調査季報179号 特集:男女共同参画によって実現する女性活躍社会 横浜市政策局政策課 平成29年2月発行 ≪3≫超高齢・人口減少社会における新しい働き方と地域経済の担い手としての女性 編集部 1 超高齢・人口減少社会が産業経済にもたらす3つの課題  「日本一女性が働きやすい、働きがいのある都市の実現」。第4次男女共同参画計画に掲げられた目標である。日本一を目指す。これだけの目標を掲げるのには、それだけの理由と決意がある。その大きな理由の一つは、超高齢社会と人口減少の急速な進展である。  例えば、2010年の国勢調査を基準とする将来人口推計(平成24年度)では本市の人口は2019年をピークに減少に転ずると推計されている。また、2025年には65歳以上の高齢者人口は約100万人となる一方で、30~40代の子育て世代は約万人減少し、そして、毎年の出生数も今より約7千人減ってしまうと推計されている。  まさに戦後から人口が減少することなく、市域が拡大し続けた横浜市にも超高 齢化と人口減少の大波が押し寄せてきているのである。 このように急速に進展する超高齢・人口減少社会が産業経済に与える影響や課題は以下の点に集約することができるのではないか、すなわち ・生産年齢人口の減少による労働力の不足 ・人口減少による消費市場の縮小 ・世帯の縮小や高齢化の進展による市民のケア負担の増大 である。  生産年齢人口が急速に減少していけば、事業者間で人材の奪い合いが起こり、場合によっては人手不足が原因で事業が縮小したり、継続できなくなる。同時に消費者マーケットも縮小し続けるので、新たなサービスや製品を開発することなく、これまでと同じ仕組みや方法で、同じ品質のモノやサービスを提供するだけでは、売り上げや利益が減少し続け、場合によっては市場から撤退せざる得なくなる。一方で個々の市民の立場からすれば家族の介護や子育てなど無償のケア労働に従事する時間が増え、相対的に有償労働に割ける時間が減るため、新たな働き方を工夫しない限りは、収入が減少したり、場合によっては経済的に自立した生活を送ることが困難になる。 このように横浜市において将来にわたって超高齢・人口減少社会が進展し続ければ、既存の社会経済システムを見直し、革新しない限り、以上のような社会経済的リスクが高まり続けることは避けられないだろう。  さらに、これからの10年は、横浜のみならず、日本全国のほぼ全てのマチやムラで高齢化と人口減少が進む時代である。横浜の生産年齢人口が減るからと言って、高度経済成長期のように国内の他の地域からの若年者や子育て世代の流入を促すことは極めて困難である。そのことは、過去10年間において横浜の生産年齢人口は他の地域から流入する傾向にあるのではなく、東京都区部などへと流出する傾向にあるという事実からも伺い知れよう。また、人口減少社会への対応策としてよく挙げられる「外国人移民」の受入については、横浜市域の外国につながる市民の人口も中区などを中心にこの10年の間に急増しており、受入に伴う社会的・経済的・財政的コストも考えた上で積極的な移民受け入れによる労働力の補充や消費市場の拡充が妥当か慎重に考える必要がある。。 すなわち、私たち横浜市は、原則として他からの「黒船」や「援軍」をあてにすることなく、現373万の市民が共に手を結び、活躍し続けることで、進展する超高齢・人口減少社会における産業経済の3大課題と思われる「労働力の不足」、「消費市場の縮小」、「ケア負担の増大」に臨まなければならないということである。 2 「一億総活躍社会」と「女性活躍推進法」  政府もまた超高齢・人口減少社会の課題解決に向けて様々な政策を展開し始めている。その重要な契機となったのが「ニッポン一億総活躍プラン」である。この計画は、少子高齢化の進行が、労働供給の減少のみならず、将来の経済規模の縮小や生活水準の低下を招き、経済の持続可能性を危うくするという国民の認識が、将来に対する不安・悲観へとつながっているという理解に立って策定されたものだ。少子高齢化の克服を社会保障の問題としてだけでなく、経済成長戦略のテーマに据えたところが画期的だと言われている。すなわち、「少子高齢化の流れに歯止めをかけ、誰もが生きがいを感じられる社会を創る。人生は十人十色であり、価値観は人それぞれである。一億総活躍社会は、女性も男性も、お年寄りも若者も、一度失敗を経験した方も、障害や難病のある方も、家庭で、職場で、地域で、あらゆる場で、誰もが活躍できる、いわば全員参加型の社会である。これは単なる社会政策ではなく、究極の成長戦略である。全ての人が包摂される社会が実現できれば、安心感が醸成され、将来の見通しが確かになり、消費の底上げ、投資の拡大にもつながる。また、多様な個人の能力の発揮による労働参加率向上やイノベーションの創出が図られることを通じて、経済成長が加速することが期待される」という包摂と多様性により持続的成長と分配の好循環を創出するとの理念が一億総活躍プランの礎となっているのである。 