仕事 生産年齢人口(15〜64歳)の減少に伴い、横浜市の労働力人口は2005(平成17)年以降減少し、また、労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合)も1995(平成7)年をピークに減少(図1)、非正規雇用や共働き世帯の増加など、働く環境にも変化が見られています。 ●「卸売業、小売業」で働く市民が最も多いが、人数は2万9千人の減少 市民の仕事を産業別に見ると、最も多いのが「卸売業、小売業」で15.4%、次いで「製造業」(12.7%)、「医療、福祉」(10.7%)となっています。また、2010(平成22)年〜2015(平成27)年の5年間で「卸売業、小売業」が約2万9千人減少する一方、「医療、福祉」は2万人増加しています。男性は「製造業」の割合が16.7%で最も高く、女性は「医療、福祉」(19.4%)がトップとなっています。全国と比べると、「製造業」の割合が低く「情報通信業」の割合が高くなっています。 ●働く市民の6割は市内で従業 市民が働いている場所は、自宅を含む居住区内が31.6%で最も多く、市内の他区(28.4%)を含め約6割が市内で仕事をしています。一方、東京都区部に通勤しているのは4人に1人(24.9%)です。区別にみると、自分の居住区内の割合が最も高いのは中区(約45%)で、市内他区の割合は南区(約42%)、磯子区(約42%)で高く4割を超えています。市北部に位置する青葉区、鶴見区、港北区では、市外に通勤している割合が高い反面、市内他区の割合が低くなっています。また、東京都区部などに乗り入れる路線の鉄道駅周辺で市外への通勤者が多く見られます(図2)。 性別では、男性は居住区内の割合が24.2%、市外への通勤者が48.3%であるのに対し、女性は居住区内が41.6%、市外通勤者は28.8%と逆転しています。 ●雇用者の3人に1人が非正規雇用 働いている市民の8割以上が会社などに雇用されている人で、そのうち約34%がパートやアルバイトなどの非正規雇用となっています。非正規雇用の割合を性・年齢別に見てみると、男性は35〜59歳までは10%以下であるの対し、60歳を超えると急激に非正規雇用が増えています。女性は全体で約56%、20代後半以降は年齢が上がるごとに増加し、ほぼ全ての年齢層で男性を上回り、65〜69歳では約83%となっています。 非正規雇用で働いている主な理由は「都合の良い時間に働きたい」が33.6%で最も多く、次いで「家計の補助」となっています。全国と比較すると、主な理由の順位に違いはありませんが、「都合の良い時間に働きたい」や「通勤時間が短い」といった時間に関する項目で全国より割合が高く、特に「都合の良い時間」は、全国よりも5.8ポイント高くなっています。一方、「正規の職員・従業員の仕事がないから」は11.7%で1割程度でした。 ●働く女性の増加、共働き世帯が4割に 労働力の約6割を占める男性の労働力人口が減少している一方で、女性は実数、率ともに増加傾向にあります。さらに、女性の労働力率を年齢別にみると、全年齢層で労働力率が上昇していますが、特に、結婚や出産、育児などの時期と重なることの多い20代後半から30代前半での上昇が大きく、30〜34歳では1985(昭和60)年の約35%から2015(平成27)年には約74%になっています(図3)。 横浜市は、かつては夫が働き妻は就労していない専業主婦≠フ世帯の割合が高く、1995(平成7)年には49.5%とほぼ半数を占めていました(全国は39.7%)(図4)。現在ではその割合は3割弱までに大きく減少し、全国(30.5%)と同水準となっています。共働き世帯の割合は40.5%で過去に比べ増加していますが、それでも全国(47.6%)よりは低くなっています。一方、夫婦のいずれも働いていない世帯は2割弱で、1995(平成7)年と比べてほぼ倍増しています。 ●育児をしている人の75%、介護をしている人の52%が仕事もしている 未就学の子の育児をしている人のうち普段仕事をしている人の割合は74.6%で、全国(79.2%)よりも低くなっていますが、2012年調査(65.7%)と比べると約9ポイント上昇しています。特に女性では、40.4%から56.0%へと大きく増加しました。そのうち、育児休業や短時間勤務、子の看護休暇等の制度を過去1年に利用した人は18.0%(全国15.8%)で、男性7.8%(同5.7%)、女性31.6%(同27.8%)とで差がみられます。 一方、介護をしている人のうち仕事をしている人は51.5%(全国55.2%)、介護休業等の制度を過去1年に利用した人は9.1%(全国7.5%)で、男性8.6%(同7.4%)、女性9.6%(同7.6%)と育児制度の利用率に比べ差は大きくありませんでした。 また、市内事業所における制度の実施状況は、育児休業制度がある事業所は約57%、介護休業制度は約46%で、いずれも今後実施予定を合わせると7割以上の事業所で対応が進められています。就労時間に関する制度では、短時間勤務が約40%、フレックスタイムが約17%の事業所で実施され、テレワークなどの在宅で仕事ができる制度を実施しているのは約6%でした。 ●「仕事は収入のためで、仕事以外の自分の生活を大切にする」と思う人は6割 横浜市民意識調査によれば、自分の「仕事・学業」に満足している人は44.2%で、不満(13.3%)を上回っています(平成30年度)。 一方、「仕事は収入のためで、仕事以外の自分の生活を大切にする」と思う人が6割を超えています。2000(平成12)年と2017(平成29)年における変化をみると、「いくつになっても元気なうちは働くべき」、「いったん職業についたら、その仕事を一生続けた方がよい」、「仕事のため、家族を犠牲にしても仕方がない」と思う人の割合が減少しています(図5)。 ●離職理由の1位は「労働条件」 過去1年間に前職を離職した理由で最も多いのは、「労働条件が悪かったため」(16.8%)で、全国(13.4%)と比べても割合が高くなっています。「出産・育児のため」(4.3%)も全国(3.9%)より高めで、特に女性では7.5%(全国6.9%)でした。さらに年齢別にみると、女性25〜34歳では15.0%(同17.5%)、同35〜44歳では14.2%(同9.3%)となっています。「介護・看護のため」の離職は、全国(1.8%)よりも低く0.2%でした。 ●通勤時間は全国平均よりも約30分長い 1日の時間の配分を行動の内容別に調べた平成28年社会生活基本調査(総務省)を見ると、通勤・通学にかかる平均時間は106分で、全国と比べると29分長く、性別に見ても、男性は35分、女性は17分長くなっています。また、仕事をしている時間も全国より16分長くなっています。