横浜未来の文化ビジョン(仮称)素案 令和8年1月 横浜市にぎわいスポーツ文化局 目次 1 策定趣旨及び経緯 1ページ (1)策定の目的 (2)本ビジョンにおける「文化」の定義 (3)横浜市の文化の歴史と現状 (4)素案策定にあたっての経緯 (5)本ビジョンの位置付け 2 基本的な方向性「横浜文化の創造」と4つのビジョン 5ページ (1)基本的な方向性と4つのビジョン (2)10 年後の姿/10 年後のストーリー 3 本ビジョン実現のための施策 11ページ 基本的な方向性「『横浜文化』の創造」の実現のための施策 ビジョン1「誰もが自分の夢に向かって進めるまち」の実現のための施策 ビジョン2「ウェルビーイング(幸福)を実感できるまち」の実現のための施策 ビジョン3「サステナブル・シフトの文化が根付くまち」の実現のための施策 ビジョン4「いたるところに文化が息づくまち」の実現のための施策 4 本ビジョン実現に向けた推進の考え方 22ページ 5 達成指標 23ページ 【1ページ】 【2ページ】 【3ページ】 1 策定趣旨及び経緯 (1)策定の目的  横浜市政の現状や文化の状況、次期中期計画での方向性等を踏まえ、「横浜の文化の将来像」(横浜未来の文化ビジョン(仮称)、以下「ビジョン」という。)を描き、事業目的や達成指標を明確にした上で、その実現に向けた取組の基本的な方向性を策定します。  文化の力により横浜の価値を高め、市民の皆さんに市民生活における文化的豊かさを実感していただくことで、住みたい街・住み続けたい街と感じていただくことを策定の目的とします。  本ビジョンでは、文化振興とまちづくりを結びつけて、未来の姿を策定しています。文化振興もまちづくりも時間をかけて、少しずつ、前進していくものです。そのためには、未来を見据えた継続した施策が必要となりますので、当面10年間で取り組む方向性を定めつつ、長期的に目指す姿を描きます。 (2)本ビジョンにおける「文化」の定義 本ビジョンにおける文化とは、人の営みを全て含むものと定義しますが、主に取り扱うのは、文化芸術基本法(平成13年法律第148号)が対象としている以下の各項目とします。 ・芸術(文学、音楽、美術、写真、演劇、舞踊、その他の芸術(建築など)) ・メディア芸術(映画、漫画、アニメーション及びコンピュータその他の電子機器等を利用した芸術) ・伝統芸能(雅楽、能楽、文楽、歌舞伎、組踊その他の我が国古来の伝統的な芸能) ・芸能(講談、落語、浪曲、漫談、漫才、歌唱その他の芸能(伝統芸能を除く。)) ・生活文化(茶道、華道、書道、食文化その他の生活に係る文化)  上記の各項目に限定する趣旨ではなく、ライフスタイル全般を含むものとします。  なお、文化財等(有形及び無形の文化財並びにその保存技術)については、第1期「横浜市文化財保存活用地域計画(2024(令和6)年度から2029(令和11年)度まで)」に依拠するものとします。 (3)横浜市の文化の歴史と現状  横浜の歴史を振り返ると、縄文時代から人が住み、豊かな人物表現のある土偶がつくられていました。中世には湊が交易の拠点となり、江戸時代には東海道の宿場が3宿開かれ、国内の移動の大動脈を支えていました。宿場では、短歌をはじめとしたさまざまな文化が営まれていました。大きな城は築かれなかったものの、多数の寺院があり、鎌倉時代につくられた仏像等様々な美術品が宝物として伝承されました。  開港期には欧米の文化と直接向き合い、市民は旺盛な好奇心を持って、それら新しい文化を吸収しました。明治期にはこうした新しい文化を求めて全国から人が集まり、いち早く洋画・写真などの技術を習得した人たちが作品をつくりはじめました。海外へ超絶技巧の陶芸等工芸品を輸出することで産業が発展してきたのです。  大正期にはこうした貿易によって財を得た商人により、能楽振興や美術振興が行われました。代表的な存在が原三溪で、古建築を集めた庭園を築き、美術品の一大コレクションを築き、当時の新進作家を支援しました。  関東大震災と第二次世界大戦によって、横浜は壊滅的な打撃を受けましたが、そのたびに市民はいち早く文化活動を再開し、復興に向かう心の糧としてきました。戦後の発展とともに横浜の文化は、伝統に基づくとともに先進性を掲げて展開してきました。  全国に先駆ける市民ギャラリーの開設、現代音楽を紹介するシリーズの実施、横浜美術館や横浜みなとみらいホール、各区の区民文化センターなどの文化施設の整備・運営、横濱ジャズプロムナードや横浜トリエンナーレなどの大型イベントの実施、そして2004(平成16)年からは文化芸術創造都市施策の推進に取り組んできました。