を言い渡します。また、その刑が3年以下の懲役・禁錮などの場合は、上場によりその執行を猶予したり、さらには、その猶予の期間中保護観察に付することもあります。なお、比較的軽微な事件で、被疑者に異議がない場合は、簡易な略式手続で審理が行われることもあります。 C刑務所など 有罪の裁判が確定すると、執行猶予の場合を除き、検察官の指揮により刑が執行されます。懲役、禁錮、拘留は原則として刑務所などの刑事施設で執行されます。刑事施設では、受刑者の改善更生と社会復帰のための矯正処遇を行っています。なお、罰金や科料を完納できない人は、刑事施設に附置されている労役場に留置されます。 D保護観察所 受刑者は、刑期の満了前であっても、地方更生保護委員会の決定で仮釈放が許されることがあり、仮釈放者は、仮釈放の期間中、保護観察に付されます。また、保護観察付執行猶予判決の言渡しを受け、判決が確定した人も猶予の期間中は保護観察に付されます。保護観察に付された人は、改善更生と社会復帰に向けて、保護観察所の保護観察官と民間のボランティアである保護司による指導監督・補導援護を受けることになります。 E婦人補導院 売春防止法違反で補導処分となった成人の女子は、婦人補導員に収容され、仮退院が許可されると保護観察に付されます。 (資料:法務省 再犯防止推進白書より) 14頁 (2) 非行少年に関する手続きの流れ @警察など 警察などが罪を犯した少年を検挙した場合、捜査を遂げた後、原則として、事件を検察官に送致します。 A検察庁 検察官は、捜査を遂げた上、犯罪の嫌疑があると認めるとき、又は犯罪の嫌疑がないものの、ぐ犯(犯罪至らないものの、犯罪に結びつくような問題行動があって、保護する必要性が高いことをいう。)などで家庭裁判所の審判に付すべき事由があると認めるときは、事件を家庭裁判所に送致します。 B家庭裁判所 家庭裁判所は、調査官に銘じて、少年の素質、環境などについて調査を行ったり、少年を少年鑑別所に送致して鑑別を行ったりします。 C少年鑑別所 少年鑑別所は、医学、心理学、教育学等の専門的知識に基づき、少年鑑別を行い、その結果は家庭裁判所に提出されます。 D家庭裁判所 家庭裁判所は、事件記録等の調査の結果、審判に付する事由がない、または審判に付することが相当でないと認めるときは、審判不開始の決定を行い、審判を開始するのが相当と認めるときは、非公開で審判を行います。なお、少年審判において、一定の重大事件で非行事実を認定するため必要があるときは、家庭裁判所の決定により、検察官も審判に関与します。B家庭裁判所の調査やC少年鑑別所の鑑別を踏まえた審判の結果、保護処分に付する必要がないと認めるなどの場合は、不処分の決定を行い、保護処分に付することを相当と認める場合は、保護観察、少年院送致などの決定を行います。 EF検察官送致、起訴 家庭裁判所は、審判の結果、死刑、懲役、または禁錮にあたる罪の事件について刑事処分を相当と認めるときは、事件を検察官に送致します。なお、16歳以上の少年が、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた場合、その事件は、原則として検察官に送致され、事件送致を受けた検察官は、原則、起訴しなければならないとされています。 G少年院 少年院送致となった少年は、第1種、第2種又は第3種のいずれかの少年院に収容され、矯正教育、社会復帰支援等を受けながら更生への道を歩みます。 H保護観察所 家庭裁判所の決定で保護観察に付された場合、少年院からの仮退院が許された場合などにおいては、改善更生と社会復帰に向けて、保護観察所の保護観察官と民間のボランティアである保護司による指導監督・補導援護を受けることになります。 (資料:法務省 再犯防止推進白書より) 15頁 (3) 矯正施設、保護観察所、地域生活定着支援センターによる特別調整の流れ  法務省及び厚生労働省は、平成21年4月から受刑者等のうち、適当な帰住先が確保されていない高齢者又は障害のある者等が矯正施設出所後に、福祉サービスを円滑に利用できるようにするため、矯正施設、保護観察所、地域生活定着支援センター等の関係者が連携して、矯正施設在所中から必要な調整を行い出所後の支援につなげる特別調整の取組を実施しています。