子どもの貧困対策〜横浜市社会福祉協議会の取組から 社会福祉法人横浜市社会福祉協議会 地域活動部地域福祉課担当課長 小澤 幸  「子ども食堂」は、子どもの貧困対策の施策として語られますが、実際は子どもから高齢者まで誰でも来られる「地域食堂」や「みんなの居場所」としている活動がほとんどです。  定期的に集まり食を通じてつながりあうことで、貧困の問題に限らず、孤食防止や居場所の確保など、困っている子・親・高齢者などそこに暮らす誰もが見守り・支えあう地域づくりにつなげることを目指し、社会福祉協議会は地域の皆さまと共に考え、それらの活動を支援しています。  そのまちに暮らす住民や福祉団体が会員となり、自分たちのまちを自分たちで良くしていこうとする取組や活動を行っているのが社会福祉協議会です。自主性と公共性を基盤に、迅速性、柔軟さという行政では発揮しにくい特徴を生かしつつ、行政と両輪となって、地域住民と共に子どもの支援にも取り組んでいます。  その一つが市内に236か所ある子ども食堂をはじめとする「子どもの居場所活動の支援」です。「近所の子どものため「子ども食堂」をつくりたい」といった住民の想いが形となるよう、立ち上げの相談からボランティア育成、学校や自治会等を通じた周知、活動資金の助成や食材提供をしてくれる企業等とのマッチング、他団体とのネットワークづくり、さらに居場所で気になる子どもを発見した際の関係機関と住民による支援体制の構築など、支援内容は多岐にわたります。  これらの支援には全てコーディネート力が必要となりますが、地域資源とも言える様々な団体や組織と強いつながりを持っているからこそできるものです。  もう一つが新型コロナウイルス感染症の影響で困窮状態となった「ひとり親世帯への支援」です。制度による支援の狭間で困っている人を支える仕組みづくりにスピーディーに取り組むため、クレジットカード決済による寄付をインターネットやSNSで募り、支援のための財源を確保することで、食材をそろえ宅配で届ける食支援を行いました。750世帯への支援のための梱包作業は、コロナの影響で仕事が減ってしまった障害者の地域作業所へ委託することで、障害者への支援も同時に行いました。  こうした支援は住民の暮らしの近くで困った人の声に常に耳を傾け、地域住民や福祉団体の活動に寄り添いながら、自由な発想とネットワークを使って迅速に課題解決に取り組める社会福祉協議会ならではの活動です。  そして、その活動を支えるのは住民一人ひとりの力です。同じまちに暮らす一人ひとりの理解と参加を得ることで、日々変わる暮らしの困りごとを支える地域づくりを、今後も地域の皆さまと共に進めていきたいと思います。