座談会 つながりづくり、居場所化 【司会】今回の調査季報は、「人にやさしいまち」を大きなテーマとしています。その中でも横浜市立大学国際教養学部都市学系三輪研究室のみなさんには「つながりづくり、居場所化」というテーマで、普段のさまざまな活動の様子やその中で感じていること、ご意見などをお聞かせいただければと思っています。 出席者 野口 菜々 三輪ゼミ4年 髙橋 桃花 三輪ゼミ3年 當山 さくら 三輪ゼミ3年 徳田 祐香 三輪ゼミ3年 奥田 咲萌 三輪ゼミ3年 坪利 拓海 三輪ゼミ3年 1 参加しているプロジェクトや研究内容 【司会】最初に、自己紹介を兼ねてご自分の参加しているプロジェクトや現在研究している内容などをお聞かせください。 【野口】三輪研究室4年の野口菜々です。胎児期からの「まち保育」をテーマとして、大学近くの山本助産院でのプロジェクトに参加しています。お産歩講座やみんなの食堂、山本助産院の中にある「たんぽぽ」というつどいの広場のお手伝いなどをしています。また、こどもの「道での遊び」の減少に保護者の意識がどのように影響しているのかを、地元(鎌倉)で研究しています。 【髙橋】3年の髙橋桃花です。「あすなみ」という小中高生の居場所づくりの活動で、毎週月曜日の放課後に、その場所に来る地元の小中高生、主に小学生・中学生と一緒に遊びや運動などの活動を行い、その子たちが有意義に過ごせるような居場所づくりをしています。 【當山】3年の當山さくらです。野口さんと同じ「胎児期からのまち保育」というテーマで山本助産院のプロジェクトに携わっています。先ほどのお産歩講座ですが、対象の妊婦さんの参加が少なく、どうやったら集まってもらえるか、現在企画を検討しています。 【徳田】3年の徳田祐香です。幼児期からのまち保育に取り組んでいて、毎月お母さんとこどもと一緒に地域の色々な公園で遊ぶイベントを開催しています。公園に来るという意味を込めて「ぱあくる」といいます。そこで生まれるコミュニティが公園の活性化につながるように活動しています。 【奥田】3年の奥田咲萌です。金沢区の六浦地区にある「うみとそらのおうち」という、こどもホスピスのプロジェクトに参加しています。このプロジェクトは今年で2年目。今年の5月に行った講演会が第一歩で、これからどのような形でこどもホスピスやそれを取り巻く地域の方々と関わっていけるかを模索しているところです。 【坪利】3年の坪利拓海です。髙橋と同じ「あすなみ」に参加していて、基本的な活動のほか、今は、並木のふなだまり公園で7月27日に行うサマーフェス、地域のお祭りにブース出展するため、あすなみの常連のこどもたちにも運営側に入ってもらってイベントの企画や道具づくりなどを一緒に行っています。 【司会】三輪研究室を選んだきっかけは何ですか。 【野口】こどもと関わる塾のアルバイトをしていることもあり、こどもが好きということと、地元鎌倉は自然が豊かで、その自然を利用したイベントやお祭りなどを通して、自分が地域の方に育ててもらった、地域とつながってきたという感覚があるので、今度は参加する側ではなく、自分が場を作る側を経験したいと思ったこと。それが、三輪ゼミを選んだきっかけです。 【髙橋】高校の授業で「母親の育児時間は父親よりも長い」と学んだことから、子育てに興味を持ちました。三輪ゼミは子育てに関わる活動をしていると聞き、そこであれば自分がまだ知らない世界を学べると思ったので選択しました。 子育ては家族単位だと思っていましたが、地域と一緒に子育てをするという視点が得られ、周囲の人が協力して支えることの大切さを思うようになりました。 【當山】地元沖縄は若くして出産する人が多く、友人もすでに子育てをしている状況で、まち保育というテーマがとても身近だったことから興味を持ったのと、積極的なフィールドワークがあると聞き、受動的な講義ではなく、主体的に活動ができると思い志望しました。 【徳田】こどもが好きというのが、一番大きな理由です。それと高校生の夏休みに、学校の近くにあった地域子育て支援施設にボランティアとして参加したのですが、地域とのつながりやお母さんのコミュニティの少なさなどを実感しました。大学ではそういった課題についてもっと探求していきたいと思い、三輪研究室を選びました。 