《12》座談会/横浜みどりアップ計画これまでの10年間と今後への期待?市民推進会議発 東 みちよ 横浜みどりアップ計画市民推進会議委員 内海 宏 (株)地域計画研究所 代表取締役、元・市民推進会議広報部会専門委員 蔦谷 栄一(進行) 横浜みどりアップ計画市民推進会議副座長 望月 正光 横浜みどりアップ計画市民推進会議委員 ― 今日は、これまで横浜みどりアップ計画の評価や提案、広報などを行う「横浜みどりアップ計画市民推進会議」の委員や元委員の方にお集まりいただきました。この計画の10年目の節目に、これまでの取組を振り返りつつ、4月からスタートする3期目の新たな計画への期待や、未来に向けた緑の保全について、それぞれの立場からご意見などをいただけたらと思っています。よろしくお願いします。 ■自己紹介〜みどりアップの取組との関わり 【蔦谷】進行役の蔦谷です。よろしくお願いします。はじめに自己紹介とともに、市民推進会議、あるいはみどりアップ計画との関わり、活動の中で感じたことなどについてお話をいただきたいと思います。  先に私自身の自己紹介ですが、基本的には農業政策、都市農業を中心に研究をしています。その流れで、市民推進会議にもご縁をいただき、現在は、「農を感じる」施策を検討する部会(注1)の部会長をしています。  今は個人で看板を掲げ、都市農業だけに限らず、国民全体が農との距離を縮めていく、「国民皆農」ということで、国民一人ひとりがその農との距離をいろいろな形で縮めていく、参画をしていくような、そういう世界、「農的社会」を広げていきたいということで活動をしています。  それでは、東さん、お願いします。 【東】私は市民推進会議の市民公募委員として、広報・見える化部会で、このみどりアップの取組を市民の皆さんにどう分かりやすく伝えるかということをこの5年間やらせていただきました。元々は、水源の森づくりや地産地消の食育といった市民団体の活動を続けてきましたが、その経験から、私たちにとって横浜の緑や農を今後どう活用していけばよいか、どう楽しむのかという目線を持って委員をやらせていただきました。また、みどりアップの取組は、私たちの税金を使ってこの森を守る、農を感じる、緑をつくるということですので、横浜みどり税を使うというところをどのように評価できるのかという目線を常に忘れないようにやってきたつもりです。活動の中では、同じ市民としていろいろな方にみどりアップの取組について尋ねる機会もあったのですが、市民の意識は高く、緑を守るためだったら税金を少し多く払ってもいいという方が半数以上いらっしゃいますので、横浜は行政の取組も進んでいますが、市民の意識も優れていて、その上でみどりアップの取組は成り立っているのだなと、この5年間で実感しています。 【蔦谷】続いて望月さん、お願いします。 【望月】私は、横浜みどり税の導入に深く関わる横浜市税制調査会の委員をさせていただいており、同時に、この市民推進会議の「森を育む」施策を検討する部会の部会長と、広報・見える化部会の委員をしています。このみどりアップ計画の立ち上げのときから横浜みどり税を税制調査会で審議しましたので、この10年を振り返ることで、私の感想とさせていただきたいと思います。  横浜市というのは、開発が非常に急速に行われ、急速に緑が失われていったという状況がありました。しかし、元々横浜は、非常に水と緑が豊かで、それが市民生活にとって望ましいことであるのではないかということで、緑をきちんと守っていくことが市の重要な施策の一つであるという市民の皆さんのご要望に応える形で、このみどりアップ計画ができたものと理解しています。当初は、いかに横浜の緑の減少を食い止めるかということに主眼が置かれていたという気がしていますが、横浜みどり税を市民の皆さんに負担していただくと同時に、それに応える施策を進め、この10年間で目に見える形で成果が出て来ているのではないかと思っています。緑の保全はかなり浸透し、農とのふれあいの場も格段に増えてきていますし、さらには最近やっと緑をつくるという施策にまで展開ができるようになってきています。市のレベルでこのような計画に取り組むというのは、日本の中でも稀有なことであろうと思っていますし、これを今後更なる成果が得られる形で実行していくことは、多分世界的なレベルでも関心の高い課題であろうと思っています。 【蔦谷】ありがとうございました。それでは、内海さん、お願いします。 