横浜市の持続的な発展に向けた財政ビジョン<データ・アクション編> 令和4年6月横浜市 位置づけ 財政ビジョン「データ・アクション編」には、主に以下の内容を記載しています。 @持続性評価指標の「評価の視点」 A財政ビジョン策定の背景となる推計や統計といった各種データ B「中長期の債務管理」「収支差解消」「資産経営」「地方税財政制度の充実」の各分野における具体的課題に対して、「財政運営の基本方針」を踏まえ、将来に向けて今から取り組むアクション(将来アクション) このうち、A各種データについては、実績値については原則、毎年度更新したものを公表します。また、推計値については、基本計画の振り返りや改訂時等に更新を行い、公表します。 また、B将来アクションについては、基本計画期間ごとにアクションの成果の検証と必要な改善を行うとともに、今後10年間程度(2030年頃)を目途に、当該期間における「財政の持続性」の状況・推移とアクションの成果を総括し、その結果を踏まえ、将来に向けた新たなアクションを設定します。 また、その時点における「財政の持続性」の状況(将来見通しを含む)を踏まえ、@持続性評価指標の「評価の視点」についても、必要な見直しを行うこととします。 T.横浜市将来にわたる責任ある財政運営の推進に関する条例 横浜市将来にわたる責任ある財政運営の推進に関する条例(平成26年6月5日施行) (目的) 第1条この条例は、横浜市(以下「市」という。)が行政需要の高度化及び多様化その他の社会経済情勢の変化に的確に対応しつつ、柔軟で持続可能な財政構造を構築し、自主的かつ総合的な施策を実施するため、市の財政運営に関する基本原則、市長、議会及び市民の責務その他財政運営に必要な事項を定めることにより、市民の受益と負担の均衡を図りつつ、必要な施策の推進と財政の健全性の維持との両立を図り、もって将来にわたる責任ある財政運営の推進に資することを目的とする。 (財政運営の基本原則) 第2条市の財政運営は、前条の目的を達成するため、次に掲げる基本原則により、中長期的な視点を持って進めるものとする。 (1)市の歳入及び歳出の不断の見直しを通じて、安定的で持続性のある財政運営を目指すとともに、社会経済情勢の著しい変動等による市の歳入の減少又は歳出の増加が市の財政及び市民生活に与える影響を軽減するように図られること。 (2)市の資産について、その保有の必要性を厳格に判断し、適正に管理し、及び有効に活用するとともに、将来の世代の負担に配慮した適切な水準を維持すること。 (3)公共サービスに係る市民の受益と負担の均衡が図られること。 (責務) 第3条市長は、市民の信託に基づく執行機関の長として、前条の基本原則にのっとり、予算の編成及びその適正な執行を行わなければならない。 2議会は、市民の信託に基づく市民の代表機関として、前条の基本原則にのっとり、予算を議決し、予算の執行を監視し、及び決算を認定しなければならない。 3市民は、行政活動によって得られる利益及び公共サービスが市民の相応の負担の上に成り立っていることを認識しなければならない。 (目標の設定) 第4条市長は、第1条の目的を達成し、及び将来にわたる市民生活の安定を確保するため、横浜市議会基本条例(平成26年3月横浜市条例第16号)第13条第2号に規定する基本計画(以下「基本計画」という。)において、財政の健全性の維持のための目標を設定するものとする。 2市長は、社会経済情勢の変化を勘案し、必要があると認めるときは、前項の目標を変更することができる。 (取組) 第5条市長は、前条第1項の目標の達成に資する実効性のある取組を基本計画において定めるとともに、取組の進捗状況を議会に報告するものとする。 2市長は、社会経済情勢の変化を勘案し、必要があると認めるときは、前項の取組を変更することができる。 (財政の健全性に関する比率の推計) 第6条市長は、基本計画の策定時に、当該計画の期間における次に掲げる比率を推計し、これを議会に報告するとともに、公表するものとする。 (1)実質赤字比率(地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成19年法律第94号。以下「法」という。)第2条第1号に規定する実質赤字比率をいう。) (2)連結実質赤字比率(法第2条第2号に規定する連結実質赤字比率をいう。) (3)実質公債費比率(法第2条第3号に規定する実質公債費比率をいう。) (4)将来負担比率(法第2条第4号に規定する将来負担比率をいう。) (財務書類の作成) 第7条市長は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第233条に定める書類のほか、毎年度、貸借対照表その他の財務書類を作成し、これを議会に提出するとともに、公表するものとする。 (財政運営の配慮事項) 第8条市の財政運営は、次に掲げる事項に配慮しながら進めるものとする。 (1)市は、公共施設によって提供する機能について、社会経済情勢の変化及び財政状況等に適合した必要性の高い機能を確保するため、既存施設の有効活用、適切な施設配置及び機能転換、運営形態の見直し並びに利用環境の改善・運営の効率化を推進するものとすること。 (2)市は、使用料、手数料、負担金等に関し、市民の受益と負担の適正化を図るため、定期的に又は必要に応じて総合的な見直しを行うものとすること。 (3)市は、補助金等(市が市以外の者に対して交付する補助金、交付金、利子補給金その他の給付金で相当の反対給付を受けないもの(市長が指定するものを除く。)をいう。)に関し、補助の必要性及び効果、補助率又は補助金額の適正化等の観点から定期的に又は必要に応じて見直しを行うものとすること。 (4)市は、市民と財政に関する情報を共有し、財政に関する理解を深め、かつ、財政運営の透明性を高めるため、当該情報について、分かりやすい資料を作成し、これを市民に公表するとともに、市政への信頼性を向上させるよう努めるものとすること。 (5)市は、円滑な資金調達に資するため、地方債の引受けが予定される金融機関等に対し、分かりやすい財政に関する情報の提供に努めるものとすること。 U.「持続的な財政」の前提条件となる主要な推計・データ ○横浜市将来人口推計 「横浜市将来人口推計」(平成29年12月公表)は、出生・死亡及び転入・転出の過去の傾向を将来に投影して推計を行ったもので、2015年国勢調査の結果を基準人口として、2065年までの推計を行っています。 推計の結果、本市の総人口は中長期的に大きく減少することが見込まれており、このうち、生産年齢人口(15歳〜64歳)は現在から2065年までに約3割減少することが予測されています。 一方、総人口に占める高齢者人口(65歳以上)の割合は、今後大きく増加し、2040年までには総人口の約3割を占めるようになると見込まれています(いずれも中位推計の場合)。 <将来人口の推計結果(2015年〜2065年)> 【グラフ 【将来人口(高位・中位・低位)】】 将来人口は、2015年、2020年、2030年、2040年、2050年、2060年、2065年の順に 高位では、372万人、375万人、375万人、365万人、353万人、340万人、332万人、 中位では、372万人、373万人、366万人、352万人、335万人、314万人、302万人、 低位では、372万人、371万人、359万人、340万人、318万人、290万人、275万人 となっています。 