【奥田】中学生の頃からずっと、まちづくりに関わりたいという思いがあったので、大学入学時に、どのような形でまちと関わっていくのが自分も楽しく地域のためにもなるかを考えました。 将来のことを考えてもよく分からないけど、こどもの頃の経験はあるので、自分がこどもの時にあったら楽しかっただろうなと思えることや場所、困った時に受けられたら良かっただろうなと思える支援などについて実現していきたい、この研究室で、何か実現させられたらいいなと思い志望しました。 【坪利】大学進学を機に横浜で一人暮らしを始めたのですが、富山県の田舎のほうにある、村と言っていいくらいの小さな地元のまちとの間にギャップを感じています。 地元では、自分の家とほかの人の家を分けて考える感じがなくて、近所のおじさん、おばさんとも血はつながっていなくても親戚のような感じでした。そこでは少子高齢化が進んでいるのですが、こどもを巻き込んで地域コミュニティを作ることで、子育てがしやすく住みやすくなり、人が増えていくのではないかと考えているので、三輪研究室で地域コミュニティの創出について学びたいと思い志望しました。 2 フィールドワークについて 【司会】それぞれの活動の中で印象的だったことを教えてください。地域とのつながりの中で感じてきたことなども合わせてお願いします。 【當山】参加したお産歩講座の回数が少ないので、その活動では人とのつながりは実感できていませんが、山本助産院が主体となって行っている「みんなの食堂クローバー(以下、「クローバー」という)」のお手伝いをした時には、地域住民との関わりや交流といった面からつながりを感じることができました。 自分自身が関わるというより、参加している方たちどうしの関わりを見ることが多かったので、クローバーでも参加者のつながりは見えたかなと思います。 【野口】クローバーに来るこどもは未就学児が多く、ただみんなで遊んでいるというイメージですが、お母さんたちに印象的なことがありました。 4月はこどもたちが保育園に入る時期で、それまで「たんぽぽ(親と子のつどいの広場)」で日常的に会っていたのに、ご自身の仕事などでお母さんどうしがなかなか会えなくなって、みなさん寂しさや不安などを感じていたようです。でも月1回のクローバーでは「この時間に来よう」という約束をして会えたお母さんたちがとても安心感のある顔をしていて、「久しぶりだね」「会いたかった」「この話をしたかった」というような会話がそこここから聞こえてきました。 月1回しかできないクローバーでも、会いたい人に会えるイベントとして必要とされているのを感じました。 【坪利】「あすなみ」は大学生スタッフと地域の小中学生が交流する場でもあります。初めは人見知りをしていた子が、会う回数を重ねるうちに仲良くなっていろいろなことを話してくれるようになることが、個人的にはすごく嬉しいことです。 こどもたちには、学校のコミュニティ以外に「あすなみ」という場所があるということがとても大事だと思っています。大学生と小学生や中学生、こどもを連れてきた保護者とスタッフ、というように様々なコミュニティの人が集まって交流する場所として、「あすなみ」が機能しているということがとても印象的です。 地元は顔の見える近しい関係である反面、自分のコミュニティの外の人たちとつながる機会がなかなかないです。「あすなみ」が地元にもあれば、小さいころから外のコミュニティの人や自分より年上の人たちと交流ができると思うので、そういう場所があればいいのになと思います。 【髙橋】「あすなみ」は地域の商店街の中に設置されています。こどもたちが遊んでいる「あすなみ」と同じ空間に一般の休憩スペースがあり、地域の方も日常的にくつろいでいるので、こどもたちがにぎやかに過ごす場所が、地域になじめている、地域のにぎわいが生まれている場所だなと感じています。 「あすなみ」を地域の方とも交流できる場所にできたらと考えています。 【徳田】毎月行っている「ぱあくる」のほかに、「あすなみ」と同じ空間の一角にある「あしたひろば」という親と子のつどいの広場でも月に1から2回ボランティアもしています。始めて1年くらい経つので、利用するお母さんやこどもの顔を覚えてきているのですが、お母さんたちにも覚えてもらえるようになると、やっぱりとても嬉しいです。 また、毎回会うお母さんが、いつもはとても元気なのに今日は元気がないなと思うこともあります。