こうした「一億総活躍社会」の考え方に従って2016年4月から施行されているのが「女性活躍推進法」である。この法律は、保育所などの施設が不足しているため多くの女性(母親)が働きたくても働けない環境であること、第一子出産を機に6割の女性が離職し、さらに育児後に再就職する際はパート・アルバイトなど非正規雇用者となり、就職前のキャリアや技能がなかなか活かせない現状、女性の管理職は1割程度と、国際的に見ても低い水準であることなど、人口の半分を占める女性が労働市場に十分に参加していない、さらに参加の内容も不十分な現状を打破し、女性が自らの意志や価値観に応じて生き生きと働く社会を創ることで、急速な少子高齢化がもたらす労働力不足を解消していこうという狙いを持った法律である。そのため、自治体に女性活躍を進めるための計画づくりに努めることを義務付けるだけでなく、企業に対しても自社の女性活躍に関わる状況を把握し、行動計画の策定を義務付けている(中小企業は努力義務)ことが特徴だ。  この女性活躍推進法の制定なども踏まえ、横浜市では2016年3月に「横浜市男女共同参画行動計画」を策定し、そこで「日本一女性が働きやすい、働きがいのある都市の実現」をうたったのである。  この行動計画は、横浜では、結婚・出産を機に7割の女性が離職しており、M字カーブ(女性の年齢階級別労働力率のグラフにおける出産・育児期が凹んでいる現象)の底が全国平均に比べて深いこと、また市域に専ら家事を行っている女性の層が約30万人存在すること、さらに働いていない女性(20~49歳)のうち約9割が就労を希望している点などを踏まえ、他都市と比較しても「経済活動への参画の余地がある女性が多く、潜在化している」という認識に立って策定している。そして、このような横浜のポテンシャルを活かすため、「就業を希望する女性の多くは短時間勤務などの多様な働き方を希望している」、「市内企業に勤める方が就業継続につながりやすい」などの点に着目し、「市内企業における女性雇用促進に向けた働きやすい環境づくりと起業など多様な働き方の促進」をすることで「横浜ならではの女性活躍施策」に取り組むことを趣旨内容にしている計画である。ただし、地域経済の活性化や雇用創出、働き方改革については、あくまでも民間が主体となって取り組むべきことであり、行政はそれを支援し、連携・協力する立場であるといえる。  以下では、本市の「第4次男女共同参画計画」の趣旨内容も踏まえつつも、超高齢・人口減少社会の3つの課題に対応するために、「一億総活躍」や「女性活躍」といった視点から市内の民間事業者がどのような取組を行っているのかを紹介するなかで、公民連携によって「日本一女性が働きやすい、働きがいのある都市」をどのように形成していくべきか考察してみたい。 3 ダイバーシティマネージメント~中小企業ならではの働きやすい環境づくり ①行政による「働きやすい、働きがいのある」環境づくり 「女性活躍」を社会全体で進めていくためには、企業に雇用されている女性に対して「働きやすい、働きがいのある環境」をどのように提供していくかが重要なポイントとなる。  今回制定された「女性活躍推進法」の特徴は、国や自治体、民間事業主に対して「自社の女性活躍に関わる状況を把握し、行動計画を策定し、その効果を検証すること」を義務付けている点である。  行動計画に盛り込む取組内容の例として「男性の子育て目的の休暇の取得促進」「子どもを育てる労働者が利用できる事業所内保育施設の設置及び運営」「短時間正社員制度の導入・定着」「若手に対する多様なロールモデル、多様なキャリアパス事例の紹介」「非正社員から正社員への転換制度の積極利用」など、さまざまな子育て支援や多様な働き方を実現するための取組が挙げられている。どんな取組を行動計画に盛り込むかは、原則として事業主に委ねられているが、計画の内容は自社のホームページや厚生労働省のサイトで公表すること等が義務づけられている。これによって、誰もが個々の企業等の女性活躍に対する取組を比較することが出来るようになり、企業のブランディングや人材採用に現実的に影響を与えることで、社会全体で女性活躍を進めていくことを後押しする効果が期待されている。 もっとも行動計画の策定を義務付けられているのは、従業員301名以上の企業である。それ未満の企業は努力義務とされており、行動計画の策定・公表をする企業としない企業、すなわち大企業と中小企業でこれまで以上に人材の確保面等で差がついてしまう可能性がある。 これは中小企業にとってある意味、死活問題である。冒頭で述べたように、生産年齢人口の減少によって今後、労働力が社会全体として不足していくと共に、子育てや介護などの一人当たりのケア負担は増加していく傾向にある。従って各企業間で人材の奪い合いがこれまで以上に激化すると共に、求職する側の企業選択の基準も、従業員の育児や介護の負担を和らげるための休暇制度が整っていたり、テレワークや短時間労働の導入などによってフレキシブルに働くことのできる環境が整っている企業をより重視する方向にシフトしていくことが予測されるからだ。