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第50回 横浜市公立大学法人評価委員会 会議録

最終更新日 2019年1月11日

【日時】平成25年6月28日(金曜日)14時から14時30分
【会議室】横浜市立大学福浦キャンパス・臨床研究棟2階教授会室
【出席者】川村委員長、蟻川委員、岡本委員、桐野委員、山上委員
【開催形態】公開(傍聴者0名)
【議題】

  1. 第49回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)について
  2. 附属病院における医療事故について
  3. その他

【配布資料】
資料1.第49回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)(PDF:203KB)
資料2.記者発表資料(平成25年4月30日)(PDF:151KB)

議題1:第49回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)について

事務局から、資料1「第49回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)」について説明し、承認を得た。

議題2:附属病院における医療事故について

【川村委員長】大変残念なことだが、4月に附属病院で医療事故が発生した。このことについて、法人より説明がある。

【法人】本件に関しては、患者様には無念の中亡くなられるというたいへん痛ましいことであった。病院としては患者様、ご遺族には大変申し訳ないと考えている。評価委員にも既にご連絡をしたが、ご心配とご迷惑をおかけしたことを改めてお詫び申し上げる。配布した資料2についてだが、4月30日に記者会見で出したものである。これについて説明と現状を報告したい。資料に概要があるが、患者様は50代、昨年8月から心臓の病気で入院していた。8月以来ずっと入院しており、年が明けてから心臓の手術等色々あり、4月の時点ではCCUという心臓に関する集中治療室で治療を受けていた。経口での食事ができない状態であったため、栄養チューブという鼻から細いチューブを通し、腸の方に栄養を補給するという処置をしていたが、1ヶ月程経ちチューブが詰まりかけていた。この事故の発生は日曜日で、前日から詰まりかけていたため、看護師が調整していた。通常は、お湯を通しながらチューブを押し、詰まりを解消するが、何回か試してもなかなか詰まりが取れなかった。チューブを入れ替えるのは、身体に負担のかかる診療行為であるため、看護師が、議論していた。これは後日判明したことだが、他部署でチューブが詰まった際に酢を用いて開通させる工夫をしていると聞き、実践することになった。酢というのは4%の酢酸であるが、院内に酢があるというのは治療薬剤としては不適切であるため、病院として入手するためには薬剤部から酢酸を取り寄せなければならないが、酢酸の濃度は、30%である。酢の10倍程の濃度であるが、それを薄めて用いていた。病院としての正式な医療行為ではなく、治療を行う上での工夫であった。院内の他の病棟4ヶ所でも実施していると聞き、そこで使われている酢酸瓶を用いてCCUでも試すことになった。CCUでは、栄養チューブを利用する患者はほとんど入院することが無く、看護師に経験が無かった。酢酸瓶にす5:ゆ1とマジックで書いてあった。酢というのは、一般的には普通食酢のことを言うが、瓶には、す5:ゆ1と書いてあり、瓶の30%の酢酸5に湯1と捉えられるような表現だった。これでは、通常の6倍、7倍の非常に高濃度の25%の酢となる。実際に伝達された内容とは違った形で伝わり、酢5:湯1のまま調合し、使用してしまった。それは複数のスタッフが調合の際、確認している。患者に投与したところ、腹痛が起こり、酢酸の濃度が翌日月曜日になって高濃度であるということが判明した。この判明した時点で病院長にも連絡があり、医療事故委員会が立ち上がり、患者様への謝罪とともに治療に全力をあげるよう病院としての体制が始まった。翌日に看護師が集まり、酢の濃度について指摘されるまで、5:1での使用について確認する中では、酢酸の濃度が原因であると認識しなかったというのが現実である。今回は投与後、腹痛が続く状態であったため、消化器内科、消化器外科の医師等、様々な医師が対応した。酢が投与され、腸に対してダメージを与えたということを前提として、集中治療を行った。翌日に開腹手術をし、腸の確認をした。一時的には回復したが、4月24日午前6時55分にご逝去された。病気の経過として死亡したのとは異なり、異状死に該当するということで、警察に届け出たため、警察が検死等で来院した。事故の原因だが、酢と酢酸とが混乱されながら使用されていたことによるもののためで、実際には、病院としての正式な医療行為ではない。窮余の策として看護師、医師を含め、チューブの詰まりを改善させようとした結果である。再発防止策として、高濃度の酢酸が投与された直後に、同じような事例は無いか直ちに探した所、4ヶ所ほどで同じような酢酸の瓶が見つかったため、直ちに回収、使用しないことを通達し、患者の側に高濃度の薬剤があり、薄めなかった場合に患者に害が出るようなことはないか点検した。2、3薬剤が入ったものが患者の近くにあるということが判明したため、回収した。様々な原因の要素があったが、チューブの詰まりについて、栄養関係の部署にも何回も相談があり、酢を使用したらどうかというアドバイスがあった。薬剤部も酢酸の注文があった際に、病棟に出すにあたり、薬剤師としてこのような高濃度の酢酸を病棟に置くことで、問題は起こらないのか、実際に指摘できたはずができていなかったのも、病院としての反省点であった。本来は気がつくべきものが共有されていれば、防ぐことが出来た医療事故だったと思うが、それが十分できていなかった。院内で直ちに栄養に関してのワーキングや、安全委員会でも安全の徹底等、様々な取組を行っている所だが、本件に関して、外部委員を交えた事故調査委員会が開かれており、大まかな方向性が出る予定である。警察からも事故直後から関係者のヒアリングという形での事情聴取があった。ご遺族にも病院長を含めて事務方で何回か訪問し、話を伺うと共に病院としての誠意を伝えている。現時点で、ご遺族から病院に対しての指摘をいただいき、それを真摯に受け止めて対応している。