(平成30年度再犯防止推進白書〈法務省〉) (資料:平成30年度版 犯罪白書より) 16頁から19頁 5 国や民間団体の取組(掲載予定) 国や民間団体等による更生支援及び、再犯防止に関連する取組について紹介します。 20頁 第3章 施策の展開 横浜市では基本方針を踏まえ、誰もが安心して自分らしく健やかに暮らせるよう次の施策を展開します。 助けを必要としながらも孤立した状況にある犯罪をした者等、支援を必要としている人が支援につながるよう、従来から実施しているものを含め必要な施策を展開させます。 21頁 1 福祉保健医療サービスの活用 【取組の方向性】 犯罪をした者等においては、高齢者(65歳以上)が出所後2年以内に刑務所に再び入所する割合は全世代の中で最も高いほか、出所後5年以内に再び刑務所に入所した高齢者のうち、約4割の者が出所後6か月未満という極めて短期間で再犯に至っています。(国再犯防止推進計画) 知的障害のある受刑者について、全般的に再犯に至るまでの期間が短いことも明らかになっています。(国再犯防止推進計画) また、薬物依存症者等を対象とした刑の一部執行猶予制度を踏まえた取組が必要となっています。 生きづらさを抱えている人が孤立せず適切な支援につながり、安心して生活できる支援体制づくりが必要となります。 あわせて、関係者が相互に連携し、支援の継続(「息の長い」支援)を図ることも重要となります。 生きづらさを抱え社会的に孤立している人に気づき、支援につなげる仕組みづくりを進めます。 経済的困窮や高齢、障害等個々の困りごとの状況と本人の希望を踏まえた、適切な福祉保健医療サービスを活用し、自分らしく健やかに暮らすための支援を行います。 22頁 【施策の展開】 (1) 生活保護、生活困窮者自立支援制度 生活の困りごとや不安を抱えている方の相談を受けるとともに、本人の状況 に応じて寄り添いながら、各種事業等を自立に向けた支援を行います。 関係機関等と連携しながら、生活にお困りの方の早期の把握や支援に取り組んでいます。 住居を持たない方に対し、一時的に食住の提供を行うほか、離職等により住居を失った方などに対し、就職活動などを条件に賃貸住宅の家賃相当分を支給するなど、安定した生活基盤の確保に向けた支援を行います。 就労を希望する方に対して、本人の状況に応じて就職活動のサポートを行います。すぐに就労することが困難な方には、就労に向けた準備として生活習慣や基礎能力を養う支援や、短時間就労の機会を提供しながら自立を支援するいわゆる「中間的就労」を行います。 家計に課題を抱える方に対して、収支バランスや債務の状況を整理するとともに、情報提供や専門的な助言・支援を行うことで、早期の生活再建を支援します。  生活保護制度を利用する場合は、最低限度の生活を保障しながら、自立に向けた支援を行います。 23頁 (2) 高齢者支援 地域住民や幅広い関係団体・機関と連携し、地域で支援を必要とする人の早期発見や見守りの仕組みづくりを進めます。また、的確に支援に結び付けていく取組を推進します。 認知症に関する正しい知識の普及啓発を行い、市民理解を深めます。また、認知症の方や認知症が疑われる方に対する早期診断・早期対応に向けた取組を進めるとともに、認知症の方が地域で安心して暮らせる見守り体制づくりを進めます。 高齢者が、支援を受けるだけではなく、自分自身ができることを活かして社会的な役割を持つことができるよう、「地域の支え合いの仕組みづくり」を進めます。 地域ケアプラザ(地域包括支援センター)は、「地域の身近な福祉保健の拠点」として「地域づくり」「地域のつながりづくり」を行うとともに、地域及び行政と連携し、地域の中での孤立を防ぎ、支援が必要な人を把握し支援につなげていきます。 住まい・施設 多様なニーズに対応できる住まいや施設を供給します。また、「高齢者施設・住まいの相談センター」を活用し、相談内容に応じた情報提供や施設との橋渡しを実施します。 地域とつながり、地域で支え合う活動の基盤となるサロン等、高齢者が参加できる居場所づくりを支援します。 24頁 (3) 障害者支援 障害のある人は特別な存在ではありません。