表紙 旧富岡倉庫地区跡地利用基本計画(改定版) 令和7(2025)年10月 横浜市 目次 1 計画策定・改定の背景 (1)背景・目的 01 (2)土地の概況 01 (3)改定前の跡地利用基本計画(平成23年7月策定) 03 (4)改定の経緯 05 (5)上位計画 06 (6)地区の課題 13 (7)サウンディング型市場調査の結果概要 14 2 計画の方向性 (1)跡地利用のテーマ 15 (2)野積場の跡地利用のコンセプト 15 (3)物揚場の跡地利用のコンセプト 16 3 土地利用計画 (1)本地区の土地利用の方向性 17 (2)隣接地を含めた土地利用の方向性 19 (3)計画図 20 (4)跡地利用の具体化に向けた進め方 21 参考資料 (1)令和4年度サウンディング型市場調査結果 22 (2)令和5年度サウンディング型市場調査結果 24 (3)統計情報 26 (4)市民意見募集の結果概要及び市の考え方 31 (5)金沢区米軍施設建設・返還跡地利用対策協議会 委員意見及び市の考え方 56 1 計画策定・改定の背景 (1)背景・目的 旧富岡倉庫地区は、昭和20年まで旧日本軍の飛行艇基地として使用されてきましたが、同年9月に米陸軍第508通信修理隊施設として米軍に接収されました。 その後、昭和36年12月に富岡倉庫地区へ名称が変更となり、昭和46年1月の日米合同委員会において富岡倉庫地区の一部の返還が合意されたことで、同年2月に土地約31haが返還されました。返還部分については、昭和47年の国有財産地方審議会にて公務員宿舎(大蔵省、3.75ha)、機動隊訓練場(神奈川県警、5.65ha)及び公園・道路(横浜市、23.03ha)として利用されることが決定し、公園部分については昭和49年2月に富岡総合公園として使用を開始しました。 平成16年10月に開かれた日米合同委員会において、未返還部分の土地約2.9haの返還の方針が合意されたことで、平成21年5月に全域が返還され、現在は国有地となっています。 本市では、平成18年6月に米軍施設の跡地利用にかかる全体指針として「米軍施設返還跡地利用指針」を策定し、その中で旧富岡倉庫地区については「海と丘を結ぶ産業創造空間」をテーマとして、跡地利用の将来像を定めています。この指針に沿った計画として「横浜市米軍施設返還跡地利用行動計画」を策定しており、具体的な取組として「横浜市返還施設跡地利用プロジェクト」を打ち出し、跡地利用の検討を進めてきました。このプロジェクト等における検討経過を踏まえて、平成23年7月には「旧富岡倉庫地区跡地利用基本計画」を策定し、具体的な跡地利用の計画や、導入機能等の検討を進めること等を定めました。その後、平成26年12月に野積場の一部及び隣接市有地に横浜市衛生研究所が整備され、同衛生研究所の敷地内に下水道管理用通路が整備されました。 このたびは、旧富岡倉庫地区跡地利用基本計画策定後の社会・経済情勢の変化、上位計画の改定、土地利用検討に関する調査や野積場の残りの区域の跡地利用に対するサウンディング型市場調査の結果等を踏まえ、旧富岡倉庫地区の整備の実効性をより高めて具体化するため、跡地利用の基本計画を改定するものです。 (2)土地の概況 旧富岡倉庫地区は、金沢区の北部、根岸湾に面して位置し、首都高速道路湾岸線、国道357号及び金沢シーサイドラインを挟んで南北2つの区域に分かれ、北側に物揚場、南側に野積場が位置しています。野積場及び物揚場の間には、市有地が隣接しており、野積場の南側には旧国家公務員宿舎(富岡住宅)が位置しています。また、旧国家公務員宿舎の土地の一部には土砂災害特別警戒区域があります。 野積場から約1kmの範囲に首都高速道路湾岸線の杉田出入口があり、北は横浜都心部や東京方面へ、南は横浜横須賀道路と接続して横須賀方面へのアクセスが容易です。周辺一般道の国道357号、国道16号では交通渋滞が課題となっている箇所が存在します。また、金沢シーサイドラインの南部市場駅が野積場から北へ約80mに位置しており、南は金沢八景駅と結ばれ、北は起点駅である新杉田駅からJR京浜東北線・根岸線へ接続し、大船方面及び横浜及び東京方面へとアクセスすることが可能となっています。 本地区の近隣には、横浜市衛生研究所の他に高齢者福祉施設、保育園などの公共公益施設や、大規模な産業系施設が立地しています。地区の西側には、海へ向かって北台川が流れています。 ■物揚場 所在地 金沢区鳥浜町 所有者 国(財務省) 面積 4,832u 区域区分 市街化区域 都市計画の制限 工業地域(建蔽率:60%、容積率:200%)、第7種高度地区(建築物の最高高さ31m)、防火指定なし、臨港地区(工業港区) 隣接状況 北側:根岸湾、南側:市有地(港湾局)を隔てて、国道357号、金沢シーサイドライン、首都高速湾岸線、東側:南部市場、西側:根岸湾 ※最寄り駅:金沢シーサイドライン「南部市場駅」(約0.1km) ■野積場 所在地 金沢区富岡東二丁目 所有者 国(財務省) 面積 22,315.63u 区域区分 市街化区域 都市計画の制限 第一種住居地域(建蔽率:60%、容積率:200%)、第4種高度地区(建築物の最高高さ20m)、準防火地域、緑化地域 隣接状況 北側:市衛生研究所、介護老人福祉施設、保育園、南側:旧国家公務員宿舎(富岡住宅)を隔てて富岡総合公園、東側:市道杉田91号線(認定幅員22m)※国道357号接続部は幅員約12m、西側:北台川を隔てて、日本飛行機鰍フ敷地 ※最寄り駅:金沢シーサイドライン「南部市場駅」(約0.1km) ここに画像があります。 物揚場、野積場を示した位置図と航空写真です。 画像の説明は終わりです。 (3)改定前の跡地利用基本計画(平成23年7月策定) 1 趣旨 旧富岡倉庫地区は、平成21年5月に米国から日本国に返還されました。本市では、平成16年に返還合意された市内米軍施設6施設を対象に「米軍施設返還跡地利用指針(平成18年策定)」で跡地利用の将来像を定め、この指針に沿って「横浜市米軍施設返還跡地利用行動計画(平成19年策定、平成23年改定)」に掲げた具体的な取組として「横浜市返還跡地利用プロジェクト」において跡地利用の検討を進めてきたところです。 