この間、市民の文化団体による多くの活動が展開され、年齢層を問わず幅広い市民の皆さんが日常的に文化活動に参加してきました。近年は大型アリーナなどの整備が進み、ライブハウスなども含めた文化施設の集積が進むとともに、民間主導の文化イベントも開催されています。 ここに横浜の文化の歴史を表した図があります。 右側には横浜の文化の歴史が記載され、矢印で繋がっています。上から、 縄文から弥生:集落での農耕生活 古代から中世:古代都筑郡の役所、仏教文化の興隆 江戸時代:東海道の3つの宿場が文化経済の中心 幕末:開港し、居留地が生まれ、海外の文化が流入 明治:横浜市制開始、陶芸品の海外輸出、劇場街発展 大正:はらさんけいによる芸術家支援、関東大震災 昭和:横浜大空襲による被害、市民の文化活動の興隆 平成:公設文化施設の整備、文化芸術創造都市施策の開始、大規模文化事業の実施 令和:民間文化施設の集積、老朽化施設の大規模改修  次に、従前計画「横浜市文化芸術創造都市施策の基本的な考え方(2012(平成24)年度策定)」の説明があります。 本ビジョンの先行計画となるのは、2012年(平成24年)12月に策定した「横浜市文化芸術創造都市施策の基本的な考え方」です。2004年に開始した文化芸術創造都市施策について、4つの基本方針のもとで考え方を整理したものです。 (4)素案策定にあたっての経緯  本素案を策定するにあたっては、令和7年6月に骨子案を公表し、市民モニター調査で広く市民の皆様のご意見を募るとともに、関係団体の皆さまとの意見交換会を実施しました。 本市をめぐる状況やいただいたご意見などを基にして、素案を策定しました。 令和7年6月    骨子案公表     6月    市民モニター調査     7月〜9月 関係団体等との意見交換会     【意見交換・意見聴取を行った団体等】      子どもたち(放課後キッズクラブ利用者、高校生)      子育て世代(子育て支援拠点利用者)      公益社団法人チャンスフォーチルドレン      障害者団体(3団体)      障害者スポーツ文化センター横浜ラポール(障害者文化活動)      神奈川県障害者文化芸術活動支援センター      横浜市芸術文化振興財団      ヨコハマアートサイト参加団体      横浜市内文化団体、文化施設運営者     10月    横浜未来の文化ビジョン(仮称)有識者懇談会 (5)本ビジョンの位置付け  本ビジョンは、次期「横浜市中期計画」との整合を図り、概ね10年後の文化分野における将来像として策定するものです。文化芸術基本法第7条の2に定める「地方文化芸術推進計画」及び障害者による文化芸術活動の推進に関する法律第8条に定める「地方公共団体の計画」と位置付けます。 ここに図があります。 「横浜未来の文化ビジョン」(仮称)ビジョンの位置付けのイメージ図として、国の法律と、 本市の計画との関連図を載せています。  図の右側には、楕円の中に横浜市の記載があり、横浜市の記載の左下に、「横浜市中期計画」があり、その下にある「横浜未来の文化ビジョン(仮称)」と双方向矢印で繋がっており、 双方が整合されていることを表しています。また、「横浜未来の文化ビジョン(仮称)」と「本市関連計画(横浜市文化財保存活用地域計画等)」が、それぞれ双方向の矢印で繋がっており、それぞれが連携して進めていくことを表しています。  図の左側には、国があり、国の法律として、「文化芸術基本法」と「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」があります。 左側の国から右側の横浜市へ矢印が伸びており、国の法律を根拠に、横浜市の各計画が位置付けられていることを表しています。 ■文化芸術基本法(平成13年法律第148号) (地方文化芸術推進基本計画) 第七条の二 都道府県及び市(特別区を含む。第三十七条において同じ。)町村の教育委員会(地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)第二十三条第一項の条例の定めるところによりその長が文化に関する事務(文化財の保護に関する事務を除く。)を管理し,及び執行することとされた地方公共団体(次項において「特定地方公共団体」という。)にあっては,その長)は,文化芸術推進基本計画を参酌して,その地方の実情に即した文化芸術の推進に関する計画(次項及び第三十七条において「地方文化芸術推進基本計画」という。)