【内海】第1期のみどりアップ計画のときに、広報部会の委員をしていましたが、いかに成果を見える化するか、実感が持てる施策展開にしなければいけないということを考えながら関わらせていただいていました。それ以降は、みどりアップ計画そのものには直接は関わっていないのですが、みどりアップ計画の柱(注2)の3「市民が実感できる緑をつくる」の中の地域緑のまちづくりの事業に参加する地域の伴走支援を行っています。緑化というのは植えただけでは終わりではなく、それを維持管理する活動が大事になりますので、裾野がどんどん広がらないと結局は担い手がいなくなってしまいます。したがって、お年寄りだけではなくて、多世代、親子も参加して自分たちの住宅地を快適にする、そういう視点で関わっています。  私は元々は都市計画の専門家ですが、市内の中でも農村的な所で育っているものですから、住宅地が住宅だけが密集した姿というよりは、樹林地や農地が共存したような住宅地のイメージを都市計画という立場で実現したいという思いが非常に強くあります。その延長線上で農業関係のコンサルティング調査や大学での講義などもしてきています。 ■市民の皆さんに緑の取組の成果を伝える、見える化する 【蔦谷】内海さんは、市民推進会議から若干距離を置いて活動をご覧になっていたわけですが、この10年のみどりアップ計画、市民推進会議の状況については、どのように評価されていますでしょうか。 【内海】第1期のときは、広報も本当に手探りで、実際にみどりアップの施策を展開した現場に行くことも少なかったですし、行った成果をどのように見せるのか、議論をしながらという感じでした。特に一番難しかったのは、緑地を買うことの成果が見えにくいということです。「この樹林地を買えました」と言ってもなかなか伝わらないので、当時は、例えば地球温暖化防止にも役立っていることを具体的データ、あるいは図、写真の類で見せていくことなどを少しずつ行っていました。それに比べると、最近の広報はそれよりも進展しているなと感じています。  しかし、依然として、みどりアップ計画の柱の1「市民とともに次世代につなぐ森を育む」については、お金の使われ方も一番大きいのですが、まだまだ成果が実感しにくいようにも感じています。3期目ですので、買い上げたところの緑の意義や、自然観察をはじめ利活用のことなど、なかなかデータで示されるぐらいでしか分からないところをどうしたら実感できるところまで持って行けるかが、大変大きな課題だったと思います。 【蔦谷】柱の1に限らず、どういう形で成果を市民の皆さんに伝えていくのか、どう見える化をしていくのか、大変大きなことだと思います。 【望月】内海さんが指摘をされたとおりで、特に第1期のときは事業も始めたばかりですし、ましてや森の保全という10年、20年、場合によっては100年くらいかかって成果が出るものを短期間で市民の皆さんに理解していただくというのは非常に難しい課題であったと思います。2期目に入って、森の保全のためにこれだけ買収をして、それで森が守られていますと、データは示すことができるようになったのですが、市民の皆さんの実感できる形でというところまではなかなかいかないというのはあります。それは柱の1だけでなく、柱の2、柱の3も共通する課題であろうと思います。ただ、第2期においては、東さんが広報の部会長として、この緑の取組がどのようになされているかということを市民の目線できちんと伝えていきたいよねと、非常に身近なところの緑の活用状況をお伝えするということが広報方針でしたので、その意味では、それまで私たちが気がつかなかったようなところまで写真をうまく使いながら伝えるようになりましたので、広報として一歩も二歩も進めたように思っています。 【内海】実際の活動に関する記事が中心で、作成は結構大変だろうなと思って見ていました。 【東】この広報誌「みどりアップQ」は、横浜みどり税を使って実際にみどりアップの取組をしているその場所で活動をされている方たち、緑のボランティアの方や農家の方だったり、愛護会の方だったり、そうした方たちに、その人なりのご苦労やその人なりの展望みたいなものを語っていただきながら、同じ市民目線で、この地域はこう変わるのかなというところを見て、体感していただくということを目標にしていました。