【川村委員長】ありがとうございました。ただ今の事故の説明について、意見、質問はあるか。

【桐野委員】残念なことだが、氷酢酸をなぜ病棟に置いたのかが、よく分からない。薄めれば良いと現場で考えるのは、無理はない。病棟での調製はあまりしないということである。以前、抗がん剤の病棟調製で、ビンクリスチンとビンブラスチンを間違え、10倍量投与したということはよくあった。病棟で使う薬剤についてのアドバイス等、薬剤師の発言権を強くしていくべきである。薬剤師に聞くべきことは沢山ある。翌日に事故が判明したというのは、逆に言えばこの処置をした看護師が正直に話しをしたということ。そのシステムは動いていると思う。もし、看護師を全学を挙げて追求し処罰するという方向に向かえば、次回以降は申し出てこなくなり、原因がいつまでも分からない。これは他の犯罪とは異なるので、そこはきちんと動いているという感じを受けた。

【蟻川委員】医療のことは全く分からないが、看護師にしても、医師にしても、化学物質について基礎的な知識がなかったのか。胃には胃酸があるが、PH1くらいである。それぐらいのものなら胃が耐えられるかも知れないが、酢酸の30%というのが、どれくらいのものであるのか、使用する前に考えなくてはならないと思う。これは教育の問題であって、看護師や医師にも化学物質に対する基礎的な知識が必要ではないか。学部教育の教養課程でもそういった知識が必要だと思う。以前ある病院で、炭酸バリウムと硫酸バリウムを間違えて胃の検査に用い、炭酸バリウムが胃の中に入って胃酸で溶けて患者さんが亡くなったという例を聞いた。バリウムは毒性がある。硫酸バリウムは胃酸に溶けないため、安全であるが、溶けてバリウムイオンになれば、毒である。見かけは白く同じでも大きな違いがある。歯科医院で虫歯の予防にフッ化カリウムを水溶液にして塗るが、空き瓶に看護師が、フッ化水素酸の液を瓶に入れておいた。歯科医は、普段使用しているフッ化カリウムの液だと思いそのまま歯に塗ってしまった。フッ化水素酸が、歯を溶かし、さらに咽から気管、食道、胃をやられて患者が亡くなったという新聞に出た有名な話もある。化学薬品を取り扱う方は、薬品、化学物質に対する基礎的な知識をもう少し知っておいてもらわないと非常に危険である。

【山上委員】栄養チューブが詰まるということは、どの程度の頻度で起こるものなのか。

【法人】チューブを使って一ヶ月くらいすると詰まりかける。腸まで入れるチューブはよく詰まる。本学の大学病院は、癌の手術等超急性期に対応する病院であるため、長患いされている患者はあまりいない。療養型の病院や在宅ケアといった癌患者等で、チューブを入れながら自宅で治療している方がいるが、そこでは酢は非常に多く使われている。詰まるということに対して酢を用いた回避策が、頻繁にとられていたようである。

【山上委員】マニュアルが無いということに驚いたのだが。

【法人】看護協会等から、酢に関しては使用しても良いというマニュアルはあるが、詰まったチューブに押し込んで通過させるという使い方ではなく、詰まり加減になるのを防ぐためにチューブに酢を用いるというマニュアルはあった。それが一人歩きをして、実際に病院で使われていたようである。今回公表した後、他病院から、実はやっていたということを聞いた。チューブを入れ替えれば良いのだが、患者にとっては苦痛を伴う処置であるため、なんとかそれを回避したいという看護師たちの工夫の中からこのような使い方がされていたようである。