スタッフとそのお母さんとの会話を聞いていると、毎回違う悩みがあって、自分が思っているよりも子育ての悩みは多く、尽きないんだと感じています。 【奥田】こどもホスピスには、昨年の今頃から関わらせていただいていて、施設の見学にも行き、どのような施設かということは頭では理解できているものの、ホスピスはやはりどこか遠いものという感覚が1年くらいありました。 でも、今年の5月に講演会を開催した際、こどもホスピスの田川理事長や六浦小学校の先生方と直接お話をさせていただく機会があり、どこかでみんな同じような経験をしたことがあるんだなと感じました。直接こどもホスピスに関わるようなものではなくても、誰もが親しい人との別れや病気で困った経験があるし、実際自分も何度か経験しています。 一見つながりがない、関わりがないと思えることでも、どこか共感できることや想いがあると思います。病気があるとかないとかではなく、そういった感情を共有できる場所としても、こどもホスピスが地域に開かれる形を探すお手伝いが研究室としてできれば、更なるつながりが創出されるのではないかと感じています。 【司会】活動を続けることで自分が変わったこと、または活動に参加している方、地域の方々が変わったなどの経験はありますか。 【坪利】「あすなみ」で仲良くなるにつれて、それまで単に「これで遊びたい」という会話だけだったのが、学校でのちょっとした悩みや恋愛の話など、深い話をしてもらえるようになったのは、とても嬉しかったです。ただ遊ぶだけではなく、いろいろな話ができる場所として、自分が役に立っているのかなと思います。 私は自分からコミュニケーションを取るのはあまり得意ではないんですが、こどもたちに自分から関われるようになって、接し方というか程よい距離感を取れるようになったとも思います。最初は距離を縮めすぎて、自分が言って聞かせても効果がなかったこともありましたが、今は自分が言えばちゃんと分かってくれるし、こどもたちもやりたいことは言ってくれるので程よい距離感だと思っています。 【髙橋】「あすなみ」では、こどもたちが学年や男女など関係なくいろいろな人と話している印象があります。自分は、学年が上がるにつれて特定の人とだけ話すことが多くなっているのですが、こどもたちがさまざまな人と自由に話をするのを見て、何か学べることがあるのではないかという意識に変わりました。 また、アルバイトをしている放課後キッズクラブでは、安全面からスタッフがこどもたちに「してはいけないこと」を注意していることが多いのですが、「あすなみ」ではその点自由です。失敗してもいい経験になると思うので、注意をするよりも自由に遊ばせるほうがこどもたちのためになると思います。 こどもたちには「これはダメ」と禁止するのではなく、安全面に配慮しつつ、「こうしたらいいんじゃない?」という感じで関わりたいです。 【司会】活動に限らず、地元から離れて価値観が変わったということはありますか。 【當山】那覇市内を走るモノレールがあるだけで、地元沖縄には電車がありません。鉄道がある横浜に来て、こどもたちの行動範囲がとても広いということを感じました。地元では遠いところに行くには親の送迎が必須なんですが、横浜のこどもたちは親の目が届かないくらい遠いところで遊ぶことも、その機会もあるのかなと思うと、正直怖いなと思いました。 【司会】地元と横浜を比べて、まちのやさしさをどのように感じますか。 【當山】横浜や今住んでいる東京では、親がしっかり付いているので、こどもたちに自由がないというか隙がない感じがするのと、地域の方からこどもたちへの声掛けが少ない印象を受けました。 地元では、ずっと同じ地域に住んでいたからか、まちを歩いている人は大抵見たことありますし、同じマンションの方からは街中で声を掛けられます。知らないおばあちゃんに話しかけられることも珍しくありません。目の届く範囲では自由だったし、地域の方からの声掛けがあったので安心感につながったのかもしれません。 どちらが住みやすいかというと、声掛けがあって温かい地元かなと思います。 【坪利】横浜は、地域で関わりがあるというより、本当に家の中だけでコミュニティが終わっている感じがしています。 自分も地元では外を歩いていれば声を掛けられたり、こどもの頃、人の家に入って遊んでいても怒られることはありませんでした。