特定非営利活動法人 オールさこんやま オールさこんやまは、左近山連合自治会地区の住民を対象として、健康で安心・安全な生活の実現を目標に、全住民参加型の相互扶助的事業や生活支援事業を行い、同時に乳幼児から高齢者まで全世代を対象とする福祉保健活動を推進し、広く公益及び地域振興に寄与することを目的とした団体です。 左近山団地では、団地活性化の取組の一環として、横浜国立大学、旭区と協定を締結し、大学生への住居あっせん、地域課題の解決に向け大学生と協働した取組を進めています。具体的には、自治会や商店街と連携して行うビアガーデンイベントや流しそうめん、料理教室などのイベントの企画・実施に、大学生が参加しています。 なお、当法人は、建築局や旭区と連携・協働した「SDGs未来都市の実現に向けた大規模団地再生事業」の取組のほか、「よこはま夢ファンド事業」「サービス・活動B等補助事業」などの事業を活用しながら団地の活性化に取り組んでいます。 ●特定非営利活動法人オールさこんやまからのひとこと ほとんどの視座で3つは実施しています。行政はもとより、地区社協、ケアプラザ、小・中学校、商店街、福祉施設、医療機関等との協力を得ながら、各種取組を10年以上続けています。 例えば、地域交通の運行による高齢者の移動支援、大学生居住活動支援、小・中学生への学習支援、高齢者の居場所づくり、カフェ事業(本格自家焙煎のコーヒー、トーストセット、ランチに提供している、旭の逸品「お刺身定食」、ハンバーグ、カレー、スパゲッティをご賞味ください。)、警察や消防との連携講話、緑のまちづくり事業等を実施しています。 新たな担い手の発掘をしながら運営の安定に努めたいと考えています。 旭区にお出かけの際には、ぜひ左近山団地中央にある「ほっとさこんやま」をご利用ください。みなさまのご利用をお待ちしています。 ●interview 特定非営利活動法人 オールさこんやま 林 重克 理事長 矢野森 稔 理事 ―最初に、特定非営利活動法人オールさこんやま(以下、オールさこんやま)を設立された経緯についてお聞かせください。 林:1968(昭和43)年に入居が開始された左近山団地は、賃貸と分譲を合わせて約4800戸の大規模団地です。最寄り駅は二俣川で公園や広場、花壇などの緑溢れる風景が広がり、ショッピングセンター、クリニック、郵便局などもあり、利便性と快適性を合わせ持ったまちです。 この大きな団地に暮らす住民の福祉・交流の拠点として「ほっとさこんやま」を設置、運営するためにNPO法人としての認証を2013(平成25)年度に受けました。「ほっとさこんやま」は月曜日から金曜日までカフェ事業を行っていて、ランチも提供しています。左近山の住民のほか、自家焙煎のコーヒーを目当てに相鉄沿線の方もやって来ます。 ―オールさこんやまでは、ほっとさこんやま以外にも、住民の福祉につながるような活動、多世代を意識した取組、大学生との協働など、幅広い活動を手がけていますね。 林:NPO法人を設立した当初は、ほっとさこんやまの運営のみを行っていましたが、その後、横浜国立大学の学生の左近山団地での入居と交流を目的とした「大学生入居事業」、団地内を走る「左近山おでかけワゴン」、小・中学生の学習を支援する「さくら教室」、こどもの居場所「日曜ほっと」、介護予防のためのプログラム「おしゃべりほっと」など、様々な事業を実施するようになりました。 いずれも自分たちの発想だけで実現したものではなく、様々な関係者の皆さんからのご提案やご相談を受けて検討や試行を重ね、実現させてきた取組です。  ―林会長は自治会長としての立場と、NPO法人の代表としての立場、二つの顔を持っていらっしゃいます。自治会町内会の活動と並行して「ほっとさこんやま」の活動を始めることに至った背景についてお聞かせください。 林:2013(平成25)年の前後は、全国的にも団地の老朽化や団地住民の高齢化を背景に、エリアマネジメント等の視点の導入、コミュニティ活性化など団地再生がテーマとなっていたタイミングで、国や神奈川県、横浜市から、左近山団地の活性化に向けた提案や情報共有などが行われるようになりました。時を同じくして、団地内のショッピングセンターにあった店舗の一つに空きが出たため、住民同士の交流や団地の活性化に資するような取組ができないかと思ったのです。