子育て・教育 横浜市の0?14歳までの年少人口は、1979(昭和54)年の約67万人をピークに減少に転じ、その後、2001(平成13)年から2010(平成24)年まで増減を繰り返しましたが、その後は再び減少を続け、現在はピーク時の3分の2に当たる約45万人となっています。また、15歳未満の子どものいる世帯の割合も、平成27年国勢調査の結果によると約18%で、10年前から3ポイント近く減少しています。 このような少子化が進む中、子育てや教育の状況にも変化が見られます。ここでは、そのいくつかを紹介していきます。 就学前 ●就労している母親の割合は大幅に増加 まず、小学校就学前の状況について見ていきます。 2018(平成30)年度に保護者を対象として実施した調査によれば、未就学児の親の就労状況は、父親については「フルタイムで就労」が95.1%、「パート・アルバイト等」が0・9%で、96.0%が就労しています。一方、母親は、「フルタイムで就労」が42.2%、「パート・アルバイト等」が16.2%で、58.4%が就労しており、5年前の調査と比較して、フルタイムによる就労が29.9%から大幅に増加しています(図1)。 共働きでない世帯(専業主婦(夫)のいる世帯)が39.7%であるのに対して、父親と母親の両方がフルタイムで働いている世帯は40.0%、パート・アルバイト等を含めると共働き世帯は55.4%で、両親ともに仕事をしながら子育てをしている世帯はますます増えています。 ●増え続ける保育所の利用 こうした親の就労状況の変化を受け、未就学児のいる世帯のうち、保育等の日中のサービスを定期的に利用している世帯の割合は70.1%と、平成25年度調査の62.8%から7ポイント余り増加しています。 利用しているサービスは、「認可保育所・公立保育所」と「幼稚園」が中心で、子の年齢別では、0〜2歳では「認可保育所・公立保育所」、4〜5歳では「幼稚園」の利用が最も多くなっていますが、平成25年度調査と比較すると、「幼稚園」の利用は45.0%から32.5%へと12.5ポイント減少しています。「認可保育所・公立保育所」の利用は41.2%から50.4%へと9.2ポイント増加しており、全体としては、「認可保育所・公立保育所」の利用の増加が目立っています(図2)。 保育所の在籍児童数は2015(平成27)年に幼稚園の在籍児童数を上回り、その後も増加が続いています。また、保育所の施設数も増えています(図3)。 なお、利用ニーズの急増から、保育所の待機児童の問題が近年課題となっています。横浜市では、2010(平成22)年4月に待機児童数が1552人となり、その後、待機状況を改善するための様々な取組を実施し、2013(平成25)年4月に待機児童0人を達成しましたが、2014(平成26)年度以降は2〜20人の間で推移し、2018(平成30)年4月1日時点では、育児休業中で復職の意思を確認できたケースを含めて待機児童数は63人となっています。 ●保育等のサービスを利用していない理由 保育等の日中のサービス利用が増える中、それらを利用していない世帯の割合は29.7%で、平成25年度調査の36.4%から6ポイント以上減少しています。サービスを利用していない理由は、「子どもがまだ小さいため」が39.5%で最も多く、フルタイムの共働き世帯の人の54.7%がそのように回答しています。 なお、「子どもがまだ小さいため」を選択した人が保育等の日中のサービスを利用しようと考える子の年齢は、「3歳」が36.8%で最も多く、「1歳」が31.7%となっています。 就学以降 ●増え続ける外国人児童生徒 続いて、就学以降の状況を見ていきます。 市内の小・中学校の児童生徒数は現在約28万人で、未就学児と同様に減少傾向にありますが、そうした中、外国人児童生徒数は年々増加しており、2016(平成28)年には全体の児童生徒数の1%を超えました。 外国人児童生徒数が占める割合は、区別では南区が4.5%で最も多く、続いて中区(4.2%)、鶴見区(2.5%)、西区(2.1%)の順となっています。 また、市立小・中学校では、外国人児童生徒の増加に伴い、日本語指導が必要な児童生徒が2千人以上に上っています(図4)。日本語指導とともに、何らかの支援を必要としている児童生徒も少なくないと考えられます。 ●義務教育学校の新設、学校の統廃合の状況 学校数は、小・中学校、高等学校や特別支援学校等を含めて、2018(平成30)年5月現在で651校です(図5)。学校教育法の改正により新たに設置された、小中一貫教育を行う9年制の「義務教育学校」は、市内においても、2016(平成28 )年4月に霧が丘義務教育学校が、2017(平成29)年4月には西金沢義務教育学校が開校となりました。 学校の統合や児童生徒数の増加・減少などによる学校の新設・廃止により、2013(平成25)年3月31日から2018(平成30)年4月1日までの5年間で、小学校の数は5校の減、中学校は3校の減となっています。 ●大学進学率はここ数年は横ばい 中学校・高等学校の卒業後の進路状況を見ると、2017(平成29)年に中学校を卒業した99.2%が高等学校等に進学しており、10年前と比べて1.2ポイントの増となっています。また、高等学校の卒業生については、64.4%が大学等へ進学し、6.3%が就職をしています。大学等への進学率は、20年前と比較すると40.9%から64.4%へと大幅な増となっていますが、ここ数年は63%から65%程度で推移しています(図6)。全国平均は54.8%となっており、大学進学率は、大都市で高い傾向にあります。 ●子育てで感じる困りごと 最後に、小学生の保護者を対象に実施した調査結果から、「子育てをしていて感じる困りごと」について紹介します。 「困りごと」として最も多かった回答は、「子どものしかり方・しつけ」で45.7%の人が挙げています。以下、「子どもの教育・進学」が40.0%、「経済的な不安」が26.0%、「仕事との両立」が23.1%、「子どもの友人関係」が22.6%と続いています(図7)。 子の学年別では、学年が高くなるほど「子どもの教育・進学」、「思春期の問題」の割合が高くなり、反対に、「子育ての負担」、「仕事との両立」、「子どものしかり方・しつけ」などは、学年が低いほど回答の割合が高くなっています。 また、困りごとを誰かに相談したことのある人は54.7%で、相談先として「親やきょうだいなどの親族」、「友人や知人」を7割以上の人が挙げています。相談したことがない人は44.8%で、7割以上が「相談することのほどでもないと思うから」をその理由に挙げています。 なお、このような困りごとも感じつつ、8割近くの人が、子どもを育てている現在の生活に満足又はどちらかといえば満足と回答しています。