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奥津喬治郎と中田信用組合

最終更新日 2019年3月4日

早くから住宅地として開けた中田地区

9.奥津喬治郎(きょうじろう)と中田信用組合

奥津喬治郎の画像
奥津喬治郎

奥津喬治郎は、明治七年(一八七四)七月二十九日、中田村三一九八番地に、奥津家十代の長男として生まれた。喬治郎は、厳格な家庭に育ち薫陶(くんとう)を受け、よく勉学に励み、喬治郎白身も厳格な人であったようである。

明治二十二年ごろ、中田は百数戸の村であった。この頃は毎年不作が続き、高利の金を借りたため、田畑が人手に渡る家も増え、村は日々に疲弊(ひへい)していった。

明治二十五年ごろには、村はドン底におち、働いても恵まれない生活に自信を失う者も出てきて、村を立ち退こうという人々もあり、村人の動揺は目に余るものがあった。

中田寺の住職香川法隆上人に励まされ、立ち上がった一青年奥津喬治郎に賛同して、中田では新しい村作りが始まった。まず青年グループによる「中田農会」が結成され、会長に奥津喬治郎がおされ、県の農事試験場の視察、県の委託による中田試作場の経営を始めた。中田は火山灰土の上、連作により地力が減退しており、不作は燐酸質や肥料の不足が原因であることが分かった。中田農会はそのことを村人にも知らせ、過燐酸石灰の共同購入を行い、翌年から驚くほどの増収をあげることができた。しかし、高い金利の金を借りた農家の人々には、楽な生活は望めなかった。

横浜南農協中田支所脇に立つ頌徳碑の画像
横浜南農協中田支所脇に立つ頌徳碑

この問題を解決したのが、「中田青年教会」の設立であった。香川法隆上人を導師として中田青年教会が明治三十年に設立され、会長に奥津喬治郎が選ばれた。

毎月二回、農繁期は夜会(やかい)として例会を中田寺本堂で開き、精神修養、産業経済などの研究協議を行った。また、肥料代金の回収方法として、資金面から貯蓄の必要性を知り、明治三十五年頃から、各家では仏壇に毎朝一銭をあげて、五穀豊穣(ほうじょう)、家内安全を祈り、これを毎月十五目の貯金日に集金して積み立てたり、収穫時に天引き貯金などを行う「お賽銭貯金」が始まり、中田の人々はここで高利貸しとも縁が切れて村の再建への道が開かれた。


泉区内で設立された信用組合
組 合 名設立年事務所組合長組合員出資数
中和田殖産信用組合明治39年上飯田****1757
中和田共栄信用組合明治39年上飯田飯島孫八23173
中田信用組合明治41年阿久和奥津喬治郎125275
阿久和信用組合大正3年中田相沢益蔵213756
和泉信用組合大正4年和泉石川紋左衛門74263

一日一銭貯金が当時の婦人雑誌で紹介
一日一銭貯金が当時の婦人雑誌で紹介される

明治三十三年九月、産業組合法が施行された。信用、販売、購買、生産の四種類からなる協同組合で、ほとんどは農業組合であった。明治四十一年三月に浄土宗祖法然上人七百年記念事業として、無限責任中田信用組合の設立総会が中田寺の本堂で行われ、奥津喬治郎が初代の組合長に選ばれた。喬治郎が三十五歳の時であった。

当時、泉区内で設立された信用組合は、前の表の通りである。

組合設立三年目に、信仰と結びつき精神的に強い基盤を持った「お賽銭貯金」を特別貯金と改名し、天災地変や重要な用途以外には、一万円に達するまで払戻ししないことを原則とした。大正九年(一九二〇)の農産物下落の時は貯金の払戻が多く、前年に比べて貯金高五千円の減少を見たが、大正十二年の関東大震災では壊滅的打撃を受けながら、特別貯金で村は救われたということである。


中田信用組合創立20周年祝い
中田信用組合創立20周年祝い
(中田寺山門前で)

昭和十九年、農業団体法実施に伴い、中和田農業会が設立され、喬治郎は初代会長に就任した。戦後は旧軍用地返還問題で先頭にたって奮闘してその実現を計り、昭和二十二年に七十四歳の生涯を終えた。

昭和二十二年、農業協同組合法が交付され、昭和二十三年には従来の中和田農業会を解散し農業会の資産はそれぞれ中田、和泉、飯田の三つに分割された。

中田では従来の中田信用組合の精神と喬治郎の指導の方針を受け継いで、昭和二十三年八月に中田農業協同組合が設立された。

奥津喬治郎が逝去してから十三年後の昭和三十六年、中田の発展と社寺の復興再建、信仰に徹した信念に基づく組合設立の功績をたたえ、浄土宗祖法然上人七百五十回忌の大法要が中田寺で行われたのを機に、現横浜南農協中田支所の横に、奥津喬治郎頌徳碑の建立が行われた。奥津喬治郎の墓は中田寺墓地にある。
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平成8年11月3日発行
泉区制十周年記念出版
いずみ いまむかし
-泉区小史- より




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