年代別に見る 働き・子育て世代の家庭と「活躍」@ 30〜49歳 30〜49歳の人は、横浜市の人口の30.2%を占めています。育児や仕事をしている人の割合が最も高く、時間に余裕がないと感じている人が一番多い世代です。 ◆ 仕事 仕事をしている人の割合は、他の年代と比べて最も高く、男性が96.4%、女性が76.9%となっています。仕事の頻度は、男性の97.5%、女性の66.8%が週5日以上で、雇用区分を見ると、女性の38.1%はアルバイト・パートとなっています。アルバイト・パートの人の仕事の頻度は、週3〜4日が66.1%で最も多くなっています。 ◆ 家事 家事をしている人は、「時々する」人を含め、男性で76.0%、女性で96.3%となっており、若者世代と比較して各段に増加しています。この傾向は、配偶者の有無にかかわらず同様です。 ◆ 子の育児 男性の47.6%、女性の61.7%が子の育児(又は孫の世話)をしており、若者世代から大きく増加し、他の年代と比較しても突出しています。なお、この世代で子どものいる人の割合は、男性が61.2%、女性が68.4%でした。 ◆ 家族の介護・看護 男性の6.8%、女性の5.9%が家族の介護・看護を行っています。ほぼ毎日行っている人や、誰とも分担せずに一人で行っている人はごく少数にとどまっています。 ◇ 仕事も、家庭のこともしている人 仕事と家庭のこと(家事、育児、介護のいずれか一つ以上)の両方を行っている人の割合は、男性が79.2%、女性が75.0%と、他の年代と比べて大変高くなっています。また、時間に余裕がないと感じている人の割合は55.8%で、これも他の年代と比較して最も高くなっています。 ◆ 地域活動等の社会的な活動 町内会やPTAの活動、地域の清掃活動などの何らかの社会的な活動をしている人の割合は、男性が9.6%、女性が23.1%で、若者世代からかなり増加しています。参加している活動は、「自治会、町内会の活動」と「PTA活動や学校行事での手伝い、ボランティアなど」が主なものとなっています。 ◆ 趣味の発表・発信 趣味の活動をしている人(趣味のある人)の割合は、若者世代から低下し、男性が68.4%、女性が53.5%となっています。時間に余裕がないと感じている人の割合が高く、仕事や家事・育児を行っている人が多い中で、趣味のことをしている人の割合は低下しています。 これに伴って、その成果や作品等を発表又は発信している趣味のある人の割合は、これも若者世代から低下し、男性が15.2%、女性が17.6%にとどまっています。発表や発信の方法については若者世代と同様、インターネット・SNSを用いたものが最も多くなっています。 (1) 時間に余裕のない世代 ■活動時間から見る「忙しさ」 この30代・40代の世代は、仕事のことや、家事・育児など家庭のことがあり、多忙な世代と考えられますが、まず実際の活動の平均時間を統計調査から見ていきます。 社会生活基本調査の横浜市分の結果から、仕事、家事、育児、介護・看護、ボランティア活動・社会参加活動、趣味・娯楽の6項目について活動の平均時間を見ると、おおむね仕事は20代後半から40代まで、家事は40代以降、育児は20代後半から30代まで、介護・看護は50代以降、ボランティア活動・社会参加活動と趣味・娯楽は20代と60代以降で、活動の平均時間が長くなっています(図1‐1)。そして、6項目のうち活動の性質上、義務的な色彩の強い仕事、家事、育児、介護・看護の4項目について活動の平均時間を合計してみると、30代・40代が最もその合計時間が長いことが分かります(図1‐2)。忙しさの程度の差を活動の平均時間のみで計ることはできませんが、活動の平均時間からは、30代・40代は仕事と家庭のことで多忙な人が多い時期であると言うことはできそうです。 ■意識から見る「忙しさ」 活動調査において、時間に余裕があると感じているかどうか尋ねたところ、この世代で時間に余裕がないと感じている人は55.8%で、他と比較して、時間に余裕がない、忙しいと感じている人が多い世代であると言えます(図2)。 その要因として考えられる仕事と育児について見てみると、30代・40代の仕事をしている人で時間に余裕があると感じている人は25.9%、仕事をしていない人では48.5%、また、育児をしている人で時間に余裕があると感じている人は19.5%、育児をしていない人では42.0%となっており、仕事と育児の有無によって時間の余裕の感じ方に大きな差が生じています。 (2) 家族形成について、20代からどのような意識の変化が? ■「結婚したい」人の割合は20代から低下 結婚や子どもを持つことについては、若者世代からどのような意識の違いがあるのでしょうか。 まず、横浜市民意識調査の結果ですが、「必ずしも結婚する必要はない」との考え方については、48.1%の人が『そう思う』とし、若者世代(51.7%)よりも割合は低くなっています。一方、「子どもはなるべくたくさん産み育てる方がよい」については、『そう思わない』の割合の方が高いものの、『そう思う』の割合は20代より高くなっています。 