寛容だったと感じます。 横浜で人の家に入って遊んでいたら、おそらく怒られることが大半かなと感じるので、地元のほうが寛容で温かくて、こどもとしてとても過ごしやすかったと思います。 【奥田】京都府の北のほうの田舎が地元です。実家には親がいて、横浜は一人暮らしなので、地域との関わり方としては、それぞれ少し違うと思います。 学生の立場では、プロジェクト以外に地域やこどもたちと関わるという機会はあまりありません。地元でも一人暮らしをする大学生だったら、同じように周囲との関わりはないのではないかと思います。 また、地元は周りに家が多くないですし、山を下りるみたいな感じなので、車がないと移動が厳しい。街に出たり、コミュニティに行くまでのハードルが高いです。それに比べて横浜は、金沢区だけ見てもシーサイドタウンには「あすなみ」という拠点があり、大学の近くには山本助産院があります。分散してコミュニティがあるということは、一歩が踏み出せたら、サポートを受けられたり居場所を見つけられたりするのではないかと感じています。 【野口】私も山本助産院で「双子の会」のお手伝いを終え、バス停でお母さんのお見送りをしていた時に、たまたま、やさしさがないと感じる場面に遭遇したことがありました。山本助産院は駅から遠く、車が便利だと思うのですが、そのお母さんは双子用の2つつながったベビーカーを使って参加していました。バスで駅まで帰ろうとしたのですが、そのままだとバスの入口が狭くて乗れない状況でした。そもそもバスの作りもやさしくないのですが、畳めば乗れると思うので「畳んで乗りますか?」と聞いたところ、「でも降りられないから」と言われたんです。その声はバスの中にも聞こえたはずです。バスには高齢の女性も乗車していました。自分も子育てで大変な思いを経験してきたと思うのに、「助けてあげるよ」の一言がなぜ言えないんだろうと思いました。 地元の鎌倉では、母が私と弟を連れているときに助けてくれる高齢女性がたくさんいた印象があったので、余計にそう思うのかもしれません。 今研究室では、子育て世代と学生であったり、子育て世代と区役所、市役所などをつなげる役割をしていますが、これまで関わりが多くなかった高齢者にも働きかけ、地域の方が温かく子育てに手を差しのべてくれる、そういう環境づくりが必要なのではないかと強く思いました。 【徳田】地元が横浜なので比べる地域はないのですが、自分が小さい頃は住んでいるマンションで七夕や夏祭りのイベントがありました。1階のロビーでボール遊びをしましたし、エントランスではキックボードやサッカーなどをしている人もいました。それが、私が中学生か高校生くらいになった時に、ほとんど禁止されてしまったんです。こどもでもきちんと伝えれば理解できるのに、遊んでいる当事者に注意するのではなく、管理人の方に伝えて張り紙で禁止にしてしまうということが多くなり、今はこどもたちがわいわい遊ぶ姿を見なくなってしまいました。 張り紙で禁止されたら、誰がどんなことを良くないと思っているのか分かりません。こどもたちも、直接注意されたわけでもないのにいきなり禁止にされたら不満に思ってしまうので、注意したいことがあれば言い方を考えて、本人に声を掛けたほうがもっと良いまちになると思います。 【髙橋】3年くらい前ですが、放課後キッズクラブを利用している子が「今日知らない人から声を掛けられた」と言っていたんです。でもよく話を聞いたら近所の人に挨拶をされただけだったことが分かりました。『知らない人は怪しい人』という感じの話し方だったので、そういう意味では地域全体にやさしさが無いのではないかと。例えば、いろいろな人が普段から交流ができるところとかがあって、顔見知りになっていれば、怪しい『知らない人』ではなく、知っている『近所の人』と言えるのではないかと思います。 【司会】やさしさが感じられないことに対して、自分だったらこうしたいですとか、これだったら自分にもできそうだと思うことはありますか。 【髙橋】自分の住んでいる地域では、交流できる機会がどんどん減って町内のお祭りくらいしかないので「あすなみ」のような活動をするのは難しいと思うのですが、身近な場所でいろいろな人と関われるようなきっかけを作るために、自分が地域の人に関わることが大事で、それを増やしていくことかなと思います。 