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第51回 横浜市公立大学法人評価委員会 会議録

最終更新日 2019年1月11日

【日時】平成25年7月3日(水曜日)15時から17時
【会議室】横浜市立大学金沢八景キャンパス文科系研究棟大会議室
【出席者】川村委員長、蟻川委員、岡本委員、桐野委員、山上委員
【開催形態】公開(傍聴者0名)
【議題】

  1. 公立大学法人横浜市立大学平成24年度計画における業務の実績報告書について
  2. 公立大学法人横浜市立大学平成24年度決算及び財務諸表等について
  3. その他

【配布資料】
資料1.平成24年度公立大学法人横浜市立大学の年度計画における業務の実績報告書(PDF:903KB)
資料2.平成24年度決算について(PDF:586KB)
資料3.平成24年度決算概要報告(PDF:346KB)
資料4.平成24年度決算前期比較貸借対照表(PDF:233KB)
資料5.平成24事業年度財務諸表(PDF:496KB)
資料6.平成24事業年度決算報告書(PDF:77KB)
資料7.平成24事業年度事業報告書(PDF:669KB)
資料8.独立監査人の監査報告書(PDF:665KB)
資料9.決算監査報告書(監事)(PDF:203KB)
資料10.平成24年度決算における剰余金について(PDF:125KB)
資料11.評価記入用紙(PDF:56KB)

議題1:公立大学法人横浜市立大学平成24年度計画における業務の実績報告書について

【川村委員長】本日の議事は24年度の業務実績報告、決算についてご審議いただく。前回の議事録の確認は、次回に確認する。

  • 事務局から配布資料の確認をした。

【川村委員長】24年度における業務実績報告について法人から説明をお願いする。本日の報告を受け、8月までに評価結果を取りまとめるため、各委員には御協力をお願いする。

  • 法人から業務実績報告について説明をした。

【川村委員長】教育、研究、病院運営等どの部分でも結構なのでお気づきの点、説明についての質問、意見をいただきたい。

【蟻川委員】国際化に対する取り組みが急速に進んだように感じた。これからも推進してもらいたい。

【桐野委員】先端医科学研究センターの設置は、なかなか良くできている。小さいが、研究者のレベルも非常に高い。この前、視察した際に感心した。これは24年かどうかというのは分からないが、かなり評価してしかるべきである。60頁のマッチングについて、100%というのは全国でもトップだと思う。都市部であるが故の優位さというのは、仮にあるとしても研修医は口コミで選ぶため、毎年良い研修をしていなければ、下がってくる。これは評価して良いと思う。2病院とも非常に良くやっているためもっと良い評価をしてもいいのではと思ったが、その点については、良いと思う。19頁、23頁プラクティカルイングリッシュのタイプミスがある。

【岡本委員】財務について見させていただいた。病院の黒字化については、非常に良かった。前任の岸委員のコメントを拝見した際、病院の月次決算ができていないことが、赤字の原因ではないかと書かれていた。その点について、月次での検討と書かれているが、決算の数値としても月次の分析、報告体制が整ったのかどうか確認したい。

【法人】月次決算の速報値だが、今までは2ヶ月遅れだったものを翌月の末にした。速報ベースだが、月次ベースで収支を出すようにした。

【岡本委員】とても良かったと思う。

【山上委員】全体的な印象として、A評価が少し偏っているのではないか。たまたまその部署が、非常に良くやったということなのかもしれないが、同じ目で整合性、公平性がとれているのか。部署毎の評価がそのまま出ているのではないか。全学的な調整はどこがしているのか。桐野委員の指摘のとおり病院関係、医学部の関係でかなり成果があがっているところがあるのではないか。そこがB評価で揃う一方で、国際化に絡んだ今まで遅れていた部分について具体化が進んできたという印象を持ったが、全体のバランスで考えれば、学部教育・学生支援の項目で次々にA評価になるというのは内容から見ても本当に良いのか疑問に思った。自己評価の調整を最終的にどのようにしているのか。作業的なことについて尋ねたい。

