調査季報178号 特集:ダブルケアとオープンイノベーション 横浜市政策局政策課 平成28年3月発行 《コラム》インターネットを利用した生活サービス産業におけるエキサイトの新サービス ~家事支援を頼みたい人とサポートする人を直接マッチング「ファミリーサポーター」~ <執筆者> エキサイト株式会社 ビジネス開発室 有澤 真悠子 サービス立ち上げの背景  社会の状況が大きく変わる中で、「家族」が置かれている状況もさまざまな複雑な問題を抱えたものとなっています。 ・共働き家族が増え、働く女性増加   ⇒共働き世帯数1,054 万世帯(2012 年) 10 年で10.8%増※内閣府男女共同参画局より ・独身者が増え、単独世帯の増加   ⇒単独世帯数1,678 万世帯(2010 年)    人口比32.4% 10 年で13%増   ※厚生労働省「国民生活基礎調査」より ・高齢化が進み、高齢者の増加   ⇒ 65 歳以上の高齢者3,190 万人(2013 年)    人口比25.1%※総務省「人口推計」より ・要介護者数が増え、それに伴い介護をする家族の増加   ⇒要介護認定者数600 万人超(2014 年) ※厚生労働省「介護保険事業状況報告の概要」より  このような社会状況の変化に伴い、家事や育児、また場合によっては介護が重なり、自分自身の休養といった時間の確保が難しくなってきている現状を受け、家事支援のサポートサービスを相互に扶助する、地域の助け合いの仕組みをインターネットで作りたいと考えました。 介護を経験したからこそ分かる。介護をする家族がほしいサービス  私自身の祖母の在宅介護経験がきっかけで助け合いの仕組みの必要性を肌で感じました。  メインで介護を行う母のサポートとして、私は介護の情報収集や母不在時の見守り、病院付添などをしておりました。祖母1 人を父・母・姉の4 人で支えてましたが、4 人いても介護はとても大変でした。介護経験を振り返り、介護者が必要としている支援は何だろうと、考えた時に思ったのが、「サブ介護者」の存在です。  私がサポートしていた様に、介護を客観的に見ることができ、情報収集や家事/生活支援をしてくれる人がいると、肉体的にも精神的にも楽になります。  介護を理解している、サブ介護者と出会える仕組みがあれば、介護者の負担が減るのではないかと思い、マッチングサイト「ファミリーサポーター」を展開いたしました。 ファミリーサポーターについて  家事支援を頼みたい人とサポートしたい人をインターネット上でマッチングさせるサービスです。(図1)  サポーターは働く場所も時間も料金も自由に設定できます。自分の都合に合わせて働くことができ、エキサイトで保険に入っているので、何かトラブルがあったら保険が適用されます。(図2)  依頼者はサポーターの経歴、資格、時給、顔から選ぶことができ、自分が求める人に家事支援を直接依頼することができます。  インターネットを使うことで、コストが大幅に削減し、「依頼者は安く家事支援をサポートしてもらい、負担が減る」「サポーターは依頼者に対して家事のスキルを提供し、高報酬を得る」といった、お互いにとって良いマッチングの場になります。  ファミリーサポーターの現状と課題  ファミリーサポーターの現状は家事支援の依頼数に比べて、対応できるサポーター数が足りておりません。  地域や依頼内容に合ったサポーターとのマッチングを成立させるのは、全国にたくさんのサポーターを配置する必要があります。  家事代行業・介護事業の人材が不足している中で、新たな働き方として自治体や地域団体などにご協力頂き、サポーター数を増やしていく予定です。 ファミリーサポーターがもたらす効果  厚生労働省の推計によると、2025年度に必要な介護職員は全国で253万人で、予想される介護人材の増員数と比較すると、約38万人が不足する可能性があるという数値を発表しました。  定年退職をしたアクティブシニアの方、なかなか正社員として働くことができないお母さん、介護離職されてしまった介護経験者の方へ「空いた時間を仕事にする」という新たな働き方が広がれば、地域にはたくさんの担い手がいるのではないかと思っております。  日本が直面している超高齢化社会を乗り越えるには地域の支え合いが必要と思っております。地域にいるサポーターとなりえる方々に、ご自身の能力を活かし活躍頂ける場をエキサイトは今後も提供していきたいと思っております。