西区第4地区社会福祉協議会 西区第4地区は西区南東部にある起伏の多い地域であり、野毛山動物園、横浜市中央図書館による賑わいと、閑静な住宅街の両面を持つ地域です。 一人ひとりの困りごとを解決できる地域づくりに取り組む西区第4地区社会福祉協議会は、自治会町内会とも連携しながら、こどもたちが健やかに育つ地域づくりなどに力を入れています。学校の長期休業期間中のこどもの食の支援と孤食に配慮した「みんなの食堂」、多世代がくつろげる居場所「アフタヌーンカフェ」、高齢者に良質な音楽を届ける「ふれあいクリスマスコンサート」、地区内の自治会や団体が一堂に会する「みんなのまつり」などを行っています。 同地区では、2006(平成18)年度に「ヨコハマ市民まち普請事業」の採択を受け、消防団小屋のリニューアル、ソーラーパネルや地下水を活用する雨水タンクの設置などを行い、また災害時に役立つ施設整備と人の輪づくりも進めています。2023(令和5)年度には「市民主体の身近な施設整備支援」の制度を活用し、第4地区会館の修繕も行いました。 ●西区第4地区社会福祉協議会からのひとこと 私たち地区社会福祉協議会は、地区の自治会町内会が縦割活動の中、地区内すべてを網羅し横のつながりを育む活動を目指しています。活動の中で、地区自治会連合会と地区社協は車の両輪的存在という事を意識しています。両輪であれば輪の大きさ、回転力が釣り合っている事、お互いを信頼し思いやり、補いながら協働する事が必要です。 地区社協の催事は、自治会町内会、地域活動団体にスタッフとして参加してもらい我が事として活動してもらう事を意識しています。社協主催のクリスマスコンサートに自治会町内会長がサンタさん姿で会場整理、ふれあい会担当者が接待し、参加者の会費を自治会が助成する。あるいはみんなの食堂を自治会が担当し、費用の助成、こども会、シニア会が団体で注文するなど、地区社協と自治会町内会が協働することで、住民の方々に自治会町内会の活動を意識してもらう良い機会になることを、自治会町内会の役員の方々に理解してもらうことも目標の一つです。 ●interview 西区第4地区社会福祉協議会 米岡美智枝 会長 小林直人 副会長 (事務局) 酒井保子さん 西田千寿子さん ―最初に、西区第4地区社会福祉協議会(以下、「第4地区社協」)の活動の様子についてお聞かせください。 米岡:主に「みんなの食堂」、「ふれあいクリスマスコンサート」、「みんなのまつり」といった事業を行っています。 「みんなの食堂」は、夏休みや冬休みのような小学校の長期休校の間、学校給食がなくなったこどもたちに昼食を提供するために10年前に始めた取組です。地域で活動している我々第4地区社協だけではなく、自治会町内会の存在を保護者のみなさんにアピールすることも意識しながら取り組んでいます。 みんなの食堂では、地区社協や自治会町内会、民生委員児童委員、ヘルスメイト、NPOなど、第4地区で活動している様々な団体が協力しながら各開催日を担当して取り組んでいます。特定の団体、一つの地域だけでは開催できる回数に限りがありますし、個々の団体が少しずつ協力しながら参加し、大人数の食事を作ることは災害時の炊き出しの予行練習にもなると思いましたので、地域内の団体の皆さんに声掛けしながら実施することになりました。 開催当初の2015(平成27)年度は会食方式で、各回30~50人くらいの規模で行っていましたので、とてもアットホームな雰囲気で、親子が笑顔でご飯を食べる様子が見られたり、利用者と直接お話したりしながら食堂を運営していました。その後、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、1年ほど実施を見合わせました。その間に開催方法について見直し、会食からお弁当を配布する方法に切り替え、みんなの食堂を再開することとしました。再開後は、こどもだけでなく、会食が苦手な高齢者にも利用いただけるようになり、販売食数は300食以上、飛躍的に伸びました。この販売数は、地域内の様々な団体が連携したことで実現できた数字だと思いますし、団体間の横のつながりを後押ししました。 ―高齢者向けのイベント「ふれあいクリスマスコンサート」、多くの地域活動団体の皆さんが出展する「みんなのまつり」の取組についてもお聞かせください。 米岡:「ふれあいクリスマスコンサート」は、遠出することが難しい高齢者のみなさんに、より良い音楽を届けるため、毎冬、一本松小学校の体育館で開催している音楽イベントです。イベント当日は会場設営だけでなく、階段の上り下りが大変な高齢者の方の移動支援もあり、全体で70~80名のスタッフが運営に携わる、第4地区の総力を挙げたイベントです。 小林:昨年初めて、西区の地区支援チームの皆さんがステージ発表に参加してくれました。区役所の職員の皆さんだけではなく、西区社会福祉協議会や藤棚と宮崎、2つの地域ケアプラザの皆さんも一緒に出演してくれた様子を見て、地域は行政関係の皆さんにも支えてもらっている、そんなことを感じたひと時でした。自分だけではなく、みんなの力、助けがあって地域は成り立っていると感じています。 米岡:「みんなのまつり」は、地区内の団体が自分たちの活動や取組を発表する場で、地区内で一番大きいイベント。第4地区の15の自治会が、それぞれの取組をパネルで紹介。お互いに展示内容を見て刺激しあうことで、年々パネルのクオリティも上がっています。第4地区内で活動している団体であれば、どこでも展示ができるようにしたところ、一番多い時には40~50くらいの団体が参加しました。 ―先ほど地区支援チームのお話が出ました。地区支援チームは、防災や防犯、高齢者の見守り、子育て支援など、地域の課題に応じて、区役所の各部門の職員等が連携して、地域の主体的な活動を支援する体制の一つです。西区では、区役所職員に加え、西区社会福祉協議会、地域ケアプラザも体制に参加しています。地区支援チームの日頃の取組について、どのように捉えていらっしゃいますか。 米岡:地区支援チームの皆さんは、地域の活動を支援してくれるというよりもむしろ、私たちと一緒に活動に取り組む仲間として身近で心強い存在です。地域の会議や会合、打合せにも参加してくれますし、イベントにも積極的に関わっていただいています。地域の様子を直に感じ取ってくれているので、私たちと同じくらい地域のことを知ってくれていてありがたいですし、行政の立場でも住民目線で地域の課題を把握することができ、メリットがあるのではと思っています。 私たちだけではどうしたものかと悩んだり、困ってしまったりしたとき、まずは地区支援チームの皆さんに相談し、アドバイスをいただいています。例えば、インター ネットの対応や補助金手続などが苦手なので、そんなときは地区支援チームに相談。補助金申請に必要な書類の書き方、提出先の部署への助言、チラシへの二次元コードの貼り付け、SNSを通じたPRなど、寄り添って力になってくださっています。 ―都市整備局では、2023(令和5)年度より地域が考える地域の魅力づくりや課題解決に向けた支援制度「市民主体の身近な施設整備支援」を実施しています。第4地区社協ではいち早く制度を活用いただき、会館を整備されました。新しい制度を利用された経緯についてお聞かせください。 米岡:はじめに区役所から第4地区自治会連合会に補助金の話がありました。第4地区自治会連合会は、第4地区社協と密にやり取りをしていましたので、私たちが話していることを思い出してくれ、この補助金を私たちの活動に活用できるのではないかと提案してくれました。ちょうど、みんなの食堂からも会館改修の要望が出ていましたので、早速申請してみようということになりました。 西田:お弁当を200~300食作る上で、シンクが狭くて鍋が洗いづらかったり、小さいコンロが一つだけで同時に調理ができなかったりと、とても不便な状況でした。今では蛇口とコンロが2つずつあり、少し離れたところには炊飯用のガス栓も3つ用意してもらえて、とても助かっています。 米岡:他には階段の手すりの改修を行いました。みんなのサロンには小さなこどもたちも来るのですが、階段の柵の間隔が広く危険性があることに気づいたので、柵の間をすり抜けられないように改修しました。 ―「みんなの食堂」のようなこども食堂等の取組に対しては、行政や企業問わず、様々な補助制度が用意されています。取組を続けていく中で、困ったことはありましたか。 