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第32回 横浜市公立大学法人評価委員会会議録

最終更新日 2020年3月6日

第32回 横浜市公立大学法人評価委員会会議録

【日時】平成22年8月3日(火曜日)14時00分~17時00分
【会議室】松村ビル別館 201号室
【出席者】川村委員長、蟻川委員、岸委員、山上委員、桐野委員
【欠席者】なし
【開催形態】公開(傍聴者0名)

【議題】
1 第31回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)について
2 平成21年度公立大学法人横浜市立大学の年度計画における業務の実績評価について
3 平成21事業年度財務諸表及び利益処分の承認(案)について
4 その他

【配布資料】
資料1.第31回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)(PDF:287KB)
資料2.平成21年度公立大学法人横浜市立大学の年度計画に対する各委員評価一覧(PDF:204KB)
資料3.各委員評価のまとめに向けた総合調整項目(PDF:115KB)
資料4.利益処分の承認について(PDF:121KB)
資料5.中期目標において定めた運営交付金・貸付金の考え方について(PDF:110KB)
資料6.剰余金の処分案について(PDF:127KB)

議題1:第31回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)について

  • 事務局より、資料1「第31回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)」について説明し、承認を得た。

議題2:平成21年度公立大学法人横浜市立大学の年度計画における業務の実績評価について

  • 事務局より、資料2「平成21年度公立大学法人横浜市立大学の年度計画に対する各委員評価一覧」、資料3「各委員評価のまとめに向けた総合調整項目」を説明した。
    <1.大学の運営に関する目標を達成するための取組>
    【川村委員長】前回資料をお願いしたが、就職留年者の状況について、データでは出てこないという回答だった。しかし結果としてみれば、国際総合科学部の卒業年次の留年者は124人存在する。法人からは例年通りという返答だったが、そのように思っていいものだろうか。トータルの学生数の5%を越えているのではないかと思うがどうか。蟻川委員はどう思うか。
    【蟻川委員】本学も就職留年者というのはほとんどいない。調べてみたが、キャリア支援課からは就職留年者は特にいないという回答だった。市大では、一般の留年か就職活動の留年か、調べてはいないのか。
    【法人】留年者の中にどれだけ就職が決まらなかった学生がいるのかを調べるのは難しい。学生にアンケートを取り、就職率を調べているので、就職希望者の中に就職が決まらなかった学生、つまり就職浪人した学生はいるが、それ以外の情報については把握していない。
    【蟻川委員】一般的には就職率はよいということになると思う。本学でも97%程度であり、3%程度就職できなかったが、その内容については追跡調査を行っている。夏頃に公務員試験を受ける予定の者もいるし、就職希望を取り消さないまま留学する者もいる。そういう意味で本学では就職留年というものはいないことになっている。市大も同じだと思う。
    【川村委員長】データ集で、国際総合科学部は、卒業者546人、就職者96.9%、留年者が124人となっている。一方、医学部では留年者は1人しかいない。国際総合科学部の留年者数には、データに表れない不透明なものが混ざりこんでいるのか。こんなに留年者が多いのはやはり、キャリア教育にやや問題があるのではないかと思ってしまう。
    【蟻川委員】この留年者数に、TOEFL500点が取れなかったことによる留年者は含まれているのか。
    【法人】2年時にTOEFLで留年して現在4年になった者は若干名入っているが、基本的にはTOEFLで留年している学生は2年生のままので、今回の4年生の留年者124人の留年理由にTOEFLは関係ない。
    【川村委員長】「2-(3) 教育の実施体制等に関する目標を達成するための具体的方策」の評価がBとCに分かれている。他の委員も指摘しているとおり、研究院への取組が遅れている。大学の運営の基本に関わる問題であり、教員の教育・研究の分担実施体制においても重要である。中期目標期間の当初から議論に出ていながら、達成できずに第2期に持ち越すのはいかがなものかと思う。
    【山上委員】この項目はそもそも組織体制を作るのが目的なのか、研究院の目的達成を図るために色々な取組をすることなのか曖昧である。実績報告を見ると、「教育カリキュラムに応じた多方面の教員の柔軟な活用や、領域横断型の研究を戦略的に推進していくためには、研究院そのものの活性化につながる組織体制を構築していくことが重要であると考え、21年4月に研究院検討ワーキングを設置し、「研究院のあり方」について検討を重ね、学長のリーダーシップのもと、各教員のリソース・マネジメントを発揮できる組織への再編をすることとなった。」とある。21年度までは検討・準備の段階であり、平成22年4月から実際に組織を立ち上げているので、一応の目的は果たせたということでBにしている。しかし、実際には、組織が立ち上がり、機能し、活性化が図られるところまでが成果として出ていないといけない。そこで評価が分かれるのではないか。そこまで考えればCではないかと思う。最後の「平成22年4月に学長のもと「学術企画課」として組織体制も整備され、今後にその成果を期待したい。」というコメントは私のものであり、今後に成果を期待したいと書いたが、21年度中に成果まで出ることを評価するのか、組織体制を検討し、組織が立ち上がったことまでの作業を評価するか。
