≪3≫横浜市の取組 <6>データ活用を支える取組 編集部 1 庁内における基礎的なデータの整備と活用支援  データ活用を全庁的に推進していくためには、各部署が自らデータを有効に活用していくだけでなく、それらの取組を支え、行政内部でデータを有効に活用できる環境を整えることも必要である。  本市では、政策課題に関わる基本的な調査や研究を行う部署「都市科学研究室」を1970年に設置し、以来現在に至るまで市政全般の政策課題を明らかにするための調査・分析などを行っている。市政への満足度や要望、日常生活などにおける心配ごとなどを調査する横浜市民意識調査を、市政運営や各部署における政策立案の基礎資料として活用できるよう1972年度から毎年継続的に実施しているほか、各種統計データ等の分析からその時々の市民生活の実態を探る横浜市民生活白書においては、様々な分野に渡る視点からデータの収集や分析を行い、市民はもとより、庁内における政策課題の共有を図っている。  さらに、人口などの全庁的に活用できる基礎的な統計や施設の位置情報などの地理空間情報(GIS)データを整備・提供したり、分析などに関する質問や相談などに対応するなど、各部署における現状分析やニーズ把握の企画・実施への支援を行っている。各部署において作成し庁内利用が可能なGISデータについては、庁内イントラネット上で一覧として情報共有することにより、庁内資源の有効利用が進んできている。  また、本市には、環境科学研究所、衛生研究所があり、それぞれ環境、衛生分野における専門的な調査研究を行う部署としてデータの収集や分析を行っている。これらのデータについても、区局等における現状の把握や、事業の企画・立案などに有効利用できるよう、市ウェブサイトなどを通じてデータを共有している。そのほか、データ整備と同時に、それらを活用するための意識醸成や基礎的な知識の習得のための研修を開催し、区局によっては、所属職員向けの独自研修やプロジェクトなども実施されている。   2 官民データ活用推進計画の策定  本市におけるデータ活用や協働・共創の取組を全庁的により効果的に行うため、また、横浜市官民データ活用推進基本条例(左記コラム参照)の成立を受け、平成29年4月、庁内横断的に検討・推進する場としてオープンイノベーション推進本部を設置した。現在、当推進本部において、本市における官民データ活用の推進に向けた総合的な計画として横浜市官民データ活用推進計画の策定を進めている。  この計画の素案においては、推進に関する基本方針と9つの施策を提示しており、計画策定後は、当推進本部が中心となり、効果的かつ効率的な市政運営や市内経済の活性化、市民が安全で安心して暮らせる快適な生活環境の実現に向け、取組を進めていく予定である。  民間と行政が、データを活用した取組をともに推進していくことにより、分野横断的な連携やイノベーションが生まれ、地域課題の解決や市内経済の活性化へとつながっていくために、この基本計画が、今後、本市がデータ活用を進めていく上での基盤として、各区局による取組を支えていくものとなるであろう。