【山上委員】看護師が医師の許可を得たとあるが、医師にどういう許可を得たのか。

【法人】医師は、他の病棟で酢酸を通すことによってチューブの詰まりが取れるということを聞き、医師も経験が無かったため、実際に使用している部署に行き、本当に使用しているのか確認している。腹痛が起きてからも、医師は再度用量について確認している。しかし乍ら酢酸の濃度が濃いという点が、抜けてしまったままではあった。実際にその部署では高濃度の酢酸を4名に投与していた。腹痛があることもあったようだが、一時的なことで、不幸中の幸いで何事も起こらなかった。先ほども桐野委員から指摘があったように、酢酸が病棟にあるということ自体が非常に危険なことである。院内では、内視鏡室と産婦人科には薄めた溶液だけが薬剤部から届けられており、瓶そのものは無かった。2011年に酢酸の原液が内視鏡室で使用され、患者が亡くなるという痛ましい事故が起こっている。その時も医療安全委員会でその事例が報告され、本学での確認を行った際には、酢酸は薄めたものしか病棟に届けられていないという状況となっていた。その1年後に今回の瓶が届けられるようになった。当時の医療安全委員会の内容が徹底されていれば、酢酸瓶が届くようなことは無かったはずだったが、徹底されていなかった。

【山上委員】どういう使用目的で5:1と書いてあったのか。

【法人】数ヶ月ごとに新しい瓶が届けられ、差し替えられており、今回の出来事までに3回程瓶が入れ替わっていている。最初は、湯5:酢1と書いてあったものが、伝言されている中で1:5が5:1と書かれたのか、お湯が5で酢酸が1だとすると、お酢の濃度くらいになる。酢を使っていたというのは、確かに数ヶ所ある。市販されている一般の食用酢を患者に持って来させるか、買って来させるのは問題があるのではということで、病院の方で、酢酸を薄めて5:1にした。それがどこかで入れ違ったのではないかと類推しているが、調査をしたが、分かっていない。

【岡本委員】他の部署でも25%の濃度のものが投与されていたのか。

【法人】投与されていたケースが4例あった。今回亡くなられた患者様自身も長くチューブを使用しており、昨年11月にも同量の6ccを投与され、この際にも腹痛を訴えていた。栄養チューブは、細いチューブであるため、腸を突き破ることがある。当時は、それを疑い色々と調べたが、そうでないと判明し、そのうちに症状が消えたため、恐らくチューブがどこかに当たり、痛みを作ったのだろうという結論になった。酢酸が高濃度であったということはその時も発覚していなかった。

【岡本委員】医療事故の関係で、高濃度の酢酸瓶は病棟には行っていないという回答をしたが、それは薬剤部との連携が出来ていなかったということか。実際には、薬剤部は届けていた。

【法人】薬剤部の中でも非常に高濃度であるため、使用する際には、注意喚起を求めていた薬剤師もいたが、そういうことが共有がされていなかった。
【岡本委員】薬剤部に酢を注文するというのは、詰まりを改善するためだけの目的で注文したのか。

【法人】そうである。医療現場では、数ヶ所酢酸を薄めた量で使う医療現場があるが、そこには薄まったのしか届いていないので、現場で薄めるという作業は一切行われていない。

【岡本委員】現場に高濃度のものが行かないように徹底する。マニュアルが無い中で、実施されており、こういう事例が他にも無いのか。定期的に吸い上げ、正しいやり方かどうかを検証し、マニュアル化するような体制を作る必要があると思う。

【法人】指摘の通りだと思う。徹底的に調べ実践していきたい。

【川村委員長】ありがとうございました。色々意見があると思うが、本件は、まだ事故調査委員会で調査中とのことで、現在進行形のものと承知している。この委員会の仕事としては、そういった事故が起こったこと、またそれに対し法人がどのように対応したのかということも含め、委員会として評価させて頂く。一つ問題があるとすれば、24年度の評価の対象とするのか、25年度の評価にするかであるが、今回の評価の作業の中で各委員からご意見を頂きたいと思っている。24年度の評価であるから、25年3月31日までと厳密に仕切ってしまうと、これは24年度評価の対象にならないが、その前から伏線があったようでもあるから、その辺は評価委員会としての対応はご相談させていただきたいと思っている。本件については、報告を承ったということで今日はとどめたい。予定していた議題は以上である。特に意見がなければ、以上をもって第50回横浜市公立大学法人評価委員会を終了する。

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メールアドレス:so-daigaku@city.yokohama.jp

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