【法人】まず目標を立てた各所管課で自己評価する。その時に企画の所管が法人全体で3ヶ所ある。法人全体を統括するのが経営企画課、附属2病院については、医学・病院統括部の中の医学・病院企画課、学務・教務分野については学術企画課、という3つのセクションがあり、各所属から提出されたものについてヒアリングをする。そこで変更等もありうる。その原案を持って、学内の経営方針会議、学内の教職員管理職で構成されている合同調整会議等で意見をいただく。さらに教育研究については、教育研究審議会、最終的には、経営審議会で意見をいただいたものを横浜市に提出している。基本的に毎回そういう流れで行っている。そのような学内のプロセスの中で、意見を出し、キャッチボールをし、完成させている。ご指摘のとおり、多少自制のようなものはあったかもしれないが、今回についても修正を重ねてきた。

【山上委員】25頁の担任制に基づく学生指導と支援の充実はA評価となっている。内容を見ると、特段A評価をする実績であるのかどうか。若干内容が薄い感じがした。もしこれがA評価であるなら、病院関係で実績を挙げている所がなぜB評価のままなのか。計画そのものがなかったのにすごく実績が挙がった。それが計画との比較でA評価となるということのようだが、私の考えは、そうではなく、実績そのものの内容がかなり優れたものというようなものがあっても良いと思う。そもそも計画とはどういう計画だったのか。担当制に基づく学生指導と支援の充実ということになれば、当然こういうことは考えられていたはずである。そこでほぼ計画通りに考えていたことをそれぞれ実現できた。そうでなくA評価をするには、計画にはなかったが、こういうことも実現できたという特段のものが無いと何か客観性に欠けるのではないか。26頁の専門教養科目の国際化のところだが、英語による授業科目の増設につながったとあるが、英語による授業をどの科目でやって行きたいのか、どのくらいのレベルにしていきたいのか。実績として、そのほとんどができたということなのか、ごくまだ一部なのか、そういうようなことがやや抽象的に書いてある。以前この委員会でも申し上げたが、評価委員会が評価しなければいけないのは、中身がどこまで充実して進んだのかということである。言葉で英語による授業科目の増設にされたというのではどの程度なのかよくわからない。A評価ということであれば、何を持ってA評価としたのか。海外フィールドワークが206名が282名となった。報告会のWebサイトへの掲載、報告会が2回に増えたとか、そういうようなことがA評価になっているのか。従来この程度だったものが、これだけになったというのであれば、その数字を教えてもらいたい。34頁の学生・教員のコミュニケーション拡充という点だが、医学部長との懇談会を計3回実施とあるが、昨年度から継続しているため、それ自体は新しいことではない。担任制を導入し3名の担当教員が面談等をしている云々とあるが、これらのA評価は何なのか。ベストティーチャー賞を復活させたということは、モチベーションには有効なことだと思うが、かつてやっていたことを復活させたということは弊害もあるだろう。人気投票となり、教員として総合的に優れた先生が、ベストティーチャーになるのなら誰も異論はないが、学生の投票の結果が良く出たり、学内的に周りの先生から見て認められるのかどうか、表彰制度がどうなっているのか。今回は学生からの視点を中心として新しい賞を作ったものなのか、補足してもらいたい。

