土地利用 ●横浜市の地形と土地利用 横浜市は、市域の北西部に多摩丘陵、南部に三浦丘陵に連なる丘陵部があり、そこから鶴見川をはじめとした8つの本流と58の支流が流れる地形にあり、坂や傾斜地が多く起伏にとんだ複雑な地形にあります。 市域のおよそ77%が市街化区域(すでに市街地を形成している区域及び概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域)で、23%が市街化を抑制するべき市街化調整区域ですが、市街化区域の中に市街化調整区域が入り込むように分布しており、市街地の身近なところに緑地や川などがあることが横浜の一つの特徴となっています。 ■市域の18%が自然的な利用、住宅用地は36% 市の総面積約435.8?のうち、農地や山林、河川などの自然的な土地利用は約18.2%、住宅や商業施設、工業施設など都市的土地利用は81.8%です。都市的土地利用の中でも、住宅用としての利用は35.6%で、店舗や業務用などとしての利用が4.4%、工場や運輸倉庫など工業系の利用が8.6%、公園・ゴルフ場などが4.8%、そして道路は15.5%となっています(図1)。過去と比較すると、工業施設用地や農地・樹林地の割合が減少し、「住宅用地」の割合が増加しています。 ●市街地の拡大と交通網の発達 1960年代以降、人口の急激な増加と並行して、鉄道や道路の交通網の整備が進み、市街地が市郊外部へと広がっていきました。また市街化に伴い、上下水道や公園、学校などの整備も進められました。 ■鉄道の1日平均乗車人員は延べ428万8千人で、近年は増加傾向 現在、市内には161の鉄道駅があり、1日平均の乗車人員は延べ428万8千人に上ります(図2)。特に横浜駅は、JR、東急東横線、みなとみらい線、京浜急行線、相模鉄道線、市営地下鉄が通るターミナル駅として市民や来街者にとって重要な交通拠点であり、JR東日本エリア内においても、新宿、池袋、東京に次いで4番目に乗車人員の多い駅となっています。 市内の鉄道駅の乗車人員の推移をみると、1990年代中盤に前年より減少した時期がありますが、みなとみらい線や市営地下鉄グリーンラインなど新たな路線の開通もあって、長期的には増加傾向にあり、路線別にみても、近年は各路線とも増加しています。また、現在は、相互乗り入れを可能にする相鉄・JR直通線(西谷〜羽沢横浜国大)、相鉄・東急直通線(羽沢横浜国大〜日吉)の整備など、新たな交通ネットワークづくりも進められています。 また、路線バスは市営のほか民間9社が市内を運行しています。そのうち市営バスは、2018(平成30)年3月末現在で停留所が1274か所で、一日平均の利用者数は1980(昭和55)年の約46万人から大きく減少して、近年は約33万人で推移しています。 ■道路交通量、混雑度は大都市中最も高い 横浜市の平日12時間の交通量(2015(平成27)年度道路交通センサス)は2万3900台で、2010年調査と比べ大きな増減はありませんでしたが、東京都区部を含めた大都市の中でも最も多く、大都市平均(1万5158台)の約1.6倍になります。また、平日の混雑度(交通容量に対する交通量の比)も0.99で、東京都区部や川崎市(いずれも0.94)、さいたま市(0.93)など首都圏の他都市と比べても高くなっています。 都市計画道路は、計画されている延長約677qのうち整備済は457q余り、整備率は約68%となっています。政令指定都市の中ではさいたま市に次いで低い水準にありますが(図3)、現在も3本の環状道路と、市中心部と郊外部とを結ぶ10本の放射道路の整備が進められています。 ■インフラ施設や公共建築物の多くが整備後30年以上経過 市民が日常的に利用する道路や鉄道、上下水道、公園などのインフラ施設は、都市を形成する基盤として、人口の急増や市街化の進展などに対応するように整備されてきました。しかし、これらのインフラ施設は利用が始まってから30年以上経過しているものが多くなっています(図4)。また、学校や市営住宅などの公共建築物も、1960年代から1990年頃に集中的に整備されたため、多くの施設が整備後30年以上経過し老朽化が進行している施設も少なくありません。特に、学校施設は、その8割が築30年を超えている状況です。