大企業のような資金やマンパワーが無い中小企業にとって、従業員の育児や介護などのケア負担を緩和できる「働きやすい、働きがいのある職場環境づくり」に如何に知恵と工夫を凝らしていくかが、超高齢・人口減少社会における企業経営を考える際の重要テーマになりつつあるのだ。  横浜市内の企業は、99%が中小企業である。従って「横浜市男女共同参画行動計画」の中でも市内中小企業に対する「働きやすい、働きがいのある職場環境づくり」への支援を重点的にうたっている。女性の能力を活かし、男女ともに働きやすい職場環境づくりを進める市内企業を認定・表彰する「よこはまグッドバランス賞」や、男女共同参画、女性の活躍推進に取り組む企業に対して、公共調達等において積極的に評価することなどを通じて、市内企業に対して女性活躍推進を図るインセンティブを高めるための施策を積極的に展開している。 ②市内企業におけるダイバーシティマネージメントの取組  一方で市内企業の側でも男女共同参画や女性活躍といった視点から、「働きやすい、働きがいのある職場環境づくり」を目指して様々な取組が始まっている。例えば、今号のコラムでも紹介している市内に本社を置くIT企業である株式会社アイネットでは、多様な職種と職位の女性社員から構成される「女性委員会」を社内に設置。この「女性委員会」が中心となって、女性社員に向けて職場環境についての意識調査を実施したり、「女性の働きやすさ」をテーマにしたセミナーやフォーラムを社内で開催。また、出産や育児等に係る社内外の支援制度を紹介するリーフレットを作成したり、産休や育児により職場を離れる女性社員の復職支援に向けたアイデアを提案するなど多岐に亘って活動している。さらには、社内に留まらず、CSR的な観点から働く女性の子育てを応援する事業を横浜市に対して提案する活動も始めている。(44頁参照) もっともアイネットは、従業員が900名を超える大企業であり、その取組は、必ずしも中小企業には、そのまま参考にならないかもしれないしかし、市内中小企業の中には、独自の経営努力によって、誰にとっても「働きやすい、働きがいのある」職場環境づくりに取り組む企業が現れてきている。 ○日之出産業株式会社   水処理技術を販売する日之出産業株式会社は、女性の取締役である藤田香氏が、社員一人ひとりと対話をし、個々の仕事内容を見つめ直しながら、働きやすい、働きがいのある職場づくりに積極的に取り組んでいるのが特徴だ。藤田氏の口癖は「変わらなきゃ。」とにかく新しいことにチャレンジをする。とりあえずやってみる!トライ&エラーの連続であっても10のことに取り組んで1つ当たれば成功というのが彼女の経営信条である。その裏には、時代の急速な変化に取り残されかねない「製造業」への危機感がある。だからといって、社員を置き去りにして、自分の思いだけで突っ走るタイプのワンマン経営者ではない。例えば、これまで専任の担当が一人で行ってきた業務を誰でもできるように改善する「ダブルアサインメント」や在宅勤務を可能にする「テレワーク」など社内に新しい働き方の仕組みや制度を導入する際には、社員とじっくり話し合い、新しい制度や仕組みの導入を業務として研究・検討する職員を決めたうえで、一定期間、試行的に実施・検証し、日之出産業の職場の風土や社員の意向に適合するように導入するという。そこには「女性が育休復帰後、必ずしも時短勤務を望むとは限らない。男性社員も介護の問題に直面する。育児や介護の考え方や担い方は男女問わず、社員一人ひとりが異なるはず。中小企業の経営者は、そこを見極め、社員の個性や一人ひとりの意向や家庭の事情に寄り添う経営をすべきだ」という、藤田氏のもう一つの経営信条が現れている。(45頁参照) ○株式会社イーツー・インフォ  次に紹介するウェブシステム・ソフトウェアの開発などを行う株式会社イーツー・インフォの原江理子代表取締役も、藤田氏と同じ経営信念を持っている。  原氏は、旅行業界からIT業界に転職し、プログラマーとして自ら激務を経験。出産を機に退職した後は、子育てをしながら在宅ワークを続けるも、横浜にある外資系企業のシステムエンジニアになったことをきっかけに企業の立ち上げに加わり、それが縁となって今の会社の社長になったというキャリアの持ち主だ。ちなみに原氏はシングルマザーで、イーツー・インフォの社員人のうち7人が女性である。  原氏本人が一人で子育てをしながら企業を経営しているということもあり、従業員の勤務条件や働き方は、一人ひとりと面談をしながらそれぞれの意向を尊重し、柔軟に決めていくという。例えば「やりがいを求める人は幅広い業務を与えてスキルアップしてもらう」、「育児や介護など家庭の事情でフレックスな勤務体制を望む人は、給料を抑える」、「高い賃金を求めるのならば、残業をしてでもタスクを達成してもらう」と社員の意向や家庭の事情に応じて、それぞれの基本的な勤務スタイルを決めると共に、家族の介護や病気などによる休暇申請には、できる限りフレキシブルに対応している。