米岡:みんなの食堂の運営にあたって、こども青少年局の「こども食堂等活動支援補助金」を受けていますが、事業内容について指摘を受けたことがありました。みんなの食堂は、コロナ禍の前までは会食方式で行ってきたのですが、行動制限がかかりましたのでお弁当を配布する方式に変更したのです。弁当配布に変更したことで、食数は大幅に増え、そこには潜在的なニーズがあることが分かりました。ただ、補助金の趣旨が、自主的なこどもの居場所づくり支援にあるので、こども青少年局からは指摘を受ける形になってしまいました。指摘に従って会食方式に戻せば、食に困っているこどもたちを広く支援することは難しくなってしまう。この時にも、地区支援チームがこども青少年局に弁当方式の意義や必要性、この活動が地域にどういう影響を与えているかを説明してくれ、引き続き補助金を受けられることになりました。 ―最近では全国的にもこども食堂が増えていますが、第4地区社協では「みんなの食堂」を10年以上前から続けてこられました。始めた当時からの環境の変化、こどもたちの変化などは感じますか。 米岡:最近は外国籍のこどもも増えてきたと感じています。家族は日本語でのコミュニケーションが難しいからか、こどもだけで来ることもあります。家族の分もカタカナで名簿を書き、とても嬉しそうに、大事そうに抱えて持って帰ってくれます。弁当配布にしてからの変化です。 他にも、最近は大学生や近隣の専門学校の留学生などもボランティアに来てくれるようになり、ボランティア同士の交流も生まれています。 ―0歳児からシニアまでの多世代の方が集まる「みんなのサロン」について。こちらはどのような経緯で始まった取組ですか。 酒井:私は、第4地区会館とは別の場所で10年以上にわたり子育て支援の取組をしていましたが、担い手不足でその団体がなくなってしまいました。自分の居場所が無くなったようで、寂しくなってしまったことを米岡会長に相談したところ、第4地区会館でサロンを開いてはどうかと提案をいただき、2018(平成30)年に始めたのが「みんなのサロン」です。 更生保護女性会や近所の方の協力のもと、利用される皆さんと一緒に、サロンでどんなことをしたいかを話し合って、健康体操や脳トレなどのプログラムを決めて実施しています。このプログラムづくりに際しては、区役所等で実施している勉強会にも参加し、ノウハウを学んでいる方が中心になってくれています。 ケアプラザの方もサロンに来てくれて、イベントの情報共有や、困りごとの相談ができて参加者の皆さんがとても助かっていますし、ケアプラザが身近になったように感じます。 3年前には、第4地区にある唯一の保育園の園長と知り合いになり、月2回のサロンのうち、1回は保育園児がサロンを訪れ、高齢者と一緒にプログラムに参加したり、歌やダンスを披露してくれています。高齢者の皆さんはこどもたちから元気をもらえると喜んでくれますし、保育園の先生も、こどもたちが上手に高齢者のマネをし、成長につながっていると好評です。 ―横浜市では、新型コロナウイルスの影響を受けた市民団体の活動を支援するため、令和2年度には「市民公益活動緊急支援事業」を制度化しました。第4地区社協ではこの事業をどのように活用されましたか。 米岡:新型コロナウイルス感染症のまん延により、会議やイベントは全てできなくなってしまいました。そのような中でも、活動だけは継続させようと、リモート会議のためのパソコンや超大型テレビ、スピーカーフォンなどの機材を購入し、オンラインでの取組に挑戦しました。今でも会議資料を映したり、オンライン会議やみんなのサロンに使ったりと、様々な活動で大活躍しています。 ―コミュニティ防災の国際協力の位置づけでフィリピンからの視察団受入れのほか、アジア圏や南米圏からの視察対応にも積極的に応じているそうですね。地域活動の文脈での国際協力について、どのように受け止めていますか。 米岡:地区内にJICAで働いていた方が居住していて、その方の紹介で、アジア圏だけでなく、アフリカなど様々な国の方が視察に来ます。先日は、チリの大臣が高齢化社会への対応の参考にしたいと、第4地区社協に視察にいらっしゃいました。社会福祉協議会のような団体がチリには無いようで、私たちの取組を見て感動していらっしゃいました。