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宮本 湊と中田学校

最終更新日 2019年3月4日

早くから住宅地として開けた中田地区

4.宮本 湊(いたる)と中田学校

宮本湊頌徳碑の画像
宮本湊頌徳碑

中田町御霊(ごりょう)神社の鳥居横に石碑が建っている。教え子たちが先生の徳を後世に伝えようと建立した、中田学校教師宮本湊の頌徳碑(しょうとくひ)である。

戸籍によると宮本湊は旧姓を「長江」といい、江戸期の阿久和村の領主であった安藤家の家臣、長江林大夫の長男として、嘉永五年(一八五二)二月二十一日、江戸小石川小日向台町で生まれ、岡津村六十九番地にあった地蔵堂の十五世の長江喜静の養子となっている。しかし長江家伝によると喜静の子となっていることから、喜静の養子か実子か定かでない。

長江 湊

小学訓導申付候事
第十中学区内二百九番
岡 津 学 舎 掛

明治七年七月 神奈川県 印


中田学校卒業証書の画像
中田学校卒業証書

宮本湊の履歴書によると、十歳の頃から江戸の亀田雄介、多田好問、鈴木善左衛門などについて漢学、皇漢字、数学、筆算などを修め、明治七年(一八七四)七月付けで、「第十中学区鎌倉郡岡津学舎」の授業生(教員)に任命された。

明治八年一月二十八日には、戸塚の倉屋文右衛門宅で行われた師範学校派遣の先生による「日本政記、文章、規範、理科、算術」の試験を受け「五等訓導(くんどう)」となった。

しかし明治十一年七月、岡津学校(明治八年から学舎を学校と改称)を辞めて、中田村御霊神社の祠官(しかん)(現在の宮司)宮本玄之進正永の養子となり宮本家の家督を継いでいるが、それは湊の妻の実家である宮本家の長男、宮本文蔵の角界(中田川文藏 参照)入りが決まり、祠官の職を継ぐものがいなくなったためである。

明治十三年八月、戸塚学校の補助員になったが、このとき義父の後継者として、氏子たちの選挙により中田村御霊神社および中和田在各神社の祠官になった。

明治十四年一月には、戸塚学校を辞め中田学校の教員となっているが「第十中学区鎌倉郡第二百六番小学中田学舎」は、中田寺(ちゅうでんじ)住職香川法隆(ほうりゅう)の辞令から考え、明治六年七月に開校したと思われる。

文部省年報に「教員一人、生徒三十七人」とあるところから、開校当時の教員は香川法隆一人で、中田寺を仮校舎として三十七人の生徒が学んでいたのであろう。

皇国地誌に「公立小学、中田学校と称す。東西十二問、南北八間、面積九十六坪、本村中央字中村第二千五十二番地にあり。明治九年十二月之を新設す」とあるところから、明治九年に現在の南農協中田支所倉庫付近に校舎を新設し、中田寺の仮校舎から移転し、生徒たちは新校舎で学習を始めたのであろう。明治九年当時、横浜市域でも独自の校舎を持ったのは早いほうであった。

小学校は、下等小学(四年・八級)上等小学(四年・八級)に分かれ、下等小学八級から始まり、春三月秋九月の半年ごとに試験を受けて、合格すると七級、六級へと進級した。試験は各学校ごとに先生が行うのではなく、当時の行政区画ごとに数カ所の試験場を設け、県庁や師範学校から係官がきて試験を行った。

下に記した試験問題は宮本湊(中田学校)が書き残したものであるが、たぶん中田学校の子どもたちが受けた試験問題であろう。

下等小学 試験題 第八級 一席試験課
甲 ○算術 ○書取 ○習字
(1) 七十九 ・ウグヒス
(2) 九 十 ・カ ホ ち り
(3) 6 9 ・しょうが ぬ
(4) 5 9(口唱) ・おくら

この問題は八級(秋九月)に行われた、現在小学校一年生の問題の一部である。当時の試験は難しかったのだろう、三分学校(現六浦小学校)の試験結果を見ると、下等小学八級で二十八人中合格が八入、不合格二十人となっている。

明治二十二年四月、上飯田村、下飯田村、和泉村、中田村の四カ村が合併して中和田村となると、飯田学校、和泉学校、中田学校も合併して中和田学校となり、明治二十五年五月十七日に尋常中和田小学校となった。これにより宮本湊も、中和田学校東部分教場、尋常中和田小学校の教員として、地域の子弟の教育にあたった。

宮本湊は、教室だけの学習ではなく、子どもたちが「先生、向こうの野原に蕗(ふき)のとうが出たよ」といえば、子どもたちを連れて蕗のとうを採りにいったり、魚をとりにいったりと学校外での学習をとても大切にされ、子ども一人一人に自然の営みや生命の尊さを手に取って教えられたと伝えられている。

明治三十八年七月五日、五十四歳でこの世を去った。墓は中田町三三六四番地の宮本家墓地内にある。


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平成8年11月3日発行
泉区制十周年記念出版
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-泉区小史- より




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