《15》国際園芸博覧会の招致に向けて 執筆 岩ヶ谷 和則 政策局政策課担当係長  横浜では、花と緑をシンボルにした国際園芸博覧会(以下「園芸博」という。)を2015年に米軍から返還された旧上瀬谷通信施設において、2026年の開催を目指して招致を進めています。2025年の大阪・関西万博に続く国際的な博覧会の開催により、横浜だけでなく、日本全体の更なる活性化が期待できます。 1 横浜が目指す園芸博  園芸博は、国際的な園芸・造園の振興及び花と緑あふれる暮らしや地域・経済の創造などを目的に開催される国際博覧会です。横浜市が目指す園芸博は、国家的なプロジェクトとなるものであり、国内では、1990年に大阪で開催された「国際花と緑の博覧会」のみです。  園芸博は、単に園芸や造園に関する展示をするだけでなく、日本が培ってきた自然と共生するライフスタイルや先進的な環境に配慮した取組などを発信・共有することができます。また、国連SDGs の目標達成に貢献が期待できるほか、経済や社会の成熟化に伴って生まれる多様な要望や共感に応える新しい価値やサービスの創出が求められる時代において、世界の最先端の知識、技術、人を集結することで技術革新や創意工夫による課題解決が期待できます。そのためにも、様々な分野・領域と連携することで、新たな時代への提案をしていくことが重要であり、園芸分野に関わらず様々な分野の企業や団体のほか、一人でも多くの市民の方々に関わっていただくことが園芸博の成功につながります。  2018年3月に策定した「旧上瀬谷通信施設における国際園芸博覧会基本構想案」においても、次世代を担う世界の子どもたちをはじめ、企業や団体などとの連携により、みんなでつくり育てる博覧会としています。 2 旧上瀬谷通信施設におけるまちづくりへの貢献  会場となる旧上瀬谷通信施設は、首都圏でも貴重な広大な土地であり、東名高速道路や保土ケ谷バイパスに近接し、交通アクセスの優位性がある一方、米軍施設として、長年、利用を制限されてきたため、道路や上下水道などのインフラが未整備となっています。返還以来、地権者の皆様と市で、将来のまちづくりに向けた検討を進めているところであり、園芸博の開催により、土地利用に必要な都市基盤の整備を促進させるとともに、地域の知名度が向上し、郊外部における新たな活性化拠点の形成が期待されます。  園芸博のレガシーを将来のまちづくりに活かしていくためには、まちづくり計画と整合を図りながら、園芸博の計画を進めていく必要があります。旧上瀬谷通信施設の特徴の一つでもある農業や自然が持つ多様な機能を生かしたグリーンインフラは、園芸博における重要な要素と考えられます。さらに、園芸博を契機として生まれる新たな価値や課題解決への知見などを、まちづくりのモデルとして、発信していくことが重要になります。 3 園芸博の招致に向けて  横浜市中期4か年計画2018−2021では、「ガーデンシティ横浜の推進」を掲げており、そのリーディングプロジェクトである「ガーデンネックレス横浜」の取組などを通じて、市民や企業などの皆様の機運を高め、園芸博の招致につなげていきます。  また、横浜市が目指す園芸博は、国、地方自治体、経済界などが一体となって開催するものであり、開催都市として、国や経済界と調整を図りながら、招致に向けた機運醸成や国内外への広報PR、招致に必要な検討などを関係者と連携しながら進めていきます。