経済 横浜市の市内総生産(名目)は、13兆5429億円(2015(平成27)年度)で、県内総生産(33兆9188億円)の約4割、国内総生産(532兆1914億円)の2.5%にあたる経済規模となっています。この市内経済の状況を産業の面と、労働、家計・消費の面から概観します。 ●産業構造と景況 ■事業所数は全国4位、従業者数は全国3位 市内の民間事業所数は11万4930事業所で、全国の市区町村中、東京都区部、大阪市、名古屋市に次ぐ第4位の規模となっています。また、民間事業所の従業者数は約147万5974人で、東京都区部、大阪市に次ぐ第3位です。産業別では、「卸売業、小売業」が市内事業所の23.3%、従業者の19.9%を占めており、全国同様に最も多い産業となっています(図1)。2012(平成24)年と2016(平成28)年調査を比較すると、「医療、福祉」は事業所、従業者数ともに大きく増加しています。そのほか、「教育、学習支援業」「学術研究、専門・技術サービス業」では事業所数、従業者数ともに増加、「情報通信業」「卸売業、小売業」「不動産業、物品賃貸業」では事業所数は減少する一方、従業者数は増加しています。また、「建設業」「製造業」、「金融業、保険業」「生活関連サービス業、娯楽業」(クリーニングや旅行、娯楽施設など)、などでは事業所数、従業者数とも減少しており、産業により差が見られます(図2)。 ■横浜港のコンテナ取扱個数は国内第2位 横浜港の総貨物量(2017(平成29)年)は約1億1350万トンで、海外との輸出・輸入量は7410万トン、国内港湾との間の移出・移入は3940万トンでした。輸入・輸出は前年から7.5%増となり、2011(平成23)年以降は減少が続いていた総貨物物量も4.0%の増加となりました。主な貨物の品種は、輸出は「完成自動車」(38.8%)が最も多く、次いで「自動車部品」(13.0%)、輸入では「LNG(液化天然ガス)」(19.0%)が最も多く、「原油」(13.4%)がこれに続いています。国別では、中国が輸出(17.6%)・輸入(18.0%)ともに最も多くなっています。また、国内の主要な5つの港湾の中でコンテナ取扱個数が最も多いのは東京港で、横浜港は第2位となっています。 ●景況判断はマイナスが続くも、雇用環境には改善傾向がみられる 市内の景況について、市内企業等が自社の業況を「良い」と回答した割合から「悪い」と回答した割合を引いた指数(BSI)の過去12年間の推移をみてみると、自社業況判断(全規模)は2007(平成19)年からマイナスが続いており、特に2009(平成21)年にはマイナス70にまで落ち込みました。会社規模別では、中小企業はマイナスで推移している一方、大企業ではプラスとなった四半期もありました。長期的に見れば、いずれも2009(平成21)年以降はほぼマイナスではありますが、改善傾向が見られます(図3)。 横浜市の完全失業率は、いわゆるバブル期にあたる1990(平成2)年を除き、上昇傾向にありましたが、2015(平成27)年には男女ともに大きく低下しています(図4)。また、有効求人倍率も1990年代〜2000年代初め頃には仕事を探している人1人に対して求人が1件に満たない状況で、全国と比べても低くなっていましたが、その後全国を上回る勢いで上昇し、リーマンショック後に一時期減少したものの、2010(平成22)年に増加に転じた以降は上昇が続き、2017(平成29)年には1.39となっています。 ●働く場としての横浜 ■通勤や通学による市外への流出が多い 横浜市に住んでいる人(夜間人口)と、通勤や通学によって流入・流出した人を差し引いた人口(昼間人口)との比率(昼夜間人口比率)は91.7と100を下回っており、通勤・通学で市外に流出している人数が、市外から横浜市に通勤・通学している人数を上回っている状況にあります。横浜市内で働いている人の居住地を見ると、72.6%は市内居住者で、市外居住者は最も多い川崎市でも5.1%、東京都区部が3.8%です。 東京都区部や大阪市などでは昼夜間人口比率が100を超えています。横浜市は相模原市、川崎市に次いで低くなっていますが、近年は上昇傾向にあります。 区別に見ると、西区(186.0)、中区(161.2)、神奈川区(100.1)では100を超えており、これらの地域は市内でも仕事などで人が集まってくる地域だと言えます。 ■外国人市民の労働力は市全体の1.5% 外国人市民の増加に伴い、外国人の就業者数も増えています。2015(平成27)年には横浜市の労働力人口のうち外国人が1.5%を占め(全国:1.4%)、2005(平成17)年から1700人増加し2万6千人を超えています。このうち、収入を伴う仕事を少しでもした就業者は2万5327人で、国籍別に見ると中国は2005(平成17)年に比べ約2600人増加し9663人で最も多く、市内の外国人就業者の38.2%を占めています(図5)。次に多かった韓国、朝鮮は約600人減少し4949人でした。また産業別に見ると、男性は「製造業」(14.4%)「宿泊業、飲食サービス業」(10.7%)「情報通信業」(10.2%)「建設業」(10.0%)の順で、女性は「宿泊業、飲食サービス業」(15.1%)、「製造業」(14.0%)、「卸売業・小売業」(13.3%)「医療、福祉」(7.1%)となっています。 ●市民の家計と消費 ■可処分所得の8割以上が消費 過去10年間の世帯の家計の状況を見ると、税金などを除いた可処分所得は2008(平成20)年には、1世帯当たり年平均で月52万円ほどでしたが、2015(平成27)年には約40万円にまで減少したのち、最近2年は増加しています。また、消費支出は平均して34万円程度で推移していますが、2017(平成29)年は過去10年の中では最も多く36万円を超えています。消費支出の可処分所得に占める割合は、2017(平成29)年は約84%で、増加の傾向が見られます(図6)。 ■買い物先は日用品や洋服等は8〜9割が市内 市民が食料や日用品を買う場所は、「住まいの周辺」(約64%)、「横浜市内」(約33%)と合わせるとほぼ市内で充足しています。(平成30年度横浜市民意識調査)。 また、平成27年度消費者購買行動意識調査(横浜市経済局)によると、住まいの近くに商店街が「ある」と答えた割合は約49%で、ほぼ半数が近隣で何かしら買い物ができる環境にあると考えられます。また、品目別に購入先を見ると、生鮮食料品はスーパー、医薬品・化粧品はドラッグストア、家電製品は大型量販店が多く、米、飲料・酒類などの食料品や衣料品では、インターネットなど通信販売で購入する人が1割を超えています。