横浜国立大学留学生による自国の文化紹介 第22弾 ヨルダン編 ■自己紹介 ヨルダン出身のマイ・マトゥク・ハヤシと申します。横浜国立大学のYCCS(YOKOHAMA Creative-City Studies)プログラムに参加しており、都市科学部に在籍しています。大学では、経済や技術、文化など幅広い分野を学んでいます。 ■ヨルダンの紹介 ヨルダンは中東に位置する、面積8.9万㎢(日本の約4分の1)、人口約996万人の小さな国です。東西南北をイラク、サウジアラビア、シリア、イスラエルといった紛争当事国に囲まれていますが、ヨルダン国内の治安は安定していることから「平和のオアシス」と呼ばれています。 気候は、アラビア砂漠の乾燥した亜熱帯性気候と湿度の高い地中海性気候の中間に位置します。夏は乾燥していて暑いですが、夕方には涼しくなります。冬の間は涼しく寒いです。ヨルダンの気候で私が好きな点は、日本と違って湿気が全くないことです。暑くもなく、寒くもない春は最高の季節です。 ヨルダンの首都アンマンは、経済・政治の中心地です。長い歴史を持つヨルダンでは、旧石器時代からの史跡が見つかっています。他国からの支配が長かったヨルダンは、ローマ帝国、オスマン帝国、イギリスの統治時代の歴史が豊富です。 また、サッカーはヨルダン国内で身近なスポーツであり、近所の人や友人だけでなく、知らない人と一緒にプレーすることで、人とのつながりや幸せを感じることができます。 ■ヨルダンの伝統文化の紹介 ダブケはレバント地方で有名な伝統舞踊で、手をつないで踊ります。結婚式や卒業式、パーティーなどのお祝いの席で披露されるのが一般的です。 ■ヨルダンの伝統料理の紹介 伝統的なヨルダン料理の一つ「マンサフ」は、発酵させたヨーグルトのソースで羊肉を調理したものです。他にもヨルダンにはおいしい料理がたくさんあり、朝食では、フムス(ひよこ豆のペースト)やファラフェル(ひよこ豆に香辛料を混ぜ丸めて揚げたもの)のサンドイッチが定番です。ちなみに、首都アンマンにあるレストラン「ハシェム」は、このサンドイッチで有名です。 昼食には、詰め物をしたブドウの葉、ズッキーニ、ナスが大変好まれます。夜ご飯には、ミントティーやコーヒーと一緒に、「マアムール」という伝統的なお菓子を食べることが多いです。  また、「クナーファ」は中東では有名なお菓子です。ベースとなる溶かしたヤギのチーズの上に、セモリナ粉(ひきわり小麦)を生地にしてローストしたものを乗せます。その上に、砂糖のシロップとピスタチオをかけます。クナーファはお祝いの席で食べられるものですが、その美味しさ故、ヨルダン人は日常的に食べています。 ■ヨルダンでおすすめの場所 首都アンマンのダウンタウンエリアは、芸術と文化が見事に融合した街です。このエリアには昔からの市場(オールドマーケット)が残っており、「ハシム」「アル・クードス」「ハビバ」「サラ」など有名な老舗レストランが多く立ち並んでいます。このエリアにあるコーヒーショップでは、クラシックなアラビア音楽を聴きながら、美味しい地中海料理や水たばこを楽しむことができます。 ジャバルアンマンなどのダウンタウンに近いエリアは、地元アーティストの美術展が頻繁に開催されていたり、毎年音楽コンサートが行われていたりと、国内でも芸術的な価値があります。特にレインボー通りは、歩道や花壇が整備され、アンマンの全景 が見渡せる美しい雰囲気に満ちています。アブダリは、モールと大通りで構成された新しい都市プロジェクトの一部で、ショッピングやカフェ、ゲーム、散策などが楽しめます。 ヨルダン旅行では、ペトラ遺跡が必見です。 2007年に「新・世界七不思議」にも選ばれたこの場所は、「インディ・ジョーンズ」や「スターウォーズ」などの映画の舞台になっています。また、「死海」もおすすめです。地表で最も低い場所にあり、泳がなくても水面に浮かぶほどの塩度の高さです。 ヨルダンの夜は、カフェや人から発せられるエネルギーで溢れています。繁華街やジャバル・アル・ウェイブデのエリアは芸術的な魅力がたくさんです。 ■保土ケ谷区への思い 保土ケ谷区は、サッカー場やバスケットボールコートのある公園(県立保土ケ谷公園)が有名だと思います。また、同公園内にあるギャラリーには、アーティストの情熱溢れる作品が展示されています。そのエネルギーと情熱はヨルダンを彷彿とさせます。 アンマンに住む若い世代は、お祝いや自己表現を行う場としてアートを活用しています。ヨルダンでも多くのアート展が開催され、美術館がオープンしています。以前は無謀な行為とされてきた「グラフィティアート(高架下など公共の場に描かれる文字や絵)」が、今では称賛を受け始めています。若いアーティストが手掛けた壁画が飾られ、グラフィティフェスティバルが毎年開催されています。 ■横浜・日本への思い 横浜は、日本で最初に開港した場所ということもあり、多文化の影響を受けていて、その空気を感じることができるところが好きです。 みなとみらい周辺は、美しい景色やショッピングが楽しめるのに加え、リラックスできる空間もあるので間違いなくお気に入りの場所です。 日本にはディスカウントストアが多いことも特徴だと思います。ドン・キホーテは、必要なものが何でも揃う楽園のような場所ですし、ダイソーは生活用品を揃えるのに便利ですが、ついつい必要のないものまで買ってしまいますね…。このような場所は、ヨルダンの昔ながらのお店を思い出します。ヨルダンの昔ながらのお店は、店員が値段を提示し、お客さんが値段を交渉できるんですよ。 ■最後に 私はまだ日本に来たばかりで、現在のコロナ禍では人と知り合うのはなかなか難しいです。これからの日本にいる数年の間に、たくさんの人々と出会い、この地域をもっと知っていきたいと思います。また、近い将来、イベントを企画したり、ボランティア活動に参加したりと、もっと地域に関わっていきたいと思っています。 さらに、地域の人たちを理解し、その人たちの体験談を聞きたいです。地元の人とコミュニケーションをとることで、その地域をよりよく知ることができますし、アドバイスをもらうことができるからです。 こちらの記事は、留学生が英文で記載した原稿を区で翻訳、編集しています。