乳幼児期(子育て世代) (1)前提 生後0日~未就学児までのこどもを育てている市民層を対象に、豊かな選択肢を分析します。同世代は、育児に加えて仕事をしている人の割合が高く、時間に余裕がないと感じている人も多い世代です。 中期計画では、政策1「切れ目なく力強い子育て支援~妊娠・出産期・乳幼児期~」を示し、政策目標を、希望する人が安心して妊娠・出産・子育てができる環境づくりが進んでいる状態としています。また、全てのこどもが健やかに育つよう、乳幼児の心身の発育・発達等の確認及び適切な指導を行うことで、乳幼児の健康が保持・増進されている、地域の子育て支援の場や機会の拡充、子育てに関する情報提供、相談対応の充実などにより、地域ぐるみで子育てを温かく見守る環境づくりが進んでいるとしています。 (2)横浜で暮らす子育て世代の意識 横浜市では、子育て世代を対象に、ニーズや意識を把握する意識調査を実施しています。 「こども、みんなが主役!よこはまわくわくプラン(第3期横浜市子ども・子育て支援事業計画/横浜市こども計画)」の策定にあたり2023(令和5)年度に実施した、「横浜市子ども・子育て支援事業計画の策定に向けた利用ニーズ把握のための調査(未就学児保護者)」では、少子化や地域のつながりの希薄化により、はじめてのこどもが産まれる前に赤ちゃんのお世話をした経験がない人は約75%となっており、こどもを産み育てるイメージを持ちにくくなっています。また、子育てをしていて、「楽しさを感じることが多い」または「どちらかといえば楽しさを感じることが多い」方は約5割、「大変さを感じることが多い」または「どちらかといえば大変さを感じることが多い」方は15%で、5年前と比較して、「楽しさを感じることが多い」方が減少し、「どちらかといえば大変さを感じることが多い」「大変さを感じることが多い」方が増加しています。 (3)市民目線のニーズ探究調査 2025(令和7)年度に実施した市民の暮らしや横浜への愛着、横浜の魅力、生活の困りごと等を分析する市民目線のニーズ探究調査によれば、この世代は横浜の魅力として「ショッピング施設が充実しており買い物が便利である(約66%)」ことや、「道路鉄道網が発達しており買い物が便利である(約43%)」こと、「まとまった緑地などの自然が残っている(約30%)」ことなどの項目について、全体平均より高い割合で回答しています。 横浜での生活の便利さと自然環境の豊かさの両面に、多くの子育て世代が魅力を感じているといえるでしょう。 (4)横浜で暮らす子育て世代の「豊かな選択肢」 横浜で暮らす子育て世代には、仕事との両立、豊かな子育て環境、親子で出かけられる場所、こどもの健康・成長の実感、ゆとり、地域コミュニティなど、豊かな選択肢が溢れています。 市内には、政令市で最も多い保育所数に加え、各区の地域子育て支援拠点、徒歩圏でも通える親と子のつどいの広場も運営されています。そのほか、2607か所の身近な公園(2025(令和7)年12月末時点)、3つの動物園、市民の森など、横浜の豊かな自然環境も、横浜で暮らす子育て世代の豊かな選択肢の一つです。 (5)子育て環境を支える横浜市の事業・取組 横浜市では、子育て支援に向けた様々な事業を展開しています。 子育て世代が子育て情報を入手したり、居場所として活用できる地域子育て支援拠点を各区1~2施設展開しているほか、徒歩圏で通える居場所親と子のつどいの広場、子育て支援に熱意と理解がある市民がボランティアとしてこどもを預かる提供会員になり、子育て世代を支える横浜子育てサポートシステムがあります。 最大9万円の出産費用の独自助成を行い、オムツ等の持参をなくすにもつ軽がる保育園の開始、横浜市子育て応援アプリ「パマトコ」など、子育て世代への直接支援につながる取組を市民目線・スピード感をもって実施し、乳幼児の子育て世代の精神的ゆとり、経済的ゆとりを支援しています。「パマトコ」は、出生届や出産費用助成金、予防接種まで、こどもの年齢に応じた手続をスマートフォンで済ませることができ、また、近所の保育園や地域子育て支援拠点の情報、子育てイベントまで、横浜の子育てに関するすべての情報を確認することが可能です。市民活動団体ならではの課題感・視点を受けた地域療育センター内でのきょうだい児預かりは、協働事業の実績を踏まえ、事業化しました。 横浜市では、市内の300を超える小学校と1700以上の幼稚園や保育所といった大都市ならではのスケールメリットを生かし、幼保小の連携事業幼保小の架け橋プログラムの取組も進めています。乳幼児期のこどもに関わる大人が立場を超えて、5歳児から小学校1年生までの2年間に学びや生活の基盤を育むことを目指しています。 図書館でも子育て支援の取組が進んでいます。中央図書館の1階に、のげやまこども図書館(おやこフロア)を整備し、多くの子育て中の親子が利用しています。 (6)中期計画の位置づけ・振り返り 中期計画では、「切れ目なく力強い子育て支援」を政策項目とし、子育て環境が整っていることを理由に、横浜に住み続けたいと考える子育て世帯等の割合、及びこどもの育てにくさを感じている保護者のうち、解決方法を知っている方の割合を政策指標に掲げています。