第3章 市民生活と政策効果 8つの視座で捉える地域コミュニティ 横浜の地域コミュニティ 横浜市には377万人が暮らし、18の行政区が市民の日々の生活を支えています。 最も人口が多い港北区では37万人近い市民が暮らしており、この規模は、中核市の横須賀市に相当する規模です。 横浜市民の生活や実態をより丁寧に捉えるためには、市域や区域で捉える視点と並行して、自治会町内会、中学校区域など、よりミクロな視点で市民生活を捕捉する必要があります。 地域のプラットフォームと協働の地域づくり 中期計画では、政策9で地域コミュニティの活性化を謳い、地域活動団体の課題感や悩みに丁寧に寄り添うコーディネート型行政の推進、地域の活動に参画できる人材の発掘・育成、企業や大学等の多様な主体との協働、地域活動団体・個人がつながる協働による地域づくりを政策目標としています。 身近な地域の課題解決に向けて、自治会町内会を中心に地域で活動する様々な団体が連携し、主体的、継続的に協議・実践できる基盤「地域のプラットフォーム」は、地域支援の先にある一つの理想形として描かれています。 地域コミュニティ支援の政策と効果 横浜では、市域に設けた市民協働推進センターと横浜市社会福祉協議会、区域には各区役所の地域と向き合う体制や各区社会福祉協議会、各区市民活動支援センター、中学校区域には地域ケアプラザなどの行政インフラを構築し、地域支援に取り組んでいます。 インフラ整備と並行して、ソフト面からの施策としては、地域福祉保健計画地区別計画の策定・推進や都市計画マスタープランの策定・推進、ヨコハマ市民まち普請事業やまちの不燃化推進事業、地域緑のまちづくり事業、自治会町内会のICT支援など、時勢やニーズに応じた政策や施策を展開してきました。 市民目線での政策効果の検証 人口減少や少子高齢化、地域の担い手不足などに向き合う横浜市には、地域における医療的・福祉的な機能とは別に、社会や地域における人と人との信頼関係や結びつきを示す「ソーシャルキャピタル※1」が数多くあります。 第3章では、市民生活白書の創刊趣旨である「市民生活や市政の決算書」に鑑み、市政運営を市民目線から振り返ります。 子育てやまちづくり、地域福祉、多文化共生など、様々な政策テーマに取り組むNPOや地縁団体のリアルな声を、後世に語り継ぐ市民の歴史(オーラル・ヒストリー※2)として記録し、政策効果の検証へとつなげます。 インタビュー団体は、区域に特化した活動を通じて地域コミュニティの活性化に貢献している団体、市域レベルや広域レベルでの活動・中間支援に取り組んでいる団体のほか、高齢化対策やこどもの居場所など、横浜市が直面している政策課題にいち早く取組、顕著な成果を残している団体などを中心に選定しました。 中期計画やSDGs、社会課題などから読み取った8つの視座(後述)を念頭にインタビューを行い、横浜の色彩豊かなソーシャルキャピタルの真価をお伝えします。  ※1 ソーシャルキャピタル:社会や地域における人々の信頼関係や結びつきを表す概念のこと。 地縁団体や市民活動団体などのことを示します。 ※2 オーラル・ヒストリー:人の記憶を呼びさまし、記録をとり編集して広く一般に読んでもらう作業全般を言う。…読む人の心に響くのは、個々の体験が普遍性を帯びているかどうかだ。 (御厨貴編「オーラル・ヒストリーに何ができるか」(岩波書店)より引用抜粋)