【グラフ 【年齢3区分別人口(中位)】】 年齢3区分別人口(中位)は、2015年、2020年、2030年、2040年、2050年、2060年、2065年の順に 合計では、372万人、373万人、366万人、352万人、335万人、314万人、302万人、 65歳以上では、87万人、94万人、102万人、117万人、118万人、112万人、108万人、 15〜64歳では、238万人、235万人、224万人、196万人、180万人、169万人、162万人、 0〜14歳では、47万人、45万人、41万人、39万人、36万人、33万人、32万人 【グラフ 【年齢3区分別人口(高位)】】 年齢3区分別人口(高位)は、2015年、2020年、2030年、2040年、2050年、2060年、2065年の順に 合計では、372万人、375万人、375万人、365万人、353万人、340万人、332万人、 65歳以上では、87万人、94万人、104万人、121万人、122万人、116万人、113万人、 15〜64歳では、238万人、235万人、224万人、199万人、188万人、182万人、178万人、 0〜14歳では、47万人、46万人、46万人、45万人、42万人、41万人、41万人 【グラフ 【年齢3区分別人口(低位)】】 年齢3区分別人口(低位)は、2015年、2020年、2030年、2040年、2050年、2060年、2065年の順に 合計では、372万人、371万人、359万人、340万人、318万人、290万人、275万人、 65歳以上では、87万人、92万人、99万人、114万人、114万人、107万人、103万人、 15〜64歳では、238万人、235万人、223万人、193万人、172万人、157万人、148万人、 0〜14歳では、47万人、44万人、36万人、34万人、31万人、26万人、25万人 1 推計期間: 2015(H27)年を基準時点とし、2065(R47)年までの各年の推計 2 推計方法: コーホート要因法 ・人口増減の要因である出生、死亡、転入、転出を、コーホート(同年又は同期間に出生した集団)ごとに個別に将来値を仮定して将来の人口を推計 ・さらに、本推計では、出生、死亡の将来値について高位(出生が多く死亡が少ないケース)と低位(出生が少なく死亡が多いケース)の仮定値を設定し、高位推計・低位推計を実施 「横浜市将来人口推計」(平成29年12月公表): https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/seisaku/torikumi/shien/jinkosuikei.html ○横浜市の長期財政推計 「横浜市の長期財政推計」(令和4年1月更新版)は、横浜市将来人口推計(平成29年12月公表)のデータを基に、「高位(出生が多く死亡が少ないケース)」、「中位」、「低位(出生が少なく死亡が多いケース)」の3つのケースを設定して、2065年度までの各年の歳入・歳出と将来収支差の推計を行っています。 【グラフ <将来収支差>】 収支差は、2030年度、2040年度、2050年度、2060年度、2065年度の順に、 高位では、▲573億円、▲937億円、▲1,319億円、▲1,708億円、▲1,899億円 中位では、▲502億円、▲823億円、▲1,195億円、▲1,540億円、▲1,752億円 低位では、▲447億円、▲735億円、▲1,114億円、▲1,448億円、▲1,678億円 となっています。 将来収支差は、いずれのケースでも中長期的に拡大を続け、2065年度には歳出総額の約1割の規模となります。 【グラフ <歳入総額>】 歳入総額は、いずれのケースでも、2040年あたりから減少局面に入り、中位・低位では2022年度水準以下へと大きく減少します。 【グラフ <歳出総額>】 歳出総額は、2040年から2050年頃にかけて増加を続けます。その後、高位は増加を継続する一方、中位ではほぼ横ばい、低位では減少傾向となります。 【グラフ <市税収入>】 市税収入は、いずれのケースでも、2027年度をピークに減少に転じ、その後、2065年度までに2022年度と比較して約1割減少します。 【グラフ <社会保障経費>】 社会保障経費は、2040年頃にかけて急激に増加し、高位では2060年代まで増加が継続、中位では減少に転じますが、ピーク時には現在から約2割増加します。 1 推計期間: 2022(R4)年度から2065(R47)年度までの各年の推計 2 推計方法: 社会保障経費、税収、地方交付税については、「横浜市将来人口推計」(平成29年12月公表)を活用して、「高位」、「中位」、「低位」の3つのケースで推計。 その他の経費や歳入項目については、基本的に直近実績を横置き。 ※ 本推計は、将来の状況を正確に見通す予測というよりも、現時点で得られるデータをもとに、回帰分析など統計的な手法等を採り入れながら、将来の財政を機械的に推計し、中長期的なトレンドを明らかにするものであり、その推計結果については、幅をもって解釈する必要がある。 「横浜市の長期財政推計」(令和4年1月更新版): https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/zaisei/jokyo/zaisejokyo/tyoukisuikei.html ○保有土地の現状 本市は、市域内に約1万haの土地を保有しています(令和2年度末時点)。市の保有土地は、市民から負託された貴重な財産として、適正に管理しながら、各土地の特性を踏まえた公共公益的な利用を行うほか、市場性が高い土地については売却や貸付等により財源化するなど、有効活用を進めてきました。 【表 <本市保有土地の財産別内訳>】 □行政財産 財産の性格 庁舎・公共施設の土地など公用・公共用に供している財産(用途決定済の未供用地も含む) 利活用の考え方 ・行政需要に応じて公用・公共用途に利用した上で、余剰部分は貸付等により有効活用(飲料自動販売機等) ・行政上の利用を廃止した場合(廃校等)は、「普通財産」として利活用 面積 9,525ha うち、未利用等土地 46ha □普通財産 財産の性格 行政財産以外の財産 利活用の考え方 ・資産特性を踏まえて利活用 ・売却・貸付等により財源化 面積 422ha うち、未利用等土地 54ha □企業会計保有財産 財産の性格 企業活動用に保有する財産 利活用の考え方 企業活動に応じて経済性を発揮し利活用 面積 496ha うち、未利用等土地 1ha 合計 面積 10,443ha うち、未利用等土地 101ha 【グラフ <一般会計財産収入(土地)の推移>(決算)】 【グラフ <未利用等土地の内訳>】 市場性が高い土地は利活用が進む一方、廃校等の用途廃止施設がある土地や、事業の変更・中止や社会経済状況の変化等で未利用・暫定利用となっている土地(未利用等土地)が、郊外部を中心に多くあります(令和3年度末時点で約100ha )。 こうした土地の多くは、本市の事業の内容や時期が定まっていない場合や、民間活用にあたり、建築用途などの法令上の制限や地域・関係者と調整に時間を要するなどの課題があるため、暫定利用が長期間継続するなど、保有コストに見合う価値を発揮できていない状態となっています。 人口動態の変化等により課題解決に振り向けられる政策資源が細る中で、持続可能な市政運営を進めるためには、これらの未利用等土地を有効活用し、土地利用の適正化を進めることが必要です。 