政策目標としても、希望する人が安心して妊娠・出産・子育てができる環境づくり、出産費用やこどもの医療費などの妊娠・出産・子育てに関する家庭の経済的負担の軽減による子育てしやすい環境づくりを示しています。 2024(令和6)年9月に行った中期計画の中間振り返りでは、「子育て環境が整っていることを理由に、横浜に住み続けたいと考える子育て世帯等の割合」が15.2%、2025(令和7)年9月の第3期の振り返りでも15.8%となっています。もう一方の指標の「子どもの育てにくさを感じている保護者のうち、解決方法を知っている方の割合」は、2022(令和4)年度の79.9%から2023(令和5)年度は80.4%へと上昇しましたが、2025(令和7)年9月の2024(令和6)年度の振り返りでは79.9%でした。 あわせて、中間振り返りに伴い実施した有識者からの意見聴取では、「市の強みを生かして子育て支援、安心な子育て環境を作ることとあわせて、子育て世代を呼び込むアピールとして、市の取組を市内外の方に、もっと知ってもらえる情報発信が重要。子育て世代が横浜に住みたいと思ってもらえるような情報発信に期待している。」といった声が寄せられました。 (7)子育てしたいまちの実現に向けて 中期計画では、共にめざす都市像「明日をひらく都市」の実現に向けて、基本戦略を「子育てしたいまち 次世代を共に育むまち ヨコハマ」とし、子育て世代への直接支援に注力してきました。 横浜は約377万人の市民が暮らす大都市でありながら、海や森、公園などの豊かな自然環境、充実した交通アクセス、首都圏随一の病院数、政令市最多の百貨店・スーパーに代表される買い物利便性の高さなど、住むにも、働くにも、遊ぶにも、子育て世代に豊かな選択肢を準備しています。小児医療費助成のように、横浜で暮らす子育て世代を広く支援する政策に加え、区域に整備した地域子育て支援拠点、自宅からの徒歩圏に整備した親と子のつどいの広場、多くのボランティアに支えられている子育てサポートシステムなど、生活圏や育児環境に応じた重層的な子育て支援メニューがあることも横浜の特色の一つです。 NPO法人や市民活動団体、社会福祉協議会ベースで取り組まれている子育てサロン、公園遊びのイベント、クリスマス会、行政と協働したバスの交通安全教室の企画開催など、市民目線での子育て支援の取組には、市民の温かさが溢れています。 公か民かのいずれかではなく、公と民が連携・協働しながら、横浜の子育て環境を充実させ、子育てしたいまちの実現を目指していきます。 現代に息づく政策効果 子育て世代を支えているのは、行政だけではありません。市内のNPO法人の活動分野のうち、こどもの健全育成を図る活動を活動項目と答えているNPOは679法人。横浜市所轄法人のうち、実に46%を占めるNPOが子育て支援に取り組んでいます(2025(令和7)年9月末日時点)。 都筑区の親と子のつどいの広場「ハッピーひろば」を運営しているNPO法人H&Kは、子育て支援と横浜農業を掛け合わせたユニークな取組、地元の農家と協働した大根収穫イベントを毎年開催しています。港北ニュータウンに掲げられた都市農業の理念、生産地と消費地の近さといった優位性を最大限活かした企画により、ベビーカーでも参加できる野菜収穫イベントを実現しました。生産農家と子育て世代が直接顔の見える関係を作れる貴重な時間を創り上げています。 1965(昭和40)年に打ち出した政策「都市農業」の考えが、令和の子育て支援にも確かに息づいています。 協働の先にある政策実現 横浜市総合リハビリテーションセンターを含め市内9か所に設置されている地域療育センターでは、0歳から小学校期までの障害のある又はその可能性のある児童を対象に、療育に関する相談、診療、指導等を行っています。同センターで行われている療育プログラムへの参加には保護者の同席が必要となるため、その間の兄弟姉妹(きょうだい児)の預かりが課題となっていました。 同センターを利用する際に、きょうだい児の預かり先を回る保護者の負担を軽くするため、療育プログラムへの参加ときょうだい児預かりが同時に地域療育センター内で行えるよう、子育て団体・ちょこっと子育てレスキュー隊(NPO法人のはらネットワーク、NPO法人りんぐりんく等により構成)が協働事業を横浜市に提案。審査を経て市民協働提案事業として採択され、2021(令和3)年度より地域療育センター内でのきょうだい児の預かりが開始されました。 3年にわたる協働事業の実施を経て、2025(令和7)年度には4つの地域療育センターでのきょうだい児預かりが事業化。協働の歩みが取組の実現へとつながりました。利用する保護者やこどもの満足度向上はもとより、地域コミュニティに眠っていた新たな保育ボランティア(保育士資格のある市民など)の掘り起こしにもつながり、地域で支えるきょうだい児保育の取組が市域へと広がっています。