【法人】山上委員がご指摘のとおり、評価にアンバランスな面があると思う。教育の質の保証をどういう指標で行うかという宿題をいただいていることと共通の問題だと思う。指標が書いておらず、全体のバランスという意味でこういうふうになったのは、病院は、具体的な形とか数値化ができる評価の内容であるのに対し、教育は、教育重視、学生中心という抽象的な中身であるためと考える。内容としては、先生方が法人化の改革の後、ようやく落ち着き学生に目を向けるというタイミングとなった。学生が孤立化し、思い悩んだりするケースがある。その中で、声かけだけでなく、時間をとって話す機会ができるようになった。そういう意味で実質化ができるようになった。複数の教員が学生と話すことが、実現できた。全教員が係わるという一体化ができるようになったと思えることが良い評価につながったと思う。また、保健管理センターの充実と絡んでおり、かなりの教員が学生のメンタルな問題に関心を持つようになり、学生をフォローしようという体制が全体の意識として出てきた。数値目標や文言は出ていないが、それがA評価とつけたいという意識になったのだと思う。国際化については、海外フィールドワークに282名という実績をだした。本大学は1学年約900名であるので、そのうちの3分の1近い学生が海外に行くということは他には無いプログラムだと思う。経営側も資金を出し、それに応えて、教員が学生を10人20人引き連れて行くというのは、大変なことなのに、教員に手を挙げてもらったというところが大きいと思っている。34頁の学生教員のコミュニケーション拡充は、どこが進んだのかということだが、学生とのコミュニケーションを積極的にとった点である。昨年度から医学教育センターを機能させ、その一環として、今までにない担任制を導入した。担任が任命され、担任の各先生が学生とコミュニケーションをとった。1年次に60名~90名につき担任が1人だったのが、今は6人にまで増やし、もっと密にやっていったということが大きい。また、コミュニケーションの面で医学部長が学生と懇談会をし、学生の方からキャンパスの整備に関する意見、学生生活を送る上で困ること等、いろいろな意見が出た。それを大学で協議し、安全灯の設置等に取り組み、予想以上の実績を上げたことでA評価になった。

【川村委員長】先ほどの山上委員のご指摘は、重要な核心的な部分があったと思う。2つあったと思う。ABCの評価をつける時に、ある事柄を実施した場合、年度計画で計画した通り実施したのであれば、かなり大きなことでも「計画を順調に実施した」ということでB評価であるという考え方がある。しかし、計画に必ずしも明確にされていなかった場合には「計画を上回って実施した」ということでB評価ではなくA評価になるという考え方も一つある。そういう目で資料を見ると、評価を行う立場によってそのあたりがバラバラにやられているのではないかということもある。評価のスタンスが総論の部分と、各論の部分が違っている。総括的な部分で積極的に触れられていることが、各論の部分にくるとA評価をされていない。ほとんどがB評価であるが、総論を書いた側としては、大学全体として昨年に比べてこれだけいろいろのことが実現したではないかと。一番良い例が、国際総合科学部のコース再編であり、先端医科学研究センターの施設整備についてである。これらのことはいずれも、以前から計画していたことを計画通り実施したという意味でみるとB評価ということになるが、やはり全体として本学の活動を客観的に見るとすれば、これらのことや生命医科学研究科の設置も大きなことであるので、総論のところにはそのように記述されている。このほか主な取組を見ても、プラティカルイングリッシュの授業の充実、GPAを実施したとか、地域貢献にはエクステンション講座を西の方まで広げ、全県的にやった等が挙げられている。しかし、それらの多くはこの各論の所では以前からの計画をそのとおり実施したという意味でB評価とされている。現場の立場から見ればまさしくその通りだが、我々委員会の仕事は、大学で実施されているさまざまなことをできるだけ分かりやすく市民に伝えることだとすれば、24年度を振り返り、立派なセンターができたではないか、国際総合科学部がやっと再編できたということはA評価ということになるのではないか。それぞれの先生方はそれで苦労しておられて、学生の面倒も見てこられたのだからということも大切だが、そういう意味では総論的な、全体的な立場から評価をした方が市民に対しては親切だと感じる。もうひとつ山上委員が指摘されたことは、内容にどこまで入れるか、前回の委員会でも議論になった。例えば英語による授業を実施したということで、どんな授業、どれだけの質がそこで確保されているのか、内容の議論がある。少なくとも英語の授業が増設されたというのだから、昨年より、授業数、科目数が増えたという数値的な部分というのは必要である。これには増設されたとしか書かれていない。データ集でも24年度の英語による授業科目が書いてあるだけで、前と後ろがどうなっているかわからない。同時に山上委員の言われたそれらの授業の質がどのようになっているのかということ、我々としてそこまでの議論も困難だが、やはり法人のほうでは、数が増えたというだけではなく、中身の部分も充実したということを記述し、数値的な部分、昨年よりも受講者数、科目数が増えたことについても書いた方が良いのではないか。山上委員のご指摘の基準のつけ方や内容の問題というのは、非常に重要な指摘だと思う。