これまでのプロジェクト等における検討経過を踏まえて、旧富岡倉庫地区全体の跡地利用基本計画を次のとおり定めます。 2 決定事項 (1)物揚場及び隣接市有地(合計:約1.1ヘクタール)は、「港湾利用」とします。 なお、隣接する横浜市中央卸売市場再編・機能強化に係る南部市場の今後の動向を見据えながら検討を進めます。 (2)野積場の一部及び隣接市有地(合計:約0.4ヘクタール)は、「衛生研究所の再整備」を進めます。 (3)野積場の西側に隣接する北台川に沿って、野積場の一部と衛生研究所の敷地内に「下水道管理用通路の整備」を進めます。 (4)野積場の残りの部分については、引き続き導入機能等の検討を進めながら国と国有地の処分について協議します。 (5)地元からの要望でもあるプロムナード整備については、「海と丘をむすぶ軸の形成」を踏まえて検討を進めます。なお、衛生研究所の敷地から富岡総合公園までは、当地区南側の国家公務員宿舎において国があり方検討を行っていることから、その動向を見据えながら進めます。 3 地区の概要等 (1)所在地 金沢区富岡東二丁目、鳥浜町 (2)土地面積 ア 物揚場(国有地): 4,832u イ 野積場(国有地):24,156u (3)概要 昭和45年まで米陸軍貯蔵局の出先として、倉庫、野積場、ヘリポート、物揚場、射撃場等があり、横浜ノース・ドックの予備的施設でありましたが、昭和46年2月に大部分が返還され、富岡総合公園や機動隊訓練場等として利用されています。残りの部分は、物揚場、野積場として使用されていました。 4 経過 昭和20年 9月 米陸軍の通信修理隊施設として接収 昭和46年 1月 日米合同委員会で富岡倉庫地区の一部の返還が合意 昭和46年 2月 土地312,573uが返還 昭和47年 5月 国有財産地方審議会において、返還跡地の利用計画が決定 昭和49年 2月 横浜市が返還跡地の公園部分を富岡総合公園として使用開始 平成16年10月 日米合同委員会で返還の方針が合意 平成21年 5月 上記、土地28,988uが返還され、これにより全部返還が実現 ここに図があります。 改定前の跡地利用計画図です。 図の説明は終わりです。 (4)改定の経緯 平成23年7月の「旧富岡倉庫地区跡地利用基本計画」策定後、民間事業者の進出意向等を把握しながら、横浜市衛生研究所及び下水道管理用通路として使用している部分を除いた野積場における土地利用の具体的なあり方を検討してきました。しかしながら、基本計画における導入機能である産業・研究機能等の導入については都市計画上の検討が必要であることや、土地の規模が大きいため単一用途では十分に対応できないこと等から、具体的な土地利用には至っていません。 時間の経過とともに社会情勢の変化もあったことから、令和4、5年度にサウンディング型市場調査を実施し、進出意向調査を再度行ったところ、研究所、倉庫、店舗、住宅等の需要があることが確認されました。 また、令和7年5月に改定した「横浜市都市計画マスタープラン(全市プラン)」においては、都市づくりのテーマと方針として、産業の拠点づくりとブランド強化、革新と創造の創出、多様な暮らし方・働き方の実現などが示されており、同時に都市計画変更した「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」では、鉄道駅周辺において地域の特性・ニーズに対応した、生活利便施設・福祉施設、業務・商業施設等の都市機能の集積や多様な住まいの供給等により地域特性に応じた魅力ある地域拠点を形成するとしています。 当該野積場の部分の跡地利用の実現にあたり、従来からの指針である「産業に寄与する拠点」としての産業・研究を中心とした土地利用に限定せず、地域の意向も反映しながら金沢区が抱える諸課題の解決に資する、より多様で現実的な土地利用計画の検討を実施するため、検討の土台となる跡地利用基本計画の改定を行います。 なお、上位計画等に掲げられたまちづくりの実現のために、当地区外である旧国家公務員宿舎等の隣接する国有地・市有地についても、本計画において土地利用の考え方を示し、一体的なまちづくりを目指します。 ■今までの経過 昭和20年9月 米陸軍の通信修理隊施設として接収 昭和43年9月 根岸湾埋立事業に伴い物揚場を新設 昭和46年1月 日米合同委員会で富岡倉庫地区の一部の返還が合意 昭和46年2月 土地312,573uが返還 昭和47年5月 国有財産地方審議会において、返還跡地の利用計画が決定 昭和49年2月 横浜市が返還跡地の公園部分を富岡総合公園として使用開始 平成16年10月 日米合同委員会で返還の方針が合意 平成16年12月 金沢区米軍施設建設・返還跡地対策協議会設立 平成21年5月 上記、土地28,988uが返還され、これにより全部返還が実現 平成23年7月 旧富岡倉庫地区跡地利用基本計画策定 平成26年12月 野積場の一部及び隣接する市有地を活用した衛生研究所の開所 令和4年度 サウンディング型市場調査(第1回目)を実施(幅広く活用アイデアを伺うことを目的に実施) 令和5年度 サウンディング型市場調査(第2回目)を実施(誘導すべき用途の確定を目的に実施) 令和6年度 旧富岡倉庫地区跡地利用基本計画の改定案検討、地元協議会等への意見聴取 令和7年度 旧富岡倉庫地区跡地利用基本計画にかかる市民意見募集 (5)上位計画 ア 横浜市基本構想(長期ビジョン):平成18(2006)年6月 市政の基本理念である「横浜市基本構想(長期ビジョン)」では横浜市の都市像が掲げられ、都市像を支える5つの柱が示されています。 都市像を支える5つの柱(抜粋): 新たな活躍の場を開拓する活力創造都市(P2) 高度な技術や人の集積による都市の創造力と、新しい就業の場の創出により、横浜は人も企業も躍動する活力あふれる都市を目指します。 多様な働き方や暮らしができる生活快適都市(P2) 働き方が多様化し、年齢や性別による固定的な役割が変化する中で、個人の価値観に応じて、働きながら地域や家庭で心豊かな生活を送ることができるような、高齢者や女性も生き生き暮らせるライフスタイルを実現していきます。 