《14》花と緑で街をつなぐ「ガーデンネックレス横浜」 執筆 高村 暁子 環境創造局みどりアップ推進課担当係長 1 はじめに  2017年に開催した第33回全国都市緑化よこはまフェア(以下「フェア」という。)は、市内外から600万人を超える方が訪れ、大変な賑わいを見せた。この成果を一過性で終わらせることなく、「ガーデンシティ横浜」を推進するためのリーディングプロジェクトとして「ガーデンネックレス横浜」を継続している。  ここでは、フェア後の状況と実行委員会設立、そして新たな取組「横浜ローズウィーク」へのつながりについてご紹介する。 2 経過 @2017年秋の里山と2018年春  2017年6月4日日曜日、全国都市緑化よこはまフェアは無事72日間の会期を終え、閉幕した。様々な人の思いや協力により横浜が花で彩られ、魅力的な街を多くの方に楽しんでいただいた。  フェアを経て、私たちは、花や緑が生活に潤いや安らぎを与えてくれることを実感した。再整備した山下公園や港の見える丘公園のバラの庭園、愛護会活動の更なる広がり、各区の取組など、フェアから引き継いだ見どころや活動を軸として、秋には里山の大花壇を、そして春にはみなとエリアで春を迎える準備が始まった。  そして、2017年9月、里山ガーデンの秋の大花壇公開では、色鮮やかなコスモスで彩られた秋の大花壇が、春の柔らかい色調とは異なった風情を見せ、多くの来場者に秋の魅力を伝えた。  この取組を次の春以降もより一層推進していくため、2017年12月4日、(財)横浜市緑の協会の協力のもと、緑化関係団体、商業・観光関係団体等からなる「里山ガーデンフェスタ実行委員会」を設立し、事業を実施していくこととした。  2018年春、フェアの時と同様に多くの方の協力のもと、みなとエリアと里山ガーデンで「ガーデンネックレス2018」の春が始まった。  今回も多くの方にお楽しみいただけるよう開催前から様々な広報を行った。広報よこはまや記者発表、ホームページ、各所へのポスター掲示やチラシ配架等で広く開催情報を発信するとともに、SNSでは即時性の高い花の見頃情報等を発信。また、コールセンターを置くことで、交通のご案内等を含む幅広いご案内を行った。  現地での情報提供にも力を入れた。観光客の多い山下公園や桜木町駅前広場等へは案内看板やスタッフを配置し、「ガーデンネックレス横浜」の周知と開催中のご案内を行った。現地で配布した「開花状況・イベントお知らせ」は大変好評で、「今」の見どころをご案内することができた。山下公園とグランモール公園にはフォトスポットを設置し、記念撮影をお楽しみいただいた。  広報のポイントは、花の見頃情報を的確に発信することで、日々開花状況が変化するため、こまめに現場を確認し、情報共有を行った。発信の甲斐あり、フェアから続くテーマフラワー「サクラ」「チューリップ」「バラ」で彩られたみなとエリア、里山ガーデンフェスタを多くの来場者に楽しんでいただいた。  花と緑のイベントでは、「みなとみらい21さくらフェスタ」や「よこはま花と緑のスプリングフェア」、「日本フラワー&ガーデンショウ」等と連携を継続し、魅力的な見どころとしてご紹介。また、バラ園ガイドツアーや愛護会によるミックス球根花壇など、関係者も一体となって、彩り豊かにみなとエリアを盛り上げた。巡る楽しみの一つとして、エディブルフラワーを使ったスイーツ開発など横浜ガストロノミ協議会と食の連携も行った。  里山では、「里山ガーデンフェスタ」として初の開催となり、近隣の旭区、緑区、瀬谷区やズーラシアと連携して来場者を迎えた。大花壇を中心として、会場内に市内産の花苗を多く植栽したことも、フェアのレガシーの一つとなっている。  また、フェアで活躍した横浜の花と緑をPRするマスコットキャラクター・ガーデンベアによるグリーティングを各所で行い、賑わいを創出した。アンバサダー・三上真史氏も里山ガーデンフェスタでの花育実施など、引き続きご活躍いただいている。 A実行委員会設立  こうした流れを受け、より着実に多様な主体との連携により「ガーデンネックレス横浜」を推進するため、2018年8月30日、「ガーデンネックレス横浜実行委員会」を設立した。  