そこで、福祉・交流の拠点「ほっとさこんやま」の開所に向けて活動を始めました。任意団体よりも法人格のある団体のほうが様々な支援を受けやすいため、NPOを立ち上げることにしたのは、先ほどの説明のとおりです。 ―自治会ではない地域活動としてのNPO活動、特に、コミュニティカフェという新しい取組を始めるにあたり、意識したことはありますか。 林:オールさこんやまの、オールという言葉。左近山に関わる多くの関係者と一緒に取り組めるようという思いを込めて、オールという言葉を使っています。法人の理事には、自治会町内会や地区社協だけでなく、老人会、商店連合会、左近山団地管理組合協議会、医療機関、ボランティアメンバーなども名を連ねています。地域ケアプラザやUR都市機構はNPOには加わりませんが支援をしてくれています。市民公益活動を実施するのですから、一部の関係者だけでは実現できない取組や目標に、協力しながら一緒に挑戦したいと思ったのです。 また、事業を始めるにあたっては、住民の皆さんの声、ニーズをしっかり把握することが大切です。左近山の未来をテーマに、住民参加のワークショップを左近山中学校で3回開催し、200人の方に集まっていただきました。このワークショップでは、「ほっとさこんやま」に期待することやご要望、取り組んでほしい事業内容などについてじっくり話し合いました。高齢者や子育て支援への要望、コミュニケーションがとれる居場所を求める声も数多く聞き取ることができ、このときのニーズは、現在の「ほっとさこんやま」の取組のベースに生かされています。 他の地区での取組や事例を丁寧にリサーチすることも意識しました。港北区や戸塚区などのコミュニティカフェを実際に見学させていただくヒアリングにもうかがいました。このリサーチに一年近くの時間をかけましたので、自分たちが運営する「ほっとさこんやま」のイメージをより具体的に持てるようになったと思います。 ―「ほっとさこんやま」は高齢者の居場所としてのイメージが強い印象ですが、他の機能もあるそうですね。 林:建物の1階は主に高齢者を含む住民の居場所としての活用を想定していますが、2階は未就学児や小・中学生の居場所として活用されることを意識し、靴をぬいで直に座れるようカーペットを敷いてあります。建物全体を通じて、多世代が自然に交流でき、一緒に過ごせる居場所を目指しています。 この多世代交流を象徴する取組ともいえるのが、月に一度開催している「日曜ほっと」です。この日は、こどもたちと高齢者がめんこや独楽回し、オセロなど、昔ながらの遊びを通じて、自然と交流できます。スマホもデジタルゲームも禁止していますが、30~40人ほどのこどもや小さい子の保護者が集まる大盛況イベントです。 ―左近山団地といえば、大学生が、入居するだけでなく夏祭りやクリスマスイベントなどの地域活動に参加する点も特徴的です。大学生の地域活動参加については、どのような経過から始まったのでしょうか。 林:2016(平成28)年度に、横浜国立大学とUR都市機構、旭区が締結した「左近山団地における大学生による地域支援活動事業に係る連携協定」がきっかけとなり、横浜国立大学の学生が左近山団地に入居するようになりました。 この際にも、住民には大学生に期待すること、求めることのアンケート調査を実施しましたが、「大学生が左近山団地に暮らしてくれるだけで嬉しい」といった声が多く、大学生の入居を好意的に捉えてくれました。大学生にとっても社会に出る前に、大人や多世代との交流や接し方、地域貢献の価値などを学ぶ尊い活動になっています。時には、住民と仲良くなった大学生が夕食をごちそうになったり、こたつを借りたり、住民から借りた軽トラックで保土ケ谷区の大学研究室に研究資材を運んだりと、まるで実家に暮らす大学生と親、祖父母のような、まさに〝ふるさと左近山〟の言葉に相応しい楽しいエピソードがたくさん生まれました。 大学生と住民との交流は、高齢者だけに留まりません。小・中学生の学習を支援する「さくら教室」には、横浜国立大学の学生たちが勉強を教えに来てくれています。 ―左近山では入居している大学生以外にも、多くの大学生が地域活動に参加していると聞きました。大学生が活動に参加してくれることの効果についてはどのように捉えていますか。 