    【川村委員長】研究院に関しては、徐々に中期目標とずれてきてしまった。中期計画では、教育組織と研究組織を分離し、カリキュラムに必要な人員を配置していく組織を作るはずだったところ、それとはやや異なった考え方で「学術企画課」という人員体制が整備されている。いずれにしろ、第1期を総括した時に、この項目は改めて全体的に評価することになると思うが、ご指摘のようなことで達成できなかったということにならざるを得ないのではないか。確かに、少しでも進んだという点ではBなのかもしれない。報告書のコメントとしてはその点に触れることとしつつ、この部分はBという評価にしたい。
    【山上委員】医学部の定員が増加したことはすばらしいが、教育体制がちゃんと整っているのか疑問である。合格率は高い水準だが、年々下がってきている。定員を増やしたことにより何か影響はないのか。
    【法人】教育体制については、医学部は学年が上がるごとに実習等が増えていくので、医学科定員増に合わせて徐々に体制を整えていくため、現在は高学年にシフトするに従って、9名の教員の増員をはかる予定である。この先、センター病院の教員活用を含め、医学部と協議していくが、医学部の共通理念としては、学内でどこまでできるかを考えながら、臨床実習に必要な体制を作ることを併せて検討していく。今のところ、教育面で質の問題はないと考える。
    【桐野委員】国家試験の合格率は年々変わるので、よほど長期的に見ないと結果が出にくいと思う。もちろん、医師として国家試験に合格しなければどうしようもないのだが、1回で合格する確率が高ければ良いとも一概に言い難い。例えば自治医大などは相当良く、東大・京大などは良くない。とはいえ、30人の増員は少ない数ではないし、学年が上がるごとに教育の業務が増えるので、学年進行型でしっかり教育体制を整えていただきたい。国家試験にしわ寄せが来るような事態は避けるべきである。
    【事務局】設立団体としても、医学部定員増に併せ、当初の運営交付金の計画にはなかった計画外事業として、増員する人件費や設備改修費について、21年度から運営交付金で措置している。
    【桐野委員】今度新しく入ってきた医学部医学科の女性の比率はどうなっているか。たとえば、千葉大学の医学部医学科は女性の比率が50%ほどである。各大学も急速に医学部医学科の女性の人数が増えたので、女性用の設備が間に合わなかった時期がある。その点は気をつけてほしい。
    【法人】医学科の女性の割合については、90人中23人、60人当時は14~16人程度であった。女性は増えてはいるが、割合としては母数が増えたので、そう変わらない状況である。
    【川村委員長】次に「3.学生の支援に関する目標を達成するための取組」について、ご意見をいただきたい。
    【川村委員長】先ほどの話と同じく、キャリア教育はこれから特に強く求められるものである。キャリア教育とは、短期的な問題で言えば就職支援であるが、最近ではもう少し広く、学生に入学時からやりたいことのモチベーションをもたせること、共通科目から専門科目にいたるまで問題意識や知識を持たせ、卒業の時には本人にこれからの人生に立ち向かうにふさわしい力量を身につけさせる、そうした大学全体としての教育指導のあり方とされている。先ほど留年の話をしたが、そういう面から見ると、全体としてのキャリア教育の体制がやや不足しているのではないか。個別の対応はとても良くやっているが、全体の対応としてはBということあろうか。
    【蟻川委員】キャリア教育とは、一つは従来からの通りキャリア支援課の就職ガイダンスのことであるが、最近は人生をどのようにデザインしていくか、ということを若いうちから学ばせることにある。そのため、授業にキャリア形成科目を設置している。授業とキャリア支援課と両方で学生の人生の生き方に対する考えを構築していく、一つの教育として捉えている。ここだけ見ると、個別のアドバイス程度にとどまっているように見えるので、キャリア教育というのが明確ではないと思い、Bをつけた。教育という面からはキャリア教育を行っていないのか。
    【法人】キャリアデザインの実習のようなものは開講しており、取組は始めているが、体系的な教育システムは、今はまだ行っていない。
    【蟻川委員】現在、学生はキャリア教育に着目して大学を選ぶとも聞いている。インターンシップなどは行っているかもしれないが、もう少し長い目で見た、生き方の教育というのが、今の世の中には大切だというのが一般的な考え方かと思う。
