E「わたしは街のパン屋さん」の取組を通して〜焼きたてのパンはいかがでしょうか〜 執筆 水口 茜 健康福祉局障害企画課就労支援係 大越 恵 健康福祉局障害企画課就労支援係  「わたしは街のパン屋さん」(通称「街パン」)とは、障害のある方の社会参加や障害に関する普及啓発を目的とし、横浜市内にある障害福祉事業所や地域作業所に通う利用者が製造したパン等を、市庁舎内で展示販売する事業です。これは、平成17年度に福祉局(現・健康福祉局)の有志職員による横断プロジェクトから生まれたもので、モデル実施による検証を経て、平成19年度より、健康福祉局障害福祉部が「普及啓発事業」の一環として実施しています。  この事業に参加している事業所は、自主運営を基本とし、そこで働く障害のある方が製造したパン等を市庁舎へ運搬し、準備・販売及び後片付けを行っています。一回の販売につき、2事業所が出店していますが、障害福祉部の有志職員の補助のもと、各事業所がお互いに協力しながら運営しています。  現在、「街パン」には、17事業所が参加しており、毎週水・金曜日のお昼休み(12時〜13時)に、 市庁舎1階市民広間(展示スペース)にて、販売を行っています。事業の開始当初は、主に福祉局の職員が訪れていた展示販売ですが、今では他局の職員や、来庁された市民の方が多く訪れるようになりました。中には、毎週「街パン」を楽しみに買いに来てくださる常連のお客様もいらっしゃいます。  12時の鐘とともに行列ができ、「いらっしゃいませ」、「焼きたてのパンはいかがでしょうか」と元気良く接客する売り子さんの声が聞こえてきます。商品を乗せるトレイをお客様に渡したり、商品の補充をしたり、お買い上げいただいた商品を袋に詰めたりと、販売といっても多くの携わり方があります。また、少量多品種で商品を持参する事業所が多く、どのパンを買おうか迷うお客様に対し、おススメの商品を丁寧に説明してくれる方もいます。「自分の作ったパンが売れるとうれしい」、「販売に来るのが楽しみ」、「たくさん売れるように頑張る」といった声もよく聞きます。パンの美味しさだけでなく、対面販売を通じた障害のある方とのコミュニケーションも「街パン」の魅力の一つです。  10 年以上続いている「街パン」ですが、より多くの方に知ってもらえるよう、また、来てくださるお客様はもちろん、販売する事業所がより楽しみながら参加できるよう、季節に合わせたイベントを開催しています。「熱い夏を乗り切ろう!カレーフェア」、「ハロウィンフェア」、「クリスマスフェア」、「バレンタインフェア」などを催し、それぞれの事業所が工夫を凝らした商品で、販売を盛り上げています。  このように、パン販売を通じて、障害のある方とお客様が自然に出会い、触れ合うことは、障害の有無にかかわらず、住み慣れた地域で当たり前に生活できる「共生社会」の実現につながると考えています。