矢野森:横浜国立大学に限定したことではありますが、左近山団地での地域活動に参加した大学生には単位取得が認められています(サコラボ)。この、大学生と住民とが協働して、左近山団地をもっと魅力ある場所にしたい、左近山団地での生活をより豊かにしたいという思いで地域活動を行うサコラボには、30人以上の大学生が参加し、自治会イベントや小・中学生の学習支援に取り組んでいます。先日の夏祭りにも、20人近くの大学生が手伝いに駆けつけてくれて、焼きそばの調理や販売に協力してくれました。 大学生の柔軟で自由な発想には驚かされてばかりです。学生の何人かがイベントの企画の一つとしてピザを販売したい、そのためのピザ窯を自分たちで作成したいと言い出しました。そこで費用を工面し、左近山の各所で活用してもらえるようにと、移動可能なピザ窯を大学生たちに手作りで制作してもらいました。 600㎏を超える重さの窯になってしまったので、移動エリアは限られますが(笑)、度々イベント時に活躍しており、大人気です。イベントでピザをふるまう、そのためにピザ窯も自分たちで作るなんて、我々には出せないような斬新なアイデアでした。 ―横浜市の基金を通じて活動補助を受けることができるよこはま夢ファンド(以下、夢ファンド)という制度を、オールさこんやまではご活用いただいているそうですね。 林:大学生入居事業の自主事業化を視野に入れて、3年ほど前から、夢ファンドを活用しています。夢ファンドでは、自分たちで寄付を集める必要がありますが、遠方に住む大学生の親御さんから、息子さんへのエールも兼ねた寄付が寄せられたことがありました。親御さんにとってはお子さんが下宿している地域の活動や様子を知ることができ、また我々にとっては活動資金をいただける機会になっています。寄付を通じて、他県や他都市と左近山がつながっていることも実感しています。 ―高齢者の介護予防プログラム「おしゃべりほっと」は、2年前から始まった取組ですね。今日も30名近くの方が集まり、賑やかでした。 林:おしゃべりほっとは、高齢者の介護予防、仲間づくりのために始めた取組です。脳トレや近所の医療機関からの健康に関するお話、健康体操、ティータイムやおしゃべりの時間など、約半日のプログラムを構成し、毎週工夫しながら開催しています。 実施にあたっては、健康福祉局のサービス・活動B等補助事業を活用しており、補助を活用できる事項が幅広く、とても助かっています。自分たちで何かやろうとしても資金面で難しい時があり、そういう時は補助金がありがたいと感じます。 ―左近山団地ではいち早く、団地に暮らす住民のみなさんが利用できる地域交通「左近山おでかけワゴン」を実施しています。こちらの内容と、今後の展望についてお聞かせください。 林:近隣にある福祉施設がデイサービスの送迎で使用してきたワゴン車が、サービス終了に伴い不要になるという話が地域ケアプラザから持ち込まれ、左近山でうまく活用できないかとメンバーで話し合いました。その結果出てきたのが、左近山地区の高齢者を中心にした移動支援事業の左近山おでかけワゴンです。毎週木曜日に一日6便、団地内を運行しています。2017(平成29)年から始まった取組で、左近山地域ケアプラザや左近山地区社会福祉協議会、UR都市機構などで構成する「左近山お出かけワゴン協議会」のもとで推進し、ドライバーもボランティアが務めています。 当初は団地エリアのみではなく、二俣川駅や警察署、旭区役所などを周遊するルートを考えていたのですが、ここでもアンケート。実際に利用される皆さんからは、団地内の公共交通が通っていない箇所、店舗前に行きたいとのニーズが高かったので、ルートを大幅に変更しました。 開始して8年が経過し、車両の更新など、費用負担の面なども問題になってきたので、2025(令和7)年度からの市の新規事業である「みんなのおでかけ交通事業」にエントリーしています。 ―お話を伺っていると、事業に協力してくれる仲間を増やすこと、利用者の声を丁寧に聞くこと、事業開始にあたってはリサーチに時間をじっくりかけることなど、オールさこんやまならではの工夫がたくさんありますね。 林:団体を立ち上げる時点から、地域に関わる各種団体みんな、オールで取り組むことを常に意識してきました。このオールは、何もNPOのメンバーに限りません。 