そのためには、保有土地の管理と見える化を徹底した上で、それぞれの土地がその価値を十分に発揮しているかという視点で利活用状況を明らかにするとともに、利活用にあたっては、取得や利用の経緯、地域の状況等を踏まえつつ、社会の変化に対応して、これまでにない柔軟な発想や公民連携の視点から、地域の魅力向上や地域課題の解決、財源確保等につなげていくことが重要です。 ○公共施設の保全更新コストの長期推計 ・公共施設の保全更新コストの長期推計 公共施設(公共建築物及びインフラ施設)は、点検や修繕等により施設・設備の安全性を確保する「保全」を着実に行うことで、施設の長寿命化を図っており、例えば鉄筋コンクリート造の公共建築物では、70年以上使用することを目指しています。 また、老朽化した施設の機能を存続させるため、建替え等の「更新」を行います。今後、公共施設の老朽化が進み、保全更新にかかるコストが増加することが見込まれています。 こうした観点から、公共施設の保全更新にかかるコストについて、「メーカー等が推奨する標準的な周期で修繕等を行い、長寿命化の達成後にすべての施設を更新する」という条件で、長期的なコストを推計しました。 推計の結果、2021年からの45年間にかかるコストの見込みは、一般会計で合計約7兆6,900億円となりました。 一年当たりの見込額は約1,700億円(2021年度水準の1.9倍)であり、大幅な増加となります。 増加の主な理由は、公共建築物の老朽化に伴い、建替費等が増えることです。 <公共施設の保全更新コストの長期推計結果(一般会計:2021年〜2065年)> 【グラフ 【@用途別の経年推移】】 【グラフ 【A総額と用途別の内訳】】 【グラフ 【B1年あたり平均額(現状との比較)】】 ・公共建築物の建替え時期と総床面積の推計 人口急増期に整備された公共施設の多くは老朽化が進行しており、特に公共建築物については、小中学校等の学校施設や市営住宅を中心に、2065年までに全体の約73%が築70年を経過する見込みであり、建替えを検討する必要があります。 【グラフ <公共建築物の床面積(3分類)>】 【グラフ <2065年までに建替えが想定される施設(3分類)>】 公共建築物を建て替える際は、社会的要請に応じて改訂されてきた新しい整備基準等に沿って整備することとなります。 例えば、小中学校では、クラスの児童・生徒数の見直しや特別教室の充実が図られており、この結果、建替え後の施設は床面積が増加する傾向にあります。 こうした点も織り込みつつ、これらの施設を全て建て替えると仮定して推計すると、総床面積は、2040年には現在から51万u(6%)の増加、2065年には138万u(16%)の増加が見込まれ、建替費や保全費についても、その分、増加することになります。 また、市民一人当たりの床面積としては、将来人口推計を考慮すると、2040年には13%増、2065年には44%増となります。 【図 <主な施設の建替えにおける床面積の増減率>】 小中学校:133% 市営住宅:111% 地区センター:109% コミュニティハウス:124% スポーツセンター:118% 公会堂:92% 区民文化センター:103% 保育所:144% 老人福祉センター:111% 庁舎・事務所:159% (増減率の算出方法) ・小中学校及び市営住宅:近年の建替え計画に基づく平均値 ・その他:施設群ごとに「A新しい施設」と「B古い施設」のグループに分け、[Aの平均床面積÷Bの平均床面積]を増減率とした。 (2065年までに建替えが想定される施設を、Bと定義) 【図 <公共建築物の建替えによる床面積の増加見込>】 公共建築物の床面積の増加傾向に対して、本市の総人口は生産年齢人口を中心に2065年までに約2割減少する見込みです(「横浜市将来人口推計」(中位推計)(P4参照))。 市民生活や経済活動を支える公共施設の機能・サービスを持続的なものとしていくためには、既存の施設を維持管理し続けるだけではなく、施設の規模や数量、質、保全更新コスト等を将来の人口や財政の規模に見合った水準に「適正化」していくことが不可欠な状況です。 適正化には、将来のライフスタイルの変化や、デジタル化・脱炭素化などの社会的ニーズも見据え、サービスの質の向上を図りながら賢くダウンサイジングを図る、いわば「スマート・ダウンサイジング」の考え方が重要です。 V.持続性評価指標 ○評価の視点 持続性評価指標については、以下の「評価の視点」に沿って、基本計画期間(もしくは、市政・財政を取り巻く大きな状況変化が起きた場合)ごとにモニタリングを行い、本市の財政の持続性について総合的に評価を行うとともに、その評価に基づき、中期的な財政運営の方針を決定し、実践していきます。 なお、「長期財政推計将来収支差」と「一般会計が対応する借入金市民一人当たり残高」は、特に財政運営・予算編成を具体的に左右する中核的な指標として、中長期のベンチマークとなる具体的な目標水準・年限を設定します。 <持続性評価指標の「評価の視点」> 指標の分類、持続性評価指標、評価の視点、推計期間の順に説明します。 □財政運営・予算編成を具体的に左右する中核的な指標 ・長期財政推計将来収支差 2030年度までに減債基金の取崩による財源対策から脱却した上で予算編成における収支差を解消 〜2065年 ・一般会計が対応する借入金市民一人当たり残高 2040年度末残高を2021年度末残高程度に抑制 *「一般会計建設債等残高」も重視 「横浜方式プライマリーバランス」で見える化も実施 〜2040年 □地方公共団体財政健全化法(※1)に基づく健全化判断比率 ※1:「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」 ・実質公債費比率 推計期間中、国の基準(※2)において、起債に国の許可が必要となる18%を下回る水準を維持(推計期間中、継続して18%未満を維持) ※2:「地方財政法」 〜2040年 ・将来負担比率 推計期間中、国の基準(※3)において財政健全化団体として財政健全化計画の策定と実施が求められる400%を下回る水準を維持(推計期間中、継続して400%未満を維持) ※3:「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」 〜2040年 ・実質赤字比率 常に0以下 ・連結実質赤字比率 常に0以下 □財政の持続性を多角的に評価するための指標 ・財政調整基金残高(※4) ※4:R3年度決算見込: 92億円(翌年度以降の活用のために一時的に積み立てている金額を控除した実質的な残高) 他都市との比較や本市の過去の水準等の複数の視点から評価 ・減債基金残高 2030年度までに財源対策としての取崩から脱却 推計期間中、継続してタイムリーペイメント(※5)が可能な残高を維持 ※5:年度末の時点で翌年度の市債償還に必要な残高が確保されていること 〜2040年 ・実質硬直的経費比率 これまでの推移や今後の推計から評価 〜2040年 W.将来アクション ○債務管理アクション 1.「一般会計が対応する借入金市民一人当たり残高」の管理(「債務管理長期フレーム」による中長期のベンチマークの達成) 「財政運営の基本方針(債務管理)」に基づき、「債務管理長期フレーム」により「一般会計が対応する借入金市民一人当たり残高」を管理し、持続性評価指標の「評価の視点」で定める中長期のベンチマークの実現に向けた債務管理を行います。 <「一般会計が対応する借入金市民一人当たり残高」の中長期のベンチマーク> ・「一般会計が対応する借入金市民一人当たり残高」について2040年度末残高を2021年度末残高程度に抑制 「債務管理長期フレーム」は、長期的な債務管理の目標(中長期のベンチマーク)に向けて、中期的なスパンで「計画→検証→見直し(軌道修正)→新たな計画」というサイクルを回していく仕組みを組み込んだものとします。 