を定めるよう努めるものとする。 2 特定地方公共団体の長が地方文化芸術推進基本計画を定め,又はこれを変更しようとするときは,あらかじめ,当該特定地方公共団体の教育委員会の意見を聴かなければならない。 ■障害者による文化芸術活動の推進に関する法律(平成30年法律第47号) (地方公共団体の計画) 第八条 地方公共団体は、基本計画を勘案して、当該地方公共団体における障害者による文化芸術活動の推進に関する計画を定めるよう努めなければならない。 2 地方公共団体は、前項の計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めるものとする。 【5ページ】 2 基本的な方向性「横浜文化の創造」と4つのビジョン (1)基本的な方向性と4つのビジョン  概ね10年後の横浜の文化の姿を描く基本的な方向性と4つのビジョンです。  横浜の持つ強みを生かした「『横浜文化』の創造」を基本的な方向性として、4つのビジョンの実現につなげます。 ・基本的な方向性  横浜の強みを生かした「横浜文化」の創造 ・ビジョン1 誰もが自分の夢に向かって進めるまち  すべての市民が希望に応じて文化的な活動ができる ・ビジョン2 ウェルビーイング(幸福)を実感できるまち 身近な地域に、心身の健康増進の場があり、文化による地域コミュニティが市全域で形成されている ・ビジョン3 サステナブル・シフトの文化が根付くまち  文化活動において、DXや脱炭素社会の推進をクリエイティブに目指し、持続可能性を高めている ・ビジョン4 いたるところに文化が息づくまち 街なかや企業活動、イベント等、様々な場面に文化が息づき、にぎわいづくりや経済・観光振興につながっている   【6ページ】   (2)10年後の姿/10年後のストーリー ■基本的な方向性 「横浜文化」の創造  このビジョンの基本的な方向性は、横浜の持つ強みを生かした「『横浜文化』の創造」とします。  横浜の持つ、@独自コンテンツA開放性・多様性B意欲ある担い手C豊富な地域資源などの強みを生かし、あわせて、それらの強みをより一層充実することにより、「横浜文化」の創造を進めていきます。  「横浜文化」の創造を進めることにより、ビジョン1から4の実現につなげていきます。 ・10年後の姿  横浜の強みがさらに充実することで、横浜ならではのコンテンツが形成され、「横浜文化」が生まれています。文化になじみのない人たちに関心を持っていただくための取組が増え、 文化芸術活動が活発になっています。 ・10年後のストーリー  市内の各区では、それぞれの個性を発揮した文化活動が行われていて、地域への愛着が高まっている。  横浜から巣立ったアーティストの活躍は市民としてうれしい。一昨年の全日本学生音楽コンクールの第1位入賞者が、今年の海外の国際コンクールでも優勝した。  横浜は将来芸術家を目指す人たちにとって、飛躍のチャンスがある街と感じてもらっているようだ。 【7ページ】 ■ビジョン1 誰もが自分の夢に向かって進めるまち  ビジョン1では、「誰もが自分の夢に向かって進めるまち」として、すべての市民が希望に応じて文化的な活動ができることを目指していきます。 ・10年後の姿  子どもたちをはじめ、年齢、性別、障害の有無、国籍等に関わらず、誰もが参加できる文化活動の機会が、多様なジャンルで豊富に用意され、一人ひとりの希望に応じて参加することができます。 ・10年後のストーリー  次男は小学校から帰るとまっすぐ子どもアートセンターへ向かう。ここでは置いてある楽器に自由に触われるだけではなく、絵を描くための絵具や道具も用意されている。最近は水彩画に興味を持っているようだ。長男は学校の授業で狂言を見てきたという。  いろんなことに好奇心を持つようになって、将来の夢も広がっているようだ。 【8ページ】 ■ビジョン2 ウェルビーイング(幸福)を実感できるまち  ビジョン2では、「ウェルビーイング(幸福)を実感できるまち」として、身近な地域に、心身の健康増進の場があり、文化による地域コミュニティが市全域で形成されていることを目指していきます。 ・10年後の姿  身近な場所で文化芸術活動へ参加する市民が増えることで、文化による心身の健康効果を実感できるまちとなっています。文化によるコミュニティが市全域で形成されています。 ・10年後のストーリー  最近祖母の元気がなく、かかりつけ医に紹介されたリンクワーカーに相談したら、合唱団への参加を勧められた。元気がなくて心配だったが、若いころの合唱の経験を踏まえ、久しぶりに地元の合唱団に通いはじめたら、他の団員と笑顔で歌っているらしい。  