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地神塔と地神信仰

最終更新日 2019年2月28日

田園風景を今も残す下飯田地区

10.地神塔(じじんとう)と地神(じじん)信仰

掛軸の画像
掛軸

地神塔の画像
地神塔

春分、秋分に最も近い「戌(いぬ)の日」を社日(しゃにち)といい、泉区の各地では、前夜に講の人々が当番の家に集まり、神禮寺(藤沢市酉俣野町)の「堅牢地神(けんろうじじん)」の掛軸をかけて、地神(じじん)の日待(ひまち)を行い、翌日の社日は農耕作業を休んだ。社日は、田の神と山の神が交代する日と考えられたため、その年の稲の豊作を願い、農業に関係の深い土地神様(とちかみさま)を祀るこのような行事が行われるようになった。

下飯田左馬神社境内をはじめ、区内各地にみられる地神塔は、昔から地神信仰が盛んに行われたことを物語ってくれる。下飯田町杉の木地区では、春彼岸の社日に現在もこの行事が行われているが、持田藤男氏らの話によると、最近は行われなくなった地区が増えているということである。

地神信仰の集団は、一般に地神講、地鎮講、社日講と呼ばれ、講中は比較的狭い地域ごとに構成されていた。松村雄介著『神奈川の石仏』によると、地神塔の造立を伴う県内の地神信仰は、全国的に見られる屋敷神や先祖神のような個人祭祀の対象ではなく、農業などの生産活動の守護を願う「田の神」信仰に類似するのではないかということである。石造物から判断すると、一七〇〇年代の終り頃から組織的に行われるようになったと考えられる。

泉区内の地神塔は文字塔が多く、「地神塔」と刻まれたものや、地神が仏教と結びついて十二天の一神、地天の別称である「堅牢地神」と刻まれたものもある。また、戸塚区をはじめ各地には、国学の影響を受けたと思われるものもあり、五角柱の各面に農業に関わりの深い、「天照大神(あまてらすおおかみ)・少彦名命(すくなびこなのみこと)・埴安媛命(はにやすひめのみこと)・大己貴命(おおなむちのみこと)・倉稲魂命(うがのみたまのみこと)」の五神の名を刻んだ地神塔もみられる。
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平成8年11月3日発行
泉区制十周年記念出版
いずみ いまむかし
-泉区小史- より




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