障害があっても一人の市民として、住み慣れた地域で当たり前のように生活していけるまちを実現することが必要です。 障害のある人が社会の一員として、誰もが安心して自分らしく健やかに生活していくため、住民相互の共助の取組を進めていきます。その中で、障害のある人ひとり一人が抱えている暮らしにくさなどを地域で共有できる場の確保や、地域活動に参加しやすくなるための環境づくりを進めます。 また、困った時に相談できる場所や、どこに相談しても適切に対応できる支援体制の構築を進めていきます。 それとともに、希望する住まいで安心して暮らしていけるよう多様な形態の住まいの構築を進めるとともに、本人の生活力を引き出す支援の充実を図ります。 障害のあるなしに関わらず、自分の病気や老後のこと、家族の健康や生活上の問題は大きな課題だと考えられます。医療受診環境の向上や障害特性を踏まえた心身の健康対策等を進めていきます。 そして、自立した生活につなげたり、生きがいを高めるためにも、一人ひとりの適性や希望に合った仕事を見つけることができ、外出や趣味を楽しむなど、様々な余暇が充実したまちを目指します。 25頁 (4) 薬物依存症者等への支援 薬物への依存を有する方等に対し、早期に治療や支援につながることができるよう、薬物依存への対応も含めた依存症相談拠点の設置等による依存症相談の充実を行います。 また、回復にむけた支援を行う民間団体等の活動の促進に向け、薬物依存への支援を行う団体も対象とした民間団体への支援策の充実を行います。 このほか、薬物への依存を有する方等を早期の回復につなげるため、支援者にむけた、研修の実施や関係機関の連携強化を図ります。 26頁 2 住まいの充実 【取組の方向性】  高齢化の進展や社会経済情勢の変化等の様々な要因により、低額所得者、高齢者、障害者等、住宅の確保に特に配慮を要する方々(以下「住宅確保要配慮者」という。)の増加及び多様化が進んでいます。 また、これまで、既存の住宅セーフティネットの対象になりにくかった低額所得の若年・中高年単身者への対応も求められています。 平成29年に神奈川県内の刑事施設(刑務所、少年刑務所及び拘置所)を出所した者のうち、健全な社会生活を営む上で適切な帰住先を確保できずに出所した者が27%を占めています。 適切な帰住先の確保は、地域社会において安定した生活を送るために必要不可欠なものであり、更生支援の観点からも重要です。 住宅セーフティネットの根幹である市営住宅をはじめ公的賃貸住宅及び民間賃貸住宅を含めた重層的なセーフティネットを構築し、住宅確保要配慮者が安心して暮らせる住まいを確保し、住み続けられる住環境を実現していきます。 【施策の展開】 住宅に困窮する低額所得者で横浜市内に在住または在勤している方に対しては、公募により、低廉な家賃で市営住宅を提供します。 家賃の支払い能力があるものの、連帯保証人がいないために民間賃貸住宅への入居を断られてしまう高齢者世帯等を対象に、民間住宅あんしん入居事業により、協力不動産店による物件のあっせんと民間保証会社の家賃保証による入居支援を行います。 チラシやホームページ等による広報活動や不動産店等を対象とした説明会を通じて、更生保護対象者等、住宅確保要配慮者の入居を拒まない民間賃貸住宅(以下、「セーフティネット住宅」という。)の登録を推進します。 低額所得者が入居するセーフティネット住宅において、個々の状況に応じて、家賃低廉化及び家賃債務保証料低廉化の支援を行うよう努めます。 横浜市居住支援協議会において、入居希望者、賃貸人及び不動産店等を対象とした相談窓口の設置や、セーフティネット住宅の情報提供を行うことで、住宅確保要配慮者が民間賃貸住宅へ円滑に入居できるよう、取組を進めていきます。 27頁 3 就労の場の確保 【取組の方向性】 平成29年に刑事施設に入所した者のうち、犯罪時の居住地が神奈川県である者の約6割が無職者であり、さらに刑事施設入所が2度目以上となる再入者においては、約7割が無職者という状況です。(神奈川県再犯防止推進計画) 不安定な就労が再犯リスクとなっており、再犯防止に向けては、就労を確保し、生活基盤の安定を図ることが重要です。(神奈川県再犯防止推進計画) 刑務所出所者等を雇用し、改善更生に協力する民間の事業主である「協力雇用主」については、その数が増加傾向にあります。