活動別に見る 活動と生活満足度、やりがい 【仕事】 活動調査によるとパートやアルバイトを含め収入を得るために仕事をしている人は3人に2人で、うち正社員・正規職員が約半数(48.0%)、アルバイト・パートが26.3%、自営・会社役員が1割強となっています。週5〜6日・一日当たり7〜9時間仕事をしている人が働いている人全体の約35%を占めています。一日当たり3時間未満や週1〜2回以下という働き方の人がいる一方で、「毎日/ほぼ毎日」・1日当たり7時間を超える人も1割弱います(図1)。 ■「自由に過ごせる時間」への不満が高い 現在の仕事に『満足』している人は約6割ですが、労働時間が短いほど満足度が高くなる傾向にあり、一日の労働時間が「3時間未満」では8割近くに上ります。また、仕事をする目的を「人の役に立つため」、「自分の才能や能力を発揮するため」と回答した人の満足度も8割近くと高くなっています。一方、現在の仕事に『不満』がある人は24.6%で、その主な理由は「収入」(61.0%)、「労働時間・労働日数」(34.5%)、「職場の人間関係」(30.7%)、「やりがいが感じられない」(28.0%)などが上位に挙げられています。また一日の労働時間が「9時間以上」の人や仕事の目的を「お金を得るため」としたの人では満足度が低くなっています(図2)。 ■仕事が「生きがい、やりがい」は約半数。家族や趣味も大事 仕事をしている人の「自由に過ごせる時間」に対する満足度は、していない人に比べ約20ポイント低く、不満の割合も倍以上です。 時間の余裕の有無についても「余裕がある」人は仕事をしていない人では約69%ですが、仕事している人では約35%と大きな開きがあります。 項目別の満足度では、「健康」のみ、仕事している人の方が満足度が高く、不満が少なくなっています。「隣近所とのつき合い」は、仕事をしていることでつき合い自体が薄くなってしまうのか、「どちらともいえない」が半数を超えています(図3)。 仕事に関する価値観では、仕事をしている人は、「いくつになっても元気なうちは働くべきだ」に『そう思う』と回答した人が7割近くに上り、していない人に比べて仕事に対してより意義を感じている一方で、「仕事以外のことを大事に」「家族を多少犠牲にしても仕方がない」では家族など仕事以外のことを大事にする傾向がより強く表れています。また、仕事と家庭の両立よりも一方に専念するほうがよいかという問いでも『そう思わない』とする割合が55.3%に上り、仕事している人のほうが仕事と家庭の両立をより肯定的に捉えています(図4)。 仕事をしている人にとっての生きがい、やりがいは「仕事」が最も多く、男性56.0%、女性50.1%でした。そのほかには、「趣味」(男性47.2%、女性34.2%)「家族との時間・団らん」(男性42.1%、女性39.4%)が上位に選ばれ、また、女性は「友人等とのとつき合い」も3割を超えています(図5)。仕事に関する価値観と同様に、仕事を大切にしながら、家庭や趣味など仕事以外のことも大事にして充実感を得ていることがうかがええます。 ■仕事を続ける意向の人が95% 今後も現在の仕事を「今のまま続けたい」という人が約54%と半数を超え、「充実させたい、時間を増やしたい」という人も約14%います。負担や時間を減らしたい人や転職したい人も併せると、今後も仕事を続ける意向のある人が94.4%と大多数を占めています(図6)。 負担や時間を減らしたい理由は、「健康上の理由」(28.0%)「収入面で満足できない」(26.3%)が多く、「家事又は子の育児・孫の世話」も24.2%でした。転職意向のある人では「収入面」(53.1%)、「やりがいが感じられない」(34.3%)という理由が多くありました。 一方、「仕事はもうしない」という人は約5%で、その理由は「仕事をしたくないから」(38.1%)、「健康上の理由」(28.6%)、「定年・雇用期限」(20.6%)の3つで約9割を占めています。 【家事・育児・介護】 活動調査によると、家事、育児、介護等をしている人はそれぞれ81.5%、29.7%、10.8%ですが、活動の頻度と時間を男女別に見てみると、家事は男性が「毎日」と「時々している」がほぼ半数、活動時間も「30分未満」が3割、「30分〜2時間未満」が6割である一方、女性は9割が「毎日」家事を行っており、「4時間以上」の人も2割を超えています。育児は女性の4割が「4時間以上」と回答しています。