近所の空き家を改装したカフェでは、月替わりでアート作品が展示されていて、近所の人たちの交流の場になっている。 【9ページ】 ■ビジョン3 サステナブル・シフトの文化が根付くまち  ビジョン3では、「サステナブル・シフトの文化が根付くまち」として、文化活動において、 DXや脱炭素社会の推進をクリエイティブに目指し、持続可能性を高めていることを目指していきます。 ・10年後の姿  二酸化炭素排出量削減やサーキュラーエコノミー推進などの気候変動対策、デジタル化の推進等にあたり、クリエイティビティを発揮して、文化と都市の持続可能性が高まっています。 ・10年後のストーリー  今日のステージの大道具は、以前は全く別の団体の上演で使われていたものらしいが、違和感はない。衣装も他の団体と共有しているようだ。美術館での展示でも、輸送費などでの二酸化炭素排出量に配慮しているとのこと。文化活動全般で気候変動対策に取り組んでいる様子がわかる。  文化施設に対しては、ネーミングライツやクラウドファンディングなど様々な応援のプランがある。 【10ページ】 ■ビジョン4 いたるところに文化が息づくまち  ビジョン4では、「いたるところに文化が息づくまち」として、街なかや企業活動、イベント等、様々な場面に文化が息づき、にぎわいづくりや経済・観光振興につながっていることを目指していきます。 ・10年後の姿  民間施設や民間が主導する文化事業との連携が市内で展開されるとともに、ひらかれた歴史的建造物や公共空間などで魅力的な活動が生まれることで、まちづくりや、にぎわい創出、経済・観光振興につなげています。地域や職場など市内の様々な場所に文化が息づいています。 ・10年後のストーリー  ヨコハマの街は刺激的だ。いつ行っても何かのイベントがある。有名アーティストのライブが地元で開催されているのは友達に自慢できる。歴史的建造物は横浜の街を印象的なものにしている。  勤務先のオフィスにはレンタルのアート作品が月替わりで飾られ、昼休みには気分転換で眺めているとインスピレーションが湧くことがある。 【11ページ】 【12ページ】 【13ページ】 3 本ビジョン実現のための施策 「『横浜文化』の創造」」及び各ビジョンの実現に向けた施策を定めます。 基本的な方向性「『横浜文化』の創造」の実現のための施策 【基本的な施策の方向性】 =過去の尊重と未来への展開による「横浜文化」の創造=  横浜の歴史や文化の蓄積を尊重するとともに、現代に新たに生まれる文化を未来へ展開し、持続し高めていくことにより、横浜市民の皆さんのアイデンティティとなる「横浜文化」を、市民の皆さんとともに創り上げます。 0-1■独自のコンテンツ 〇ジャズやコンテンポラリーダンス、吹奏楽など様々なジャンルの活動をはじめ、各専門施設での取組など横浜ならではのコンテンツを充実させていきます。 〇18区それぞれが、区独自の文化の掘り起こしをおこない、担い手の育成や地域の個性の発信を行います。 〇市民との協働による創造プロジェクト、ジャンル横断型の創作、国際共同制作など多彩な取組を推進します。 〇歴史的建造物や文化財、地域の恒例のイベント等の文化資源をさらに磨き上げ、それらを生かした地域ブランディングを進めます。 〇横浜の文化の発展・向上に尽力した方を顕彰します。 〇公設及び民設の文化施設が文化活動の拠点となり、市民の皆さんの活動を支えるとともに、多様な文化に触れる機会を提供する場となります。 〇文化施設以外の場を含めて、市民の皆さん、民間事業者の皆さんが活動しやすい環境づくりを進めます。特に市民の文化芸術活動の基盤となる活動を支援します。 〇多様な市民が文化権にもとづき文化的な活動を行う環境を整えるとともに、生き生きと暮らすことができる街を目指すため、市民一人一人の多様な価値観と表現の自由を尊重します。 〇市民の皆さんが多様な文化に触れあう機会となるよう、文化芸術の鑑賞の機会を充実させるとともに、興味はあるが敷居が高いと感じている人向けの講座を実施します。 0-2■文化活動の担い手の育成 〇アーティスト、クリエイター、NPO、市民グループなど多様な文化活動の担い手を支援し、創造的な活動の循環を促進します。 〇若手文化人材の育成を図るため、教育機関との連携、創作活動の発表機会の創出を行います。 〇市民生活・文化に豊かさをもたらす手仕事・手作業の魅力や価値を伝えるため、卓越した技能職者である「横浜マイスター」の選定、技能職者による技能披露、横浜マイスターの紹介動画や作品・技のデジタルカタログによるPR等を行います。 