<コラム>横浜市官民データ活用推進基本条例の制定  横浜市会では、平成25年度に、政策・総務・財政委員会(鈴木太郎 委員長)において、オープンデータの推進を重要事項として掲げ重点的に議論された。また、平成26年には、県内の超党派地方議員による、オープンデータをテーマとしたフォーラムの開催などの活動を行う「かながわオープンデータ推進地方議員研究会」(会長:鈴木太郎 横浜市会議員)が発足し、様々な検討がされてきた。  こうした動きの中で、平成28年12月の官民データ活用推進基本法の制定を機に、議員提案により、横浜市における官民データ活用の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための条例を、全国の市町村で初めて平成29年3月に成立させた。法律では努力義務としている基本計画の策定を義務化しているほか、推進体制の整備、利用の需要の把握、協働による活用の推進、また、企業、大学、市民等と連携した活用のあり方についての調査・研究などについて定められている。 〇横浜市官民データ活用推進基本条例 (目的) 第1条 この条例は、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて流通する多様かつ大量の情報を適正かつ効果的に活用することにより、横浜市(以下「市」という。)が直面する課題を官民協働で分析し、及び解決する環境をより一層整備することが重要であることに鑑み、官民データの適正かつ効果的な活用(以下「官民データ活用」という。)の推進に関し、情報通信の技術の利用における安全性及び信頼性の確保とともに、個人及び法人の権利利益の保護を前提として、市における官民データ活用の推進に関する施策についての基本的な計画を策定するとともに、推進体制に関する基本的な事項を定めることにより、官民データ活用の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進し、もって官民データ活用により得られた情報を根拠として行われる効果的かつ効率的な市政運営、市内経済の活性化及び市内企業の振興並びに市民が安全で安心して暮らせる快適な生活環境の実現に寄与することを目的とする。 (定義) 第2条 この条例における用語の意義は、官民データ活用推進基本法(平成28年法律第103号。以下「法」という。)の例による。 (横浜市官民データ活用推進計画) 第3条 市は、法第9条第3項の規定に基づく官民データ活用の推進に関する施策についての基本的な計画(以下 「横浜市官民データ活用推進計画」という。)を定めなければならない。 2 横浜市官民データ活用推進計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。 (1) 市域における官民データ活用の推進に関する施策についての基本的な方針 (2) 市域における官民データ活用の推進に関する事項 (3) 前2号に掲げるもののほか、市域における官民データ活用の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するために必要な事項 3 前項第2号に掲げる事項は、法第3章の基本的施策のうち、市において特に関連する次の各号に掲げる施策について、法第8条第1項の官民データ活用推進基本計画等を勘案して定めるものとする。 (1) 地方公共団体に係る手続における情報通信の技術の利用 (2) 地方公共団体が保有する官民データの容易な利用 (3) 個人番号カードの普及及び活用 (4) 情報通信技術の利用の機会等の格差の是正 (5) 情報システムに係る規格の整備及び互換性の確保 (6) 官民データ活用に関する教育、学習の振興及び普及啓発 4 横浜市官民データ活用推進計画に定める施策については、原則として、当該施策の具体的な目標及びその達成の期間を定めるものとする。 5 市長は、横浜市官民データ活用推進計画の案を作成したときは、市会に報告しなければならない。 6 市は、横浜市官民データ活用推進計画を定めたときは、遅滞なく、これをインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。 7 前2項の規定は、横浜市官民データ活用推進計画の変更について準用する。 (推進体制の整備等) 第4条 市は、横浜市官民データ活用推進計画を作成し、及びその実施を推進するために必要な体制の整備及び財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。 (協働による官民データ活用の推進) 第5条 市は、官民データ活用を推進するため、官民データの利用に係る需要の把握に努めるとともに、人工知能関連技術、インターネット・オブ・シングス活用関連技術、クラウド・コンピューティング・サービス関連技術その他の先端的な技術の活用等官民データ活用の推進の取組について、その趣旨及び内容を検討し、協働により積極的に当該取組を推進するよう努めるものとする。 (官民データ活用に関する調査及び研究) 第6条 市は、企業、大学、市民等と連携し、広く官民データが活用されるための在り方について、調査及び研究を行うよう努めるものとする。