みどりアップは計画もお金も大事ですが、人がどう動くか、人がそこでどう汗を流していくのかということが大事ですので、その汗を流している人たちをとり上げることで、私も自分の街でやってみようとか、実際に掲載された方々も今までやってきて良かった、ずっと頑張ろうと思っていただけるとか、そういう効果もあったのではないかと感じています。 【蔦谷】「Q」というのはどういう意味ですか。 【東】クエスチョンの「Q」です。みどりアップ計画って何とか、やはり言葉だけは広がっているのですが、実際のところ理解をしていない市民の方たちもまだまだいらっしゃいますので、そういう方たちに分かりやすくその疑問を知っていただくための「Q」でもあります。 【蔦谷】広報の果たす役割というのは大変重要で、その取組自体は着実に進めてきたと思いますし、大分良い線まで来ているように実感しています。 ■都市ならではの緑農政策 【蔦谷】市民推進会議は5つの部会に分かれて活動を行ってきていますが、それぞれの中で感じること、考えることもあると思います。東さん、いかがでしょうか。 【東】そうですね。最初に市民推進会議の委員になったときには、緑をいかに減らさないか、今ある緑をどう残していくか、樹林地の指定などが一番の目標と思っていましたが、実際の状況を見ると、ただ緑を残すだけではなくて、例えば、最近の自然災害などを考えると、安心して暮らすためには、そこが避難地になったりですとか、きちんと樹林の手入れをすることでがけ崩れを防ぐとか、そういった災害防止という意味もあったり、あるいは気候変動というところでいくと、街路樹とか、木陰をつくるとか、温度を下げる機能もあったりと、緑は実は都市の中ではすごく大事なものなんだと思うようになりました。ただ面積を確保するだけでなく、街の中にどういう緑をどこに配置したら暮らしが良くなる、住み良くなるのかという、緑の質というところもすごく大事だと思いました。そういう多面的なみどりアップというのも是非考えていってほしいと思います。 【蔦谷】お話を伺っていて思ったのですが、緑政策ということになっていますが、実際に行っているのは緑農政策なんですよね。通常は農業政策があって、他方で林業政策があるのですが、みどりアップ計画はこれを緑農一体として捉えながら政策体系をつくっている。市民の目線からすると、サービスを受ける、享受するのも市民なのであって、自分たちの暮らし、健康、環境にとって、緑農がいかに役に立っているのか、そういうものがみどりアップ計画の中に包含されているのだという感じがします。  内海さんは都市計画の専門家ですが、今までは都市と農村という二分法でやってきたものが、どうもそうではないんだと、農村と都市を一体化していくところに新しい都市の像があるみたいな、そんな気がしますが。 【内海】私は、横浜の都市というのは、市街化調整区域が穴抜きのように郊外に点在し、点在しているところには緑地と農地が拠点的に残っている。その間の白いところが実は住宅地や商店街があり、緑地や農地が生活の場に非常に近しいところにあるというのが横浜の最大の都市構造上の特徴だと思います。そして、この非常に近しい関係にあるという都市構造が、縦割りをしにくくし、農政も緑政も一緒にやるという、そういう流れがあるのかなと思っています。みどりアップ計画や横浜みどり税をつくって施策展開するということの重要性にも、つながっているように思います。 ■横浜みどり税を考える 【蔦谷】市民推進会議の議論で大きなポイントとなったのは、広報の問題と、もう一つは特別税ということで、通常の予算で行っているものと、横浜みどり税を使って特別に行っているもの、その区分が適切であったのか、あるいは効果はどうだったのか、その辺りが非常に難しいという気 がしていました。望月さん、いかがですか。 【望月】私のように財政の専門家からいくと、その背景にはかなり面倒な議論があることはありますが、簡単にポイントだけ説明をさせていただきます。本来ですと、通常の行政を行う中で、市民税なり固定資産税なりで緑を守る施策を行うことになりますが、横浜の場合には、市民の皆さんのご希望が更により良い環境にしていきたい、より良い緑に満たされた横浜市をつくろうということで、そのために、横浜みどり税という特別な税を負担していただいて、それに応える特別な施策として優れた環境を維持していくということになっています。専門的な言葉で「超過課税」と言うのですが、通常の税とは違って普通の税に上乗せする形で市民の皆さんや法人の皆さんに負担していただくということになりますので、特別な負担をしている成果が市民の皆さんの実感を伴うものであることが必要です。