そのうち、実際に対象者を雇用している協力雇用主は1割程度となっています。 また、刑務所出所等の中には、様々な事情から社会人としての基礎的な態度が身に付いていないなど働く中で問題が発生し、早期に退職してしまう人も少なくありません。 このように、協力雇用主や就労後の定着のための場の確保が課題となっていることから、犯罪をした者等の雇用や協力雇用主登録促進を図ります。 【施策の展開】 就労を希望する方に対して、本人の状況に応じて就職活動のサポートを行います。すぐに就労することが困難な方には、就労に向けた準備として生活習慣や基礎能力を養う支援や、短時間就労の機会を提供しながら自立を支援するいわゆる「中間的就労」を行います。(再掲) 若者サポートステーションでは、困難を抱える15〜39歳の若者及びその家族を対象とし、総合相談や就労セミナー、就労訓練等を実施し、職業的自立に向けて支援します(一部のサポートステーションは、44歳まで対象)。 障害者就労支援センターは、働くことを希望する障害児・者を対象として、就労に関する相談、職場実習等を通じた適性把握、求職活動支援や就労後の定着支援等を、企業や関係機関と連携しながら行います。 保護観察対象者の円滑な社会復帰に向け、就労訓練の場として市で雇用する仕組みを検討します。 公共調達の本来達成すべき目的が阻害されないように留意しつつ、入札・契約制度における協力雇用主の受注機会に配慮した取組の導入について検討します。 28頁 協力雇用主確保の取組として、市内企業等への制度の普及・啓発に努めます。 29頁 4 普及啓発 【取組の方向性】 地域にはさまざまな立場や背景のある人が存在しています。真に支え合える地域を実現するためには、誰もが同じ地域の仲間として受け入れられることが基本です。 また、市民一人ひとりが多様性の理解を深め、立場や背景を越えてつながり、お互い認め合うことが大切です。 特に、犯罪をした者等の社会復帰のためには、本人の更生を支援するだけでなく、地域で孤立することがないよう、周囲の理解と協力を得て、犯罪をした者等が再び社会を構成する一員となることを支援することが重要です。 また、地域では犯罪をした者等の指導・支援に当たる保護司や社会復帰を支援するための幅広い活動を行う更生保護女性会等の更生保護ボランティア、更生保護法人をはじめとする様々な民間団体等の支援活動が実施されており、立ち直ろうとする者を受け入れる地域社会を実現させるためにもこれらの活動を推進する必要があります。 こういった状況を踏まえ、更生保護ボランティア活動等に対する支援の充実を図るとともに、広報啓発活動を推進し、犯罪をした者等の地域での立ち直りに対する理解を促進します。 【施策の展開】 (1) 更生保護ボランティア活動等に対する支援の充実 保護観察対象者の面接に際して、地域ケアプラザ等公的施設の利用を可能とするなど、保護司をはじめとする更生保護ボランティア活動への支援を行います。 保護司人材確保のため、市職員研修などの機会を捉えて更生保護ボランティア活動への参加を呼びかける等の取組を進めます。 市内更生保護法人との連携等を通じ、犯罪をした者等の円滑な社会復帰を助けることを目的とした更生保護事業を推進します。 (2) 広報・啓発活動の推進 犯罪をした者等が社会において孤立することのないよう、地域の理解と協力を得ることを目的に実施している「社会を明るくする運動」を保護観察所や保護司をはじめとする民間協力者と連携して推進します。 関係機関や関係団体と連携して犯罪をした者等への偏見や差別をなくすための取組を進めます。 30頁 5 非行の防止、修学支援 【取組の方向性】 非行の背景には、規範意識の低下、人間関係の希薄化、家庭環境の変化、貧困や格差の問題、虐待や発達課題、有害環境等、児童生徒を取り巻く様々な課題が複雑に絡み合っていると考えられます。 また、背景の一つには、自尊感情の低下ということも考えられ、生きていく上で「自分は大切な存在だ」という自尊感情を高めることが大切です。それは他の人も自分と同じ大切な存在と考えることにもつながり、差別を許さない人権感覚をはぐくむことにもなります。