〇技能職団体が実施する事業との連携・支援や、長年の技能研鑽に対する表彰事業等を通じて技能継承を推進します。 〇技能職振興の拠点として、技能職者や技能職団体の活動を支援し、横浜らしい技能文化を創造・発信します。 0-3■文化の継承と新たな創造の両立 〇市内の文化団体や、伝統芸能団体の活動の継続に向けた支援を行います。 〇文化資源の保護と利活用のバランスを取り、地域の魅力として発信するなど、文化資源マネジメントを推進します。現代アーティストとの協働や企業との連携など、新たな解釈による伝統文化の再構築・現代化を図ります。 〇文化財(市内の横浜の歴史や文化を知る手がかりとなるものや地域で大切に守られてきたもの)や歴史文化(文化財が置かれている自然環境・周囲の景観など、周辺環境も含め文化財とそれに関する様々な要素が一体となったもの)の保存・活用へ向けた支援を行うとともに、次世代への継承へ向けた「まもる」「いかす」「つながる」の3つの目指す姿へ向けた取組を実施します。 〇市の区域内に存する重要な風俗風習・民俗芸能や、地域住民が守ってきたもの及び地域を知る上で必要な風俗風習・民俗芸能の保存・活用に向けた支援を行います。 〇BankPark YOKOHAMA(旧第一銀行横浜支店)では、工芸などの継承を支援し、若い世代への橋渡しを行います。また、各拠点では現代アーティストとの協働や企業との連携など、新たな解釈による伝統文化の再構築・現代化を図ります。 〇本市の文化施設には、横浜美術館収蔵美術資料、市民ギャラリー収蔵美術品、市民ギャラリーあざみ野カメラ・写真コレクション、大佛次郎記念館大佛次郎旧蔵資料の4つのコレクションがあります。これら4つのコレクションについて、それぞれ適切な保存を図り後世へ受け継ぐとともに、調査研究の充実により価値を高めます。またコレクションの展示により、市民の皆さんに広く価値を還元し、横浜の文化として内外に発信します。 0-4■開放性・多様性あるネットワーク 〇市内外の文化施設、自治体、大学、国際機関、アーティスト等との国内横断・国際的なネットワークを構築します。 〇パフォーミングアーツ等の広域・国際的な文化ネットワークに参画し、域内の諸活動の活性化を図ります。 〇CCNJ(創造都市ネットワーク日本)に参加し、創造都市間交流を進め、課題やノウハウの共有を進めます。 〇これまで築き上げてきたアジアの都市を中心とした文化交流を、引き続き進めます。 【取組の具体的な例】 ■専門文化施設での事業  横浜みなとみらいホールでは、世界的な演奏家が出演する事業とともに、子どもたちや文化になじみのない人に興味を持ってもらえる事業に取り組みます。  ここに、横浜みなとみらいホール25周年記念事業の写真があります。写真提供は藤本史昭です。 【14ページ】 【15ページ】 ビジョン1「誰もが自分の夢に向かって進めるまち」の実現のための施策 【基本的な施策の方向性】 =誰もが希望に応じて文化活動に参加できる環境整備=  子どもたちをはじめ、障害の有無や年齢、性別・性自認、国籍やルーツ、職業、収入、在住地などに関わらず、誰もが文化活動に参加できるように、文化活動の機会を提供します。 1-1■子どもたちの文化体験機会の提供 〇家庭環境等に関わらず、子どもたち誰もが、学校や放課後の居場所など身近な地域で日常的に文化や創造性に触れる体験ができる機会を提供します。また、子どもたちが放課後や休日に気軽に立ち寄り、文化芸術に触れることができるスポットを市内各所に設けます。 〇子どもたちが、人生のなるべく早い段階で、良質な文化芸術と出会い、新しい価値観と文化の創造にふれ、自らも創造的な活動に参加する機会を創出します。 〇子どもたちが文化芸術の多面的な魅力に気づくことができる機会を提供します。 〇ICTの普及などが進んでいる今、「本物」の優れた文化芸術に接する機会を充実させ、子どもたちの感性や創造性、豊かな心を育み、公教育で劇場等の鑑賞マナーを学ぶとともに、 舞台芸術を体験できる機会を設けます。 〇子どもたちが日頃の学習の成果を発表し合う活動を通して学び合いを深めるとともに、文化芸術に対する関心や学習意欲を高め、健全な育成を図ります。また、保護者をはじめ、広く市民に対して、市立学校の文化的・芸術的教育活動の成果を伝え、理解を図るとともに、 国際文化都市としての本市の文化芸術振興を図ります。 1-2■障害者の個性と能力の発揮の機会の創出 〇障害のある人の個性と能力の発揮のため、創造的な表現活動を後押しし、地域や文化施設との協働を促進します。 