この点が、横浜みどり税の特徴であり、難しいところでもあるのですが、その成果をきちんと市民の皆さんに伝えていくことが課題であると思っています。 【蔦谷】私は「農を感じる」施策を検討する部会をやっていて常々思うのですが、国の農業政策は生産なり所得の問題に全て還元をして評価をしているわけですが、横浜で取り組んでいる一番象徴的な例は、水田の保全だと思います。水田を保全することに対して奨励金を支払っている。市民が保全することを欲している、それを守るんだという、そこが前面に出てそこに奨励金を充てていく。これは私は国の政策とは違う、非常に横浜らしい施策だと思っています。生産の競争原理とは別のところで、農業の存在自体、農地の保全そのものを訴えていく、そういう政策も必要になってくると思いますし、農を感じる施策として、日本の農業、農政の中でも非常に着目していいトライアルをしているのではないかなと思っています。そういった意味では、横浜みどり税という超過課税が特別な施策に結びついていると、私なりに実感できているというのが正直な思いです。 ■市民推進会議の役割 【蔦谷】次に、市民推進会議についてお話をいただきたいと思います。このような会議はなかなか無い仕組みだと思うのですが、市民推進会議を改めてどう評価するのか、望月さんからお話しいただけますか。 【望月】市民推進会議を市民の目線で行政を見ていくという視点で考えると、この会議の果たす役割はとても大きいと思っています。みどりアップQという市民目線の広報誌を発行し、より市民の皆さんに分かりやすく実感できる形で実態がお知らせできるということがあると思いますし、市民が考えていることを言葉として行政に直接届けられるという組織にもなっています。  今後、この市民推進会議がどのような役割を果たしていくかということを改めて考えていくこともあると思いますが、少なくとも横浜みどり税という超過課税を実際に行っていて、この税の使い方がどういう成果をもたらしているかというのを市民の目線できちんと評価し、それで意見をいただくのが横浜みどり税の仕組み、条件になっており、そのための組織としてこの市民推進会議は存在していますので、これを無くしてしまうということになると、横浜みどり税をいただくことは難しくなると思われます。 【蔦谷】横浜みどり税導入と市民推進会議がはじめからセットで位置づけられていたんですね。  東さんは、市民推進会議についてはどのように感じていましたか。 【東】そうですね。望月先生や蔦谷先生のように税や緑政、農政の専門家がいらっしゃる中で、市民公募委員の私たちは決して専門家ではなく、ただ何かしらの活動はしていますが、全く忖度しないですよね(笑)。ですので、こんなこと言ってはいけないとか、誰も気にせず、本当に自由に発言させていただいていますので、風通しのよい会議だったと思っています。 【蔦谷】これはやはり座長の進士先生のお人柄なども大きいと思うのですが。確かに自由闊達でいいですよね。盛り上がりを見せていつも時間が足りなくなる会議です。そして、この市民推進会議が重要な役割を果たして来られた最大の背景にあるのは、市民の力というか、市民力があってのことだと思います。  内海さんは、市民推進会議についてどのようにご覧になっていますか。 【内海】市民の目線で本当に忖度なく思ったことが言える、やっぱりそれが市民推進会議の生命線かなと思いますよね。何か全体で合意するという場面では、またちょっと別の問題もあるかもしれませんが、思ったことが言えるということはやはり非常に大事なところです。  横浜の市民力ということでは、地域緑のまちづくり事業で実際に支援をしていると、中には、地域に移り住んだばかりのマンションの住民の親子が発議をして、それを3年間やっていたらネットワーク型の緑化活動になったというモデルができたり、いろんなバリエーションが出てきて、横浜の市民ってすごいなと実感することもあります。活動を維持するためのお金がないとなると、苗生産まで自分たちでやってしまうところも出てきて、やっぱりすごいですよ。事業が終わっても、きちんと自前で継続できるような工夫まで仕上げるところが結構あって、その市民力には驚かされます。その意味では、市民推進会議は、緑農施策が市民目線で見ていかに適正に実施されているかを検証する役目が大事になります。 ■今後の課題、方向性 【蔦谷】それでは最後に、みどりアップの取組について、今後の課題や方向性について話をお願いをしたいと思います。すでに成果の見える化などのお話も出ていますが、あらためて一言ずつお願いできればと思います。東さん、お願いします。 【東】私は、やはり緑をつくっていくということは、それは人がつくるものですので、W人づくりW というところもすごく重要だと思っています。どのような緑をつくりたいかとか、ビジョンを持って私たち市民がどう動くのか。市民推進会議もその一つかもしれませんが、みどりアップ計画でW人づくりW というところも何か取り組んでいっていただきたいなと思っています。 【蔦谷】望月さん、お願いします。 【望月】緑をいかにつくっていくのかということが、おそらくこれからの重要な課題になると考えています。横浜の場合にはやはり都心地域、横浜駅の周りとか、緑をあまり実感できないところもあります。緑が少ないと言われている地域、区に、いかに緑豊かな市民生活を実現していくのか、市民の皆さんの声を聞いて、どのように緑をつくっていくかというのが、多分一番大きな課題になると考えています。単に環境創造局だけの課題ではなくて、横浜市全体の取組として、どういう形でまちづくりをしていくか、そこにみどりアップ計画をどのように関連させていくのか、大きな課題だと考えています。 【蔦谷】内海さんはいかがですか。 【内海】私もやはり緑をつくっていくということが非常に大事であると思っています。横浜もいよいよ人口減少社会を迎え、空き家が非常に増えてきます。老朽化の進んだところは、それを壊して、私なんかは農だ、農だって言っていますが、農地に土地利用を戻したり、オープンスペースとして何かに使うような新しいことをやらないと、街が荒れたり、草がぼうぼうになったり、荒れ地になったり、そういう状況が生まれてきます。私はそういう意味では、今ある農地をいかに維持するかというのは、農家だけで維持できない事態にもあるので、そこは市民の力で残す。維持するところと、出てきた荒れ地、空地を農地、緑地でもいいのですが、戻すようなことをこれからきちんとやっていかないといけないと考えています。横浜みどり税の性格も、今ある緑を守るというところから、もう一度元に戻すというか、それもただ昔に戻れというのではなくて、新しい形で甦らせるような形に展開していくのかなと、そんなことを考えています。市民推進会議も、そのような運動を提唱するような側面があってもよいのではないかと思っています。 【蔦谷】最後に私も一言。私も大体皆さんと一緒ですが、やはり質の向上をもっとやっていく必要があると考えています。今までは面で覆いながらカバーしていき、そこから先は緑をつくっていくということになりますが、物理的につくっていく部分のほかに、質を改善していく段階に入ってきていると思います。いろいろ議論があるかもしれませんが、自然の生態系を生かした形で負荷をかけない農業だとか、あるいは緑地の改善だとか、有機的というか、オーガニック的というか、そういう視点、感覚というのも入れていく時代ではないかなという感じがしています。イタリアなどを見ますと、最近の地域づくりというのは、要するに、農業だけだとか、文化財だけだとかではないんですね。地域を丸ごとどうしていくのか、その中で農業にどう取り組んでいくのか。いろんな自然環境を含めて持続的なまちづくり、あるいは市民が参画できる、市民が主役のまちづくりをどうやっていくのか、横浜でもそういうことを視野に入れてやっていってもいいのかなと、そういう感じがしています。  市民力のお話もありましたが、市民力はどうも横浜が先頭に立って走っているように受け止めています。横浜がみどりアップ計画なり、市民推進会議を軸にしながら、一つのモデルとなって、全国を引っ張っていっていただければうれしいと思います。  今日はいろいろ貴重なご意見をいただきました。ありがとうございました。 (注1)横浜みどりアップ計画市民推進会議は全体会議のほか、次の5つの部会を設置している。 ・「森を育む」施策を検討する部会 ・「農を感じる」施策を検討する部会 ・「緑をつくる」施策を検討する部会 ・広報・見える化部会  ・調査部会 (注2)横浜みどりアップ計画(計画期間:平成26−30年度)は、次の3つを取組の柱としている。 取組の柱1 市民とともに次世代につなぐ森を育む 取組の柱2 市民が身近に農を感じる場をつくる 取組の柱3 市民が実感できる緑をつくる