児童生徒が、安心して自分を表現できる環境や、仲間に認められる体験の中で自尊感情をはぐくむことができるよう、「居場所づくり」や「絆づくり」を進めます。 横浜市の小学校・中学校では児童支援専任・生徒指導専任教諭を配置し、校内児童生徒指導体制の中核になり、組織的に非行の防止に向けた指導や早期対応を行っています。 児童生徒や保護者のカウンセリングや教職員への助言を行うスクールカウンセラーや、児童生徒の福祉に関する支援を行うスクールソーシャルワーカーを活用し、専門的な知見から、関係機関との連携や組織的な対応が適切にできるよう、支援体制を構築しています。 児童相談所においては、非行や虐待に関する通告・相談を受け、警察・学校等との関係機関との十分な連携のもとに、子どもの最善の利益の観点から支援を進めます。 地域の中で困難を抱える子ども・若者・家庭に寄り添い、見守ることにより、孤立を防ぎ、安心して暮らすことができる環境づくりを進めます。 【施策の展開】 課題を抱える児童生徒への指導・支援について、児童支援・生徒指導専任教諭を中心に、関係機関と連携を図りつつ、組織的対応を行うことができるよう、校内体制を整備します。 また、様々な課題や問題行動の未然防止策として、子どもたち一人ひとりの自己肯定感を高める「子どもの社会的スキル横浜プログラム」の推進を図ります。 31頁 学校・警察連絡協議会の定期的な開催を通して、少年の検挙補導状況を把握し、非行の未然防止に向けた協議を行い、学校と警察、少年補導員等が連携した指導(非行防止教室等)を行います。 また、非行や問題行動を起こした少年に対しては、協定に基づく「健全育成を推進するための連絡票」の運用や、県警察少年相談・保護センターでの相談を通し、立ち直り支援や非行を繰り返さない再発防止の教育を進めます。 「スクールスーパーバイザー」による専門家支援が必要な場合は、より総合的な視点から専門性に基づく助言を行い、校内での相談機能の充実を図ります。当該校カウンセラーや区役所こども家庭支援相談のカウンセラーが相談を受けた場合には、状況に応じて適切な関係機関へつなぎます。 児童相談所では、児童の家出、盗癖などのぐ犯行為や、窃盗、傷害などの触法行為に関する相談・支援を進めるとともに、警察・学校等の関係機関との連携の充実に取り組みます。 児童自立支援施設である向陽学園では、こども青少年局と教育委員会が連携して修学環境の向上、修学支援の充実、円滑な進学・復学に向けた関係機関との連携強化に取り組み、児童の規範意識、社会性及び自己肯定感をはぐくみ、孤立を防ぎ、非行の予防・再発防止を図ります。また、研修等を通じ、学校関係者、関係機関職員との相互理解を深めます。 市内の更生保護活動の実施を円滑な推進に取り組む横浜市保護司会協議会に対して支援を行うことで、青少年の非行防止及び保護育成を図ります。 青少年の非行防止を目的に、青少年指導員が全市一斉夜間パトロールを行います。 また、社会環境の健全化を目的に、神奈川県が行う社会環境実態調査に協力し、有害図書類の区分陳列調査等に取り組みます。 青少年相談センター、地域ユースプラザでは、15〜39歳の若者及びその家族の抱える様々な課題について相談支援を行っています。一人ひとりの状況に応じた支援ができるよう、関係機関と連携し、取り組みます。 また、若者サポートステーションでは、困難を抱える15〜39歳の若者及びその家族を対象とし、総合相談や就労セミナー、就労訓練等を実施し、職業的自立に向けて支援します(一部のサポートステーションは、44歳まで対象)。(一部再掲) 32頁 青少年の地域活動拠点づくり事業では、中・高校生世代を中心とした青少年の誰もが安心して気軽に集い、仲間や異世代と交流できる居場所を提供するとともに、ボランティア活動などの社会参加プログラムを実施しています。また、拠点と地域の人材・団体が連携することで、青少年を見守る意識を醸成します。 子どもの育ちや成長を守り、支援の必要な子どもたちに気づき、受け止め、見守ることのできる「子ども食堂」等の地域における子どもの居場所づくりに対する支援に取り組みます。 33頁 6 安全・安心のまちづくり(地域防犯) 【取組の方向性】 自治会町内会をはじめ、警察や関係機関等が連携し、地域でパトロールや見守りなどの防犯活動の取組が行われており、刑法犯認知件数はピークであった平成16年以降減少傾向に転じています。 