また、想定外の事態に対応し、中期的な計画が達成できなくなった場合も、長期的な目標に向けた軌道修正が確実に図られ、そのことが見える化される仕組みを組み込みます。 <「債務管理長期フレーム」の仕組み> ・長期的な目標の設定 (1)財政ビジョン(データ・アクション編)において、長期的な債務管理の目標(中長期のベンチマーク)を設定。 ・中期的な計画の策定 (2)基本計画において、長期的な目標に向けて中期で目指す「一般会計が対応する借入金残高」の水準と市債の活用可能額の水準を決定(計画経路)。 同時に、長期的な目標に向けた計画期間以降の推移を提示(将来経路)。 ・計画の実行 (3)基本計画に沿って中期的な財政運営を実行。 ・計画の検証 (4)基本計画の改訂時等(市政・財政を取り巻く大きな状況変化が起きた場合を含む)に債務管理の状況を長期的な目標と基本計画との関係で検証。 仮に、不可避的に計画外の市債活用が必要となる場合は、新たな将来経路を提示。 【図 <「債務管理長期フレーム」のイメージ>】 2.債務ガバナンスの強化に向けた取組 @ 計画的・戦略的な「投資管理」 ・大規模な市債活用が必要な投資事業については、事業の計画段階で、「一般財源負担」「市債の活用額」「市債の償還財源」「投資による事業効果の見込み」等について明確化し、市全体の投資事業を全体最適化する観点から検討・調整を行うとともに、実行段階で検証を行いながら、計画的・戦略的な「投資管理」を行い、市民負担の最小化と市全体の投資効果の最大化を図ります。 ・あわせて、施設等整備費全体についても、全体最適化のための調整と計画的な執行を行います。 ・これら計画的・戦略的な「投資管理」を機能させるため、市としての仕組み・ルールを新たに構築します。 A債務管理状況・債務償還能力の一層の見える化 ・本市の財政状況について一層の透明性の向上を図るため、財政状況に関するデータ等をまとめたアニュアルレポート(年次報告書)を公表します。この中では、市債の発行・償還にかかる情報についても、市民等の理解を促進するよう充実させます。 B特別会計・公営企業会計における中長期を見据えた経営計画の策定 ・中長期的な債務管理への移行に合わせ、特別会計の会計運営計画及び公営企業会計の経営計画についても、その期間を現行の4年間から10年間以上に長期化し、特別会計・公営企業会計における市税等を償還財源とする市債を活用した投資の水準と債務を管理することにより、一般会計負担の抑制を図ります。 C財源対策を目的とした減債基金の臨時的取崩からの脱却と計画的な積戻し ・「収支差解消アクション」における「収支差解消フレーム」に基づく取組を進め、2030年度までに減債基金の取崩による財源対策から脱却した上で予算編成における収支差を解消します。その上で、減債基金の積立不足額については、計画的に積戻しを行います。 <債務管理における中長期のベンチマークの考え方> ・これまで本市では、一般会計の市債残高に、特別会計・公営企業会計の市債残高と外郭団体借入金残高のうち市税等で返済する分を加えた「一般会計が対応する借入金」という独自の考え方で債務を管理し、その残高の縮減に努めてきました。 ・その結果、「一般会計が対応する借入金」は、2003年度末(H15年度末)から2021年度末(R3年度末)までに、総額で約8,000億円縮減し、市民一人当たり残高も約25%縮減してきました。また、他都市と比較可能な普通会計ベースの市民一人当たり地方債残高は、類似する他の指定都市の間で中位に位置しています(「データ・アクション編」の「X.データ集」(P60)参照)。 ・今後は、これまでの成果を引き継ぎつつ、人口減少の趨勢を踏まえて市民一人当たり残高に着目し、人口減少に応じて債務総額を縮減することで、中長期的に市民一人当たり残高を増やすことなく必要な投資を進め、持続的な財政運営を行っていきます。そうした観点から、2021年度末の市民一人当たり残高を基準として債務管理を行っていきます。 ○収支差解消アクション 1.「歳出改革」等の推進〜減債基金に頼らない財政収支の均衡〜 @歳出ガバナンスの強化 〔「歳出改革」の推進と行政サービスの適正化〕 ・予算構造の体系化・スリム化を進めるため、「政策−施策−事務事業の紐づけ」を行い、目的や効果に着目した評価に基づく事業の新陳代謝を促す仕組みとして、「施策・事務事業評価制度の再構築」を行います。 この過程において、各事業を評価する指標をアウトカム重視にシフトしていきます。 ・一般財源の充当額の多い上位100大事業について、現状や課題等を分析し、個々の事業構造の転換や、一般財源の配分構造について局・事業をまたいだ再構成を図るとともに、市民利用施設や外郭団体等、市が関与している施設・団体のあり方について、中長期の市政運営を見据えた検証・見直しを行います。 特別会計・公営企業会計についても、持続的な会計運営に向けた効率化等の取組を進めます。 ・事務事業の評価と合わせ、受益と負担のさらなる適正化を進めます。 使用料や手数料について、利用者負担水準等の検証を行いながら、基本計画期間ごとに適正化の実践を図るとともに、個々の施策や事務事業における受益と負担の関係についても、持続性の確保を重視した取組を強化します。 ・大規模な市債活用が必要な投資事業については、「債務管理アクション」の「2.@計画的・戦略的な「投資管理」」に基づき、「投資管理」(「事業効果の見える化と検証」を含む)を行いながら進めます。 ・「財政運営の基本方針(資産経営)」及び「資産経営アクション」に基づき、公共建築物の規模の効率化を進め、施設等整備費の水準を管理します。 また、公共インフラについても、「債務管理アクション」を踏まえた適正な整備費水準とします。 ・こうした取組を含め、「厳しい将来見通しにあっても後ろ向きにならず、子どもたちや将来市民のために、持続可能な市政に向け、創造・転換を図ること」を理念とする「歳出改革」について、市民及び議会と共有しながら、段階的に推進します。 その中で、行政サ−ビスの範囲や水準の見直しを含む行政サービスの適正化を進めます。 〔データに基づく財政運営・政策展開の推進〕 ・「行政経営プラットフォーム(仮称)」(※1)を活用し、コストや資産デ−タに基づく財務管理を強化します。 ※1行政経営プラットフォーム(仮称):横浜市財政局で開発している新たな財務会計システム(R6年度から全面稼働)をベースとした、データの集積・活用により行政経営を支える新たなプラットフォーム ・政策の立案と実行における課題分析・事業設計・効果検証等の各プロセスにおいて、定量的に検証された根拠(エビデンス)を重視し、エビデンスに基づく政策形成(Evidence-Based Policy Making/EBPM)(※2)を推進します。 また、このために必要となる組織的能力の強化と開発を図ります。 ※2エビデンスに基づく政策形成(Evidence-based Policy Making/EBPM):経験や勘ではなく、統計的・論理的に導き出された客観的に確実性の高い根拠(エビデンス)に基づいて政策を企画・改善すること A行政運営の効率化とパフォーマンス向上 ・デジタル関係投資のガバナンスを行いながら行政のデジタル・トランスフォーメーション(※3)を推進し、行政運営のあり方をアップデートするとともに、行動科学の知見によるナッジ(※4)の活用や成果連動支払型委託契約(Pay For Success/PFS)(※5)の導入など、最先端の技術・政策手法を積極的に試行・活用することや、職員の潜在力を引き出す人材育成、多様な働き方への改革等に取り組むことにより、行政運営の効率化とパフォーマンス向上を同時に進めます。 ※3デジタル・トランスフォーメーション:デジタル技術の活用を契機として既存の仕組みや体系、プロセス等を変革し、新たな価値を生み出すこと ※4ナッジ:心理学や行動経済学等の行動科学に基づく人間の行動のパターンに関する知見を活用し、環境を整えることで、個人や集団が本人や社会にとって望ましい行動をするようにそっと後押しする手法。「Nudge=そっと肘で小突く」 ※5成果連動支払型委託契約(Pay For Success/PFS):委託契約の方式の一つで、解決を目指す課題に対応した成果指標を設定し、支払額を当該成果指標の改善状況に連動させるもの。 ・このように、財源や人材を始めとする政策資源の効果を最大化することで政策課題に迅速・柔軟・的確に対応する行政組織への革新に向けて、必要な組織文化と組織体制の実現を図ります。 B多様な主体との協働・連携の強化によるオ−プンイノベ−ションの推進 ・「公共」の担い手の多様化・重層化に向けて、市民協働・公民連携の取組を一層拡大し、民間事業者等が公共的な分野で活躍できる機会の増加を図るとともに、より自立的で、公共サービスの革新に意欲的な民間の多様な主体が活躍できる環境整備に向けて、連携や協約、契約等のあり方などについて検討します。 ・市政・財政に関するデータは公共財産であるという視点に立ち、公と民、民と民の間でのオープンイノベーションを促すため、徹底したオープンデータを推進します。 オープンデータ化にあたっては、可能な限り、機械処理等に適した形式による年次データとするなど、「横浜市オープンデータの推進に関する指針」に則って公開します。 C戦略的・総合的な財源充実策の展開 〔データを駆使した税源涵養と税収確保〕 ・データを駆使した分析に基づき、税収増につなげる視点から、人や企業を呼び込む政策・規制緩和・事業投資等を全庁的な戦略・連携のもとで効果的に進めます。 ・大規模な市債活用が必要な投資事業については、「債務管理アクション」の「2.@計画的・戦略的な「投資管理」」に基づき、「投資管理」(「事業効果の見える化と検証」を含む)を行いながら進めます。 ・税務システムの再構築に合わせ、税務行政のデジタル・トランスフォーメーションを進め、安定・充実した税収を確保します。また、税データについて、個人情報保護を徹底した上で、他の様々なデータと組み合わせ、政策立案への活用を進めます。 〔保有資産の戦略的利活用〕 ・「財政運営の基本方針(資産経営)」及び「資産経営アクション」に基づき、保有土地や公共施設について、公民連携や共創の取組を通じた適正化を徹底します。 ・本市が保有する基金について、基金の設置趣旨を踏まえつつ、積立資金の充実を図るとともに、資金から生じる価値が中長期において最大化されるよう戦略的・計画的に運用します。 〔財源の多様化と充実〕 ・ガバメントクラウドファンディング(※6)や、ふるさと納税(個人・企業版)といった税財源以外の財源の活用を図るとともに、市場ニーズを踏まえた市債の調達手法の多様化を進めます。 ※6ガバメントクラウドファンディング:自治体などが、特定の事業に必要な資金を調達する目的で、事業の内容等を広く周知し、その事業への賛同者から寄附金を集める仕組み。 2.収支差解消フレ−ム 「横浜市の長期財政推計」(令和4年1月更新版)では、予算編成における収支差が年々拡大していく危機的な財政状況が見込まれています。 (2030年:▲502億円⇒2040年:▲823億円⇒2065年:▲1,752億円) 子どもたちや将来の市民のために持続可能な市政を行っていくには、収支悪化の要因である構造的な課題への対応が待ったなしの状況です。 そこで、次ページに示す「収支差解消フレーム」に基づき、中長期のベンチマーク実現に向け、2030年度までに収支差を解消する取組を進めます。 さらに、2040年度に向けても、歳出改革等に引き続き取り組むことで、構造的な収支差が解消された状態を継続していきます。 今後、基本計画の振り返り時や改訂時に、「収支差解消フレーム」に照らして進捗状況を評価し、必要な軌道修正を行いながら、2030年度の目標まで着実に取り組みます。 <「長期財政推計将来収支差」の中長期のベンチマーク> ・2030年度までに減債基金の取崩による財源対策から脱却した上で予算編成における収支差を解消 <「収支差解消フレーム」の留意点> ・「収支差解消フレーム」における計数は、実際には今後の財政需要や税収等の状況により変動する可能性がありますが、中長期のベンチマークの実現に向けた標準的な工程として記載しています。 ・中長期のベンチマークの実現に向けて、歳入を増やす観点からは、今後、戦略的・総合的な政策・事業展開や「投資管理」(「事業効果の見える化と検証」を含む)を通じた税源涵養と税収確保、また、国費等の特定財源の確保などに徹底して取り組みます。 ・また、持続可能な市政運営の土台となる財政構造への転換は、歳入増に頼るだけでは困難であり、予算の基礎となる事務事業の構造の体系化・スリム化を始めとした歳出ガバナンスの強化という大方針のもと、全区局長の強いリーダーシップにより職員の意識改革を進め、同時に、市民・議会の皆様との理解や共有を図りながら、歳出改革を進めることが非常に重要です。 したがって、この標準的な工程では、特に、歳出改革での対応規模がイメージできるように記載しています。 【図 収支差解消アクション:収支差解消フレーム】 【中長期のベンチマーク実現に向けた標準的な工程】 ○資産経営アクション 1.地域特性に応じたファシリティマネジメントの推進 土地・建物等の保有資産を経営資源として総合的に捉えるファシリティマネジメントを、本市の特性(都心部と郊外部を併せ持つ立地、住民・企業の地域活動の多様さ等)を踏まえつつ、市民の理解を得ながら全庁的に推進します。 @資産の戦略的利活用による価値の最大化 ・公共建築物の再編整備・廃止等に伴って使われなくなった資産や、棚卸しにより把握される未利用等土地なども含め、利活用可能な資産を適切に捕捉・管理・情報公開する取組を強化します。 ・資産の利活用にあたっては、オープンデータ化により資産情報を市民や民間事業者と共有するとともに、公民で多角的な活用検討を行う「ラボ」を設置するなど、民間の柔軟なアイデアを取り入れて地域の魅力向上や課題解決につなげる多様な公民連携を実現する仕組みを作り、実践していきます。 ・資産の適正化に向けた取組を支える環境整備として、資産の管理・利活用に携わる人材の育成、「行政経営プラットフォーム(仮称)」での資産情報の可視化・活用、関係規定の整備を行います。 ・未利用等土地の適正化について、資産から生まれる価値の最大化に向けた将来の数値目標を設定し、取り組みます。 ・これら資産の戦略的利活用に向けた取組を全庁的に推進するため、「横浜市資産活用基本方針」を改定するとともに、資産所管局ごとに未利用等土地の適正化に向けた計画を作成します。 A公共施設が提供する機能・サービスの持続的な維持・向上(公共施設の適正化) ・公共施設が提供する機能・サービスの持続的な維持・向上を図るため、中長期的な視点に立ち、施設の規模・数量、質、保全更新コスト等を将来の人口や財政の規模に見合った水準に適正化していく取組を、次の「マネジメント3原則」に基づいて総合的に推進します。 