第T章 横浜市男女共同参画行動計画について 1 男女共同参画社会の実現に向けて 少子高齢化が進み、人口減少社会を迎える中、豊かな市民生活や地域社会の持続的な発展のためには、多様な価値観を尊重しあい、すべての人の個性と能力が発揮される男女共同参画社会の実現が不可欠です。 しかしながら、男女共同参画社会基本法が成立して20年あまり経ち、女性の活躍が国の最重要課題として推進されている今日においても、社会で女性の力が十分に発揮されているとは言い難く、性別にまつわる格差や不平等、困難が山積しています。 横浜では、M字カーブの底が全国に比べても深いという課題に対して挑戦を重ね、この間、女性の就労や就業継続は着実に進んできました。しかしながら、雇用の安定性や継続性、賃金、キャリア形成やリーダー育成など、働く上での実質的な男女格差はいまだ大きい状況です。また、DVや性暴力などの被害、非正規職シングルやひとり親世帯の経済的困窮などは、特に女性において深刻な問題となっています。 横浜市男女共同参画に関する市民意識調査によると、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方は変化しつつありますが、実際の役割分担では、依然として女性が家事・育児・介護の主な担い手であり、男性は仕事を優先する傾向が高いなど、根強い性別役割分担意識がうかがえます。また、男性も、長時間労働の問題や家庭生活への関わりづらさを抱えています。 さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大は、雇用環境の悪化やDVの深刻化、性別役割分担意識を背景とした家庭生活の負担増など、負の影響が目立ちます。一方で、テレワークの拡大や男性の在宅時間の増加など、男女共同参画社会の形成に向けた契機としうる状況もあり、社会を挙げて今後の実践が問われています。 グローバル化の進展や絶え間ない技術革新、そして新型コロナウイルス感染症拡大に伴う世界的な危機など、激動と不確実性の時代を乗り越えるためには、誰もが性別にかかわりなく、自分の希望に沿った形で、多様な選択を実現できることが重要です。横浜市は活力ある男女共同参画社会の実現を目指して、市民やNPO等の多様な主体、企業、地域社会と協働し、地域特性を踏まえた実効性ある施策を推進していきます。 2 趣旨・位置づけ 横浜市男女共同参画行動計画は、横浜市男女共同参画推進条例第8条に基づく行動計画であり、男女共同参画社会基本法、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に規定する計画にあたります。 横浜市男女共同参画推進条例に規定する7つの基本理念に基づき、男女共同参画に関する施策を実施するために策定します。 基本理念(横浜市男女共同参画推進条例第3条から要約) 1 男女の人権の尊重 2 性別による、固定的な役割分担等が男女の活動の自由な選択に影響を及ぼさないように配慮すること 3 施策及び方針決定に共同して参画する機会の確保 4 家庭生活における活動とその他の社会生活における活動とが円滑に行えるよう配慮すること 5 男女の互いの性の理解と決定の尊重、女性の生涯にわたる健康の維持 6 国際的な理解と協力 7 夫等からの女性に対する暴力等の根絶 3 計画期間 令和3年度(2021年度)から令和7年度(2025年度)までの5年間