地域が絶えず犯罪に対して注意し、パトロールをはじめとした活動を犯罪企図者(犯罪を犯そうと企てている人)に見せることで、その地域での犯行を思いとどまらせることが期待できます。 地域における自主的な取組が力を合わせることで、犯罪に強く快適な地域をつくり、身近な犯罪の発生の防止につなげます。 【施策の展開】  防犯に関する各種キャンペーンや防犯講習会・研修会などを通じて、市民の防犯知識・防犯意識を高めます。 各区が警察署と連携し、犯罪の発生状況を「防犯情報メール」として配信するほか、自治会町内会の回覧など様々な媒体を活用し、犯罪の発生状況の提供や防犯対策等の呼びかけを行います。 自治会町内会をはじめ警察署、防犯協会、小学校など関係者が連携し、防犯パトロールなど、地域での防犯活動・見守り活動に取り組みます。 青色回転灯装着車によるパトロールの実施や、地域への防犯パトロール用具の提供、「子ども110番の家」プレート配布等を通じて、地域における防犯活動の取組を支援します。 自治会町内会等による地域防犯カメラ設置に対する補助やLED防犯灯の設置等を通じて、犯罪が起こりづらい環境づくりに取り組みます。 34頁 第4章 誰もが安心して自分らしく健やかに暮らすための更生支援の推進 関係者間で方向性(計画)の進捗状況についての情報共有や、司法関係者と福祉関係者の連携を図る場を設けることについて検討します。 刑事司法関係機関とともに国、地方自治体や民間協力者等関係者が連携し、一丸となることで方向性(計画)を効果的・効率的に推進します。 35頁 策定経緯 1 検討体制 (1) 横浜市再犯防止推進計画策定検討会 学識経験者や更生保護に取り組む組織・団体の方からなる懇談会形式の「横浜市再犯防止推進計画策定検討会」(以下、「検討会」)を開催し、方向性(計画)の策定全般や各種施策の実施等について意見を拝聴します。 【開催状況】 ・第1回 令和元年5月16日 計画骨子(案)の検討 ・第2回 令和元年7月25日 計画素案(案)の検討 【横浜市再犯防止推進計画策定検討会 委員構成】 団 体 等 (座長)武蔵野大学 人間科学部社会福祉学科 准教授 (座長代理)神奈川県弁護士会 横浜刑務所 分類教育部 分類教育部長 横浜少年鑑別所 地域非行防止調整官 横浜保護観察所次長 横浜市保護司会協議会 会長 横浜市更生保護女性連盟 会長 更生保護法人 横浜力行舎 施設長 神奈川県地域生活定着支援センター センター長 特定非営利活動法人 マザーハウス 理事長 横浜公共職業安定所 主任就職促進指導官 栄区社会福祉協議会 事務局長 あおば地域活動ホームすてっぷ 所長 横浜市緑区生活支援センター 所長 横浜市不老町地域ケアプラザ 所長 港南区福祉保健センター長 36頁 (2) 庁内再犯防止推進計画策定会議 庁内関係部署の部長級からなる「庁内再犯防止推進計画策定会議」を開催し、検討会での意見を踏まえ、方向性(計画)の策定を進めます。 【開催状況】 ・第1回 平成31年3月20日 計画骨子(案)について ・第2回 令和元年8月22日  計画素案(案)について 37頁から39頁 コラム(今後掲載予定) 誰もが安心して自分らしく健やかに暮らすための更生支援の方向性 ―横浜市再犯防止推進計画― 素案 意見募集 市民の皆様のご意見を募集します。 【実施期間】 令和元年10月16日(水)から令和元年11月15日(金)まで 【提出方法】 ・はがき 切手不要 (素案概要版添付のはがきを切り取ってお使いください。) 11月15日(金)消印有効 ・FAX   045−664-3622 ・メール kf-saihan@city.yokohama.jp ※メール件名は「意見募集」としてください。 【注意事項】 ・いただいた御意見の概要と、それに対する本市の考え方をまとめ、後日ホームページ で公表いたします。個別回答はいたしませんので、御了承ください。 ・取得した個人情報は、「横浜市個人情報の保護に関する条例」の規定に従い、適正に管 理し、本案に対する意見募集に関する業務にのみ利用させていただきます。 ・電話での御意見は受け付けておりませんので、御遠慮ください。