介護では、その頻度に性差はみられませんが、行っている時間では女性の方が長時間携わる人の割合が高くなっています(図1)。 ■家事等は分担して、仕事と両立したい 家事や育児、介護等をしている人は、していない人に比べて、「仕事と家庭の両立よりもどちらかに専念したほうがよい」という考えに『思わない』人が多くなっています。また、「家事や育児は夫と妻で分担すべき」と考える人も、家事等をしていない人よりも15ポイントも高く(図2)、実際に家事や育児などをしている人の実感が、家事等の分担と仕事との両立などの考え方に反映しているのかもしれません。 家族等との分担については、家事は「配偶者」と分担している人が46%と最も多く、「子」「親」という人も1割弱いました。子の育児・孫の世話は7割近くが「配偶者」、1割強が「子」ですが、介護・看護では「配偶者」よりも「きょうだい」と分担することが多くなっています(図3)。 また、誰とも分担せずに一人で行っている人は、家事が34.6%、介護・看護が25.1%で、子の育児・孫の世話(15.4%)に比べて、一人が担う傾向が比較的高いようです。 ■分担により家事などへの不満が軽減 家事や育児、介護などを誰かと分担しているかによっても活動に対する満足度に違いが見られます。 家事を分担せず一人で行っている人では、家事に対して「満足」が約51%、「不満」が約23%ですが、誰かと分担している人では「満足」は約62%に増え、「不満」は約16%となっています。育児でも分担している人の方が満足度が67%と高く、不満の割合も分担していない人に比べ半分程度です。介護・看護は、いずれも不満の割合が高くなっているものの、分担していない人に比べると分担している人の不満の割合が低く、誰かと分担することで、家事などへの不満が軽減されているようです(図4)。 家事などの活動に対して不満だと回答した人の理由を見ると、家事、育児、介護のいずれも最も多い理由は「やらなければいけないことが多い」で、特に家事では66.6%に上ります。そのほか、家事への不満では「自分の自由な時間が無くなる」(39.2%)「周囲の協力がない、十分でない」(36.5%)が多くありました。育児では「自分の自由な時間が無くなる」(23.1%)よりも「周囲の協力がない、十分でない」(30.8%)を挙げる人が多く、介護では「自分の自由な時間が無くなる」(41.8%)に次いで「責任が重い」(27.3%)が多くなっています(図5)。 ■子の育児・孫の世話はもっと充実させたい それぞれの活動に満足している人と不満のある人に分けて、今後のその活動への意向を見てみると、家事と介護では、満足している人は「今のまま行っていきたい」が8割近くで、不満のある人は「負担や時間を減らしたい」が7割前後となっています。一方、育児では、満足している人で「今のまま行っていきたい」が7割を超えていますが、「もっと充実させたい」も約2割となっています(図6)。また、不満のある人でも「負担や時間を減らしたい」は約3割と、家事や介護に比べて少なく、「もっと充実させたい」が5割を超えており、特に育児に対する不満は、もっと充実し、時間を育児に使いたいという思いから来ているのかもしれません。 【地域活動・ボランティア活動】 活動調査によると、地域活動やボランティア活動などの社会的な活動をしている人は全体のおよそ2割で、具体的な活動内容は「自治会、町内会」(47.2%)が最も多く、「祭りや盆踊り、運動会などの地域のイベント」(17.7%)や「PTA活動や学校行事での手伝い、ボランティア」(15.9%)続いています。 活動の頻度は月に1〜3回程度の人が45.9%で、ほぼ毎日や週に1〜3回程度など、毎週何かしらの活動をしている人も28.6%いました。 始めたきっかけは、「自治会、町内会」の活動は「自治会、町内会の誘い」(45%)や「地域等の当番」(44%)が半数弱、また、「祭りなどの地域のイベント」についても「自治会、町内会の誘い」が58%となっており、これらの活動は地域の関係がきっかけとなることが多いようです(図1)。 自分から進んで始めた人が多い活動は「高齢者や障がい者への支援や交流」(66%)、「スポーツや健康づくり」(57%)などで、自身の関心事や生活に関連した活動が多くなっています。また、PTA活動は、「地域等の当番」(41%)という人と「自分から進んで」(44%)という人が同程度でした。 ■活動に満足している人は60% 現在の活動に満足している人はおよそ6割、不満のある人は12%程度ですが、不満の理由は「活動時間が長い」が最も多く、ほかにも「収入にならない」「他の参加者との人間関係」が多く挙げられています。 活動内容別にみると、満足している人が多いのは「スポーツや健康づくり」(85.0%)、「高齢者や障がい者への支援や交流」(77.4%)で、始めたきっかけが「自分から進んで」が多い活動の満足度が高くなっています(図2)。 ■友人・知人や隣近所との付き合いに満足 生活全体に対して満足している人は地域活動等をしている人は約74%で、していない人より10ポイント高くなっています。 また、項目別の満足度を見ても、地域活動等をしている人は全ての項目でしていない人に比べ満足度が高くなっています。特に「友人・知人とのつき合い」や「隣近所とのつき合い」に関する満足度で大きな差が見られます(図3)。 ■活動している人は地域に愛着や誇りを感じ、社会や地域への関わりに積極的 現在地域活動等を行っている人、現在は行っていないが今後する予定や希望がある人、そして今後も予定や希望のない人の3つに分けて見てみると(図4)、現在活動している人は、地域に愛着や誇りを感じている人の割合が高く、地域の役割を担うことや困っている人への声かけなど、社会や地域に関わる気持ちにより積極的な傾向が見られます。また、人づきあいでも、いろいろな人と広く交流したり、人と協力して何かを行うことを好む人の割合が高くなっています。 一方、今後も活動の予定や希望のない人では、社会や地域、人との関わりに対する気持ちはあまり強くなく、自分一人や気の合う人と一緒に行動しながら自らの生活を大事にする傾向が見られます。また、現在活動していないが今後活動する予定や希望がある人たちは、何かするときは一人ですることの方を好み、また、努力が報われない社会だと感じている点では、活動の予定や希望のない人とあまり差がありませんでしたが、社会への参加意識や地域への愛着については、現在活動している人に近い傾向が見られ、何らかの形で積極的に社会の役に立ちたいという気持ちは、むしろ現在活動している人より高くなっています。活動を始めるにあたっては「活動に関する情報や相談の窓口」(55.8%)、「活動についての知識・技術」(54.6%)が必要なこととして挙げられ、関連する情報につながることで新たな活動が広がる可能性がありそうです。 ■今後も「今のまま続けたい」が6割 地域活動等を現在行っている人のうち、生きがい、やりがいを感じていることとして「地域活動やボランティア活動」を挙げた人は3割程度で、満足度に比べて低めでした。 一方で、地域活動等に対する今後の意向については、今のまま続けていきたいという人が61.1%で、今より充実させたいという人も13.6%で4人に3人は活動に前向きな意向を持っています(図5)。 【趣味】 活動調査では、趣味を持つ人は全体の64.1%でしたが、そのうちその成果や作品を広く発表、発信している人は36.4%でした。発表方法は大会などの場への参加が43.7%、自分たちで場を設けて発表している人が26.8%、インターネットやSNSを使った発信が32.6%でした。年代別に発表方法を見ると、年代が上がるほどインターネットの利用が減り、発表会などの場が増え、70代以上では「発表会等のみ」が8割を超えています。一方30歳未満では「インターネット・SNSのみ」が6割で、発表会等でも発表している人を併せると約77%がインターネットを利用しています。ただし、30歳未満でも「発表会等」は36.1%で極端に少ない訳ではなく、発表会等とインターネットの両方を利用している割合が高くなっています(図1)。 また、趣味を持つ人は持たない人に比べ、生活満足度が高く、特に自由に過ごせる時間や友人・知人とのつき合いに関して差が見られます。さらに、生活全体の満足度の『満足』から『不満』を引いた差を年齢別に見てみると、趣味を持つ人は、仕事をする人の割合が少なくなり始める60代以降で『満足』と『不満』の差が大きくなっています(図2)。 ■生活満足度は全般的に高い 趣味を持つ人では、生活を豊かにするためには趣味が必要だと思う人が9割を超えています。「仕事以外を大事に」や「気の合った人と深くつき合う」「家事や育児、介護も仕事と同じくらい大変」では、趣味を持たない人と価値観の差はあまり見られませんが、社会に役に立つことをしたいなどでは違いが見られ、趣味を持つ人のほうが社会への意識が強く表れているようです。