年代別に見る 働き・子育て世代の家庭と「活躍」A 50-64歳 50〜64歳の人は、横浜市の人口の18.4%を占めています。仕事や子育てを終える人又は終了に近づく人が多くなりますが、親の介護に従事する人が増えてくる世代でもあります。 ◆ 仕事 仕事をしている人の割合は30代・40代からやや低下し、男性が95.0%、女性が72.1%となっています。年齢階層別に見ると、50〜54歳が85.7%、55〜59歳が87.4%、60〜64歳が69.8%と、その割合は60〜64歳で低下をしています。また、60〜64歳で仕事をしている人について仕事の頻度を見ると、週5日以上が66.7%、週3〜4日が21.6%となっており、雇用区分では、アルバイト・パートが28.8%を占めています。 ◆ 家事 家事をしている人は、男性が69.7%、女性が98.1%となっています。30代・40代と比較して女性にはあまり変化はありませんが、男性は6.3ポイント減少しています。 ◆ 子の育児 子の育児又は孫の世話をしている人の割合は、男性が18.5%、女性が25.7%と、30代・40代と比べてやや低下しています。なお、回答した人のうち未就学の子どものいる人はごくわずかであるため、多くは「孫の世話」をしていると考えられます。その頻度は、「ほぼ毎日」が48.8%、「時々」が40.8%となっています。 ◆ 家族の介護・看護 男性の14.3%、女性の23.2%が家族の介護・看護をしています。この割合は30代・40代と比較すると、男性では約2倍、女性では約4倍に当たります。介護・看護の対象は、家族の中でも本人又は配偶者の親が多いと考えられます。介護の頻度は、「ほぼ毎日」が26.9%、「時々」が70.4%、また、介護・看護の協力については、配偶者やきょうだいなどと分担をして行っている人が74.1%、分担をせずに一人で行っている人が22.2%となっています。 ◆ 地域活動等の社会的な活動 社会的な活動をしている人の割合は、男性が18.5%、女性が24.8%となっています。30代・40代と比較して、仕事と社会的な活動の両方をしている人、家庭のことと社会的な活動の両方をしている人の増加が見られます。 ◆ 趣味の発表・発信 趣味の活動をしている人(趣味のある人)の割合は、30代・40代から全体としては増加し、男性が68.1%、女性が60.2%となっています。また、成果や作品等を発表又は発信している趣味のある人の割合は、男性が16.0%、女性が18.8%となっています。発表や発信の方法では「発表の場や大会への参加により発表している」が42.9%、「自分又は仲間と一緒に発表の場や大会を設けて、発表している」が35.7%で、若い世代で多かった「インターネット・SNSにより発信している趣味がある」は33.7%と低下し、若者世代や30代・40代との違いが見られます。 (1) 今後の活動の意向 ■何歳くらいまで仕事を続けたいか? 50〜64歳の世代は老後をどのようなものにしていこうか考え始める時期とも思われますが、まず仕事については、どのような意向を持っているのでしょうか。 横浜市高齢者実態調査によると、「何歳まで働き続けたいか」について、55〜64歳の人の回答で最も多かったのは「65歳まで」の39.0%で約4割を占め、以下、「働き続けられるうちはいつまでも」が22.1%、「70歳まで」が19.6%となっています(図1)。 また、この世代が働く上で重視していることは、「体力的に無理なく続けられる仕事であること」が57.6%、「自分の能力を発揮できること」が52.2%で、5割を超えています。 ■社会的な活動に関する意向 活動調査から、現在行っていないことで今後新たに行う予定がある、あるいは今後行うことを希望している活動に着目すると、この世代では、「地域活動・ボランティア活動などの社会的な活動」を挙げる人の割合が30代・40代に比べて特に高くなっています。実際に活動を行っている人の割合も30代・40代の17.6%から22.0%へと4ポイント以上高くなっています。また、今後の活動として社会的な活動を挙げた人は、30代・40代では16.6%のところ、この世代では26.1%と10ポイント近く高くなっています(図2)。おおむね4人に1人が社会的な活動を今後の新たな活動の一つとして考えていることになり、自らの今後の生活について考え始めていることがうかがえます。 (2) 親の介護と向き合う世代 84ページで紹介したとおり、活動調査の結果によると、この世代で家族の介護・看護を行っている人の割合は、男性が14.3%、女性が23.2%となっています。もちろん高齢になっても健康状況等は人によってまちまちですが、この世代は、年齢的には親の介護に従事する機会が増える世代となっています。 横浜市高齢者実態調査によると、主に介護をしている人は、要支援者への介護については「子」が22.2%、配偶者が18.8%となっており、介護をしている人の年齢別では「50歳代」が22.3%と最も多くなっています。また、要介護者への介護では「子」が34.0%、「配偶者」が35.2%となっており(図3)、介護をしている人の年齢別ではやはり「50歳代」が19.9%で最も多くなっています(図4)。この世代の約2割が家族の介護・看護に従事しており、この年代の活動の特徴の一つとなっています。 なお、活動調査の結果では、介護・看護を行っている人のうち6割近くの人が、介護・看護を「今のまま行っていきたい」又は「もっと充実させたい、又はもっと時間を増やしたい」としています。 (3) 生活満足度の変化 ■仕事についての満足度 84ページで紹介したように、この世代では、男性の95.0%、女性の72.1%が仕事をしていますが、現在の仕事にある程度満足している人は48.8%で、30代・40代の45.0%よりも高く、不満のある人は30代・40代の24.3%より低い19.7%となっています(図5)。 仕事についての満足度については、横浜市民意識調査の結果においても同様の傾向にあり、現在の仕事に満足している人の割合は、30代・40代と比較して高くなっています。 なお、現在の仕事に不満のある人のその理由は、「収入」、「労働時間・労働日数」、「職場の人間関係」の順であり、30代・40代とは第2位と第3位の順位が入れ替わっていますが、上位3項目に変動はありません。 ■家事についての満足度 この世代で家事をしている人の割合は、男性が69.7%、女性が98.1%となっていますが、現在の家事の状況にある程度満足している人の割合は54.5%と、「仕事」と同様に30〜49歳と比べて高くなっています(図6)。 なお、家事を誰かと分担して行っている人と分担をせずに一人で行っている人について、家事の満足度を比較したところ、「まあ満足しているほう」を含めて満足している割合は、分担して行っている人が65.6%、分担せずに一人で行っている人が40.5%と、大きな差が見られました。 ■時間の余裕と心配ごと この世代で比較的時間に余裕があると感じている人の割合は43.0%で、30代・40代の29.5%からかなり高くなっています。余裕がないと感じている人の割合も40.4%で、30代・40代の55.8%よりも少なくなっていますが、約4割の人が時間の余裕のなさを感じています。 また、心配ごとや困りごとについては、他の年代と同じように、「自分の病気や健康、老後のこと」、「家族の病気や健康、生活上の問題」が圧倒的に多くなっています。「心配ごとや困っていることはない」は8.0%で、30〜49歳の6.4%に比べてわずかに高くなっていますが、大きな差は見られません。 (4) 「充実の世代」 ■生きがい、やりがいの変化 この世代の生きがい、やりがいは、仕事が46.1%、家族との時間・団らんが41.6%、趣味が39.8%と、30〜49歳に比べて、育児・教育、子の成長が大きく減り、趣味や友人等たちとのつき合いの割合が高くなっています(図7)。 時間に余裕がないと感じている30代・40代を過ぎ、自身の生活に潤いを与えるための時間の使い方に徐々にシフトしていこうとする意向が感じられます。 ■50〜64歳は「充実の世代」か? 仕事や家事の満足度や時間の余裕、そしていきがい、やりがいなどを見てきましたが、30代・40代に比べて時間の余裕が少しずつ感じられるようになり、現状の仕事や家事に満足と感じている人も増えています。また、活動調査の結果によると、生活全般の満足度(「満足しているほう」又は「まあ満足しているほう」)も、30代・40代に比べて、62.3%から64.6%へと上昇が見られ(図8)、年齢を重ねる中で生活意識や「満足」の感じ方も変化し、充実期を迎える人が比較的多い世代と言えるかもしれません。