イ 横浜市中期計画2022〜2025:令和4(2022)年12月 「横浜市中期計画2022〜2025」では、2040年頃の横浜のありたい姿「共にめざす都市像」の実現に向けた基本戦略、10年程度の9つの戦略、4年間に重点的に取り組む38の施策などを示しています。 戦略3『Zero Carbon Yokohama の実現』 政策18 脱炭素社会の推進 3 住宅・建築物の省エネ化の推進(P65) 最高レベルの断熱性能を備えた住宅の普及を促進させるため、断熱化などの支援や多様な主体との連携による普及啓発を推進します。 また、事業者の技術力向上への支援や、長期優良住宅の認定制度、CASBEE 横浜などの運用により、健康にも配慮した省エネ性能の高い住宅・建築物の普及を促進します。さらに、民 間建築物における木材利用の促進に向けた普及啓発や支援に取り組みます。 戦略4『未来を切り拓く経済成長と国際都市・横浜の実現』 政策21 スタートアップの創出・イノベーションの推進 3 戦略的な企業誘致・立地の推進(P73) 京浜臨海部や郊外部など、企業立地の受け皿となる事業用地の創出に取り組み、オープンイノベーションの強化・推進につなげます。また、国内外の企業に対し、横浜の優れたビジ ネス環境や立地メリットを様々な機会を通じて積極的に発信し、市内経済の持続的な成長・発展に寄与する本社機能や研究所機能等の立地を支援します。 戦略5『新たな価値を創造し続ける郊外部のまちづくり』 政策26 人を惹きつける郊外部のまちづくり 1 鉄道駅周辺のまちづくりの推進(P85) 駅前広場や歩行者空間等の整備・改善、商業、業務施設や都市型住宅、生活利便施設などの機能の集積・更新を図かりながら、個性ある生活拠点を形成します。 3 郊外部における多様な機能の誘導(P85) 日常生活を支えるサービスの充実、働く場や地域の居場所づくりなどを推進するため、時代に即した用途地域やまちづくりに関するルールの点検・見直し等を行い、多様な機能の誘 導を図ります。 4 戦略的な土地利用の誘導・推進(P85) 市内米軍施設跡地については、地権者等と連携しながら、周辺の都市基盤整備等も含め跡地利用を推進します。 ウ 横浜国際港都建設計画 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針:令和7(2025)年5月 「横浜国際港都建設計画 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」は、都市計画区域における都市計画の基本的な方向性を示すもので、都市計画の目標、土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する主要な都市計画の決定の方針等を示しています。 主要な都市計画の決定の方針:土地利用に関する主要な都市計画の決定の方針 業務・商業地(P5) 横浜経済の活力向上を図り、様々な市民が利便性や快適性を享受できる都市づくりを進めるために、業務・商業地を計画的に配置する。 鉄道駅周辺地域 特性・ニーズに対応した生活利便施設・福祉施設、多様な働き方を実現する施設等の都市機能の集積を図り、個性ある生活拠点を形成する。 工業地(P6) 先端技術産業など工業の高度化・再編成に対応し、雇用の場を確保するため、先進的な環境を持つ工業地の形成を計画的に進める。 臨海部の工業地 産業の機能更新・高度化を更新するとともに、事業所の再編整備に合わせた新たな産業の立地誘導等を進め、世界最先端の生産・研究開発拠点としての機能維持・向上を図る。 土地の高度利用に関する方針(P7) 都心部及び鉄道駅周辺では、都市基盤整備と土地の高度利用を図りつつ、業務・商業施設をはじめとする都市機能の立地、誘導を促進する。 エ 横浜市都市計画マスタープラン(全市プラン):令和7(2025)年5月 「横浜市都市計画マスタープラン(全市プラン)」は、都市計画に関する基本的な方針で、まちづくりの基本理念や目標を定めることにより、都市計画を定める際の指針となるものです。 都市づくりのテーマと方針 経済(P18) 産業の拠点づくりとブランド強化 これまでの産業拠点の強みをさらに発展させ、高いブランド力を持ったエリアとしていきます。 ・国際競争力の強化に向けた産業機能の高度化(臨海部での既存産業の機能更新・高度化や新たな成長産業の拠点形成) 革新(イノベーション)と創造(クリエイション)の創出 海と緑の開放的な空間など、創造性を刺激する環境の中で、様々な人や技術が出会い、交流し、混ざり合い、新しい価値やモノを生み出すまちをつくります。 ・脱炭素等の社会課題の解決や先端技術の研究開発の促進(容積率や高さ制限等の規制見直しも含めた、社会課題の解決に資する都市開発への支援) ・更なる企業集積と合わせたオープンイノベーションの場と機会の創出(イノベーションの創出につながるシェアオフィス等の交流の場づくり/立地企業によるエリアマネジメントの推進) ・地域経済の循環を促す身近な働く場の創出(利便性の高い鉄道駅周辺や住宅地での、業務機能の誘導やワークスペースの整備) 都市づくりのテーマと方針 暮らし(P24) 多様な暮らし方・働き方の実現 地域の特性を活かし自然環境と共生しながら、一人ひとりが自分らしい暮らしかた・働きかたを選べるまちをつくっていきます。 私たちの身近に魅力的で快適な場所があふれる、ウェルビーイングな暮らしが実感できるまちをつくっていきます。 ・多様な機能の充実(身近な場所での多様な働く場の充実/子どもから高齢者まで多世代に開かれた憩いの場や親子が安心して遊べる快適な空間づくり) 都市づくりのテーマと方針 環境(P36) 自然を身近に実感できるまちづくり まちなかで、オフィスから、住まいから、丘の緑や海が感じられる、まちの風景にいつも自然を感じられるまちづくりを進めます。 ・海や河川、公園等、水・緑を身近に感じ、地域を活性化する新たな交流や潤いが生まれるまちづくりの推進(市民の憩いの場となる緑地等の提供) 持続可能な未来と豊かな生活につながる、気候変動への対応 地球にやさしい取組を進めつつ、環境の変化に柔軟に対応しながら、持続可能な未来へつながるまちづくりを進めます。 これからもずっと暮らしやすい、誰もが活躍し続けられる環境を実現するため、市民の行動、企業や研究機関の知恵や技術を集結し、地球環境との共生をリードする、“グリーンシティ”を共に目指していきます。 ・日本をリードする脱炭素化に向けた、建築・まちづくりの推進(環境性能の高い建築物の普及) 都市づくりのテーマと方針 防災(P42) まちの特性に応じた災害への備え 地震、津波、火災、洪水、がけ崩れ、いつ起きるかわからない災害に備えた強いまちに向けて、対策をしっかり進めます。 防災・減災対策によって、地域の個性を魅力に変えていきます。 ・地域の個性や立地条件を踏まえた地震や火災への対策(津波避難スペースの確保・拡充) ・災害時のリスク低減に向けた土地利用の誘導と安全な市街地の形成(地域の防災力の向上に資する建築物の立地誘導、居住エリアの安全性強化) オ 横浜市都市計画マスタープラン金沢区プラン 金沢区まちづくり方針:平成30(2018)年3月 「横浜市都市計画マスタープラン金沢区プラン 金沢区まちづくり方針」は、金沢区の都市計画に関する内容を総合的に整理し、方針としてとりまとめたものであり、都市計画を定める際の指針となるものです。 金沢区の成り立ちとまちづくり課題(4)自然環境(P11) 区内で完結した水系や丘陵部に広がる緑について、生物多様性に配慮した自然環境を保全するとともにそれらを身近に感じられる環境を創出し、市民生活との関わりを深めることが求められています。さらに、水と緑の自然環境を連携させながら活用を進めることが求められています。 まちづくりの基本理念と目標(P14) ・まちづくりの基本理念:海と緑の奏でるハーモニー・タウン金沢 ・まちづくりの目標:訪れたい、住みたいまち・環境未来都市 金沢を目指して 金沢区の将来像(P14〜16) 金沢区のまちづくりは、区の魅力となっている自然、歴史、文化、産業、大学といった視点を大切にしつつ、都市がもつ魅力(都市アメニティ)を高めることを基本とします。 そして、将来の都市骨格の枠組みを3つの柱として位置付け、多様な主体との協働により、訪れたい、住み続けたいと思える魅力あふれるまちづくりを進めます。 ・柱1 にぎわいと活力のあるまちづくり ・柱2 誰もが安心して暮らし続けることができるまちづくり ・柱3 自然との共生による潤いのあるまちづくり 土地利用の方針:米軍施設及び返還施設跡地(P19) 平成21年に国へ返還された旧富岡倉庫地区は、跡地利用基本計画、全市的・地域的なニーズや課題解決に対応する土地利用を図ります。 都市防災の方針:津波・高潮に強いまちづくり(P34) 区域の東側が海に囲まれている金沢区では、津波や高潮の被害が心配されることから、(中略)護岸では防ぐことのできない津波等に対しては、高層の建築物や構造物などの津波避難施設の認定など、適切な避難及び対処方法に関する検討、整備を推進します。 カ 横浜市住生活マスタープラン(横浜市住生活基本計画):2022(令和4)年10月 「横浜市住生活マスタープラン(横浜市住生活基本計画)」は、今後10年間の横浜市の住まいや住環境について目指すべき基本的な方向性を示す計画です。横浜らしい豊かな住生活の基盤となる住まいや住環境づくりを連携して進めていくことを目指します。 類型別にみた地域の特性・主な課題 郊外駅周辺複合市街地(P13) 駅周辺の再整備や土地利用転換等の機会を捉え、サービスや働く場など多様な機能を集積し、地域住民の生活を支える拠点を形成する必要があります。 目標1 新たなライフスタイルに対応し、多様なまちの魅力を生かした豊かな住宅地の形成(P26) ・今後、コロナ禍を契機として広まった、住まい方や働き方の変化、価値観の多様化、郊外部に対する居住ニーズの高まりなどを踏まえた住宅地の形成が求められています。 ・鉄道駅周辺では、駅前広場などの都市基盤整備や生活利便施設などの充実をはじめ、交流・活動の場などの魅力的な機能の集積・更新を図るとともに、多様な主体と連携した持続可能なまちづくりをさらに推進していく必要があります。 目標2 災害に強く、安全な住まい・住宅地の形成と被災者の住まいの確保 災害に強い住まい・住宅地の形成(P38〜40) ・「よこはま防災力向上マンション認定制度」などの活用により、マンションでの自主防災組織の結成や地域との協力体制の構築などを促進します。 目標5 脱炭素社会の実現に向けた良質な住宅ストックの形成 環境に配慮した住宅の普及促進(P60〜62) ・自然風を室内に取り込む工夫や日射遮蔽・日射取得の調整、敷地内の緑化など、自然エネルギーを活用した住宅の普及を促進します。 (6)地区の課題 ア 人口変動や高齢化 ・区全域で居住者層の人口減少と少子高齢化が進行しているため、福祉施設の利便性向上やバリアフリー環境の整備により、誰もが快適に暮らすことができるまちづくりを進めていく必要があります。 ・生産年齢人口(15歳〜64歳)の定住化のためには、通勤のしやすさや職住近接、子育て支援充実など地域特性を活かしながら実現する必要があり、広い世代が自由に社会参加できる環境づくりが求められます。 イ 防災 ・大規模地震による津波、局地的な大雨の発生による土砂災害や水害などの自然災害に対する都市の防災機能の強化を地域と協働で進めていく必要があります。 ウ 地域資源を活用した地域の活性化 ・身近にある自然、歴史、文化、産業、大学等の魅力的な地域資源の活用をさらに促進し、地域の特性を生かすまちづくり活動を支援することで、地域コミュニティ活動を充実化し、区内外における交流人口の増加による地域活性化が求められます。 (7)サウンディング型市場調査の結果概要 ア 令和4年度調査 ・実施の趣旨:本格活用に向けて、対象地の全面活用に限らず部分活用や、企画での参加に関心がある等、特段の要件にこだわらず幅広くアイデアを伺い、今後の活用検討の参考とする ・実施期間:令和4年11月14日から12月23日まで ・参加団体数:13団体(開発・不動産事業者:7団体、総合建設事業者:3団体、その他:3団体) ・主な提案用途:物流施設、産業研究施設、住宅、データセンター等 イ 令和5年度調査 ・実施の趣旨:対象地の本格活用に向けて、誘導すべき用途の確定を目的とする ・実施期間:令和5年7月31日から8月31日まで ・参加団体数:7団体(開発・不動産事業者:4団体、総合建設事業者:1団体、地元事業者:1団体、研究機関:1団体) ・主な提案用途:研究(研究施設)、産業(物流施設、工場、データセンター)、住宅、商業 ・国家公務員宿舎の一体利用に関する提案:研究、住宅 ※詳細な結果については、参考資料に掲載。 2 計画の方向性 (1)跡地利用のテーマ  平成18年6月に横浜市が策定した「米軍施設返還跡地利用指針」において、旧富岡倉庫地区は「海と丘を結ぶ産業創造空間」をテーマとして、海辺の水際線の活用や近接する公園との連携により、海と丘をむすぶ魅力づくりを図るとともに、立地特性を活かして新たな産業振興・経済発展に寄与する空間の形成を目指すとしています。 (2)野積場の跡地利用のコンセプト 跡地利用指針のテーマを継承しながら、野積場においては新たに 駅に近い立地特性を活かし、働く場、住む場として、地域とつながるイノベーションと暮らしの拠点を創出する をコンセプトとし、跡地利用を検討します。 本市の上位計画、サウンディング型市場調査や地域の意見を踏まえ、以下の目指すべき姿を元に、まちづくりの検討を進めていきます。 ■地域に開かれた研究開発機能の誘導 ・市内経済の持続的な成長・発展に寄与する土地活用を誘導します。 ・地域住民との交流や、企業・大学等との連携によるオープンイノベーションを促進し、地域社会および外部に開かれた研究開発機能の形成を目指します。 ■職住近接で子育てしやすい住環境の整備 ・駅に近い利便性や職住近接の特性を活かし、金沢区への居住促進につながるよう、子育て世代に選ばれ、住み続けられる土地活用を図ります。 ・緑豊かな環境の中で、生産年齢人口をはじめ、こどもから高齢者まで多世代が安心・安全に暮らせる住環境の整備を図ります。 ・こどもたちが過ごしやすい・遊びやすい環境を整えることで、子育て世代が住みやすい跡地利用を目指します。 ■地域の暮らしを支える駅周辺の生活拠点の充実 ・野積場及び周辺地区における住民の利便性向上と魅力的な住環境の形成に寄与する土地活用を図ります。 ・立地する住宅及び近隣の住民が日常生活で利用する規模・機能を持つ施設の整備を図ります。 ■自然を身近に実感できるまちづくり ・海や河川、公園等、水・緑を身近に感じ、地域を活性化する新たな交流や潤いが生まれるまちづくりを推進します。 ■地域とのつながりを育むまちづくり ・誰もが気軽に立ち寄り、豊かな時間を過ごせる、地域コミュニティ創出の機会を醸成するまちづくりを推進します。 ・長年にわたり米軍施設や返還施設として閉鎖されてきた経緯を踏まえ、地域に開かれた形で、金沢区のさらなる魅力向上につながる土地利用を検討します。 (3)物揚場の跡地利用のコンセプト 物揚場は、海に面した立地を活かして、港湾利用に向けた検討を進めていきます。 3 土地利用計画 (1)本地区の土地利用の方向性 ア 野積場 ■導入機能 ・野積場の跡地利用のコンセプトを踏まえ、研究施設、住宅、生活利便施設の立地を誘導します。 ・研究施設及び住宅を主たる用途とし、生活利便施設はこれらに付帯する機能とします。住宅は地区内で十分なコミュニティが形成する規模を目指します。生活利便施設は、野積場内や周辺の市街地の生活利便性向上に寄与する施設として、必要に応じて誘導について検討します。 ・各施設の内容や規模については、交通、景観や騒音・振動等の周辺市街地環境への影響を考慮しながら検討・調整します。 ■導入機能として誘導することが望ましい施設のイメージ(例) 【研究施設】 ・脱炭素分野など、市の施策に関連した分野の研究を行う施設 ・様々なイノベーションの創出に寄与する研究を行う施設 ・オープンイノベーションを促進するため、企業・研究機関・内外の人材等が交流できる機能や空間を有する施設 ・市民・こども向けの施設内見学や研究内容のデモンストレーションの実施、地域住民等による自主的な研究活動への支援など、地域に開かれた運用を行う施設 【住宅】 ・主に子育て世代をターゲットとした共同住宅 ・市の関連施策を踏まえ、「地域子育て応援マンション」「よこはま防災力向上マンション」などの  認定基準へ準拠した共同住宅(共用部や住戸内の段差をなくしたベビーカー等での移動に優しい住宅、地域の一時避難場所の確保や住民による防災組織を結成する等災害に強い住宅) ・低層部に生活利便施設等を設けた利便性の高い住宅 ・住民が日常的に集い、自然なコミュニケーションが生まれる空間を設けた住宅 【生活利便施設】 ・様々な世代が日常生活で利用しやすいスーパーマーケットやホームセンター、コンビニエンスストア、ドラッグストア等の生活に必要な物販店舗、診療所、飲食店等 ・集会所・交流スペース・休憩スペースのような人が集まる場、体を動かせる場など誰もが気軽に立ち寄ることのできる地域のコミュニティ形成に寄与する施設 ■導入機能の誘導に併せた土地利用の考え方 ・野積場周辺を含めた防災力向上に資する機能の導入や、緑地の整備を進めます。 ・省エネ性能の高い建築物、再生可能エネルギーの導入など、脱炭素社会の実現に資する機能の導入を進めます。 ・駅に近い利便性を活かした有効な土地利用を目指し、緑の10大拠点隣接地にふさわしい、緑豊かな景観と調和した形態の建築物を誘導します。 ・子供が遊べる広場や自然・緑と触れ合う場の整備、歩行者から視認性が高くボリューム感のある緑化計画の実施、海辺の水際線と隣接する富岡総合公園をつなぐような緑のネットワークの整備により、魅力的な生活環境を形成します。 ■導入機能の誘導に併せた望ましい土地利用のイメージ(例) 【地域の防災力向上に資する機能】 ・津波や高潮などの災害リスクが想定される立地条件を踏まえた、地域住民、就業者、来街者の安心・安全に資する機能 【脱炭素社会の実現に資する機能】 ・再生可能エネルギー(太陽光発電等)、家庭用燃料電池、高効率給湯器や、蓄電池などを活用した施設 ・エネルギー消費性能に優れた建築物 【魅力的な生活環境】 ・地上部の緑化に加え、屋上緑化などにより、日常的に緑に触れ合うことのできる居心地の良い滞留空間を創出 ・バリアフリーとユニバーサルデザインの考え方を取り入れた、年齢や身体的条件にかかわらず、誰もが安全・快適に利用できる施設 イ 物揚場 ・物揚場及び隣接する市有地は、「港湾利用」として土地利用を検討します。 (2)隣接地を含めた土地利用の方向性 地域の意向も反映しながら地域が抱える諸課題の解決に資するために、本地区と隣接する公有地を合わせて本計画に土地利用の方向性を示し、一体的なまちづくりの推進を検討していきます。 ア 横浜市衛生研究所 ・引き続き、衛生研究所としての土地利用を継続します。 イ 旧国家公務員宿舎(国有地) ・区の課題解決につながる住宅の立地を促すため、一体的なまちづくりの検討可能性について国と協議します。 ウ 物揚場隣接の市有地 ・物揚場と一体的な利用を検討し、物揚場の接道を確保します。 エ 歩行者ネットワークの整備 ・富岡総合公園から南部市場駅へ向けた安全で快適な歩行者動線を確保するため、野積場及び旧国家公務員宿舎東側の道路(市道杉田91号線)と旧国家公務員宿舎南側の道路(市道杉田190号線)の既存の歩道を活かした歩行者ネットワークの整備を検討します。 ・改定前の跡地利用基本計画において検討するとしていた北台川沿いの「プロムナード」については、野積場と旧国家公務員宿舎の敷地に高低差があることや、プロムナードを検討していた箇所の一部が令和元年12月に土砂災害特別警戒区域に指定されたこと等を踏まえ、位置を見直します。 (3)計画図 ここに図があります。 跡地利用計画図です。 図の説明は終わりです。 (4)跡地利用の具体化に向けた進め方 ア 野積場 ・国が土地を民間事業者に売却または賃貸し、民間事業者が土地利用を行うことを想定しています。民間事業者の土地利用にあたっては、国と協議し、地区計画等の規制誘導手法の活用や公募での適切な条件設定などを検討し、本計画の実現を誘導します。 ・土地利用を行う民間事業者が地元へ事業の説明を行い、地域の理解を得るように促します。 野積場の跡地利用のスケジュール(想定) 令和7年 跡地利用基本計画の改定、跡地利用基本計画の国への提出 令和8〜9年頃 導入用途に応じた都市計画手続(市素案縦覧・説明会・公聴会、条例縦覧・案の法定縦覧、都市計画審議会、都市計画決定告示)、条例化手続 令和10年以降 国による公募・契約手続、民間事業者による整備 ※上記手続きには、国の諮問機関への諮問が必要となるものがあります。 ※現時点の想定であり、確定したものではありません。 イ 物揚場 ・港湾利用の検討を進めながら、国と土地利用計画及び国有地の処分方法等について協議します。 参考資料 (1)令和4年度サウンディング型市場調査結果 【実施の趣旨】 本格活用に向けて、対象地の全面活用に限らず部分活用や、企画での参加に関心がある等、特段の 要件にこだわらず幅広くアイデアを伺い、今後の活用検討の参考とする 【実施期間】 令和4年11月14日から12月23日まで 【提案用途】 物流施設(5団体) ・横浜港や道路へのアクセスに優れた立地特性や、物流マーケット状況から、今後も需要が高まると想定される物流施設の立地 ・大型車進入禁止の状況を踏まえ、住宅地に向けた配送など、小口配送に限定した物流施設の立地 産業研究施設(2団体) ・賃貸型研究開発施設の立地。研究開発施設は自社所有するよりも、様々な企業が集積した賃貸型研究施設の方が国内外の企業からのニーズが高く効率的であることから、賃貸型の可能性が高い。 ・隣接する衛生研究所と連携しライフサイエンスやバイオ等の研究施設の立地 ・高付加価値の先端企業の研究所や高度な工業系事務所の立地 住宅 実証実験機能付き住宅(1団体) ・研究機能が付加され、環境性能の優れた住宅地を立地 シニア向けマンション+戸建て住宅(1団体) ・当該地の周辺が工業地域の雰囲気が強く、広域での集客は難しい。敷地全体を一般向け住宅の立地とするのではなく、シニア向けの高層マンションを基本開発として、一部の敷地を一般向け戸建住宅とし、多世代が共生する住宅地とする。 分譲マンション(4団体) ・広大な公園や駅近接など、優れた周辺環境を活かした分譲マンションの立地 リノベーション住宅(1団体) ・旧国家公務員宿舎のリノベーションによる利活用 データセンター(2団体) ・大型車の進入が無いことや、交通量の発生集中が少ないことからデータセンターの立地 ・一方で通信ケーブル整備期間や費用、津波による浸水リスクの懸念 その他の提案 ・賃貸オフィス、研究スペース及びホテルの3つの機能を主体とした複合施設 ・高級有料老人ホーム、教育施設、PPP、PFI 事業を活用した体育館等のスポーツ施設 【市への要望】 (ア)用途規制等の緩和 ・物流施設、研究施設の立地のための用途規制の緩和(用途地域の変更、地区計画策定等) ・高層マンションの立地のための高さ規制の緩和 (イ)道路状況 ・物流施設の立地のため、当該地の前面道路への大型車進入禁止の交通規制の解除 (2)令和5年度サウンディング型市場調査結果 【実施の趣旨】 対象地の本格活用に向けて、誘導すべき用途の確定を目的とする 【実施期間】 令和5年7月31日から8月31日まで 【提案用途】 研究 研究施設(整備手法:敷地取得後、区画割りし分譲、他事業者が施設建設。