【桐野委員】杓子定規で言うと、計画があり、実績があって、それがどうかという話であると無味乾燥な評価になってしまう。総論の文章の所に、かなり良く書かれている。例えば56頁の紹介率について、附属病院が82.6%センターが93%、逆紹介率50.5%の65.4%とあり、これはかなり高い。通常の全国的なレベルからも圧倒的に高い。58頁の治験、フェーズ1が3件受けて1件についてやることにしたと書いてあって、これは数としてはたいした事が無いと思われるかもしれないが、フェーズ1というのは、容易なことではなく、全国でも実施している所は数少ない。大学では、4校位あるが、本当に実施している所は市大と、もう1校くらいしかないのではないか。そういう意味では評価できる。60頁のマッチングは先ほども述べたが、相当評価できる。病院をえこひいきしているつもりは無いが、全体から見ればもう少し良い評価をしてもいいのではないか。ただ、総論の所には書いてあるので良いとは思う。

【川村委員長】法人では、目の前の計画に対してそれを目標をどれだけ達成したかということだが、私共ではそれは基礎とするが、評価をする際に、市民にとってどれだけ分かりやすくそのことがどれだけ評価されるべきことなのかということを市民に分かっていただくという観点を付け加え、法人で努力されていることが無意味になってもいけない。他に具体的に疑問点はあるか。24頁の一貫教育の扱いだが、ここは2つのことが書かれている。今回、修了年限短縮制度とあるが、24年度の計画では修了年限短縮制度のルールを決めて開始するというのが年度計画である。それに対して実績は、文科省のGPのプログラムに採択されたということで、計画と実績が同じようなことだが、本学としてルールができたのかどうか、これでは分からない。GPが採択されたとすれば、A評価で当然の話だと思うが、本学では自分たちの肝心のルールができていないということで、B評価にされたのか。25頁のGPAが、いよいよ本格実施ということだが、対象は共通教養だけなのか。授業科目全科目でGPAを実施したのか。国際総合科学部まで入っているのか対象を教えていただきたい。25頁下のA評価をした学生支援で、気になったのが、実績の下から3行目一部の学生について随時情報を整理とある。学生の中で特別なグループを作り実施しているのか。39頁課外活動の部分で、実績のところが曖昧である。学生自治の建て直しについて、あるべき学生団体の姿等議論して自治建て直しということはどういうことを狙って、あるべき学生自治としているのか、意味が良く分からない。40頁のA評価経済支援についてだが、真に救うべき学生に支援が行きわたるようになったというのは、具体的に数字で教えてもらいたい。財源的にこれだけ予算を増やした、対象がこれだけ増えて対象となる者は全部100%救えたのかどうか。文学的表現であるが、A評価となっている。今、回答ができないようであれば、後ほど資料でいただきたい。

【法人】一貫プログラムに関してだが、理系がGPを取って、理数学生教育で行っているが、文系、経営系もこれに合わせて大学院を一年で済ませるよう大学全体として大学院を短期で修了できるように大学院学則を改訂した。実際に今年度からスタートをかけている。今年度から成績優秀者の4年生に対して大学院の講義を受けられるようにしている。その学生が来年度大学院に入れば単位を認定するということを今年度から始めている。そういう意味では、短縮型一貫プログラムが全学的に動き始めた。