〇各文化施設では、障害の有無を問わず参加できる機会を提供するとともに、障害者の作品発表の機会をつくります。 〇文化事業の実施や各文化施設の運営にあたっては、障害者スポーツ文化センター横浜ラポールや、神奈川県障害者芸術文化活動支援センターと連携し、障害者の様々な文化活動を支援します。 1-3■誰もが自由に文化を楽しめる環境づくり 〇鑑賞・体験・発表を通じた社会参加と、多様性共生の意識醸成を進めるため、様々な文化事業において障害者の鑑賞サポートを充実させるとともに、施設のバリアフリー化・ユニバーサルデザイン化の拡充や、パーキングパーミット制度(車いす使用者用駐車区画等の適正利用を推進する制度)の導入等を図ります。また、認知症高齢者など、文化施設に来ることに障壁を感じている人たちなど多様な人たちの特性へ配慮した文化芸術プログラムを実施します。 〇高齢者にとって参加しやすい機会を提供するとともに、経済的に苦しい状況にある方や地理的に文化施設からの距離があるところにお住まいの方など、様々な背景の方が文化活動に参加できる機会を充実します。 【新たな取組例】 ■子どもアートセンター  子どもたちが放課後や休日に、身近な地域で気軽に文化体験ができる場を、子どもアートセンターとして認定します。  ここに、スペースナナ(青葉区)での子どものアート体験の様子の写真があります。 【16ページ】 【17ページ】   ビジョン2「ウェルビーイング(幸福)を実感できるまち」の実現のための施策 【基本的な施策の方向性】 =身近な地域で文化による豊かさを実感=  市民の皆さんが、身近な場所で文化活動に気軽に触れる環境づくりを進めます。文化活動によって、多くの市民が文化の効果を実感できるように、拠点づくりを進めるとともに、文化の敷居を下げるための仕組みづくりを市全域で展開します。 2-1■地域課題へのアプローチ 〇地域課題(例えば、高齢者の孤立、子育て支援、地域活性化など)に対し、文化や創造性を生かした様々なアプローチで地域コミュニティの活性化に貢献していく活動に対する支援を充実します。 〇郊外部における遊休施設等の地域資源を活用した文化的・創造的な取組による、地域課題の解決に取り組みます。 〇これまで都心臨海部エリアを中心に推進してきた創造都市施策のノウハウを生かし、都心臨海部以外の地域にも取組を拡大していきます。 〇地域の空き家や空きスペースなどの未活用空間を、アートやデザインなどのクリエイティブな手法で地域のコミュテニィの拠点などとして活用することで、地域の魅力と可能性を再発見するとともに、地域課題や社会課題にアプローチしながら、持続可能なまちづくりに貢献します。 〇横浜各地で行われている創造的活動や担い手を支援します。アーツコミッション・ヨコハマが地域住民やアーティスト、クリエイター、企業や団体など、様々な人々をつなげ、協働、共創による活動の展開を通じて、人々の地域への愛着や魅力の創出、地域コミュニティの活性化や地域に住む一人ひとりのウェルビーイングの実現に貢献します。 2-2■健康増進につながる文化活動 〇無料で気軽に参加できる身近な地域の文化活動の場を紹介し、外出を奨励します。 〇発声や踊り、創作活動のほか、博物館などの文化施設を訪問することが健康にも良い影響を与えることから、身近な地域での文化活動への外出を勧奨します。 2-3■地域のネットワーク形成への貢献 〇地域の文化施設(区民文化センターなど)を地域コミュニティの拠点として位置づけ、地域における文化的・創造的な活動を支援することで、地域住民の表現の場を広げ、新たなコミュニティ形成や地域の魅力向上に貢献することを目指します。また、住民や活動の担い手である個人、企業・団体などをつなぐことで協働・共創の取組を展開するなど地域コミュニティの活性化を図ります。 〇教育現場、福祉現場との連携、地域単位での文化活動の連携、課題横断型のネットワーク、災害時の文化支援など、課題やノウハウの共有などを目的とした、地域における柔軟で多様なネットワークである文化的コモンズ形成に貢献します。 〇地域において創造性を生かした多様なジャンルの活動(音楽、舞台芸術、美術、生活文化に関する活動など)を支援・促進することで、地域住民間の交流を活発化させ、新たなコミュニティ形成を推進することを目指します。 【新たな取組例】 ■アート休憩所  「博物館浴(R)」の考え方を踏まえ文化施設、図書館、地区センター、コミュニティカフェ、 書店等を一定の条件のもと、「アート休憩所」と位置付け、高齢者などあらゆる人が徒歩圏内で文化に触れて、心と身体のリフレッシュをする場を目指していきます。  