設立趣意には横浜が目指す姿が描かれている。趣意のとおり、横浜市は、大都市でありながら、開港以来の歴史とともに育まれてきた美しい公園や緑豊かな里山がある。次世代に引き継いでいくため、「横浜市水と緑の基本計画」や「横浜みどりアップ計画」での取組とともに、花・緑・農・水のある環境をいかした市民や企業等の参加によるまちづくりや賑わい創出、観光・MICEの取組により、横浜市は「ガーデンシティ横浜」を推進する。このことは「横浜市中期4か年計画」でも明確にされている。「ガーデンネックレス横浜」は、そのリーディングプロジェクトである。  この設立趣意のもと、市長を名誉会長として、多様な主体で構成される実行委員会は、花と緑に関する団体、交通機関、観光関係、地域団体等、実に様々な方たちが委員として名を連ねている。また同時に、具体的かつ機動的に事業の推進を図るため、広報専門部会と横浜ローズウィーク専門部会が置かれた。  実行委員会設立後、みなとエリアの特徴を生かした取組を推進するため、「都心臨海部公園緑地管理者連絡会」も開催した。都心臨海部の公園緑地は、公園、港湾緑地、道路等行政の所管が異なり、また、管理主体も市、指定管理者等多岐にわたる。ガーデンネックレス横浜の魅力づくりは、関係者間で共通認識をもち、個々が主体となって進めたい。目標の共有化や情報交換を目的とした連絡会を開催し、横のつながりを強め、花の取組を推進していくこととした。 3 2019春に向けて  実行委員会設立後、専門部会開催や協賛活動等、2019年春に向けた準備を進めた。会期を3月23日から6月2日までとし、市の花「バラ」を主役にしたイベント「横浜ローズウィーク」も新たに開催する。 @公民連携  実行委員会を設立し、鉄道各社や旅行業会との企画、広報連携多様な主体との連携が一層進んだ。また、市内各所でガーデンネックレスの取組を推進するため、共創フロントを活用して新たな企画を公募した。12事業者から多種多様な提案があり、みなとエリア、里山ガーデン、そして市内各所で春をより魅力的にする取組が進んでいる。 A横断的な取組(局区連携)  フェアを契機に18区連携も進んだ。瀬谷区や港北区などのオープンガーデン、中区の絵画等によるPR展、磯子区の花時計、鶴見区の緑のスタンプラリー、青葉区の花と緑の講習等、実に様々な取組がある。また、局間でも、ラグビーワールドカップやオリンピック・パラリンピックとの連携、姉妹都市提携60周年を迎えるリヨン市との連携、大型客船寄港の際のおもてなし等々を行っていく。教育委員会や市内小中学校と連携することで花育活動を推進するなど、地域との関係も大切にしている。「ガーデンネックレス横浜」は市の主要な事業として、環境行政だけではなく、観光・MICEの推進や国際連携等多様な観点から重要な役割を果たすことが求められていることを実感している。 B横浜ローズウィーク  新たな取組である「横浜ローズウィーク」の魅力は、歴史的空間を生かした街並みとともに、いくつものバラ園を巡り歩き楽しめるという全国でも類を見ない街巡りである。バラが満開になる頃に、バラを主役にした様々なイベントが横浜市内各所で実施される。主なものでは、大さん橋ホールでの「ばらフェスタ2019」、日本大通りでの「ローズ&ガーデンマーケット」、横浜高島屋での「横浜バラ展」があり、また、山下公園や港の見える丘公園、横浜イングリッシュガーデン、アメリカ山公園、横浜山手西洋館、八景島バラ園などでは、咲き誇る何万本ものバラを楽しむことができる。  春を通して、里山ガーデンやみなとエリア、市内各所で花と緑が街を彩る。魅力的なガーデンやイベントをネックレスのようにつなげて楽しむことができる、まさに横浜ならではの魅力である。 4 おわりに  ガーデンネックレス横浜は全国都市緑化よこはまフェアを契機に始まった。様々な活動を通して応援してくださる市民や企業・団体の皆さまと継続して、市全域で花と緑に親しむ機運を高め、「国際園芸博覧会」の招致につなげていきたい。