《8》地域における取組から @ 公園愛護会の取組 執筆 吉谷 悠 環境創造局公園緑地維持課担当係長 1 公園愛護会活動支援制度について  横浜市の「公園愛護会活動支援制度」は、全国に先駆けて昭和36年に創設したもので、地域コミュニティを母体として結成された公園愛護会により、市民協働で公園の維持管理を進めていくための制度である。平成30年3月31日現在、公園愛護会は横浜市の2,675ある公園のうち2,407公園で2,478団体が結成されており、約90%の結成率となっている。  平成17年度には機構改革に伴い、それまでの環境創造局に加えて、18土木事務所が地域に身近な公園を管理することとなったため、公園愛護会への支援内容を「愛護会組織の充実・活動を担う人材の育成」、「活動の充実・拡大を目指す愛護会への支援強化」、「市民の活動への参加促進」の3本の柱に大きく見直した。  土木事務所等には公園に関する窓口としてコーディネーターを配置した。要望・陳情を行政が受け、対応するといった従来の関係から、愛護会活動に関してのやりとりや情報共有を行い、地域とのコミュニケーションを充実させ、顔の見える関係性に変化していった。さらに、土木事務所等を中心とした公園愛護会同士の連携も盛んになり、港南区、金沢区、都筑区及び戸塚区では公園愛護会の連絡協議会組織も発足し、愛護会が愛護会を支援するといったような横のつながりも深まっている。 2 公園の活動と利活用  昨今では、公園愛護会活動として、維持管理に限らない特色のある公園づくり・地域づくりの活動が行われているのも特徴である。  2017年に開催された「第33回全国都市緑化よこはまフェア」では、各区の公園愛護会の方々と山下公園で「球根ミックス花壇」の整備などを進め、フェアの魅力づくりに一役買った。あわせて愛護会の方々を対象とした花壇づくりの講習会も行った。講習会の手法を地域の愛護会に持ち帰っていただいたことで、球根ミックス方式などによる魅力的な花壇づくりが公園で広まっている。  公園愛護会が中心となった健康づくりの取組も盛んである。公園緑地維持課では、健康運動指導士の先生の監修のもと、冊子「公園de 健康づくり」の発行や健康づくりの講習会を開催している。この冊子は公園愛護会の方だけではなく、健康福祉局とも連携し、地域の健康づくりのリーダーである「保健活動推進員」の方にも配布しており、地域全体での健康づくりの取組に活用されている。  そのほか公園では、焼き芋大会など季節ごとのイベントを通じた地域振興、プレイパークなどの遊び場開催を通じた子育て支援など、様々な分野の活動が増えている。多様な活動を通じた公園の利活用が、地域の魅力づくりや課題の解決などにもつながっている。 3 今後の公園愛護会活動について  公園愛護会活動の支援については、制度の見直しを経て様々な支援策が進められてきたが、公園の利活用を進めていくため、地域課題に対し地域と一緒になって解決策を考え、その活動を支援していく必要がある。昨今では公園愛護会活動の担い手不足という課題が取り上げられているが、周辺の企業などの参加を呼びかけることで、より多くの方々に公園愛護会活動に関わっていただくきっかけとすることができると思われる。担い手が増え、特徴的な活動を継続・展開し愛護会の活性化につながれば、公園愛護会だけでなく、公園に関わる人にとってさらに魅力的で愛着にあふれた公園となることが期待される。  公園愛護会の活性化は、横浜市の公園の利活用の促進につながり、「ガーデンシティ横浜の推進」など横浜市の公園緑地行政の発展につながっていくことになる。公園愛護会は、その活動を通じて地域を活性化させ、地域づくりの担い手として公園に留まらない新たな価値を創造していくことで、今後ますます重要な横浜市のパートナーとなっていくと言えるのではないだろうか。