「博物館浴(R)」とは、森林浴や海水浴のように、博物館などでの作品鑑賞を通して、ミュージアムの持つ癒し効果を人々の健康増進・維持や疾病予防に活用する活動です。  ここでの「博物館」とは、博物館法に基づき、歴史系・美術系・科学系などの施設を「博物館」と定義します。  ここに、横浜美術館グランドギャラリー(じゆうエリア)の「くつぬぎスポット」の写真があります。撮影は新津保建秀です。 【18ページ】 【19ページ】 ビジョン3「サステナブル・シフトの文化が根付くまち」の実現のための施策 【基本的な施策の方向性】 =持続可能性・気候変動対策・環境保護への貢献=  文化事業、文化施設運営におけるサステナブル・シフトとして、気候変動対策・環境保護への貢献を進めます。施設運営のみならず、施設整備や施設改修にあたっては、気候変動対策に資する設備導入を優先するとともに、再生可能エネルギーを可能な限り活用します。 3-1■文化事業・施設運営における気候変動対策指針 〇市内文化事業、文化施設で活用できる気候変動対策の指針を定め、幅広く賛同を募り取組を拡大することで、文化の面からも気候変動対策に取り組みます。 3-2■行動変容を促す文化活動 〇サーキュラーエコノミーなどをテーマにしたアート作品や、廃材を使ったアート作品づくりなど、文化活動を通して、行動変容を促します。 3-3■財源確保の多様化 〇文化事業や文化施設の持続可能性を高めるため、財源の多様化を図ります。クラウドファンディングやふるさと納税制度の活用のほか、ネーミングライツなど多角的に財源確保を図ります。 〇文化事業や創造界隈拠点の持続可能性を高めるため、有償貸付など多角的に財源確保を図ります。また、様々な事業や施設運営に、民の力を導入し、官民連携による効率的な執行を一層進めます。 3-4■公共施設適正化の検討 〇既存の施設については、今後の長期修繕計画を策定し、適切な維持管理に努めるとともに、 市全体の公共施設管理計画に基づき、適正規模を検討します。区民文化センター未整備区においては、まちづくりの機会をとらえて、区の他の公共施設の状況を踏まえて、不足する機能の確保という視点での検討を進めます。 3-5■デジタル化の推進と活用 〇文化事業や文化施設運営におけるデジタル技術の導入・活用を通じて、文化へのアクセス向上、新たな表現の創出、情報発信の強化、運営の効率化などを目指します。市民利用施設予約システムにより文化施設のオンライン予約・決済を引き続き実施するとともに、チケット購入など事業面においても、スマートフォンなどでの手続きが完結できるようにするなど、高度化に取り組みます。 〇各文化施設が持つコレクションや事業アーカイブをデジタルデータ化し、一般に供することで、文化へのアクセシビリティを向上させるとともに、様々な活用を通じて、文化への関心を高めます。 【新たな取組例】 ■横浜版グリーンブック  文化事業・施設において、二酸化炭素排出量の削減や循環型社会の構築に資する取組など持続可能性の向上に向けたガイドラインの策定を目指します。 ここに、シアター・グリーン・ブック日本語翻訳版の写真があります。 【20ページ】 【21ページ】 ビジョン4「いたるところに文化が息づくまち」の実現のための施策 【基本的な施策の方向性】 =文化政策と他の行政領域との連携=  文化事業をにぎわい・観光・経済政策と連動させることで、地域活性化に貢献し、都市の好循環を生み出します。 4-1■街なかでの文化事業の展開 〇横浜ならではの街なかを活用したフェスティバルを民間事業者と連携して開催し、横浜の文化を発信することで都市としての魅力を高めます。また、様々なコンテンツと連携した回遊促進の取組により、にぎわいの創出や地域経済の活性化につなげます。 〇街なかで文化事業を展開することにより、地域経済の活性化に貢献します。大型の文化イベントを官民連携で開催することにより、来訪者の回遊性を高めるとともに、都市の対外的な知名度、ブランド力を高めます。 4-2■誰もが楽しめる文化イベントの開催 〇子どもたちを含め、多くの市民・来街者が気軽に作品や文化活動に触れ、広く文化への関心の入口になるような大規模文化イベントを開催します。 〇海外での主要な文化イベントに比肩する大型のイベントを開催・支援し、内外の芸術愛好者だけではなく、広く一般の方の文化への関心の入口となるようなイベントを開催することで、文化芸術振興に資するとともに、内外に広がるネットワークを構築します。 