調査季報179号 特集:男女共同参画によって実現する女性活躍社会 横浜市政策局政策課 平成29年2月発行 ≪コラム≫女性委員会活動を通じた女性活躍推進への取組 株式会社アイネット 取締役本社統括 内田 直克 女性活躍推進へ取り組んだ経緯  株式会社アイネットは横浜市西区に本社を置く情報処理サービス企業です。全社員895名(平成28年9月末)のうち、21.1%にあたる189名の女性社員が働いており、ここ3か年の女性採用比率は46.7%です。  IT業界では近年特に即戦力と期待される理系学生について厳しい採用環境が続いています。そこで当社では新卒採用は理系文系・男女を問わず、その後教育研修にて一人前に育てていく方針を取っておりますが、そのような中、知識を蓄え経験を積んだ有能な女性社員が結婚や妊娠・出産・育児など女性のライフイベントを理由として退職することは会社にとって大きな損失であると考え、女性社員が希望や目標を持ちながら働き続けられる職場をつくろうと女性活躍推進に取り組むこととなりました。経営トップが全社員に対して、平成26年を「女性活躍元年」と宣言。そこから女性活躍推進活動をスタートさせました。 女性活躍推進への流れ  女性活躍推進を全社レベルの運動として定着させるためにはまず社内体制の整備が重要と考え、平成26年6月に「女性委員会」を発足しました。主要メンバーは、人事部も含めた各部署より選出。職種も技術職、営業職から事務職まで、また職位も管理役職者から一般社員と多岐にわたる女性から構成しました。女性委員会のこれまでの主な活動は以下の通りです。 《意識調査》  まずは現在の仕事や自分の将来についてなど、女性社員の意識を確認することが重要と考え、女性委員会として「満足度&指向アンケート」を実施。システムを利用した方法にて全女性社員から回答を得、それにより女性社員の考え方・要望等女性社員の意識確認ができ、また女性活躍推進への課題も見出すことができました。 《女性フォーラム》  女性の意識改革をテーマとして女性社員を対象としたセミナーを開催。セミナー企画運営については、当社初の女性役員として迎えた社外取締役(ダイバーシティ推進会社代表)にもアドバイスを頂いております。その他ワーキングマザーを対象とした座談会などを開催。これらも女性ならではの発想をもとに「女性委員会」が中心で運営しております。 《成果物》  ・平成27月2月に女性委員会の意見をもとに人事部と「女性委員会」がリーフレット「女性の働きやすさ」を作成、社員に配布。出産や育児等に係る社内制度や神奈川県内保育所問い合わせ先など、女性社員が必要となった時に役に立つ情報を1冊にまとめました。 ・また、出産・育児により職場を離れる女性社員に対して上司(ほとんどのケースが男性ですが…)がいつ、何を確認したらいいかなどをシートにした「産休・育児復職支援コミュニケーションシート」も女性委員会からの要望を受け会社として制定しました。 「かながわの女性活躍応援団」  平成27年11月に、女性活躍の取組みに積極的な神奈川県にゆかりの深い企業ということで、「かながわ女性の活躍応援団」の一社に選ばれました。  応援団各社が女性の活躍を応援する行動宣言を行いましたが、当社も「女性委員会」を設置し、女性がより働きやすい職場環境整備に力を入れていく。」旨の行動宣言を行い、以降も行動宣言に沿い、女性採用拡大や女性管理職増加などを実践しております。 今後の課題・方向  当社がトップメッセージとして女性活躍推進を掲げてから3年。しかし女性活躍推進活動はまだまだこれからです。これまでは主として女性の意識改革を取り組んできましたが、まわりの上司・部下など男性意識の改革も必要です。女性活躍推進法に基づき公表している数値目標の達成も大事ですが、女性社員が働く意識をもちいきいきと働ける職場環境をつくることが最も重要と考えています。そのためにも、これからも「女性委員会」の活動を会社として支援していきたいと思います。