広報よこはま神奈川区版 8・9ページ 2022(令和4)年 1月号 No.291 ◯新春特集 神奈川区と路面電車  1872(明治5)年に日本で初めて新橋駅~横浜駅間に鉄道が開業してからちょうど150年。市内移動に鉄道は今でも欠かせない手段ですが、以前は路面電車が中心的存在でした。  路面電車は1904(明治37)年に開通し、1972(昭和47)年に廃止になりました。市民生活を支えた路面電車の歴史を紹介します。 かめ太郎「2022年は市電廃止から50年」 〈横浜で最初の路面電車は神奈川区!〉  市内の路面電車は、1904(明治37)年に横浜電気鉄道株式会社が「神奈川~大江橋」間に開通させたことから始まります。この「神奈川」は現在の青木橋付近、「大江橋」は中区桜木町付近です。1921(大正10)年に公営化され「横浜市電」となりました。 ●横浜電気鉄道株式会社のき章 横浜の「Y」とTransportation(トランスポーテーション)(輸送)などの「T」をヨコハマの「ヨ」で丸く囲むデザイン ●横浜市電気局(後の交通局)のき章 ハマ菱の周りを4つの電光をイメージした模様が囲むデザイン 市電メモ・・青木橋付近の「神奈川」は交通の要衝(ようしょう)  1872(明治5)年に、日本で最初の鉄道が走り出した東海道本線の新橋駅~横浜駅間の「神奈川駅」が現在の青木橋付近にあったため、京浜電鉄(現在の京浜急行電鉄)や横浜市電が明治末期にこの青木橋付近に起点や終点を置きました。複数の路線が集まる結節点でした。 市電メモ・・1904(明治37)年頃は 運賃=片道3銭(当時はアンパンが1銭、かけそばが2~3銭程度) 速度=時速約9km神奈川~大江橋間(約2.6km)に20分かかりました。(自転車の速度は時速10~20km)  ・・乗り遅れても走れば追いつけるスピードですね 〈最盛期の営業距離は51.8kmにも!〉  市電は関東大震災や太平洋戦争の空襲により大きな被害を受けるもすぐに復興し、市民の身近な交通手段として活躍しました。路線も拡大し、1960年頃がピークでした。  区内を走っていたのは、主に六角橋や新子安と桜木町駅方面をつなぐ路線でした。また、横浜市中央卸売市場の近くにも通じていました。 市電メモ・・1960(昭和35)年頃は 運賃=15円(当時はアンパンが12円、かけそばが35円程度) 乗客数=年間1億1,139万人(1日あたり約30万人で、当時の横浜市の人口は約137万人でした) ◯最盛期(1960(昭和35)年当時)の神奈川区内の市電停留所は23か所 六角橋・西神奈川町五丁目・東白楽・西神奈川町・東神奈川駅西口・二ツ谷町・反町・青木橋・横浜駅西口・鶴屋町三丁目・青木通・神奈川区役所前・神奈川会館前・中央市場・神奈川通二丁目・東神奈川駅前・神奈川通七丁目・神奈川通九丁目・子安・入江橋・末広橋・新子安・滝坂 神奈川区連合町内会自治会連絡協議会 佐藤 潮(さとう うしお)会長 「中学生のころ、弟と一緒に市電に乗り、三渓園の近くに釣りに行きました。当時の釣り竿は折りたためないので、長い竹の竿を市電の窓の外へ出して乗り、帰りはバケツに魚を入れて帰ってきました。当時はおおらかな時代でしたね(笑)」 〈時代とともに市電から市営地下鉄へ!〉  多くの人を運んだ市電。しかし、自家用車の普及による交通渋滞で定時運行が困難となったことなどから、区内では1966(昭和41)年に生麦線(洲崎神社前〜生麦)及び中央市場線(神奈川会館前〜中央市場)が廃止になったのを皮切りに、1968(昭和43)年には六角橋線(青木通~六角橋)などが廃止され、1972(昭和47)年に全線が廃止となりました。  同年に開業し、市営バスとともに市民生活を支えてきた市営地下鉄は、2022年に開業50周年を迎えます。 ※市営地下鉄については「市営地下鉄に乗ろう」で検索 ◯横浜市中央卸売市場付近 1960年代半ば・・物資の輸送が目的だった中央市場線は後に旅客化され、市場で働く人や、大きなかごを持って買付けに来る人を運びました。 現在・・当時と同じく貨物線(東海道貨物支線)の下を市営バス48系統が走っています。 ◯東白楽駅前の立体交差 1968(昭和43)年・・地上にある駅として開業した東白楽駅が現在のように高架駅なのは、市電との平面交差を回避するためです。 現在・・市営バス36・38・39・82・88系統と急行326系統が走っています。 ◯六角橋終点付近 1968(昭和43)年・・当時から商店が立ち並び活気のある六角橋に買物に来る人が市電を使いました。 現在・・市営バス36・38・39・82・88系統が走っています(急行326系統は通過します)。 現在の市営バスが走っている道は、かつて市電が走っていた道であることが多いです。 ※市営バスについては「市営バスに乗ろう」で検索 〈横浜市電の歴史〉 1872(明治5)年・・日本初の鉄道開業 1904(明治37)年・・横浜電気鉄道開業 1921(大正10)年・・路面電車が公営化し横浜市電になる  (1923(大正12)年 関東大震災が発生) 1927(昭和2)年・・浅間町線が開通 1928(昭和3)年・・生麦線、六角橋線が開通  (1945(昭和20)年 横浜大空襲・終戦) 1949(昭和24)年・・中央市場線の旅客輸送開始 1966(昭和41)年・・生麦線、中央市場線が廃止 1968(昭和43)年・・六角橋線、浅間町線の一部などが廃止 1972(昭和47)年・・市電全線廃止 / 市営地下鉄開業 ◯もっともっと知りたい人は横浜市電保存館に行ってみよう!  磯子区滝頭(たきがしら)3-1-53 電話754-8505  市電車両、停留所標識などが当時の姿で保存され、車両の中も見学できます。市電が走っていた当時の雰囲気を味わってみてはいかがでしょうか。 入館料金 大人(高校生以上):300円 / 3歳から中学生:100円(優待制度あり) 休館日 毎週月曜(祝日の場合は翌日)・年末年始(12月29日〜1月3日) アクセス 横浜駅東口から市営バス102系統で約30分。「滝頭」下車徒歩3分、JR根岸駅から市営バス21・78・133系統で約7分。「市電保存館前」下車すぐ 問合せ 区政推進課 電話・ファクス411-7021 314-8890