【川村委員長】25年度から実施することにしたということか。

【法人】そうである。法整備をして、今年度から動いた。GPAは、全科目について始めたことになる。

【川村委員長】全科目というのは、学部レベルの全授業科目についてか。

【法人】GPAについては、全科目になる(他大学で修得した科目、教職専門科目、学部4年次で履修する大学院科目を除く)。全教科ということで、現状としては、学期毎に授業評価アンケート等を含めGPAの分布も現在片寄りが無いかどうか、検証を開始している。担任制については、カリキュラムが昨年から変わったということもあるが、1年から4年まで通して、1年次は、前期が教養ゼミの担任、30名を文系理系の2人の教員で担当している。後期については、基礎ゼミ、文系については、2、3、4年次ゼミ指導の教員が担任となる。理系については、2年次がコース担任の教員、3、4年が研究室担当の教員、その辺を明確にし、担任制をひいている。一部の学生という表現だが、関係の職員と保健管理センター長を中心として、定例のカンファレンスを実施する中で、課題のある学生一人ずつをどういう状況であるか共有し、その学生への対応を共有、検討している。一部の学生というのは、課題があった学生ということである。40頁の学生の経済支援だが、今年度2つの減免制度を導入した。軌道修正型授業料減免、緊急応急型授業料減免である。21年度申請者が、113名だったが、昨年度の実績では、249名の申請があった。適格者についても昨年は、229名であり、おおむね適格者だった。学生のニーズに応えることができた。授業料に対する支援のレベルだが、授業料収入に対して21年度当時1.52%だったのが、24年度については、2.91%までアップした。学生支援を資金的にしている状況である。

【山上委員】29頁新教室の設置、教室再編について確認したい。計画では、形成外科教室を24年度に設置するということだが、実績では設置できなかったということか。25年度以降の再編についても検討とある。教員は採用したが、教室の設置はできなかったということか。

【法人】形成外科学教室を設置し、主任教授も教室もきちんと作った。それ以外に今後の新しい教室を作るかどうするかが今後の検討である。

【山上委員】35頁生命医科学分野の再編ということで、平成25年4月、この4月に開設されたということで、私も鶴見キャンパスに行ってきたが、応募状況はどうだったのか。応募状況については、触れられていない。非常に多かったということか。生命医科学研究科は、大学として力をいれているところだと思うが。

【法人】生命医科学研究科の入試状況だが、博士前期課程では、募集人員40名で、3回に分けて入試を行った。入試結果については、志願者51名、入学者36名となり、募集人員よりは4名欠ける結果になった。博士後期課程では、募集人員20名で、志願者が9名、入学者が9名となり、募集人員に満たなかった。

【山上委員】51頁京浜臨海部ライフイノベーションについても市大として力を入れている部分だと思うが、実績のところに今話題になっているiPSについて新聞その他で報道されていることだと思うが、これは、評価についてB評価でいいのか。世界初と評価も高いが、これが順調にやったという程度の話なのか。

【法人】計画では、肝細胞を用いて肝臓再生を進めるということで、それを特区の中に位置付けた。その他のプロジェクトも特区の中に位置づけている。計画からいうと順調にいったという評価だったと思う。先ほど、計画に対してどうか、市民向けに対してどうかというと、特区については、一番最後のところに肝臓だけでなく、医療機器等、市大が絡むプロジェクトが7つ動きだしているので、もう少し良い評価にしてもいいのではと思うが、計画に対して、順調に行っているということでB評価とした。特区に関しては、これからも様々なプロジェクトが、色々な形で、市大が積極的に参加、協力していくという体制になっている。