新興国からの視察は女性が多く、チリからの視察もほぼ全員女性でした。海外からの視察対応は、他の国々のみなさんがどういったことに課題を感じているかを知れるだけでなく、私たちの活動を再確認することもできる好機になりますので、積極的に受け入れています。 ―第4地区社協の活動について感じていることや、今後の抱負をお聞かせください。 西田:第4地区の活動には「みんなの」という言葉を付けていますが、とても温かくて良い言葉だと思っています。こども食堂は対象がこどもだけですが、「みんなの食堂」なら誰でも来てくださいと呼びかけられる。こどもだけでなく、一人暮らしのお年寄りや、子育てに悩み外出しづらいお母さんなどが出かけるきっかけを作ることは大事なことです。今はお弁当のスタイルになりましたが、仲間で一緒に食べても良いし、家で家族と食べても良い。それぞれのスタイルがあるので、みんなが気軽に集まれるような雰囲気は大切にしたいですね。 小林:第4地区では現在、障害について理解を深める活動を進めています。「誰もが」という言葉が使われていても、障害のある方を想定できていないのではと感じる時があるのです。障害についてみんなが知り、「障害のある人も無い人もご一緒に」という想いを大切にしていきたいと考えています。 米岡:みんなの食堂で 200~300食を用意するにはノウハウが必要です。そうした意味でも、地区社協や自治会、NPOなど、様々な団体が協力して、みんなの食堂を行うことは意義のあることだと感じています。 2028(令和10)年には西区の第4地区内に、多機能型拠点(医療的ケアが必要な重症心身障害児者等やその家族の地域での生活を支援する施設)の新設が予定されています。のげやまインクルーシブ構想では、これまで野毛山動物園や中央図書館のリニューアルが進められてきましたが、多機能型拠点の開所も大きな意味を持つと思います。これをきっかけに、交流会や中学生によるボランティア活動など、地区全体でも障害のある方への理解がより一層進むような機会を作っていきたいです。地域で一緒にやっていけると親御さんも少し楽になります。みんなに来ていただける場所を作ることが大切だと考えています。 (インタビュー実施:2025(令和7)年7月11日) 【関連する事業・取組】 ■こども青少年局 「横浜市こども食堂等活動支援補助金」■ いわゆる「こども食堂」等が、こどもにとって安心できる居場所となり、困難を抱えるこどもへの気づきや見守り等につながるよう、地域の自主的なこどもの居場所づくりを支援するための補助金です。 月1回以上の開催や参加費が無料又は低廉であること、活動内容を事前に周知・公表していることなどを要件に、年間24万円を上限として、最長3年間補助金を交付しています。 ■市民局・各区 「地域と向き合う体制(地域支援チーム※)」■ 地域の課題(防災・防犯・高齢者の見守りなど)に応じて、区役所の各部門の職員等が連携して、地域の主体的な活動を支援する「地域と向き合う体制」を設置しています。 西区では、地域福祉保健計画地区別計画を策定・推進する組織を支援するためのチームとして、区役所や区社会福祉協議会、地域ケアプラザ職員等によってチームが構成されています。 ※西区では「地域支援チーム」を「地区支援チーム」という ■都市整備局「市民主体の身近な施設整備支援」■ 地域が考える地域の魅力づくりや課題を解決していくため、地域課題や具体的取組がまとめられた地域福祉保健計画(地福計画)等、区と地域で策定されたプランに基づく市民主体の身近な施設整備を支援しています。 第4地区社協が実施している「みんなの食堂」を支えている第4地区会館は、市民主体の身近な施設整備支援を受け、キッチン等の設備を改修しました。 ■市民局「市民公益活動緊急支援助成金」■ 新型コロナウイルス感染症の影響を受けた市民公益活動への支援として、市民の暮らしを支える地域の居場所づくりや高齢者の見守り、こども食堂や親子サポートなどの活動継続及び事業展開を支援する助成金を交付しました。 助成により、オンラインコミュニケーションツールの導入などが行われたほか、市民協働推進センターに配置されたコーディネーターが、団体の活動を支援しました (2020(令和2)年度のみの限定事業)。