そういった考え方や活動を親にも伝えて、親から近所の人に伝えていくような感じで。 【野口】地域の中に顔なじみを増やす、ということでしょうか。 山本助産院と一緒に行うお産歩講座に講師の方を呼ぶこともそうだと思いますし、例えば先日クローバーにいらしていた大道芸人の方のように、こどもたちに風船アートをプレゼントすると「あの時風船をくれたおじちゃん」となって、知らない人ではなくなります。 地域にはいろいろな活動をしている方がたくさんいらっしゃるので、そういった方たちと関わるような仕掛けを作っていくことで、顔なじみを増やせるかなと考えています。 【徳田】公園での「ぱあくる」活動中に、近くを通る近所の方がこどもたちを見て「可愛いね」と言ってくれたり、どのような活動なのか聞かれることもあります。その公園に来るお母さんたちのコミュニティ作りだけではなく、通りかかる人に活動を知ってもらえる機会にもなるし、こどもたちの顔を覚えてもらう良い機会にもなっていると思います。 自宅のある区にも公園はあるのですが、とても広いのにこどもたちが遊んでいる様子が見られず、あまり活用されていないと感じることが多いので、地域のコミュニティを作るイベントとして機能している「ぱあくる」の活動を広げていきたいです。 【奥田】地元の話になりますが、家の前にある少し大きめの公園でもボール遊びは禁止されています。遊具もほぼない、ただのグラウンドのような公園なのですが、ボール遊びもできないとなると、ほかに何ができるのかと思ってしまいます。 以前は、夏休みのこどもたちがラジオ体操前の朝早くから遊んでいると、うるさいなと感じていたのですが、ちょっと寛大な心を持って、こどもたちが遊んでいることの大切さを考えられたらいいなと思います。 今は、こどもたちのいない時間帯は誰も公園を使っていないような状態なので、こどもに限らず、いろいろな年齢の方たちが公園を使えるように、近くに住んでいる自分が活動をしたら、新しいコミュニティが生まれるなどの変化があるのではないかと思います。 【坪利】自分が住んでいる地域のお祭りやイベントに参加して守っていくというのも大事なことで、自分のできることではないかと思っています。 やさしさがないというのは、個人的にやさしさや気遣いのない人が増えたということではなく、相手のことを知らないために何もしてあげられないということもあると思います。 地元に昔からある地域のお祭りは、規模が大きくないからこそ1人1人密に関われるのではないか。地域で小さなイベントをする、地域の小さなイベントを守るということが、今自分にできる大事なことかなと感じています。 【當山】小さなことかもしれませんが、こどもたちへの声掛けが少ないことにやさしさがないと感じたので、自分から「おはよう」「こんにちは」という声掛けをしてみるとかでしょうか。知らない人からの挨拶でも返していいんだと思ってもらえるように。そうすることで、知らない人から声を掛けられたではなく、地域の人から挨拶してもらったという意識に変えられるのかなと思います。 ただ、不審者からの声掛けと紙一重になってしまうと思うと難しいところではありますが、まずは自分から声掛けをすることが、今一番自分にできることだと思いました。 【司会】つながりづくりや声掛けなど、実際に行動に起こしていることはありますか。できていない場合、何が理由なのでしょうか。 【當山・徳田】2人とも荷物の多いおばあちゃんを助けたことがあります。おばあちゃんって、なぜか自分のキャパシティ以上のものを持っていることが多いので、そういう時は私たちが助けなきゃという気持ちにさせられます。荷物を運んであげたら喜んでもらえました。 【奥田】おばあちゃんに声を掛けるより掛けられがちで、「称名寺ってどこ?」「ここまっすぐ行ったら称名寺?」など称名寺の場所や駅までの道順をよく聞かれます。金沢文庫駅まで案内をしながら一緒に歩いたこともあります。 【坪利】あまり困った人がいる場面に出会わないので、今のところ声を掛けたことはありませんが、例えば犬を散歩させている人に「かわいいですね」と声を掛けたい気持ちはあります。 地域のお祭りにもスタッフとして参加したいのですが、大学生の一人暮らしなのでどうやって声を掛けたらいいのか分からず、まだ参加できていないという感じです。 