また従業員がたまに職場に子どもを連れて来れるような温かく、柔らかい職場の雰囲気づくりや、お互いの家庭の事情について、社員が相互に共有できるような職場の人間関係づくりに心を砕いているという。 「自分自身が仕事と育児との両立で苦労してきたからこそ、子どもをもつスタッフの大変さが分かる。子どもがいてもエンジニアとして働き続けられるような職場環境を創っていきたい」というのが原氏の経営信条だ。  超高齢・人口減少社会において多様な社員の個性を大切にする経営手法として「ダイバーシティマネージメント」という言葉が注目を集めている。個人や集団間に存在するさまざまな違いを認識し、それらを競争優位の源泉として生かすために文化や制度、プログラムや実践など企業組織全体を変革しようとする経営アプローチのことをいう。  そこで重要視されるのは、あらかじめ決められた手続きや数値目標を設定することではなく、実際の取組のプロセスを通じて問題点やその解決策を随時見つけ出しながら、組織全体を持続的にエンパワーメントし続けようとする運動論的アプローチである。日之出産業とイーツー・インフォといった先に紹介した二つの中小企業は、女性のマネージャーがリーダーシップを発揮し、一人ひとりの社員の意向やニーズに寄り添うことで、男女を問わず社員が働きやすい、働きがいのある職場環境を創出しようとするダイバーシティマネージメントの典型であるといえる。 中小企業が大企業と競い合いながら優秀な人材確保し、仕事を通じて社員を育て、社員が子育てや介護をしながらも働き続けることの出来る職場環境を創ることで競争力を高めていくためには、このような寄り添い型のダイバーシティマネジメントの導入が求められるのではないだろうか。 4 「雇用関係によらない多様な働き方」を支援するネットワーク 「日本一働きやすい、働きがいのある都市」を実現していくためには、市内企業が人材確保のための競争力を高めるためにダイバーシティマネジメントの導入のあり方を模索する一方で、子育てや介護など働き手のケア負担を緩和する『時間・場所・契約にとらわれない柔軟な働き方』を広げていくことも重要である。経済産業省が2016年4月に中間整理を発表した「新産業構造ビジョン」の分析によると近い将来、人工知能などの技術革新により、就業構造や「企業と個人の関係」が劇的に変化し、『時間・場所・契約にとらわれない柔軟な働き方』が社会全体に広がっていくという。中でも注目されるのは、兼業・副業、フリーランス、起業など「雇用関係によらない働き方」だとし、今年度から研究会を発足させ、議論を開始している。 このような「雇用関係によらない働き方」を希望する女性に対して、横浜市では、起業家の育成支援に力を入れ、女性起業家支援のためのスペースの運営や経営・創業相談、起業家としての成長段階にあわせた講座の開催などを行っている。  女性の場合、非正規雇用が6割を占めており、フリーランスも多いなど、もともと男性と比較して柔軟でフレキシブルな働き方をしている層が多い。ただし、これは本人が望んだ結果というよりも家庭生活での子育てや家事、介護などのケア労働が女性に集中しているため、このような働き方をせざるを得なかったという側面がある。特に、非正規雇用やフリーランス、独立・起業などの働き方をする女性は、キャリア形成が難しく、仮に仕事のことで誰かに相談したかったとしても周囲に適切な助言を求めることのできるメンターとなる先輩や仲間が見つけづらいという課題がある。従ってこうした働き方をする女性たちを支援するためには、彼女たちが社会・経済的に孤立しないよう相互に情報交換や研さんを重ね、相談し合える同業や同志との関係性(ソーシャルキャピタル)の形成支援が、重要な支援ポイントとなる。  以下ではそのネットワーク(ソーシャルキャピタル)を通じて女性の多様で柔軟な働き方が支援されている取組を3つの事例から検討・考察してみよう。 ①よこはま・ゆめ・ファーマー  横浜市では、女性農業者がいきいきと働き暮らせる「“農”のあるまち横浜」を目指すため、農業経営や地域活動などに主体的に関わっている女性を「よこはま・ゆめ・ファーマー」として認定し、積極的に支援を行う制度を平成8年から実施している。かつては大家族制度と地域共同体の慣習やしがらみの中で、ともすれば、農作業に加え子育てや介護、家事雑用などの過重な負担を担い、社会との開かれたつながりを持ちづらかった女性農業者相互の新しいつながりを創ることで、社会経済的自立を支援するという趣旨もある。  このよこはま・ゆめ・ファーマーは、その目指す女性像として ・農業を職業として選んだ一人、あるいは農家生活を主体的に営む一人として、地域の農業を支える担い手としての自覚と誇りを持つ。 ・共に働き暮らす家族の一員として、持てる力を発揮し農業経営に主体的に参画し、農家の良さを活かした豊かな暮らしの実現に努める。 ・都市農業地域としての横浜において、生活者の視点を活かし、消費者との連携を深めた“農”のある地域づくりや、女性たちの仕事づくりを目指す。 ・地域農業に関する様々な方針決定の場へ積極的に参画する。 ・女性農業者同志、あるいは都市サイドの女性とのより強い絆と連帯を強め、女性農業者ならではのネットワークづくりを目指す。 という5つの目標を掲げている。 この5つの目標は、女性農業者に限らず、これからの時代のあらゆる女性の社会参画の方向性を先取りする理念ではないだろうか。  平成年28度時点で、ゆめ・ファーマーは113人。横浜市は農業者同志のネットワークづくりを支援している。ゆめ・ファーマーの一人である小間葉子氏は、泉区で野菜栽培をしている女性農業者である。彼女の経営方針はとにかく様々な品目の野菜を栽培し、それぞれの野菜の個性に応じて、ジュースやジャム、焼き肉のタレ、梅酢、ぬか漬け、いなり寿司やまつり寿司など実に多彩な手づくりの商品として加工。それらの商品を自宅隣の直売所や地下鉄「立場駅」での週に回の直売会で販売している。  もともとこの直売会は、農業が泉区で盛んであることを多くの区民に知らせるため、「食」を通じて泉区の魅力を知ってもらおうと区役所が企画し、地元の農家に呼びかけ始まったもの。  小間氏は「農家なので、代々、自分の家の食事やおやつは、できる限り自分のところで採れた野菜を素材にした。子どもが飽きないように、沢山の種類の野菜と加工品をつくる。漬けたり調味料にしたりと、母から教わったものもあれば、自分で工夫をし、開発したものもある。やはり手作りの加工品は美味しいし、何よりも添加物が入っていないので安全で安心。また、そのままでは商品にならない曲がったキュウリも、工夫を重ねて加工すれば皆さんに美味しく食べてもらえる。対面販売でお馴染みさんに「美味しいよ」と声をかけてもらえば、励みになるし、お客さんに野菜の調理法や効能を説明したり、お客さんの声を直接に聞くことで、商品開発に活かすことができる」と語る。また、ゆめ・ファーマーのネットワークについては、「若い頃からゆめ・ファーマーの会に参加していて、野菜の栽培や加工についての先輩の農業者からの親身なアドバイスにどれだけ助けられたか知れない。みんなで手を握って引き上げてくれる。」とその意義を評価している。 ②ワーカーズ・コレクティブ  「雇用関係によらない働き方」ということで言えば、横浜には、80年代後半から90年代にかけて、専業主婦を中心としてワーカーズ・コレクティブの活動が脈々と展開されてきた歴史がある。  ワーカーズ・コレクティブとは、雇う―雇われるという関係ではなく、働く者同士が共同で出資して、それぞれが事業主として対等に働く協同組合のことをいう。 ワーカーズ・コレクティブは、地域で暮らす人たちが、生活者の視点から地域で必要な「もの」や「サービス」を、市民事業として事業化し、生活者、市民が持っている生活技術や文化と経験を活かし合いながら、自らが暮らす地域社会の中で協同して働く。事業に必要な資金は、参加する全員が出資することを原則としている。 日本におけるワーカーズ・コレクティブの歴史は、横浜から始まっている。生活クラブ生協に参加していた主婦たちが主体となって、雇う―雇われる関係ではない、地域に根差した、地域のための、「生活者」としての協同労働が模索される中で、1982年に「ワーカーズ・コレクティブ・にんじん」が誕生した。1980年代前半に主婦の働き先が「パート」しかない中で、子育てや介護、家事労働と両立させ、主婦が主婦でありつつ短時間労働であっても、自分らしく生き生きと働くことのできる場をつくるという理念から生み出されたといえる。 当初は、家事介護サービス、弁当仕出し、パン製造、レストラン運営など主婦の持つ技術や知恵を活かす形での事業が主だったが、2000年代以降、高齢者介護や子育て支援事業など公的サービスへも参入するようになり、社会的課題を解決するソーシャルビジネスの拠点として、急速に拡大した。但し、ワーカーズ・コレクティブは、その出自が地元密着型の活動であるだけに、仮に行政から公的事業の受託を受けた場合にも、定型的にこなすのではなく、地域のニーズにできるだけ対応しよう、という柔軟な運営と包括的な支援サービスを志向しているところが多い。また、スタッフも、身近な地域の住民であることが多く、地域社会に新たな雇用を創出する場ともなっている。 そのような状況の下、市内のワーカーズ・コレクティブの中には、超高齢・人口減少社会における市民の新しい生活課題に積極的に取り組もうとする団体も出てきており、例えば「神奈川ワーカーズコレクティブ連合会」では、育児と介護のダブルケアの問題に対する組合員への調査やフォーラムの開催などを通じて、ケアと仕事が両立する新しい働き方、暮らし方を地域で模索し始めている点も注目される。 ③シェアリングエコノミー  SNS等のICTインフラが市民の日常の暮らしに浸透していくことで、モノ、お金、サービス等の交換・共有の可能性が飛躍的に高まり、時間、場所、契約にとらわれない経済のあり方として「シェアリングエコノミー」という言葉が注目を集めている。  シェアリングエコノミーは、空き部屋や空き家などの貸出から、料理やDIYの代行など「個人が保有している遊休資産や余暇時間を他者に貸出し、有効に活用することで、社会全体にとって新たな価値を生み出すビジネスモデル」であるといえる。シェアリングエコノミーにおけるモノ、お金、サービスの交換・共有は、インターネットを介在して行われ、インターネットがあるからこそ成立するサービスである。  シェアリングエコノミーは、消費者、事業者、働き手のそれぞれにメリットがある。まず消費者にとってのメリットは、企業の仲介が減少し中間マージンが抑えられ、これまでより低料金でサービスやモノを手にすることができるということ。事業者にとってのメリットは、クラウドソーシングなどに代表されるように、自ら所有しなくても、インターネットを介在して、外部からスキルや資金を容易に調達することが可能になったということ。そして、働き手にとってのメリットは、組織や集団に雇われ、時間や場所を拘束され、単一の仕事に専念することから解放される可能性が高まったということである。別の言い方をすればシェアリングエコノミーによって、時間的制約により働くことをあきらめていた子育て中の主婦や、定年退職後のアクティブシニア層等が、無理なく等身大で新たな一歩を踏み出すことのできる活躍の場が飛躍的に拡充しつつあるともいえる。  だからこそ、男女問わず、1人の市民が「子育て」「介護」「働き手」等いくつもの顔を持ちながら暮らすという多様な社会参画のあり方が模索されている中にあって、シェリングエコノミーによって「雇用関係によらない」働き手が増えていくことは、社会的に大きなインパクトがある。  株式会社AsMamaは、シェアリングエコノミーの分野でも「子育てシェア」という新しい概念を横浜発で社会に発信した企業である。AsMama のビジネスモデルは、同じ園や学校に通うママ・パパ友だちや顔見知りの友だちとつながって子どもの送迎や託児を頼り合う仕組みを構築しているところにある。必要な時に自宅等の登録地点から概ね半径2㎞の範囲の知り合いに1対多で「助けて」を発信。さらに長時間保育等近隣では預かってくれる人が見つかりにくい場合にも、半径5㎞、10㎞、20㎞と段階的に範囲を広げて発信ができるようになっている。助けてくれた人には1時間500円~の謝礼を払う仕組や、万が一のけがや事故が起こった場合に保険がきく制度をもうける等、子育て世帯と地域の顔見知りで子育てを手助けしたい人達にとって、かゆいところに手が届くオンラインサービスとして、累計利用者数は、まもなく5万人に達するなど全国にも広がりを見せている。(46頁参照)  このようにSNSを介して、助けたい人と助けてほしい人が出会う仕組みが浸透していけば、近所に暮らしながらも知り合っていなかった人達同志が出会い、サービス利用者だった人がサービス供給者側に回る等、善意の循環が地域を結び付けていく可能性をもっている。  そのような観点では、AsMamaはICTを活用することで「雇用によらない多様な働き方」を支援すると共に、子育てを通じて地域コミュニティの関係性を再構築していく企業であるともいえる。  「よこはま・ゆめ・ファーマー」は子育てや家事、介護といった無償のケアサービスと農作業という有償労働が、日々の暮らしの中で混然一体となった生産者のネットワークであり、「ワーカーズ・コレクティブ」は、ケアサービスも含めて家庭や地域での無償のサービスや活動を有償労働へと転化するための生活者(消費者)のネットワークである。事例紹介でも触れたように両者は、親和性が高く「食の安全・安心」などをテーマに連携すれば、地域社会の中で生み出されたモノやサービス、カネが暮らしに身近な地域の中で循環する「コミュニティ経済」の一つのひな形となる。  一方で、シェアリングエコノミーの「働き手」は、「よこはま・ゆめ・ファーマー」や「ワーカーズ・コレクティブ」のように生産者、生活者(消費者)といった固定化した社会役割に基づいて、組織化されているわけでなく「有償労働の担い手」と「ケアサービスの従事者」、「所有者・生産者」、「消費者」という多面的な貌を持つ個人がICTを媒介にして、その時々で立場や役割を変えながら財やサービスを交換する。従って「シェアリングエコノミー」に参加する「働き手」は、まさに典型的に『時間・場所・契約にとらわれない柔軟な働き方』をする市民であり、今後、こういう「働き手」が増えていくことを仮定すると、これまでとは、次元の異なる「相互に情報交換や研さんを重ね、相談し合える同業や同志との関係性(ソーシャルキャピタル)」の形成支援が必要になるのではないかと思われる。 