4-3■観光・にぎわいづくりへの貢献 〇音楽アリーナの集積等を契機に、様々なコンテンツや音楽イベントと連携し、街なかの公共空間を活用した回遊施策等のにぎわいづくりの取組により、横浜固有の魅力の発信や地域経済の活性化につなげます。 ○歴史的建造物や高層ビル群など、まち全体が一体となった光と音楽で躍動するスペクタクルショー等を実施し、開港以来、築き上げてきた都市景観を磨きあげ、横浜ならではの夜景を創出するとともに、地域と連携し、にぎわい創出や地域経済活性化につなげます。 〇文化に関するコンテンツを、観光・にぎわいづくりとの連携により横浜固有の魅力として打ち出します。観光客のニーズにあわせて、提供するコンテンツを柔軟に検討します。市内の文化的な資産について掘り下げることにより、観光資源としての魅力をブラッシュアップします。 4-4■創造性を生かしたビジネス創出 〇市内で培われた技術や発想・アイデアをビジネスにつなげることで、創造性を生かした地域経済の活性化に貢献します。 4-5■歴史的建造物や公共空間等のさらなる活用 〇都心臨海部の魅力的な歴史的建造物や公共空間等を、新たなにぎわいの創出や人々の豊かなライフスタイルの実現に向けた拠点としても活用していきます。 〇創造的な経済活動の活性化につなげるため、創造界隈拠点を新たなにぎわいの創出や、 人々の豊かなライフスタイルの実現に向けた拠点としても活用していきます。 〇歴史的建造物や公共空間などの都市景観を保全し、文化的な取組を通じて、魅力向上に努めます。 〇街なかのパブリック・アートについての保全を進め、良好な作品環境を守ります。 〇市民や来街者のウェルビーイングに貢献するため、経済や観光等との連携によるにぎわいの創出やクリエイティブな活動を通じたコミュニティの形成を進めます。 【新たな取組例】 ■象の鼻テラスのリニューアル  海辺のロケーションを活かした人々が集う交流の拠点として、カフェや誰もが楽しめる多様なプログラムを展開し、新鮮でクリエイティブな時間と体験を提供する施設へとリニューアルします。  ここに、象の鼻テラスの写真があります。撮影は、Katsuhiro Ichikawaです。 【22ページ】 4 本ビジョン実現に向けた推進の考え方  フラットなネットワークづくりを奨励することで、ノウハウの共有や人材交流を進め、各主体によるビジョンに沿った活動の展開を促進します。  市内の文化施設、事業者、文化団体が定期的に集まり、情報共有を行う場を作るなど、文化ビジョンに関わる意見交換ができるような環境づくりを進めます。また、行政内部での分野を超えた横断的な取組を進めます。  本ビジョンをより多くの方に知っていただくため、市の各種広報手段等の活用を図るとともに、文化施設、文化団体等においても周知にご協力をお願いしていきます。  こうした環境を活用し、本ビジョンを推進していきます。 【23ページ】 5 達成指標  ビジョンの達成度を測る指標を設定します。  この指標は5年後に中間数値を出して検証します。 現状値は今後の調査で確定します。 ・基本的な方向性「『横浜文化』の創造」  指標:横浜市は文化の参加機会や楽しめる環境が充実していると思う市民の割合  把握方法:市民意識調査(新中期計画施策群23「文化芸術」の指標) ・ビジョン1「誰もが自分の夢に向かって進めるまち」  指標1:文化活動に鑑賞・参加した人の割合、  把握方法:市民モニター調査  指標2:子どもの体験機会数(文化分野)  把握方法:(新中期計画施策群8「子どもの体験機会づくり」の指標の内数)  指標3:障害のある方のアート作品や芸術活動に鑑賞や参加したことがある人の割合  把握方法:市民モニター調査です。 ・ビジョン2「ウエルビーング(幸福)を実感できるまち」  指標:文化の効果を実感している市民の割合  把握方法:市民モニター調査です。 ・ビジョン3「サステナブル・シフトの文化が根付くまち」  指標:文化芸術を通じて環境に良い取組をしていると感じている市民の割合  把握方法:市民モニター調査です。 ・ビジョン4「いたるところに文化が息づくまち」  指標:公共空間・景観・文化財の保存・磨き上げが盛んであると感じている市民の割合  把握方法:市民モニター調査 【裏表紙】 横浜未来の文化ビジョン(仮称) 素案 令和8年1月発行 横浜市にぎわいスポーツ文化局文化振興課 〒231-0005 横浜市中区本町6丁目50 番地の10 電話:045-671-3714 FAX:045-663-5606 Email:nw-vision@city.yokohama.lg.jp