〔保全・運営の最適化〕 施設の保全:施設別の「保全更新計画」により、長寿命化を基本とした点検・診断に基づく計画的かつ効果的な保全を引き続き徹底し、目標耐用年数(※)以上の期間において、施設の安全性の確保とコストの縮減の両立を図ります。 ※鉄筋コンクリート造の構造物においては、公共建築物では70年以上、インフラ施設では100年以上。 施設の運営:施設の利用状況や運営コスト等を的確に把握し、運営の改善を図るとともに、利用料等の適正化や有料化、新たな運営手法を検討します。 〔施設規模の効率化〕 規模効率化の推進:公共建築物の配置や床面積など規模・数量に関する施設の基準を整理するとともに、再整備等の機会を捉え、利用状況、他施設の配置・劣化状況を踏まえて、機能統合などの再編整備を進め、施設規模の効率化を図ります。 併せて、民間ノウハウ・資金の導入をはじめとした公民連携の手法も幅広く検討します。 規模効率化の目標:本市が保有する公共建築物の施設総量(総床面積)について、適正な規模への効率化に向けた将来の数値目標を設定し、取組を進めます。 〔施設財源の創出〕 資産の活用:ファシリティマネジメントを推進し、資産の売却や貸付等による財源の創出を図ります。 国費・市債の活用:保全更新の財源として制度の充実が図られている国費や市債を効果的に活用し、財政負担の軽減や平準化を図ります。 ・公共施設適正化の取組を全庁的に推進していくため、本市公共施設の保全更新の方向性を定めた「横浜市公共施設管理基本方針」を改定するとともに、主要施設ごとに適正化に向けた計画を作成します。 ・各種のデータ・分析に基づく長期見通しを踏まえた課題や公共施設適正化の必要性と取組について、様々な媒体を駆使して発信し、市民・議会の皆様と共有しながら進めていきます。 Bファシリティマネジメントの推進に向けた仕組みの構築 ・公共建築物の再編整備にあたっては、想定されるエリアの関係施設・土地を抽出・調査し、効果的な施設の組合せや整備時期を予め整理・検討するなどにより、計画的に進めます。 また、施設の転出により不用となった敷地を売却し事業費の財源に充てるなど、資産の戦略的な利活用により事業を促進する仕組みの整備に取り組みます。 ・ファシリティマネジメントを全庁的に進めるため、庁内での合意形成プロセスや推進体制を見直す等、財政局の総合調整機能の強化を図ります。 2.公共工事等の持続性と品質の確保 @公共工事等の持続性の確保 ・今後、需要増大が見込まれる公共施設の保全更新に安定的・継続的に対応するため、週休2日制確保適用工事の拡大や発注・施工時期の平準化など、保全更新工事等を主に担う市内中小企業に対して、働き方改革をはじめとする担い手の確保・育成の取組を継続的に支援します。 A公共工事等の品質確保 ・i−Construction(※)による調査・設計・施工・管理の効率化など、デジタル技術の導入を中心とした生産性向上の推進、総合評価落札方式等の多様な発注方式の導入、本市技術職員の人材育成の充実など公共工事等の更なる品質確保に取り組みます。 ※i-Construction:「ICTの全面的な活用(ICT土工)」等の施策の導入により、建設生産システム全体の生産性向上を図り、魅力ある建設現場を目指す取組。 3.未利用等土地の適正化目標と工程 本市が保有する土地の中で、事業の見直しや用途廃止、事業開始時期の未定等が要因で、未利用・暫定利用等となっている未利用等土地の適正化について、以下のとおり目標と工程を定め、全庁的に取り組みます。 <未利用等土地の適正化目標> ・基準時点における未利用等土地と、基準時点以降に新たに生じる未利用等土地の総面積のうち、2030年度までに30haを適正化、2040年度までに60haを適正化(基準時点:2021年度末) 【図 <未利用等土地の適正化に向けた取組イメージ>】 未利用等土地には、建築用途の制限がある土地や、まちのはらっぱや広場のように、地域住民の利用が継続し、利活用に関係者との調整を要する土地などがあり、更なる利活用には、法令上の制限への対応や取得・利用の経緯を踏まえた丁寧な取組が必要です。 【図 <資産の適正化の考え方>】 ・全庁的な資産棚卸しと活用推進 @大規模資産 A未利用代替地等の売却 B各局財産の見える化と適正化 ・協働・共創型の資産経営の推進 @協働・共創型の公募モデル Aオープンラボ、マッチング等 B金融機関・大学等との連携 C企業等への積極的な広報 ・取組を支える環境整備 @システム整備/プラットフォーム A人材育成、研修等の実施 B条例、規則等のルール見直し C用途地域等法令上の制限への対応 【図 <未利用等土地の適正化に向けた工程>】 4.公共建築物の規模効率化目標と工程 公共建築物の規模効率化は、以下のとおり目標と工程を定め、全庁的に取り組みます。 <公共建築物の規模効率化目標> ・一般会計で整備・運営する本市保有の公共建築物の施設総量(=総床面積)について、2065年度:基準時点から少なくとも1割を縮減 2040年度:基準時点以下に縮減(現状より増やさない) (基準時点:2021年度末) 【グラフ <将来人口推計と公共建築物の規模効率化のイメージ>】 出典:「横浜市統計情報ポータル」長期時系列データ(人口・世帯)及び「横浜市将来人口推計」(H29.12)(中位推計) 【図 <目標設定の考え方>】 目標設定の考え方 ・施設規模の効率化だけではコストの適正化を図ることは困難なため、保全・運営の最適化によるコスト縮減、財源の確保と合わせて「マネジメント3原則」に沿った取組を、総合的に推進する。 ・実現可能と考えられる削減目標として、保全運営コストの縮減(▲220億円)、総床面積の1割の縮減(▲260億円)を想定。これに加えて、財源の確保や更なる縮減策に取り組む必要がある。 【図 <再編整備の推進による公共建築物の規模効率化の一例(イメージ)>】 【図 <公共施設の適正化に向けた工程>】 ○地方税財政制度の充実に向けた課題提起 1.現状と課題 @地方交付税制度から見た横浜市の財政構造 ・地方交付税制度は、各地方自治体が標準的な行政サービスの提供や施設の維持を行う上で必要な財政需要(基準財政需要額(※))に対して、地方税収入等の約75%(基準財政収入額)では不足する場合に、その差額分の地方交付税が措置される仕組みで、どの地域の住民も標準的な行政サービスを享受できるよう財源保障がなされています。 一方、基準財政需要額を超える経費については、原則、留保財源(地方税収入等の約25%)等の独自の財源により対応することとされています。 ※「基準財政需要額は、地方団体における個々具体的な財政支出の実態を捨象して、その地方団体の自然的・地理的・社会的諸条件に対応する合理的でかつ妥当な水準における財政需要として算定される」(一般財団法人地方財務協会『令和3年度地方交付税のあらまし』) ・次ページのとおり、実際の歳出と基準財政需要額、独自財源の関係を見てみると、基準財政需要額を超える経費について、留保財源や都市計画税等の経常的な財源だけでまかなうことができず、臨時的な財源で対応しており、持続性に欠けた財政構造となっていることが分かります。 ・こうした状態を解消していくためには、@市独自で行っている事業について効果や必要性、持続性の観点からのスリム化、A独自財源の充実に向けた税源涵養、といった自主的に行える歳出・歳入両面からの取組はもとより、B基準財政需要額の算定について、大都市としての特性や行政現場の実態をより反映したものとするための国への要望を行うことが必要です。 本市は今後、全国や指定都市全体と比較しても速いスピードで高齢化が進展します。高齢者福祉関連経費は基準財政需要額の多くの部分を占めており、高齢化の影響を適時適切に反映させる必要があります。 