5 生活創造産業のエコシステム   超高齢化と人口減少によって、消費市場が縮小し続けるこれからの社会を乗り越えていくためには、これまで述べてきた働き方改革に加えて、既存のサービスや産業に新たな付加価値を加えていく取組を推し進めていくことが重要だ。特に新たな製品やサービスの開発や販売にあたっては、女性の発想や感性も大切にしながら、女性と男性が協働で仕事を進めていくことが、ますます求められるようになってくる。例えば車や住宅、日常的な食やファッションの分野まで、家庭でのモノやサービスの購入にあたっては、ユーザーや消費者として女性もイニシアティブを持っている。これはビジネスにおいても大いに力を発揮するのではないか。  そのような中、経団連が2015年9月に少子高齢化に伴う社会課題をビジネスチャンスに変え、新たな消費者市場を創るために「生活サービス産業」を育成・活性化することの重要性を訴えた。「生活サービス産業」は、生活者を顧客対象とし、「『快適・便利・安心・楽しい』を創る」もので、「従来各自が行ってきた生活行為を肩代わりする産業・ビジネス」、「日常生活の私的な領域に関する消費・余暇に関わるやや高次の欲求を満たす産業」とに分類定義されている。例えば前者で言えば、介護や子育などケアに関わる「健康・医療・福祉分野」の産業がそれにあたり、後者であれば衣・食・遊に関わるファッション産業や観光旅行業などがそれにあたる。その中でも超高齢化と人口減少に向けて市民生活の課題を解決することで、新たなライフスタイルを提案するタイプの生活サービス産業(生活創造産業)は付加価値も高く、産業モデルそのものをパッケージングして東アジアを中心とした海外へと輸出できる可能性もあり、その潜在的な経済波及効果は高い。  こうしたライフスタイル提案型の生活創造産業を担う象徴的な企業の一つに、横浜市内に本社を持つ株式会社ダッドウェイがある。「こんな素晴らしい子育てを母親だけにさせておくのはもったいない!」と社長夫妻が、育児用品会社の創業を決意。まだ育児は母親の仕事だと決めつけられていた時代に「お父さんの子育てをもっとおもしろく、楽しくしたい!」というコンセプトで、父親用の「抱っこひも」を開発・販売することで、父親の育児という新しい市場を開拓したエピソードを持つ「生活創造産業」の創造者である。  父親が子育てを積極的にシェアすることは、母親の負担を減らし、働く時間や活躍する場をつくる。まさに商品の開発・販売が男女共同参画や女性活躍社会の実現に結びつく仕組みになっているといえる。(47頁参照)  さらにダッドウェイのようなライフスタイル提案型のサービスやビジネスを展開している事業者がハブとなって、他の企業やNPO、大学や行政といった多様な主体との連携を図ることで、生活創造産業のエコシステムを形成するケースも出てきている。ここでは、その先駆的事例として「さくら工房」と「こまちぷらす」の取組をみてみよう。 ○株式会社さくら工房  株式会社「さくら工房」は、青葉区市ケ尾で共働きの子育て世代や健康に関心が高い層に向けて、安全でおいしい食の開発・製造を手がけている。代表の櫻井友子氏は、20代初めに結婚し、2児の母になってから働き出した「最初からワーキングママ」。「食事だけは手作り」という家族にした約束を大切に、以来25年にわたって働き続けてきた。さくら工房では「働きながら、家族のために毎日の食事をつくる」共働き世帯のために、罪悪感を持たずに楽をさせてあげられる安全で安心な食材を提供するという思いが、商品開発のコンセプトになっている。  さくら工房の主力商品は、顔の見える農家の野菜や肉を使った「そぼろ」や、米農家のネットワークを生かして米を使い分けてつくる「米粉」が素材のシフォンケーキ。アークヒルズ(東京都港区六本木)で毎月開催されている「マルシェ・ジャポン」でも、固定ファンに支持されている。 そんな「さくら工房」が横浜郊外の青葉区ならではのお土産をと開発したのが地元の食材だけを使った米粉のシフォンケーキ「丘の横浜」である。 開発・営業スタイルとして新しいのは、NPO法人が運営する起業支援センター“まちなかbizあおば”と共に開発したことである。まちなかbizあおば”は、社会起業家や週末起業家、弁護士や中古車店の方、ファイナンシャルプランナー、商店街の薬局の店主など多種多様なメンバーが集い、青葉区を中心に地域密着型でビジネスを展開しようという起業家のネットワークである。そのメンバーがつぶやいた『自分のまちの贈り物がない』という一言からこのプロジェクトが始まっている。横浜みやげといえば、しゅうまいや港のイメージのある洋菓子などが頭に浮かぶが、青葉区は中華街や港に行くよりも渋谷に行ったほうが近い地域であり、青葉区の地域のみやげと呼べるものが思い浮かばない、という思いからであった。 もう一つは、地元の農家とつながったこと。青葉区は農家数にして横浜市で2位であるが、比較的小規模な農家が多い。