《コラム》データから見える生活行動の変化② 主要な駅・繁華エリアにおける人の分布・人流の変化  新型コロナウイルス感染症の巻染拡大対策として、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が実施され、指定区域で多くの人が外出や人との接触を極力避けるようになると、陽性患者数などとともに、携帯電話等の位置情報を活用した駅や繁華街における人流のデータが民間事業者や国からが提供されるようになった。  例えば、NTTドコモ株式会社が提供する「モバイル空間統計Ⓡ」(注1)では、全国の主要な駅や繁華街の人出の増減率を見ることができる。その中から、「横浜駅」、「みなとみらい」、「中華街」(元データの表記は「横浜中華街駅」)の3エリアについて、コロナウイルス感染症の感染拡大前(2019年1月18日から2月13日の平均)と比較した日別増減率から算出した7日間の中央移動平均をグラフにしたものが下図の上部である。  第1回の緊急事態宣言下の2020年4月下旬頃の時点で「横浜駅」「みなとみらい」ともに拡大前と比べ70%以上のマイナスとなっていたが、5月下旬に宣言が解除されると急激に人流が増えている。その後は、特に「横浜駅」では一時的に拡大前とほぼ同水準となったが、「みなとみらい」は「横浜駅」ほど変動していない。  参考として示した「新宿駅」「渋谷センター街」を見ると「横浜駅」や「みなとみらい」とほぼ同様の動きがみられるが、2021年5月に東京都に緊急事態宣言が発令され人流のマイナス傾向が強まっている。一方、横浜は宣言が発令されていないためか、むしろプラス方向に動いていた。  「中華街」については、2020年4月下旬時点でもマイナス40%で影響が比較的少なく、その後の増加も横浜の他2地点ほど急激ではなかった。また、2022年に入ると3月には「横浜駅」と「中華街」は感染拡大前比でプラスとなっている。  さらに、V-RESASで公表されている株式会社Agoopによるデータから、2019年の同週と比較した「横浜駅」の増減率を見ると(図下段)、推定居住地が市外(「都道府県内」「都道府県外」)である人の増減率はほぼマイナスの状況が続いている。市民(「市区町村内」)については、2021年中は緩やかに回復傾向にあり、コロナ禍前と比較してプラスとなった時もあったが、2022年に入り、再びマイナスが続いていた。  これらのデータを含め、内閣官房(「新型コロナウイルス感染症対策」各種データ)や内閣府が運用するサイト(V-RESAS)等で、各種データを閲覧、ダウンロードすることができる。(執筆時現在) 注1 モバイル空間統計Ⓡの「新型コロナウイルス感染症対策特設サイト」のデータ更新は2022年3月31日で停止された。(サイトの閲覧等は可能)