内閣府の結婚・家族形成に関する意識調査の結果によると、結婚の意向については、30代の未婚者のうち男性の65.8%、女性の71.7%が「結婚したい」と回答していますが、20代と比較するとそれぞれ10ポイント以上その割合は下がっています(図3)。また、「結婚するつもりはない」と回答した人は、男性では20代の5.9%から12.6%に、女性では4.9%から7.2%に増加しています。結婚したい理由は、30代では男女ともに「子供がほしい」が最も多くなっています。 ■子どもが欲しくない理由は? 結婚・家族形成に関する意識調査によると、希望する子どもの人数を尋ねた結果では、30代の未婚者は男女共に1.8人、既婚者は男女ともに2.3人となっており、20代と比べ少なくなっています。また、子どもは欲しくないと回答した人は、未婚の男性で16.0%、女性で15.0%となっていますが、その理由は男女で違いが見られます(図4)。男性は、育児にかかる費用、将来の教育費など経済的な理由を挙げる人が20代と同様に多く、女性は、経済的な理由と共に、「子育てをする体力がない」、「仕事にさしさわりが出そう・仕事を続けるのが難しくなりそう」を挙げる人の割合が20代よりも高くなっています。 (3) 育児と仕事〜女性の理想の働き方とは? ■育児と働き方の希望 次に、育児をしている人が仕事についてどのような希望を持っているのか見ていきます。 22ページで紹介したとおり、未就学児の母親の仕事をしている割合やフルタイムで働いている割合は増加傾向にありますが、就労に関する希望は、主に、@パート・アルバイト等からフルタイムへの転換を希望する人、Aパート・アルバイト等の継続を希望する人、B今は仕事をしていないが、子どもの成長に合わせてパート・アルバイト等、又はフルタイムでの就労を希望する人、C就労はせずに子育てや家事に専念したいと考えている人に分かれています(図5)。 パート・アルバイト等で就労している人のうち、@フルタイムへの転換を希望する人は34.4%、Aパート・アルバイト等の継続を希望する人は51.2%、また、現在就労していない人のうち、B子どもの成長に合わせて又はすぐにでも就労を希望する人は合計で72.2%、C就労を希望しない人は19.0%で(図5)、Bのうちパート・アルバイト等を希望する人は68.5%、フルタイムを希望する人は20.5%となっています。なお、B子どもの成長に合わせて就労することを望んでいる人の就労の時期の希望は、一番下の子供が3歳から4歳と6歳から7歳で多くなっており、3歳頃と小学校入学が就労に関する変化のポイントと言えそうです(図6)。 子どもの年齢をはじめ家庭の状況が限りある時間の使い方などを考えながら、仕事と育児などとのバランスを考えていることがうかがえます。 ■共働き世帯の家事の実情 活動調査から、この世代の共働き世帯(パート・アルバイト等を含む)における家事の従事状況を見てみると、男性の79.8%が家事を行い、そのうち、「ほぼ毎日行う」人は46.2%で、「時々行う」人は52.7%となっています。一方、女性は全員が家事を行い、「ほぼ毎日行う」人が94.3%という結果になっており、男女で大きな差が見られています。 (4) 祖父母による子育ての支援をどう考えるか? 活動調査の結果からは、50歳以上の19.7%が孫の世話をしていると考えられ、その頻度は「ほぼ毎日」が37.4%、「時々」が62.6%となっています。また、孫の世話をしている人の66.9%は現在の孫の世話の状況に満足しており、うち86.5%の人が「今のまま」もしくは「もっと充実させたい、又はもっと時間を増やしたい」と考えています。 また、祖父母の子育てへの支援については、内閣府の家族と地域における子育てに関する意識調査で、「子供が小学校に入学するまでの間、祖父母が育児や家事を手助けすることが望ましい」ものであるか尋ねています。「望ましい」と考える人が、30代・40代では8割程度、50代以降では7割以上で、多くの人が祖父母の手助けを望ましいものと捉えています。 (5) 子育ての大変さと喜び ■子育ての困りごとのトップは「しかり方・しつけ」 未就学児の親を対象にした調査では、子育ての困りごとのトップは「子どものしかり方・しつけ」で56.7%の人が挙げており、以下、「子どもの食事」42.4%、「子どもとの過ごし方・遊び方」37.2%、「仕事との両立」35.0%、「経済的な不安」33.6%と続いています(図7)。一番回答の多かった「子どものしかり方・しつけ」については、子どもの年齢別では、3歳、2歳、4歳の順で多くなっています。 なお、子育ての困りごとを誰かに相談したことのある人は62.6%で、その相談相手の多くは「親やきょうだいなどの親族」、「友人や知人」となっています。 ■子育てをしていてよかったこと、うれしかったことは? 一方、子育てをしてよかったこと、うれしかったことは、「子どもの成長」が88.8%で最も多く、「子どもを持つ喜びが実感できたこと」、「自分の親への感謝の念が生まれたこと」、「子育てを通じて自分も成長できたこと」、「家庭が明るくなったこと」、「子育てを通じて友人が増えたこと」と続いています(図8)。これら上位の項目は5年前の調査においても同じであり、時代によって変わることのない普遍的なものなのかもしれません。