小・中学生 (1)前提 横浜市では、横浜市こども・子育て基本条例を施行し、こどもまんなか社会の実現に取り組んでいます。 中期計画では政策2「切れ目なく力強い子育て支援~乳幼児期・学齢期~」、及び政策5「子ども一人ひとりを大切にした教育の推進」を政策項目として明記しています。そのほか、政策6では「豊かな学びの環境の実現」も示しています。 (2)小・中学生の意識 2025(令和7)年度、「横浜の未来」をテーマに、横浜で暮らす小学生や中学生などからのアイデアを募集しました。24名の市内在住の小学生や中学生が参加したワークショップ、デジタルを通じたアイデア募集には、497件のこどもの声が寄せられました。 この声をAIにより要約した内容は次のとおりです。「街の美化や自然保護、安心して遊べる公園の整備、学校給食の充実、いじめや差別のない社会づくりなど、多様で真剣な願いが綴られています。こどもたちは、身近な体験から社会課題を感じ取り、よりよい横浜を実現するためのアイデアを自分の言葉で力強く発信しています。」 こどもたちの思いや視点が込められた、横浜の未来を考えるうえで大切な意見が集まりました。 2018(平成30)年に実施した「中高生の放課後の過ごし方や体験活動に関するアンケート調査」からも中学生の意識を窺い知ることができます。 同調査によれば、今住んでいる町が好きだと感じている中学生の割合は約85%。多くの中学生が、自分たちの暮らす横浜に愛着を持っていると考えられます。また、中学生の約9割が、自宅や自室を自分の居場所だと感じています。祭りやこども会、町内会の行事など、地域で行われているイベントに参加した経験のある割合が84%であるほか、ボランティア活動への参加経験も45%という結果になりました。 (3)横浜で暮らす小・中学生の「豊かな選択肢」 横浜は、様々な学校行事や小学生の居場所、英語教育や理数教育の機会提供など、小学生の豊かな選択肢に溢れています。横浜市内の小学校に通うこどもたちには、公民連携で行われている便利な送迎サービスのほか、民間企業による小学生を支援する取組も数多くあり、小学生の豊かな選択肢へとつながっています。 市立の全小学校・義務教育学校・特別支援学校等の生徒を招待する心の教育ふれあいコンサートは、音楽に対する感性を磨き、心豊かに生きていこうとする資質や能力を育むことを目的に、多くの市内企業の協賛を得て開催されています。また、あるドイツ系企業は、本国では政府が支援する女子の技術職志向を推進するキャンペーンを毎夏開催し、小学生の女子を社屋に招き、技術職の面白さを伝えています。そのほか、地元のものづくり企業や商店街がこどもたちの訪問を積極的に受け入れる事業、企業協賛によるキャリア教育プログラムなども行われています。 中学生の英語学習や国際交流にチャレンジしたい、理数系科目の学習をもっと深めたい、プログラミング学習を進めたいなど、多種多彩な学習ニーズに応える環境も揃っています。地域コミュニティとの関わりでは、一部の自治会町内会で役員に中学生が着任し、夏祭りの企画開催、防災訓練の実施など、自治会活動の活性化に貢献しています。無理のない活動を希望する生徒には、イベント単位や活動単位でボランティアを募集している自治会もあり、中学生の地域参加や社会参加に向けた豊かな選択肢につながっています。 (4)小・中学生を支える横浜市の事業・取組 横浜で暮らす小学生の教育環境は充実しています。小学校の始業前の時間に安心して過ごせる環境を整える小学校の朝の居場所づくりをモデル事業として実施しているほか、子育てタクシーや移動サービスを通じた、親子のスムーズな移動を支援する取組、長期休業期間中の市内全ての放課後キッズクラブ・放課後児童クラブでの昼食提供事業を実施し、小学生や子育て家庭のゆとりを創り出しています。 デジタル化では、家庭と学校をスマートフォン等でつなぐ新しい連絡システムすぐーるの全市立学校での利用開始、こどもの登下校の安全性を高めるこども・安全安心マップ(交通事故・防犯情報を掲載した地図)の活用開始など、市民目線とスピード感をもった政策を展開しています。 グローバル人材の育成に向けた取組としては、英語指導助手(AET)の増員のほか、デジタル技術を積極的に活用することで、339の市立の全ての小・義務教育学校で毎日、英語教育が実施できる環境が整えられています。 小学生の学びを支援する取組は横浜市内の企業にも広がってきています。はまっ子未来カンパニープロジェクトでは、学校と地域や企業等の外部機関が連携・協働し、社会や地域の課題を児童生徒が主体的に考え、解決する取組を通して、「自分づくり(キャリア)教育」を推進しています。 横浜で暮らす中学生を支える政策は、充実した学校での学習カリキュラムのほか、2026(令和8)年4月から始まる「中学校全員給食の実施」、様々な部活動、地域活動参加への支援など、多種多彩です。 中学校全員給食では、食缶による汁物提供や生徒とともにつくる献立など、魅力ある給食提供を目指しています。また、小学校給食では市内農家が栽培した横浜野菜が積極的に採り入れられ、食育効果や地域産業への理解促進につながっています。 全国に先駆けたグローバル教育では、一人ひとりの生徒が英語でコミュニケーションを図る機会を充実させています。英語によるコミュニケーション能力の基礎を育成することを目的としたSEPro※や市内在住の外国人家庭にホームステイできるはまっこ留学、小中学生がイングリッシュスピーカーと参加する体験学習プログラム Yokohama English Questなど、小・中学生が世界へ羽ばたけるような支援メニューを強化しています。 ※Super English Programの略。一つの学校にAET6人が集まり、1クラス6人体制でコミュニケーションを中心とした授業を行う。 障害のある児童・生徒への支援として、例えば横浜市のガイドヘルプサービスは、特別支援学校へ通学をする際の移動手段として利用されています。各区の社会福祉協議会に設置されている移動情報センターでは、市内に513ある移動支援事業所(2025(令和7)年12月末時点)の情報や移動にかかるボランティアの情報等も得られます。また、夏休みの障害児の余暇を支援する事業、余暇支援事業は各区で毎夏開催され、地域ケアプラザや多くのボランティアが協力しながら、障害児に豊かな選択肢を提供しています。 ほかには、2023(令和5)年8月から中学校3年生までの医療費助成の所得制限や一部負担金を撤廃した小児医療費助成制度の拡充を実施。横浜市立大学の調査※において、高い満足度を得ました。 ※「ハマスタディ」 小児医療費助成に対する満足度 55.5%(2023(令和5)年1月) ↓ 83.1%(2024(令和6)年1月) (5)中期計画の位置づけ・振り返り 中期計画では、政策2において、「放課後キッズクラブ・放課後児童クラブにおける子どもが過ごす環境や安全対策に関する満足度」を政策指標に据えています。また、政策5においては、「横浜市学力・学習状況調査で示す学力レベルにおいて、小学校6年の国語・算数、中学校3年の国語・数学で伸びを示した児童生徒の割合」としています。 2024(令和6)年9月に行った同計画の中間振り返りでは、政策2の満足度が2022(令和4)年度は89.9%、2023(令和5)年度は87.9%となっており、いずれの年度も目標値の85%を上回っています。政策5の伸びを示した割合は、小学生の国語は71.4%と目標値の70%を上回りましたが、算数は63.2%と目標値の70%に達していない状況です。中学生の国語・数学についても、71.1%、56.6%と小学生同様、国語のみ目標値の70%を上回りました。2025(令和7)年9月に公表した第3期の振り返りでも、小学生の状況は変わりませんでしたが、中学生は国語・数学とも目標を下回りました。 あわせて、中間振り返りに伴い実施した市民意見の聴取では、「小学生や中学生の放課後の居場所をもっと用意していく必要があると思う。その解決策の一つとして図書館もあるのではないかと思っている。子どもも利用しやすい図書館を用意することで、教育の面からも良い影響を与えることができると思う。」といった意見がありました。 (6)こどもたちの選択肢が溢れる都市へ 2025(令和7)年4月1日に施行された「横浜市こども・子育て基本条例」では、こどもの意見の尊重やこどもが意見表明する機会の確保、こどもの意見の施策への反映やこども・子育て関連分野でのこどもの視点を重視すること、更には毎年、施策へのこどもの意見の反映状況を市会へ報告し、公表することも定められました。こどもたちが学びたいことが学べて、述べたい意見が社会に届き、理想とする横浜の形が実現される、そんなこどもたちの選択肢が溢れる都市を目指す必要があります。 乳幼児の子育て世代と同様に、行政だけでなく、NPO法人や市民活動団体、企業などもこどもの教育支援に取り組んでいます。これまでは高齢者の居場所として取組が行われてきた場所も、最近では多世代交流・放課後のこどもの居場所としての機能も兼ね備え始めており、高齢者が小学生の宿題を見る様子や、こども食堂としても活用される事例も見られます。 市民目線での子育て支援の取組には、地域コミュニティが持つ温もり、パートナーシップの強固さなど、横浜の都市としての強みがあります。公か民かのいずれかではなく、公と民が連携・協働しながら、横浜の教育環境を充実させ、こどもたちの選択肢が溢れる都市へと、その歩みを進めています。 多種多彩な環境教育プログラム 横浜は大都市であることに加え、良質な緑地帯や公園緑地の整備、全国に先駆けた都市農業の振興、特別緑地保全地区や市民の森、身近な生物多様性を守る取組など、こどもたちが環境問題を身近に感じ、学べるフィールドが多種多彩にあります。 横浜の小学生は焼却工場や水再生センターの見学、上郷森の家などへの訪問を通じて、都市に暮らす市民の快適な住環境と自然環境との調和やバランス、環境負荷低減に向けた取組などを学んでいます。また、NPO法人と横浜市との協働のもと、都市河川や都市緑地が持つ自然環境の豊かさと風水害時の機能を同時に学べる環境学習を受講している小学生もいます。小学校の近郊に農地がある地域のこどもたちは、近隣の農家の支援を得て、季節の野菜収穫や稲作体験を行っています。 大都市での市民生活の快適さと、自然環境の保全の調和の保ち方・その価値を、横浜の小学生は五感を通じて学んでいます。 児童画を通じた国際交流 アフリカ大陸の開発支援をテーマにした国際会議、アフリカ開発会議(TICAD)。初の横浜開催となった2008(平成20)年の第4回開催(TICADⅣ)を契機として茅ケ崎小学校(都筑区)とベン・テマ小学校(ボツワナ共和国)との交流が始まりました。 両校の3年生が、お互いに伝えあいたいこと、自分たちの日常を絵画に描き、送りあう「都筑・ボツワナ交流児童画展」は2014(平成26)年から始まっています。両国の大使館とJICA、無償で輸送協力いただいている日本通運株式会社をはじめ多くの関係者の協力のもと、児童画を通じた国際交流を続けることができています。