敷地取得・建設後、施設を売却又はテナント貸) 労働災害・健康増進や疾病に関する研究施設(整備手法:敷地取得又は定期借地・建設) 産業 物流施設(整備手法:敷地取得・建設後、施設を売却又はテナント貸) 工場(整備手法:敷地取得・他事業者が施設建設) 工場・データセンター(整備手法:敷地取得後区画割りし分譲、他事業者が施設建設) 住宅 IT・IoT 活用の実証実験機能が付加され環境性能に優れた戸建住宅(整備手法:敷地定期借地・建設) シニア向けの高層マンションを中心とした 多世代が共生する住宅、中高層マンションによる環境配慮型住宅・敷地の一部に商業施設、分譲マンション・敷地の一部に商業施設(整備手法:敷地取得・建設) 商業 多機能型商業施設(整備手法:敷地定期借地・建設) 分譲マンション、敷地の一部に商業施設(整備手法:敷地取得・建設) 【地域貢献策として提案された事項】 ・公開空地等の共用スペース開放による、地域住民の交流の場の形成や、災害時避難場所としての活  用 ・研究施設・産業施設等による、雇用創出 ・住宅による、定住人口の増加 ・商業施設、イベントスペースを活用した、地域商業の活性化等 【市への要望(括弧内は対応する提案用途)】 ・地区計画の策定等による用途規制の緩和(研究施設、産業施設、商業施設、事務所・研究所) ・跡地利用基本計画の変更 (住宅、商業施設) ・地区計画の策定等による高層建築物の立地のための高さ規制の緩和(研究施設、産業施設、住宅) ・当該地の前面道路への大型車進入禁止の交通規制の解除(研究施設、産業施設、商業施設) ・建築資材の高騰等への懸念を踏まえた早期の公募実施(住宅) ・土地利用に関する事業の実現性や事業内容の良否を審査基準に加味した、国による二段階一般競争入札等の入札方式の採用(全用途共通) ・樹木伐採のコスト支援等、旧国家公務員宿舎の一部敷地(土砂災害特別警戒区域に指定)の整備支援(一体利用における用途共通) (3)統計情報 ア 金沢区の人口動態 金沢区の令和6(2024)年の総人口は194,028人で、人口のピーク(平成18(2006)年、212,519人)から18,491人(約8.8%)減少している。人口移動の動向としては、自然増減に比べて社会増減が多くなっている。また、令和6年の世帯数は90,488世帯で、年々増加傾向にある。 令和6年の年齢別人口の割合を見ると、老年人口(65歳以上)が31.1%、生産年齢人口(15歳〜64歳)が58.7%、年少人口(15歳未満)が10.2%である。横浜市全体と比較して、老年人口は6.1ポイント高く、栄区に次いで市内2番目の高さとなっている。一方で、20代の人口割合が多くなっている。また、15〜19歳に転入と、25〜29歳の転出が多くなっている。 ここにグラフがあります。 金沢区の人口・世帯数の推移のグラフです。 グラフの説明は終わりです。 ここにグラフがあります。 金沢区の人口移動(転出入と出生死亡)の動向ののグラフです。 グラフの説明は終わりです。 ここにグラフがあります。 金沢区の年齢別社会移動の動向のグラフです。 グラフの説明は終わりです。 ここにグラフがあります。 金沢区の年齢別・男女別人口(令和6年3月31日現在)のグラフです。 グラフの説明は終わりです。 ここにグラフがあります。 横浜市の年齢別・男女別人口(令和6年3月31日現在)のグラフです。 グラフの説明は終わりです。 イ 金沢区の住宅ストック ここに図があります。 金沢区の建て方別住宅の分布図です。住宅用地、集合住宅用地、店舗併用住宅用地、店舗併用集合住宅用地を示しています。 図の説明は終わりです。 ここに図があります。 金沢区の住宅の所有関係別居住世帯の比率図です。持家、民間の借家、公的な借家、社宅等に住む世帯の比率を示しています。 図の説明は終わりです。 ウ 商業圏(令和3年経済センサス-活動調査、大規模小売店立地法一覧より) 金沢区の卸売・小売業は714事業所(市全体の5.0%)、従業者数は8,501人(市全体の5.0%)、年間販売額は189,782百万円(市全体の4.9%)、売場面積は135,369u(市全体の4.9%)となっている。 金沢区の大規模小売店舗立地法対象店舗数(店舗面積の合計が1,000uを超える店舗、旧法届出含む)は21店舗(市全体436店舗、市内10番目)であり、その中で1万uの売場面積を持つ大型商業施設が7施設と、比較的大規模な店舗が立地している。 エ 旧富岡倉庫地区周辺の状況 ■人口動態(資料:横浜市統計情報ポータル) 富岡東2丁目:世帯数1,574、人口3,434人(2.18人/世帯) (令和6年3月31日時点) ■シーサイドラインの乗降人員推移 ここにグラフがあります。 シーサイドラインの乗降人員推移のグラフです。 グラフの説明は終わりです。 ※シーサイドラインの開業は1992(平成4)年だが、降車人員の統計が存在するのは2009(平成21)年以降であるため、2009(平成21)年以降で集計を実施。 ※2020(令和2)年、2021(令和3)年の減少はコロナ禍の影響による。 (4)市民意見募集の結果概要及び市の考え方 ア 実施概要 (ア)実施期間 令和7年6月30日(月)から令和7年7月31日(木)まで (イ)募集方法等 ・チラシの配架(金沢区役所、富岡並木地区センター、並木北コミュニティハウス、小田中学校コミュニティハウス、京急富岡駅、シーサイドライン並木中央駅) ・横浜市ホームページへの掲載 ・近隣自治会・町内会での班回覧 ・近隣小学校・中学校での配布 ここに画像があります。 意見募集のリーフレットの画像です。 画像の説明は終わりです。 ここに画像があります。 意見募集のリーフレット(こども用)の画像です。 画像の説明は終わりです。 (ウ)意見の提出方法 ・横浜市電子申請・届出システム ・電子メール ・郵送 ・FAX (エ)意見提出人数 250名 (提出方法別内訳) ・横浜市電子申請・届出システム 244名 ・電子メール 4名 ・郵送 0名 ・FAX 2名 イ いただいたご意見 (ア)意見の概要 意見数:384件(自由記述のため、1人の意見を内容に応じ複数に分割した意見の数) 論点数:162(重複・類似する意見をまとめた論点の数) (意見内容別の件数内訳)※括弧内はまとめた後の論点の数 暮らしや活動に関する意見 研究施設 7件(5) 住宅 21件(14) 生活利便施設 90件(28) 娯楽施設 39件(12) 交通 11件(10) 安全・快適で持続可能なまちづくりに関する意見 防災 27件(9) 脱炭素 4件(4) 生活環境 17件(6) 交流・学び・自然環境に関する意見 公園・広場 45件(15) 運動施設 43件(10) 教育・文化施設 20件(9) コミュニティ 23件(12) その他 物揚場 3件(2) 旧国家公務員宿舎 5件(5) その他 29件(21) ここにグラフがあります。 