【山上委員】2023年問題について。医療機能の評価をアメリカスタンダードにするというのは、それほど重要なことなのか。

【法人】今までは、日本の医学校を卒業するとそれぞれの学生が勉強し、医学知識と英語のコミュニケーション能力をもって、アメリカの医師資格に相当する試験に対して、受験資格があったが、2023年度からは、ある一定の教育レベルを満たす教育機関を卒業してきた学生に対してのみ受験資格を与えるという、アメリカの方針が出てきている。アメリカの側から見ると、日本やヨーロッパの医学教育は優れているが、全世界から受験生が来るため、全世界的にみて一定のスタンダードを要求される。このスタンダードが何かということになるが、日本の医学教育のやり方とアメリカの医学教育のやり方が、若干違っている。卒業生のレベルとしては、非常に高いが、アメリカが要求する実地の面で遅れる場合がある。もともと教育の方針が違っている。そうすると、2023年度にアメリカが要求しているものについて満たしているということにならないと、この大学を卒業した医学部の学生が、アメリカの試験の受験資格がないことになる。一方で、日本国内でも対応する学校としない学校が出てくる可能性がある。どちらを目指すかというと、本学は世界的に対応する学校となる。2023年に向けてどこがアメリカの要求するものと違うのか、このままで良いのか検討し、直すべきところは直すという作業について、医学部の学生教育は6年であるから今からやり始めてもあと数年しかない。昨年度から取り組み始めた。今年度はそれを本格的にやり、来年2月に、このあたりに造詣が深い、アメリカのイリノイ大学から、今の市大の医学教育システムについて評価を受けようとしている。実際に評価を受けて、直すべきところを直し、さらに作り上げていくという体制を作り始めた。

【山上委員】それは、世界基準になるということか。ヨーロッパの国もそうか。

【法人】日本としては、各大学では、我々のような取り組みをしているところと全くしていないところがある。日本の80大学が全体としてどういう形にするか、文部科学省がアメリカと交渉して良いとするのか各大学に任せるのか、そこは見えないところである。そうかといって、日本全体の動きだけに頼っていたら、あとで各々の大学に任せるということにもなりかねないので、本学としては対応しようとしている。

【桐野委員】追加すると、実にアメリカらしいやり方で、少し聞くと日本の医学教育が遅れていて、悪いからアメリカに合わせろと言われているようにと聞いてしまう人がいるが、そうではない。確かにアメリカは、医師として出来上がるのが、26歳。4年制のカレッジを出て、4年制の医学部を出て、26歳で医者になる。日本は24歳で医者になる。そのあたりも随分違う。アメリカのレベルで言えば、日本の初期臨床研修が終わったところあたりが大体同じである。そこで言えば十分、150%大丈夫であるが、それが、そうはいかないので、主な要求項目は、臨床実習を増やすということ。これはもっともな要求で、アメリカが無茶苦茶なことを要求しているのではない。多くの大学は対応するのではないか。だからこういう形で、すでに意識的にやっているということは、大変良いことである。

【川村委員長】他の国立系の大学でもこういう取り組みをしているのか。

【桐野委員】多くのところはこれを意識してやっているし、一部の大学は、もうもともと満たしている状況である。

【川村委員長】今のお話を聞くと工学部の教育内容についてJABEEという国際スタンダードがあり、それに合わせるということで非常に苦労している。23年問題というのが同じようなことになると大変だが、実質ができているのであれば。

【岡本委員】計画に対して実績が読みとれなかった部分について聞きたい。1点目13頁下の2の計画について、医学科定員増に伴い病棟実習について、課題等が把握できるような実務上の連携体制を確立するとあるが、学生の名札作成等とある。実習の課題というのはこういうことなのか。病院実習の内容自体の課題ではないのか。これと同じ実績が59頁にもあり、病棟実習の問題点云々というのはこの程度が問題なのか。36頁下、研究科のカリキュラム改善で、新研究科カリキュラムアンケートの実施及び分析を行うとともに、博士後期課程カリキュラムの検証を行うとあるが、実績の方では、アンケートの分析結果を報告したとあるが、後期課程カリキュラムの検証についてはどうだったのか。37頁医学研究における領域横断的教育体制の構築ですが、表題に挙がっている領域横断的教育体制の具体的な検討を行うということについて、どういう検討がされてどうだったのか、実績が計画についてどうだったのか、読み取れなかった。どれも実績が計画に対してどうだったのか読めなかった。回答をする際に頁番号も言ってもらいたい。

