【コラム】いずみ野キッチン~こどもから高齢者までの多世代食堂~ 泉区の和泉北部地区ではこども活躍と一人暮らし高齢者、地産地消の3つの要素を掛け合わせた取組として「いずみ野キッチン」が行われています。2024(令和6)年9月より開始され、2か月に1回程度、いずみ野地域ケアプラザの多目的ホールを会場として、予約制で開催されています。 この取組が生まれたきっかけは、いずみ野地域ケアプラザの生活支援コーディネーター 草島佳子さんが地域住民の方とお話をしている中で、「自分の手料理を食べさせたい」「食堂をやりたい」との夢を聞き、それを実現したいと思ったことでした。コロナ禍の影響もあってか、地域で行われていた食事会も回数が減ったり開催されなくなったりしており、地域での需要もあると感じていたほか、高齢の一人暮らしの方の「コロナ禍で長い間誰とも話をしない期間に寂しさを感じた」、「誰かと食事をすることの喜びを感じた」という会話を耳にして、マッチングができると考えたそうです。 泉区は経営耕地面積が約237haで18区中1位、農家数も355戸と18区中3位で、農を生かしたまちづくりに取り組むなど農業が盛んな区です。また、「よこはま地産地消サポート店」が区内に25店舗、直売所も50か所以上と各所で地産地消の取組が行われています。 区内のいずみ野小学校ではプロの料理人による監修のもと、地元の食材を使用した地産地消給食が「スーパー給食」として実施されています。また、総合的な学習の時間を活用した農業生産活動授業では「米作り」や「さつまいも作り」が行われており、かつては地域住民も参加して小学校で育てたもち米を用いて、校庭で餅つき大会が行われていたそうです。地域の人々を繋ぐ拠点として小学校があり、そこで人々を繋ぐアイテムとして連綿と営まれてきた農業が大きな役割を果たしてきました。 そういった地域特性のもと、草島さんは、地域で活躍している学校地域コーディネーターの方から地域の食と農をテーマとした異業種交流の場「いずみ野から食育を考える会」に誘われ、近隣の農家や地産地消企業の方々、いずみ野小学校や松陽高校の先生方、横浜国立大学やフェリス女学院大学の方々をはじめ地域の様々な方々と情報交換を行うなどして、緩やかなつながりを築く機会を得ました。そして、ここでつながりを持った方々の協力をいただきながら、地産地消の多世代食堂「いずみ野キッチン」の実現に向けて一歩ずつ歩みを進めていくことができたそうです。 いずみ野キッチンの大きな特徴は、どこか一つの団体が主体となって取組を行っているのではなく、取組に携わる方々が個人で参加されていることです。開催時期に収穫できる野菜などを食材にしたメニュー決め、農家への買い出しや調達もボランティアと一緒に行い、開催日当日の午前中に集まったボランティアが調理を行います。会場担当として、不登校児童支援団体「かけはし」のこどもたち、高校生や大学生も参加し、配膳などを行っています。開催日を伝えて、当日参加できるボランティアが参加するという無理のないつながりで、それぞれが楽しく参加できるため、「行かないと損!」という取組になっているそうです。 民生委員からの声掛けにより参加した高齢者、お手伝いをするこどもたちが一緒に地元産の食材を使用した温かい食事を摂ることで、話が弾み、つながりの輪が広がります。 高齢者には「また参加したい」という意欲が芽生え、こどもたちは任された役割を理解し活動することで自信が付きます。民生委員も、これまで以上に地域ケアプラザに相談に来てくれるようになりました。 草島さんは「いずみ野キッチンがやりがい、生きがいになっている方もいます。運営側が楽しく、つま先立ちくらいの努力で続けられる取組のため、ボランティアとして参加している方も、食事をしにいらっしゃる方も楽しい時間を過ごし、『また来たい』と思っていただけるのだと思います。」と話します。ボランティアとしての参加希望も沢山寄せられており、今後はいずみ野キッチンをどのように広げてこどもたちや高齢の方の参加を増やしていくか、どのように取組を自主活動化していくかを検討していくとのことです。 引き続き地域の人々をつなぐとともに、携わっている方々が楽しい時間を過ごし、生活に潤いと実りが得られる地域の取組としていずみ野キッチンが続いていくことを願っています。