指定都市は大都市特有の財政需要や道府県の代わりに担う特例事務に係る財政負担を抱えるため、人口一人当たり歳出額が一般市と比べ大きくなっています。 一方、基準財政需要額の算定上、スケールメリットの要素が反映される「段階補正」等により、大都市の算定額が大きく割り落とされています。 【グラフ <65歳以上人口の増加率(推計:2020年比)>】 出典:『日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)』(国立社会保障・人口問題研究所) 【グラフ <都市規模ごとの住民一人当たり歳出額>】 出典:『令和4年度大都市財政の実態に即応する財源の拡充についての要望』(指定都市)より加工 【図 <地方交付税制度から見た横浜市の財政構造>】(コロナ禍の影響を受けていない令和元年度の状況) A地方税制度の課題 〔個人所得課税〕 ・個人住民税は基礎的な行政サービスの提供を担う市町村の重要な基幹税目ですが、社会保障の充実や防災・減災対策など行政サービスの需要が増えていく一方で、個人所得課税の市町村への配分は、国税と比較して低いまま据え置かれています。 ・加えて、近年ではふるさと納税による市外流出額も多額に上っており、必要な行政サービスの提供に支障を来しかねない状況です。また、高所得者ほど大きな節税効果が生ずるなどの課題もあり、受益と負担の関係や垂直的公平が崩れつつある状況です。 【グラフ <税収の内訳>(R2年度決算)】 市税合計:8,439億円 個人市民税:4,136億円(49.0%) 法人市民税:483億円(5.7%) 固定資産税:2,799億円(33.2%) 都市計画税:601億円(7.1%) その他:421億円(5.0%) 【表 <ふるさと納税税収影響額>(決算)】 H28年度 ▲28億円 H29年度 ▲53億円 H30年度 ▲97億円 R元年度 ▲131億円 R2年度 ▲143億円 R3年度 ▲171億円(見込) 【グラフ <個人所得課税の配分割合の推移>】 【グラフ <所得階層別のふるさと納税実施者割合と一人当たり控除額>(R2年度課税ベース)】 出典:指定都市令和4年税制改正要望 〔固定資産税〕 ・個人市民税と並ぶ基幹税目である固定資産税は、安定的な確保が求められますが、政策誘導の手段や国の経済対策として軽減措置等が用いられるなど、国の施策により多くの政策的負担軽減措置が存在し、本市を含む基礎自治体の減収の一因となっています。 グラフ <固定資産税収入額の推移>(決算)】 【表 <固定資産税における税負担軽減措置の例>(R3年度課税ベース)】 項目、減収額の順に、 ・新築住宅の減額※ 3,936百万円 ※ 新築後3〜5年間税額を1/2(住宅用地の課税標準は価格の1/6(〜200u)) ・内航船舶 81百万円 ・熱供給事業用資産 74百万円 ・先端設備等 59百万円 ・国際戦略港湾等の荷さばき施設等 38百万円 〔法人所得課税〕 ・法人所得課税は市町村への配分割合が低く、特に大都市である本市の財政需要に見合っていないことに加え、経済活性化のインセンティブも働きにくくなっています。 また、これまで一部国税化が繰り返されて税収規模がさらに縮小しており、市内企業の成長が確実に市税の増収につながるという予見性が確保されていない状況です。 ・デジタル課税等の導入については、法人税(国税)について国際合意がされ、今後、実施に向けた法制度の整備等が進められることとなっていますが、応益原則に基づく地方への配分についても、国において検討がなされるべきです。 【グラフ <法人所得課税の配分割合>】 【実効税率の配分割合】 国税:91.5% 道府県税:4.0% 市町村税:4.5% 【法人所得税の収入額】 国:115,758億円(74.3%) 道府県:33,596億円(21.6%) 市町村:6,476億円(4.2%) ※国:R3年度予算、地方:R3年度地方財政計画 【表 <横浜市の法人市民税収入額の推移>(決算)】 法人市民税収 H23 562億円 H24 582億円 H25 582億円 H26 646億円 H27 605億円 H28 546億円 H29 570億円 H30 620億円 R元 586億円 R2 483億円 税制改正影響額を除いた額 H27 661億円 H28 669億円 H29 703億円 H30 767億円 R元 726億円 R2 689億円 《法人市民税法人税割の一部国税化(本市平年度ベース影響額)》 消費税8%及び10%引上げ時、地域間の税源偏在を是正するとして、法人住民税法人税割の税率が引下げられ、国税化された。その税収全額は交付税原資化された。 @H26年度改正分:▲102億円(H27年度〜) AH28年度改正分:▲150億円(R2年度〜(見込)) 〔消費・流通課税〕 ・消費・流通課税は市町村への配分割合が低く、特に大都市である本市の経済活動や経済規模に対して見合わないものとなっています。 ・地方消費税は地方消費税交付金として県を経由して本市に配分されていますが、交付基準上、本市の経済活性化の成果が県や県下他自治体にも分散され、本市への交付額の増に直接結びつかない仕組みとなっています。 【グラフ <消費流通課税の配分割合>】 国税:73.9%、27兆3,089億円 【主な税目】消費税:20兆2,840億円、揮発油税:2兆700億円、酒税:1兆1,760億円 道府県税:22.9%、8兆4,700億円 【主な税目】地方消費税:5兆7,496億円、自動車税:1兆6,066億円 市町村税:3.2%、1兆1,768億円 【主な税目】市町村たばこ税:8,721億円、軽自動車税:2,891億円 ※国:R3年度予算、地方:R3年度地方財政計画 <令和2年度横浜市税制調査会意見書(抜粋)> 地方消費税交付金の市町村「自主財源化」:「市町村消費税」創設による課税権の回復 ・・・地方消費税のうち、地方消費税交付金相当分を市町村税化し、市町村が都道府県と並び課税団体となる。 これまで税交付金(依存財源)として収入していた財源を市町村税(自主財源)として収入するのである(地方消費税の自主財源化)。 (中略)地方消費税は、税収が最終消費地に帰属することから、課税団体において、地域での消費活動活発化などの税源涵養策のインセンティブが働く余地のある税目である。 【図 <地方消費税交付金の配分の仕組み>(R2年度決算ベース)】 B臨時財政対策債の課題 ・本市は平成13年度の国による制度創設から臨時財政対策債(以下、「臨財債」という。)の発行を開始しました。 以降、借入金残高・公債費ともに臨財債分が継続的に増加し、全体に占める割合が大きくなってきています。 ・これは、地方財政制度上、現役世代の負担の下で担保されるはずの標準的な行政サービスのうち、将来世代の負担によりまかなわれる部分が大きくなってきていることを意味します。 【グラフ <一般会計が対応する借入金残高の推移>(決算)】 【グラフ <公債費(一般会計)の推移>(決算)】 ・臨財債の元利償還費は全て地方交付税の基準財政需要額に算入されることとなっており、本市でもこれまで、過年度発行分の償還ペースに合わせ順次算入されてきています。 ・しかし、国の「地方の一般財源総額を実質的に同水準に維持する」という方針(※)のもと、社会保障関係経費の伸びがそのまま一般財源総額の伸びにつながっていない傾向を踏まえると、将来的に臨財債償還費が増加した場合、同様に、他の項目が圧縮される状況が起こることも懸念されます。 これは、国による財源保障という地方交付税制度の趣旨にもとる状況です。 ※国の「経済財政運営と改革の基本方針」(「骨太方針」)において、地方全体の歳出水準が毎年、実質的に同水準となるよう財源を確保するとされる考え方。 直近では、「骨太方針2021」において、令和4年度から3年間、この方針が継続されることとなっている。 【グラフ <基準財政需要額における公債費の措置状況>(交付税算定ベース)】 【表 <基準財政需要額需要項目別の推移>(最終決定額)】 ・社会保障関係経費 H22年度 1,891億円 R2年度 2,672億円 伸び率 +41.3% ・公債費 H22年度 948億円 R2年度 904億円 伸び率 ▲4.7% ・うち臨財債 H22年度 198億円 R2年度 439億円 伸び率 +121.7% ・その他 H22年度 3,345億円 R2年度 3,019億円 伸び率 ▲9.8% ・うち包括算定経費 H22年度 526億円 R2年度 416億円 伸び率 ▲20.8% ・合計 H22年度 6,185億円 R2年度 6,594億円 伸び率 +6.6% ・(参考)市内人口 H22年度 3,688,773人 R2年度 3,777,491人 伸び率 +2.4% ※H28年度に行われた県費負担教職員の市費移管の影響は除いている。 ・ここ10年程度は社会保障関係経費と臨財債償還費が伸びており、総額も増加傾向。 ・しかし、その他の需要項目(特に包括算定経費)は、増加項目を一部補う形で大幅な減額となっている。 ・臨財債の元利償還費は全て基準財政需要額に算入されることになっていますが、現状、そのほとんどは普通交付税ではなく臨財債により手当てされています。 本市でも、広義の地方交付税(普通交付税及び臨財債)のうち約6〜7割は臨財債で配分され、残高の累増を招いている状況です。 また、財政力等が考慮された結果、地方自治体間でも臨財債の配分には偏りがあります。 ・今後、国も含めた議論の中で、地方全体で財源を確保し、臨財債の新規発行から完全に脱却するとともに、既発行分の残高を安定的・確実に縮減していく必要があります。 【グラフ <広義の地方交付税の推移>】 【図 <市町村の臨財債残高の偏り>(R元年度決算ベース)】 【図 <臨時財政対策債の配分状況>(R3年度当初算定ベース)】 ・全国総額 〔臨財債〕25.1% 〔普通交付税〕74.9% ・指定都市総額 〔臨財債〕51.6% 〔普通交付税〕48.4% ・横浜市 〔臨財債〕76.0% 〔普通交付税〕24.0% 2.提案・要望 「1.現状と課題」で述べたとおり、現在の地方税財政制度は、大都市の特性や基礎自治体の実態を十分に反映したものとなっているとは言えません。 今後、高齢化の進展や施設の老朽化等により、ますます財政需要が拡大することが想定される中、本市が基礎自治体として持続的な財政運営を行っていく前提となる制度環境に制約がある状態です。 こうした状況に対し、本市では、従来から、他の指定都市等と連携して、地方税財政制度の充実に向けて国に対し提案・要望を行ってきました。今後も、行政現場の実情と客観的なデータに基づき、以下に示す項目のとおり、提案・要望を粘り強く行っていきます。 また、こうした取組に合わせて、市の規模と能力に見合う権限と財源を持つことにより、地域課題を迅速・柔軟・的確かつ一元的に解決できる新たな大都市制度「特別自治市」の実現に向けた取組を推進していきます。 @社会経済動向及び大都市の特性に応じた地方交付税の充実・確保 本市が自主的に十分な取組を行ってもなお、対応が困難な経済社会の構造的な変化や突発的な変動に対して、地方交付税制度による十分な財源保障機能が発揮されることにより、大都市の特性に応じた標準的な行政サービスを安定的・継続的に提供することができるよう、以下のとおり提案・要望していきます。 ・不可避的に増加する社会保障経費など、今後、地方で対応が必要となる財政需要を踏まえ、適切な財源充実策を講じつつ、国の経済及び財政規模に応じ、地方全体の一般財源総額を充実させること。 ・地方交付税による財源保障機能を充実させるため、大都市特有の財政需要や行政サービスのコスト構造を的確に反映した算定とすること。 ・的確な地方交付税額の見込みに基づき予算編成を行えるよう、翌年度の交付税予算の推計方法について現状より早期に示すこと。 また、財政の持続性の確保に向けた中長期的な視点に立った財政運営に資するよう、地方交付税について中長期的な見通しを示すこと。 ・本市が目指す「特別自治市」が実現した際には、実現後の権能に応じた財政需要を的確に算定すること。 A大都市の自律的な財政運営を可能とする税制・税源配分への見直しと国・地方の財源の充実 本市の大都市としての税源涵養の取組の実効性を高め、自主財源の安定的な確保と財政運営の自立性の向上につながる税制と税源配分を実現するため、以下のとおり提案・要望していきます。 〔個人所得課税〕 ・個人所得課税について、国・地方間の税源配分を是正するため、国からの税源移譲等により地方への配分割合を高め、より一層の充実を図ること。 ・指定都市が事務配分の特例により道府県から移譲されている大都市特例事務に係る経費について、個人道府県民税等からの税源移譲により不足額を制度的に措置すること。 ・相当期間にわたって税率が据え置かれている均等割について、個人の税負担の動向等を考慮しつつ適切な見直しを行うこと。 ・ふるさと納税について、都市部自治体の財政への影響が大きくなっていることや、高所得者ほど大きな節税効果が生じていることなどを踏まえ、特例控除額に定額の上限を設定するなどの見直しを行うこと。 〔固定資産税〕 ・固定資産税は、基礎自治体にとって重要な基幹税目であるため、国の経済対策等のために裁量的に用いるべきではなく、その安定的な確保を図ること。 ・新築住宅への減額措置を含め、非課税や課税標準の特例等の税負担軽減措置等の整理合理化を進め、充実強化を図ること。 〔法人所得課税〕 ・法人所得課税について、国・地方間の税源配分の是正及び大都市特有の財政需要に対応するため、国からの税源移譲等により、地方さらには大都市への配分割合の拡充を図ること。 ・デジタル課税や最低税率の導入により国の税収が増加する場合は、応益原則に基づき、地方にも増収分の一定割合を適切に配分すること。 〔消費・流通課税〕 ・地方消費税について、国・地方間の税源配分の是正及び大都市特有の財政需要に対応するため、国からの税源移譲等により、地方さらには大都市への配分割合を拡充し、より一層の充実を図ること。 ・域内の消費経済活動に見合った交付額が配分されるよう、基礎自治体への直接交付を含め、配分方法を見直すこと。 B臨時財政対策債制度の見直し 臨財債は、その名称に反し、これまで継続的に多額の発行が続けられてきましたが、これは、現役世代の負担の下で担保されるはずの行政サービスを将来世代の負担で行っていることに他ならず、国・地方全体でその解消に向けて取り組む必要があります。 そのため、以下のとおり提案・要望していきます。 ・臨財債の各地方自治体への配分額や残高の縮減に向けて、折半対象財源不足(臨財債の新規分)が発生しないよう、地方財源不足解消のために必要な財源を確保すること。 ・臨財債の過年度発行分に係る元利償還費については、引き続き、確実かつ実質的に措置すること。 また、残高の縮減に向けて、必要な地方歳出は確保した上で、臨財債で過年度発行分に係る償還費をまかなう状況を改善すること。 ・上記の実現のため、法定率引上げを始めとし、「A大都市の自律的な財政運営を可能とする税制・税源配分への見直しと国・地方の財源の充実」に掲げた提案を含む地方全体での財源措置を講じること。