【法人】13頁ご指摘の医学科定員増についてセンター病院でも実習をやるようになった。課題等が、実務上の連携体制を確立するというのに対する回答が、分かりづらい。言葉足らずであったが、センター病院で1番大事だったことは、臨床実習をスムースに開始することができるかどうかということだった。そこは、当然のようにできた。実施にあたって、センター病院では、学生の名札用意、感染症対策、病棟実習に対してかなり力を入れて用意したということ。今まで、病棟実習が、センター病院ではゼロであったものに対して対応したということである。その前段の説明記述が足りなかったと思う。37頁医学研究における領域横断的教育体制の構築についてだが、生命医科学研究科を作るにあたって、医学研究科と鶴見とで話し合い、修士課程を生命医科学研究科を中心にし、医学科の修士課程について検討し、医学研究科を20名に減らしていこうという方向性となった。しかし、医学研究科修士課程は完全にゼロにはならないという結果になった。36頁下アンケートについて、都市の課題解決への対応等を視点にしたカリキュラムの改善というもので、都市社会文化研究科の新しい研究科となっている。新しく作ったものだが、ここの後期課程が新しい場面なので、文系(社会学)の教員がメインであったが、最近になって、都市問題、都市政策、町づくりという専門の教員方のカリキュラムの検証をするという内容のもの。書き方がちゃんとしていなかった。都市社会文化研究科というのは、都市問題に関心のある学生が来ているので、そういう意味で学生の意見を聞くという意味で意見交換を行いということが書いてある。そこは言葉足らずだった。

【川村委員長】時間の関係もあるので、その他の疑問については、事務局の方へメールその他で聞いていただければと思う。・事務局から評価のスケジュール案内。【蟻川委員】法人の方で、自己評価された経緯を聞いたが、委員が評価する時には、それを踏まえた上で、調整して評価する。【川村委員長】基本的には法人の自己評価を尊重することは当然ではあるが、社会的に広く見た場合にはどうかという観点で評価をいただきたい。忙しいスケジュールではあるが、事務局へご質問等をいただき16日までに提出をお願いしたい。

議題2:平成24年度の決算及び財務諸表について

【川村委員長】法人の方で財務諸表を取りまとめたわけだが、それを設立団体である市長が承認するに際して、本委員会の意見を聞くことが法律上定められている。本日は、財務諸表について、御意見をいただき、本委員会としての意見のとりまとめを予定している。

  • 法人より資料10「平成24年度決算における剰余金」について説明した。

【川村委員長】御意見、質問があるか。

【山上委員】今の説明の中で、外部資金のところで、収益増は受入額ではないということは理解できた。例えば1億なら1億の受け入れがあってそのうち、その年度に支出された費用に見合ったものだけが収益として計上されるということ。残ったものについては、その年度の負債になっているのか。固定負債か、流動負債か。バランスシートに載っているということか。

【法人】流動負債である。

【山上委員】運営費交付金収入について、分かりにくい。予算があって、年間10億なら10億、設備に該当するものがない時はそのまま損益に入るということか。見合ったものについてない時は収入になってしまうのは荒っぽい話。なにか見合う経費があるのか。

【法人】施設整備について、年度の中で、施設整備の運営交付金を横浜市から一定額いただいている状態ではあるが、一方で、病院の収益で充当すべきものについては、予算で医業収益が見込まれる範囲内で措置して対応している。資産を購入すると、通常であれば、減価償却費という費用が発生するが、運営交付金を充てた場合、減価償却費が発生する一方、資産見返負債戻入という収益が発生する。会計処理上の財源充当の考え方により、例年そのような動きが発生してしまう。