多品種を少量生産している傾向があるため、旬のものを使い、季節ごとに違う風味のものを作ることができる。また、青葉区は18区中水稲の作付面積が最も広く、日本の食文化を伝えるために“子どもたちに米を食べてほしい”という思いがあったこともあり、今回新開発したお菓子“フラン”は地元の米粉と卵を使うこととし、中身のジャムやソースも地元農家の女性たちが手掛けたものを使用している。これらの点は、櫻井氏が「旬に応じてこまめに素材を変える売り方は、小さな工房だからこそできる。」と語るとおり、さくら工房の強みといえる。さらに商品開発のための資金や人材を「ローカルグッドヨコハマ」のクラウドファンディング機能などを活用して広く集めたことも大きな特徴として挙げられる。これによって商品開発のコンセプトやプロセスなどを広く社会に発信することができた。 「さくら工房」の取組は、「地元で採れた安心して安全な食材を忙しい共働き世帯でも手軽に食べることができるという」ライフスタイルの実現に向けて、多様な主体が連携しICTを活用することで生活創造産業のエコシステムを形成した事例であるといえる。 ○NPO法人こまちぷらす  戸塚区で子育て情報の発信やコミュニティカフェなどの事業を運営するNPO法人こまちぷらす。「孤立を防ぎ、社会全体で子育てを応援する」を目標に、NPOのミッションを企業の経営手法やビジネスのノウハウを取り入れながら実現している団体だ。 「こまちぷらす」の取組の中で、生活創造産業のエコシステムの形成という観点から着目されるのが、「ウェルカムベビープロジェクト」である。この事業はヤマト運輸と連携し、商店街や地元企業、自治会にも声をかけながら、出産後間もない地域のお母さんに出産祝いのギフトボックスを送る取組である。ギフトボックスの中には、メッセージカード、地域の方が手縫いしてつくった「背守り」と、親子遊びが楽しくなるグッズ、地域の情報やお母さんのリフレッシュサービスのチケットなどが梱包されている。このプロジェクトなどは正に多様な主体がwin―winの関係で連携する中で子育てが祝福され、楽しくなるような文化を創造して行くためのエコシステムを形成していくための動きと言える。  こうしたプロジェクトを発想し、推進していく力になっているのが、消費者のアップ・ツウ・ディトなニーズを調査によって堀り興し、それらを周囲にある多様なリソースと結び付けて、新たな製品やサービスを生み出していく森さんのマーケッティング力だ。こうしたマーケッティング力は、森さんがかつて勤務していたトヨタ自動車時代に培ったという。 このような消費者のニーズやウォンツを精確に把握し、求められる商品やサービスを開発するマーケッティングの手法を「消費者」を「当事者」として読み換えることで、当事者主体による地域社会での新たなライフスタイル創造のための対話の手法として「こまちぷらす」が開発・展開しようとしているのが「フューチャーセッション」である。こまちぷらすによるこの試みは、「子育て」や「障害」、「介護」などを切り口として、それぞれのテーマの当事者と多様な支援者(地元団体、NPO、企業、行政等)が当事者のニーズと客観的なデータを参照にしながら、同じテーブルを囲み、対話を重ねることで、仮に困難や課題を抱えていたとしても、誰もが地域社会で生き生きと暮らすことのできるビジョンや仕組みを構想していこうというものである。現在、戸塚区では、「こまちぷらす」のこのフュチャーセッションの取組み契機にして、地元住民や企業、NPOや大学などが連携し、共創することで、地域の誰もがいきいきと暮らすためのビジョンを支援する商品やサービスを当事者目線で創発するための場や仕組みとして「リビングラボ」を構築しようという取組も始まっている。(48頁参照) 6 最後に 本稿では、超高齢と人口減少が横浜経済にもたらす3つの課題「労働力不足」、「消費市場の縮小」、「ケア負担の増大」に対して、本市としてどのように対応していけば良いかということを「中小企業ならではのダイバーシティマネージメント」、「雇用関係によらない働き方を支えるソーシャルネットワーク」、「生活創造産業のエコシステム」という視点から、横浜市内における女性活躍の取組を紹介することで考察してきた。  この考察から導き出される一つの結論は、市内企業が相互に新しい経営のあり方を情報交換したり、雇用によらない働き方をする人たちが相互にネットワークを形成したり、企業、NPO、市民、大学研究機関などが相互の対話と実証実験などによって市民に新たな暮らし方や働き方を「創発」していくためのプラットフォームが必要なのではないかということである。 今回紹介したような女性の活躍による新しい社会経済の取組は、それぞれの主体が交流し、触発し合うことで更なる経営手法やビジネスモデル、社会課題解決のためのソリューションを「創発」し続けるための場や仕組みが整うことで、超高齢・人口減少社会の課題を克服し、横浜の未来を切り拓く社会的ムーブメントを形成していくのではないだろうか。