🔶自己紹介 フランスのリヨンから来ました横浜国立大学教育学部のアントワーヌ・ジョバーと申します。世界的にもワインで有名なフランス東部のブルゴーニュ地域の町で幼少期を過ごし、今はリヨンの大学で日本語や日本文化について勉強しています。昨年10月、留学生として横浜に来ました。1年という短い留学期間ですが、ここ保土ケ谷区で、日本の歴史、地理、文学、文化史などを学んでいます。 🔶フランス共和国の紹介 フランス本土は西ヨーロッパに位置し、地中海に面した南部にイタリア、スペイン、モナコ、東部にスイス、ドイツ、北部はベルギー、ルクセンブルグと7つの国に面しています。本土の大きさは日本の約1.5倍、人口は約6200万人です。首都パリをはじめ、南部のコートダジュールやプロバンス地域、北西部のモンサンミッシェルで有名なノルマンディー地域、美しい村が点在する東部のアルザス地域など、地方によって見せる顔が様々で、毎年、世界中から多くの観光客が訪れる観光大国です。フランス政府観光委員会の調査によると、2018年にフランスを訪れた観光客は約8900万人だったそうです。 🔶リヨン市の紹介 私の出身地リヨン市はフランス本土の南東部に位置する都市です。国内で3番目に人口が多く、約51万人が生活しています。(パリ220万人、マルセイユ86万人に次ぐ。) 首都パリからはTGVという高速鉄道(新幹線のようなもの)に乗って約2時間でアクセスできます。市内の公共交通機関はバス、地下鉄の他、トラム(路面電車)があり、市民の足として利用されています。 まず、リヨンを語る上で忘れてはならないのが、リヨンが「映画の街」であることです。 リヨン出身のリュミエール兄弟が、(エジソンが発明した)キネトスコープを改良し、スクリーンに投影することによって、一度に多くの人々が鑑賞できるシネマトグラフ・リュミエールを開発し、現代映画の発展に寄与しました。その後、市内に映画発展のための研究所も設立されています。 また、リヨンは世界屈指の「美食の街」としても有名です。フランス料理と聞くと、「高い!」というイメージがあるかと思いますが、リヨンはこの地域オリジナルの伝統料理を提供する「ブション」という大衆食堂が街中にあり、伝統を大切にした昔ながらの味を安価な価格で市民や観光客に提供し続けています。後ほど、私がおすすめする「旧市街地」には、このブションが細い路地にひしめき合って、料理人が腕を競っています。 🔶リヨンのおすすめ 私がリヨンで最もおすすめしたいのが、「旧市街地」です。中世の街並みが残るこの地区は、1992年にユネスコの世界遺産に登録されました。石畳の細い道、地中海沿いの街並みでよく目にするたくさんのバルコニー付きの建物が続きます。旧市街地の丘の上にはサンジャン大聖堂があり、市内全体を見守っているかのように佇み、リヨンのランドマークとなっています。リヨンはかつて絹織物の街として栄えましたが、当時、絹織物工たちの作り上げた絹織物が雨などに濡れないように運ぶために、「トラブール」と呼ばれる建物の中を通る回廊が造られ、これらが今も当時のまま残されています。 🔶リヨンの伝統行事 光の祭典 毎年12月初旬ごろからクリスマス前まで街中で光の祭典を開催しています。このイベントは約30年にも渡り、続いています。街のあらゆる通りや建物、広場等が色とりどりの光でライトアップされ、大聖堂の壁にプロジェクションマッピングを投影したりと、まるで街全体が展示会場です。2019年には、この祭典期間だけで約180万人の観光客が来場しました。 🔶横浜市とリヨン 絹織物産業が盛んであったリヨンですが、19世紀にヨーロッパ全体を襲ったカイコの病気がきっかけで、一時的に絹の入手が困難になり、産業に大きな打撃を受けていました。そんな中、横浜港から輸出された日本の生糸が危機を救い、両市は友好関係を構築していくこととなり、1959年にリヨン市と横浜市は姉妹都市となりました。昨年は姉妹都市提携60周年を記念してリヨン市と横浜市で様々なイベントが実施されました。 🔶保土ケ谷区についての感想 区内の学生寮に住んでいますが、保土ケ谷区はとても静かで暮らしやすい街だと感じています。また、徒歩圏内にスーパーマーケットや生活用品を購入できるお店がいくつもあって便利です。他の留学生もよく言っていますが、バスの路線、運行本数もたくさんあって、横浜駅などに出る際には本当に便利です。また区内に、多国籍料理のレストランがたくさんあるのも魅力です。大学の近くにあるインド料理屋さんに毎週決まった曜日に友人と一緒に行くことが私の楽しみです! 昨年、ほどがや国際交流ラウンジが主催する「ほどがや国際フェスタ」に区役所と一緒に出展し、「リヨンの街紹介」をさせていただきました。多くの方に来場いただき、区民の皆さんがリヨンに関心を持っていただけて、本当に嬉しかったです。これも、長い間、二つの都市が友好を深めてきた絆なのだなと改めて実感しました。この日、区内にお住いのフランス出身の方にも巡り会えました。外国人住民の方に新しい土地での生活に早く慣れ親しめるようサポートをするお仕事をしていると聞き、私も良い刺激を受けました。 間もなく1年間の留学期間を終え、フランスに帰国します。保土ケ谷区での経験を生かしてこれからも日本とフランスが友好的に繋がり合える関係に寄与したいと思っています。 こちらの記事は、留学生がフランス語で記載した原稿を区で翻訳し、編集しています。