【山上委員】基本的には病院で、市の政策医療という収支が合わないものについて市がバックアップするという意味で、運営交付金が出ていると思う。24年度の決算は、全体のバランスとして良いと思う。23年度は、附属病院が苦戦した。看護師の給与や工事のために稼働できなかった施設費用が先行したため、附属病院の赤字が問題であるという指摘があったが、今年度は、バランスが良い。24年度を見て、これからは大学部門が、大変なのではないかという感じを持った。大学部門のところでコメントがあったが、収益について、増加要因に生涯教育というものがあった。生涯教育というのは、収入が増えてもコストがかかっているのではないか。むしろ電気代が上がり光熱費等がそれぞれの分野に影響を与えているのではないか。病院の方は、収益でカバーできるが、大学の方はそれができない。運営交付金でカバーしているのかもしれないが、人件費、教育環境を良くするために教員を増やし、負担がかかってきている。それをセグメントで調整している。病院の先生として働いている部分と大学の教員として働いている部分と今まではカバーしていた部分をきちっとセグメント、勤務時間で割り振ったのか、大学の方に負担が大きくなってきた。大学部門の性格上、そうなるものだが、今回の特徴である。人件費比率、医薬品の比率もそうだが、ほとんどの比率が改善されている。したがって経常収支比率も改善されている。私は、決算に関して計数管理を徹底する等、相当努力されたと思う。今後、大学部門のコストをどう吸収していくか。病院での課題もあると思うが、そのコスト負担分をどうしていくか。平成24年度は、良い決算だったのでは。

【岡本委員】私も同意見である。前年以前は資料を拝見しただけだが、大学が厳しくなってくるのではないかという意見だったが、授業料収益等のところで、志願者、大学院入学者数が減っているというのは今後も続くのか。生命医科学分野で学科が新設されたのにも関わらず、減っている。今後もその傾向は続くのか、そのへんの分析をどう考えられているのか。

【法人】授業料収益の減収について、資料2の方で表記しているが、3頁大学部門の収益の減は、学部一般選抜の入試制度を変更したことにより、志願者が減少した結果、入学検定料収益が減少している。大学院は入学者数が減少した結果、入学金収益が減少したことが上げられる。分析としては、これから詳細に分析する必要があるが、今後いかに志願者数、入学者数を伸ばし、授業料収益を獲得していくかが課題と考えられる。

【岡本委員】入学金については、一時的なもので、その入学年度にしか発生しないものだが、問題は入学者数の減である。志願者数の減少は、入試制度の変更ということで、大学入学後の教育を充実させるための変更は、結構なことだと思うが、大学院の方の入学者数の減についてはどうか。

【法人】傾向としては、理系については、学部からの大学院の進学が70%あるが、経済状況が悪くなってくる。マスターを修了しないと研究開発職に就けないというのがあるが、進学しないケースがでてきている。博士後期は、その後の出口、ポスドクが増え、その先のポジションが減っているということで先が見えない状況。そのへんの打つ手がない。マスターであれば、今の定員を充足できるのではないかと考えている。経済状況、教育界の研究状況、国策としてどういうふうになっていくかによるが、本来、知識技術立国として日本が将来なりたたなくなる。知的にハイレベルな人の処遇を考えていく必要がある。

【岡本委員】減免制度も改善され、寄附金についても、奨学金に見合った形の寄附金を増やすという努力を続けていただきたい。経済的理由だけで、減少することがないようにしてもらいたい。先端医科学センター等非常に魅力的な施設ができている訳であるから、この大学の売りとして大学院生が増えるように。

【蟻川委員】大学院については、市大は努力している方だと思う。今、国立大が大学院の定員を増やしている。私学では、大学院の定員を割るところが多い。授業料の面でも国立が安いので、流れる。成績がいまいちでも一流の国立大学の大学院へいける。そういう状況からすると横浜市立大学はがんばっていると評価している。出口が広がっていないのに大学院の定員を増やしたということに由来しているのではないか。

【川村委員長】意見を踏まえ、委員会として財務諸表承認の意見書案の作成を進める。特に意見がなければ、以上をもって第51回横浜市公立大学法人評価委員会を終了する。

  • 事務局より次回日程の確認をした。

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