以前、旭区役所に在籍していた職員は、所属が変わった今でも時間を見つけては左近山団地を訪れ、ボランティア活動や、市政情報の共有に熱心に取り組んでくれています。また、2024(令和6)年に執り行ったオールさこんやまの10周年記念式典には、現在の区長に加え、歴代の旭区長のみなさんも駆けつけてくれました。 近隣の小学校や中学校の教員のみなさん、団地を巣立っていった大学生など、左近山に関わってくれている人すべてが、この「オール」には含まれています。 ―多くの関係者を惹きつける魅力は、オールさこんやまの皆さんの温かな人柄や人間性にあると感じます。今後の抱負や展望についてお聞かせください。 林:左近山で育った人、少しでも住んだことのある人、関わったことのある人が、この場所を〝ふるさと〟だと思ってくれるような地域にしたいと常々思っています。ご紹介してきた取組はすべて、この地域づくりにつながっていますので、これからも長く続けていくことが理想ですね。また、人が集まってきて、人と人を結びつける「トリオさこんやま」などの新しい取組にも期待しています。我々も歳を重ねてきているので、次の世代へのバトンタッチは課題になっていますが、左近山では20代30代の方が増えているとの話も聞いています。これまで取り組んできたように、やりたいと思ったことに対して全体のコンセンサスを得て、丁寧にやっていきたいと考えています。 (インタビュー実施:2025(令和7)年7月10日) 【関連する事業・取組】 ■市民局「よこはま夢ファンド事業」■ 市民局では、市民や企業等から寄附を募り、市民活動推進基金(よこはま夢ファンド)に積み立て、NPO法人の公益的な活動にかかる事業費や組織基盤強化にかかる費用の助成を通じて、団体を支援しています。 NPO法人オールさこんやまは、よこはま夢ファンドの登録団体となり、費用助成を受けることで、左近山団地居住者の高齢化によるコミュニティ活動の低下などの課題を解決するため、団地内に入居を希望する大学生の家賃を補助し、積極的に地域の活動に参加してもらう、団地と大学生の地域活性化事業に取り組んでいます。 ■健康福祉局「サービス・活動B等補助事業」■ 健康福祉局では、ボランティアを始めとした地域住民が、要支援者等※を対象とする介護予防・生活支援のサービスを提供する活動を行う場合に、その活動に係る費用に対する補助金を交付しています。具体的には、体操・運動等の活動、趣味活動等介護予防に資するプログラムの実施のほか、買物代行、調理等の生活支援、栄養バランスのとれた食事の提供、定期的な訪問による見守りが補助対象となる活動になります。 ※(1)①要支援1・2の要介護認定がある方及び、要支援相当で基本チェックリストを活用して事業の対象となった方(事業対象者)で、地域包括支援センター等による介護予防ケアマネジメント等でサービス・活動B等の活動がケアプランに位置づけられた方 (2)(1)として活動を利用していた方で、要介護1~5に認定区分が変更となった後も、継続的に活動を利用する方 ■都市整備局「みんなのおでかけ交通事業」■ 誰もが移動しやすい環境を整えていくため、地域公共交通を増やす取組として、地域交通サポート事業に代わる新たな制度として、2025(令和7)年度から開始した事業です。地域への意向確認や運行計画の提案等のプッシュ型支援をはじめ、アンケート調査の実施や関係者との調整支援等、地域等の取組に対する様々な支援を行うとともに、運行経費、車両導入等の環境整備費、そのほか地域公共交通の運行に必要となる経費の一部を補助しています。 左近山団地を走る「左近山おでかけワゴン」は、2025(令和7)年7月より、みんなのおでかけ交通事業のおでかけシャトル(ワゴン型バス)として運行されています。 ■旭区「NPO法人オールこんやまの機能強化」■ 旭区・左近山団地の再生に向け、NPO法人オールさこんやま・NPO法人横浜プランナーズネットワーク・旭区の3者が協働し、活動の担い手や資金確保、地域で自立して運営できるような仕組みづくりを進めました。 横浜市サービス・活動B等補助事業の運営ノウハウの蓄積や経営基盤の強化、大学生入居事業を運営する体制構築など、地域住民が主体となった事業の推進につながりました。(2020~2022(令和2~4)年度事業)