カテゴリごとの意見数のグラフです。 グラフの説明は終わりです。 (イ)意見に対する市の考え方 意見をまとめた各論点について、市の対応の考え方を次の4つに分けて示します。 反映 意見の趣旨を踏まえ、基本計画に反映する意見(論点数40) 参考 基本計画には反映しないが、今後の参考とする意見(公募条件への反映等)(論点数104) 掲載済 意見の趣旨が既に基本計画に掲載されている意見(論点数16) 対応外 本事業では対応が難しい意見(論点数2) ここに表があります。 意見の概要、市の回答と市の対応を示した表です。 表の説明は終わりです。 (5)金沢区米軍施設建設・返還跡地利用対策協議会 委員意見及び市の考え方 米軍施設の跡地利用については、地元の意見・要望を反映させることを目的に、近隣の連合町内会長等を委員とする「金沢区米軍施設建設・返還跡地利用対策協議会」を設置して、意見等をお伺いしています。跡地利用基本計画の改定に際して、同協議会の委員からいただいた主な意見と市の考え方は次の通りです。 意見1 導入用途(生活利便施設) ブランチ横浜南部市場が賑わっているため、生活利便施設の導入は適切ではないのではないか。 市の考え方 ブランチ横浜南部市場は、近隣の方の日常利用に加え、車利用による週末等のまとめ買いのお店としての需要が大きいと分析しています。 一方で、野積場に導入を計画している生活利便施設は、野積場や旧国家公務員宿舎にできる住宅の新住民、旧富岡倉庫地区周辺の既存の住民などを対象とした、日常利用の施設として需要があると分析しています。 新たな住宅の利便性や住環境の向上につながることから、野積場の導入用途として生活利便施設を引き続き計画したいと考えています。具体的な施設の内容については、店舗のみではなく、診療所や集会所など地区に必要な機能を導入できるよう検討を進めます。 意見2 導入用途(ホテル等) ホテルなど区外から人を呼び込める大きな計画を期待したい。 市の考え方 令和4年度、5年度に実施したサウンディング型市場調査では、導入用途を限定せずに広く民間事業者から土地利用のご提案を頂きました(P.22〜25)。その結果、ホテル等の集客施設についてのご提案は無かったことから、当該地での立地需要は低いと判断しています。 意見3 導入用途(全般) 土地の規模がそこまで大きくないため、一つの用途に絞った方がいいのではないか。 市の考え方 民間事業者へのヒアリングでは、敷地全体を単一用途とするのは規模的に難しいと聞いています。実現性を高めるため、複数用途の導入をベースに検討したいと考えています。 意見4 生活利便施設の環境配慮 北側に衛生研究所、介護養護施設、ふたば保育園があり、現地は静かな環境。生活利便施設の立地には静かな環境への配慮がいるのではないか。 市の考え方 隣接する施設への影響を抑えるため、生活利便施設と隣接する施設との間に、緑地や歩行者空間などの緩衝帯を設けることを検討します。また、周辺市街地環境への影響に配慮しながら検討を進めることを跡地利用基本計画に記載します。 意見5 防災 防災機能は欲しいが、具体の機能は地元住民の意見を汲んでほしい。 市の考え方 当該地は津波による浸水予測区域となっているため、立地する施設が避難施設として機能することを、防災機能の一例として想定しています。具体の防災機能については、民間事業者の整備・運用内容によりますが、地元の皆様のご意向をお聞きして、公募の条件等に盛り込めるよう、国と協議をしていきます。 意見6 旧国家公務員宿舎の土地利用 広域避難場所になっており、富岡総合公園に隣接する豊かな環境の憩いの場。開発を進めないでほしい。野積場周辺は高齢化率が低く、働き手が集まっている地区なので、住宅よりも防災のことを考えてほしい。 市の考え方 当該地は、昭和46年に米軍による接収が解除され、昭和47年に国家公務員宿舎用地とすることが決定。その後、昭和53〜59年に宿舎が竣工し利用されていましたが、「国家公務員宿舎の削減計画」に基づく削減対象になり、平成27年に閉鎖しました。国は当該地の処分(売却や貸付)を検討しており、新たな土地利用を停止することは困難です。 米軍施設跡地ではないため、市として基本計画の策定はできませんが、金沢区全体の人口減少の課題解決に資するとともに周辺環境に配慮した土地利用になるよう、まとまった住宅にするなど土地利用のあり方について国と意見交換を進めます。また、避難場所の機能維持や、整備前の地元への計画周知について配慮いただきたいと、国にお伝えします。 意見7 旧富岡倉庫地区のまちの全体像 野積場だけで見ると、住宅は小さく、そのための生活利便施設は浮いて見える。また、旧国家公務員宿舎と野積場の間にある通路は狭いので、野積場や旧国家公務員宿舎を開発する際は、一緒に整備した方が効果的だと考える。旧国家公務員宿舎を含め、地区の全体像を見せてほしい。 市の考え方 旧国家公務員宿舎用地は米軍施設跡地ではないため、市として基本計画の策定はできませんが、まちづくりは同敷地を含めた地区全体で検討していくべきと考えます。隣接地の土地利用の方向性として住宅の立地を促していくことを跡地利用基本計画の改定案に記載するとともに、国とは、通路を含め旧国家公務員宿舎用地の効果的な土地利用について、引き続き意見交換を進めます。 また、野積場を中心とした区域で、地区計画策定などの都市計画手続を検討していますが、都市計画案については説明会を開催し、地域の方々に周知する予定です。 裏表紙 横浜市 都市整備局 基地対策課 令和7年10月 横浜市中区本町6-50-1 TEL:045-671-4002 FAX:045-663-2318 MAIL:tb-kichitaisaku@city.yokohama.lg.jp