【野口】妊婦さんへの声掛けはハードルが高くてできていませんが、お母さんと一緒にいる小さい子が、私のバッグに付いているキーホルダーに興味を示してくれた時にちょっと話しかけるということはありました。 先日は地元を歩いていた時、小学1年生くらいの小さい子がもの言いたげにこちらをじっと見ていたので「どうしたの?」と声を掛けたら「今来た道に小学生はいましたか」と。「いなかったよ」と言ったら「じゃあ一緒に帰ろう」って言われたので、10分くらい一緒に歩いて帰りました。結構楽しかったです。 【髙橋】自分は行動を起こせていない側です。同じマンションの人に挨拶しようと思うのですが、学生だから挨拶しないだろうと向こうが壁を作っているような気がして、なかなか挨拶ができず後で反省しています。 【司会】横浜に、どのようなまちになってもらいたいですか。 【坪利】今でもとても魅力的なまちだと思っています。イベントもあるし、交通の便も良い。仕事をするという面でもいい場所なので、たくさんの人に住んでほしいと思いますし、子育てのしやすいまちとして他都市のモデルになってほしいと思います。 【奥田】自分たちが今やっている活動が、ずっと続くまちになればいいなと思います。  地元の大学でも地域活動を行っているのですが、例えば拠点が駅前に作られたとしても2年から3年で閉じてしまうように、活動の継続性がありません。対象者となる人数が少ない、利用者が少ない、定期的に開催しても人が集まらないなど、継続性のある活動にするのは本当に難しいと思います。  横浜では、形は少しずつ変わっても活動が続く、継続性のあるものとして地域の文化になっていく、そんなまちになればと思います。 【徳田】地元を大切にできる人たちが多くいるまちになればいいと思います。 自分たちは、遊ぶにしても近くの公園から横浜駅やみなとみらいなど、市内の範囲でした。横浜には魅力的な場所があるのに、最近の子はそこを離れて例えば原宿など東京に行ってしまいます。 大学で会う地方から来た人が、自分の地元に誇りを持って地元の文化や有名なものを知っているほどには、私は横浜を知らないですし、これからはもっと知らない子が増えていくのかなと思います。地方から来た人に負けないくらい横浜への気持ちを持てる、地元として大切にできるまちにしていきたいです。 【當山】横浜に来る前は、繁華街やみなとみらい等のにぎやかなイメージがありました。金沢区にある市大に通い始めたら、意外に住宅街が多いことを知り、暮らしやすいまちだとも思いました。今日の話で、にぎやかな横浜というイメージだけではなく、暮らしやすい横浜というイメージも広がるといいなと感じました。 【髙橋】地域に関わるきっかけが身近にあるまちになってほしいと思います。 例えば、金沢区には市大があるので「あすなみ」などの学生の活動があり、まちづくりもでき、その地域での活動が大事だという意識が広げられると思うのですが、大学が近くにない地域では住民が自ら関わるきっかけがない。そしてそのことが問題だという意識を持つことが難しいですし、行動を起こすにも方法が分からないのではないかと思うので、住民が行動できるようにサポートする体制が身近にあるといいなと思います。 【野口】観光以外で注目されるまちにしたいと考えています。 県外の人たちが想像する横浜と言えば、中区と西区の2区になっている現状ですが、金沢区での活動やほかの区のことを調べていくと、それぞれの区にさまざまな特色があることが分かります。 他都市の移住支援や子育て支援などが取り上げられることを多く目にしますが、横浜はあまり取り上げられていないように感じます。子育て支援というのは移住を増やすきっかけになると思いますし、他都市の方からの注目を集める方法の一つになるのではないかと考えています。 観光があるからこそ横浜が成り立っていると思いますし、大切であることを大前提として、それ以外の部分も注目されるまちにしたいです。 【司会】みなさんの普段の活動からの考察や感想、今後の希望や期待などをお聞きして、たくさんのヒントをいただいたと思います。横浜の魅力である多面性を発信していく、知ってもらうための努力を続けることの大切さを再認識しました。本日はありがとうございました。 (座談会実施:2025(令和7)年7月2日) ※所属・学年は座談会時点のもの