🔶自己紹介 ベトナムのハノイから参りましたファン・グエンビンと申します。横浜国立大学大学院都市イノベーション学府博士課程で土木工学を研究しています。ベトナムでは、インフラ(社会基盤)に関する要求が非常に高く、先進国から学ぶべきことがたくさんある状況です。 日本は先進国の中でもインフラ整備技術に優れた国の一つであり、様々な知識が身に付けられると思い、日本で学ぶことを決めました。 🔶ベトナム社会主義共和国の紹介 ベトナムは東南アジアに位置し、S字の形をした熱帯国です。人口は約9,700万人、面積は約33万㎢で、北部は中国、西部はラオスとカンボジア、東部は約3,400㎞に渡り南シナ海に面しています。また、西沙諸島や南沙諸島をはじめ、4,000以上の島があります。 首都は国内北部にあるハノイ市ですが、最も人口が多いのは国内南部にあるホーチミン市です。ホーチミン市は東京都とほぼ同じくらいの大きさで、約870万人が生活しています。ホーチミン市はかつて、サイゴン市という名称でした。 ベトナムは南北に長い国ということもあって、地域によって気候が異なります。北部、中部、南部と3つに分けた場合、北部は日本と同様に四季があります。しかし、冬は日本の夏よりも暑い日があるほど、気温が高いのが特徴です。中部はそれほど四季の差を感じられる気候ではなく、南部は一年中暑い日が続きます。(南部には乾季と雨季があります。)  なお、ベトナムは生物多様性に関する独自性のレベルが非常に高いことが特徴で、生物多様性に係るランキングでは世界第16位の認定を受けています。世界に存在する種の約16%が生存していて、15,986種のフローラ(植物相)が確認されています。1,438種の微細藻類、794種の海洋無脊椎動物、2,458種の深海魚の起源はベトナムと言われています。 🔶ベトナムの歴史 ベトナムには4,000年の歴史があり、紀元前2000年の文郎国(もしくは、紀元前257年に建国された甌駱(おうらく))がベトナム史上初の国家と言われています。 紀元前2000年以降、ベトナムは中国の侵略を受け、約1,000年の期間、中国文化の影響を受けました。この間、何度も国内で革命が起こされました。938年には呉権(ゴー・クエン)が白藤江で南漢軍を破り、中国から独立しました。19世紀になると、ベトナムはフランスに支配され、70年ほどフランスの保護国となりました。その後、1945年9月ベトナム共産党ホー・チ・ミン主席による「ベトナム民主共和国」独立宣言がなされ、再度、独立を果たします。しかし、この独立後も、インドシナ戦争やベトナム戦争、中越戦争といった数々の戦争が続きました。ベトナムは戦争という辛い歴史を幾度となく経験した国といえます。 🔶伝統行事の紹介 ベトナムの伝統行事は太陰暦に基づき行われるものが多いです。中国の影響を大いに受けた歴史があるため、行事のほとんどが中国と同様の意味を持っています。(もちろん、中国とは完全に異なる意味を持ったイベントもたくさんあります。)伝統的な政治体制や哲学的な考え方は、儒教、大乗仏教、道教の要素を多く含んでいるのも特徴です。また、ベトナムにはたくさんの種族があり、種族や地域によって様々なイベントが開催されています。これらのイベントの多くは、祖先をはじめとする家族を敬ったものや、人間関係の融和を目的にしたものが多いのも特徴です。ベトナムを代表するイベントをいくつか紹介します。 ●ベトナムの旧正月のお祝い(テト) 旧正月の新年5日間、旧正月のお祝いをします。この期間は、家族や親戚一同でお祝いをすることが習わしとなっています。美味しい家庭料理をみんなで食べながら、過去1年間に起きたトラブルを忘れ、新年がより良い一年となることを願って過ごします。 ●ランタン祭り 毎月、満月となる旧暦14日に行われるお祭りで、街の明かりが一斉に消され、全ての明かりはランタン(提灯の明かり)だけとなります。色々な色の明かりが満月の夜の街に輝き、美しい風景に出逢えます。この時期に、人々はパゴダ(仏塔)や寺院に赴き、家族や親族の健康と幸運を祈るのが習わしです。 ●フン・ヴォン記念日 旧暦3月10日にフン・ヴォン(紀元前にベトナム北部から中部にかけてベトナムを統一した初めての国家の文郎国の王の称号 フン・ヴォン(雄王))を祭る日で、この日は祝日となります。 ●南部解放記念日 1975年4月30日に旧ベトナム共和国の首都サイゴンが陥落し、ベトナム戦争が終結したことを記念する日です。 ●国慶日 1945年9月2日にベトナム民主共和国が独立宣言をした日で建国記念日とも呼ばれます。 ●中秋節 旧暦の8月15日行われる子孫繁栄を願ったイベントです。フルーツやお菓子、月餅という特別なケーキを食べることが習慣になっています。 ●教師の日 毎年11月20日を「ベトナム教師の日」とし、先生は第二の父母という考えで、生徒たちが先生たちへ日頃の感謝の気持ちを込めて踊りや歌をプレゼントします。 🔶ベトナムの伝統料理 ベトナムの主食はお米です。お米を炊いて食べるほか、ライスヌードル(米粉から作られた麺)、ライスペーパー(米を薄いシート状に加工して乾燥したもの)、お米を使ったデザートなど、色々な形でお米が食されています。 伝統的に、ベトナム料理は辛味、酸味、苦味、塩気、甘味の根本的な5つの味覚が重視されていて、できるだけ油を使わず、野菜やハーブの力で味付けをするため、世界の料理の中でも、とてもヘルシーと言われています。屋台で手軽に食べられる料理が、ざっと40種類ほどは定番メニューであるほど、ストリートフードの文化が根付いています。 世界的にも有名なベトナム料理は「ネム」(揚げ春巻き)、「ネム・クオン」(生春巻き)、「バインミー」(パンに肉や野菜を挟んだサンドイッチ)、「フォー」(牛肉で出汁をとったライスヌードル)でしょうか。また、豆や芋を甘くしてデザートとして食べるのもベトナム独特の食文化です。 🔶ベトナムの伝統衣装 ベトナムにはたくさんの種類の伝統衣装があります。ほとんどは、お祭りやパーティーなど、かしこまった場面でしか着用されません。世界的にも有名なものは、アオザイではないでしょうか。女性のアオザイ姿を見かけることが多いですが、男性用のアオザイもあります。女子高校生の制服として真っ白なアオザイを着用されることもあります。 🔶ハノイ市のおすすめの観光地の紹介 ハノイ市はベトナムの首都として成長著しい世界都市です。ベトナムの文化や歴史、生活様式など、いずれもここで体験できる、観光地としても最高の場所です。ハノイ市の中心であるホアンキエム区には景観の美しい、12haもある大きなホアンキエム湖があります。湖の中心の小島には亀の塔があり、この湖にまつわる伝説に関係していると言われています。 歴史的な場所としては、ベトナムの革命リーダーであるホー・チ・ミンの霊廟が市内のバディン区にあります。ここにはホー・チ・ミンの遺体が安置されています。 ハノイの旧市街36通りは古くから商業が栄えたエリアで、ハノイの歴史的な雰囲気を残しつつ、ベトナムらしいファッションアイテムや貴金属類などが購入でき、とりわけ、観光客に魅力的なエリアです。このエリアには、高級なレストランもあり、伝統料理のフルコースなども楽しむことができます。 🔶横浜市と保土ケ谷区についての感想 横浜はとても現代的で、便利で、何でも揃っている大都市だと思います。その一方で、伝統的な歴史も残されており、歴史的な建造物や古くから愛されているイベント、生活スタイルなど、独自の文化がしっかりと残されている印象です。昔ながらの伝統と、新しいことを融合させることは素晴らしいことで、このような横浜の街としての成長過程をベトナムの人たちに伝えていきたいと思っています。また、保土ケ谷はとても安全で優しい人も多くて、大学の周辺で歩いている時に声を掛けてくれる人もいます。 私は横浜の若い人はアフターファイブ(就労後)の活動が割と大人しいなと感じます。 多くの方は就労後、すぐに帰宅してしまうのではないでしょうか。ハノイでは若い人もご年配の人も、就労後、一緒に夜遅くまで食事を楽しんだり、気分転換ができる遊びを楽しんだりすることがほとんどです。 私は昨年2月に開催された「ほどがや歴史まち歩き2020」に参加しました。保土ケ谷区の歴史を徒歩で巡るツアーはとても楽しかったです。地域の方ともたくさん交流ができましたし、日本の歴史の知識をさらに身に付けることができました。