    【法人】現在、共通教養科目の中にキャリアデザイン実習やインターンシップを開講しているが、実際に受講している生徒は2,30人しかいない。大学設置基準の改正を受けて、設置基準の改正の趣旨、制度改正への対応について大学としてしっかり取り組んでいくため、教育会議において、部局長に趣旨を説明した。今後はカリキュラムの中にキャリア支援の取組をどれだけ組み込み、実施していくかについての課題の洗い出しを行うことを提案し、検討しているところである。例えば医学部なら、地域医療や附属病院への定着などを踏まえたキャリア教育など、実態としてどのように行われているのかを整理した上で、来年度に向けた対応を検討しているところである。今まで意識していなかった分、現状はまだ十分対応していないのが実情である。
    【山上委員】私はAをつけた。細かい話だが学生の声を取り入れて整備を行い、IT環境の整備などについて思い切った具体的な整備を行ったと考える。実際に項目別の報告書を見ても、16項目のうち、A項目が5つもあるので、他の項目との相対的な評価でAとした。本質的に遅れている部分はあるが、個別の取組を評価する必要があるかと思った。
    【川村委員長】確かに、個別の取組は評価できる。年度ごとの評価として見るならAでも良いのかもしれない。全体のコメントの際に、キャリア教育全体への取組を新しい計画に向けて充実してほしいということを残していただければと思う。
    【蟻川委員】年度ごとの評価が主だと思うが、他の大学と比べた時に遅れているということを指摘する必要もある。キャリア教育について、他大学は大変力を入れている。それに比べると著しく遅れていると思うので、早急に取り組んでほしい。
    【川村委員長】年度計画に即して言えば、個別の取組を評価してAとし、取組の遅れについては総括のコメントの中できちんと触れることにしたい。
    【岸委員】「4.研究に関する目標を達成するための取組」の評価について、年度計画の中には「研究倫理の確立」として、「「研究費不正防止計画」の平成22年度計画の策定および着実な実施を進める。また、引き続き学内に対して広く情報発信を行い、研究者・事務職員の意識啓発を図る。」と書いてあり、財務担当も入って様々な取組を行っている。しかし、計画を作った、発表した、会議したとあるが、いわゆる医局の問題についてガバナンスの問題を分けて考えるということでよいのか。医局についても大学全体を統括するところがしっかり行わなければいけないのではないか。これだけでは、まだ実績が分からない。医局のガバナンスについて、しっかり意見を入れていただきたい。今年度にこのような取組を行った結果、大学当局で研究費の問題を全て見ることができているのだろうか。研修制度を見直したりしているが、大事なところをしっかりやっているかが心配である。法人に要求した質問の回答も少し意見がすれ違っていたようなので、意見としていれていただきたい。
    【川村委員長】Aというのは、外部研究費を多く獲得したことによるのではないか。それも大学の活力を維持していく上で大切なことであるが、ただいまのご指摘どおりで、ガバナンスの問題などはもっともだと思うので、ここは一応Bということにしておきたい。
    <2.地域貢献に関する目標を達成するための取組>
    【川村委員長】格段のご意見もないようなのでここは各委員の評価のとおりBとしたい。
    <3.国際化に関する目標を達成するための取組>
    【川村委員長】留学生の問題について、もう少し大学としての取組を強化していく必要がある。留学生と大学のマッチングを考えた時に宿舎は大切な問題である。宿舎を自前で作る必要はないが、民間と提携するにしても、組織的にやっていただきたいと思う。また、国際化は数値目標になじみやすい分野である。留学生数や、外国人教員の比率など、数値化を考えることは、目標として重要なことではないかと思う。それらのことも踏まえてここはBという評価としたい。
    <4.附属病院に関する目標を達成するための取組>
    【岸委員】医薬材料費比率の適正化について、事情もあるだろうし、特殊な調達のために問題は多いだろうが、どのような事業でも同様に特殊性はあるのだから、引き続き努力されたい。他は随分と良くやっているのだから、ここも努力してほしい。比率は下げないと、経営面でかなり大きなマイナスが出てくるので、努力してほしい。
    また、高度先進医療の取組については、かなり評価できることが多かった。高度先進医療をこれだけ行った上で、ではAになるにはどうすればいいかを考えた結果、1機関でここまでやったのだからAとした。
    【桐野委員】法人にとって病院の割合は大変大きい。支出ベースで70%程度あり、単科大学に近い大きな比率である。大学に病院が2つあるのは珍しく、2つあっても片方は小さい場合が多いが、市大はフル装備の病院が2つあるため、病院の財務状況が市大全体の財務状況に大きく影響している。全体で見れば、本当に非常に良くやっているので、Aをつけたいところだが、他の大学や国立大学では、大体第1期中期計画期間が終わるころには収支が均衡するようになった分、無理が出て臨床件数や論文数が落ちるなどの悪影響が出ている。市大も同じような傾向にあると思うので、バランス良く改善していくのが良いと思う。
    【山上委員】質問だが、安全な医療の問題で、いわゆる一括公表の対象となる事案が7件とあるが、7件というのはどれくらいのレベルなのか良く分からない。インシデントについても同様である。
    【法人】一括公表については、病院ごとに何を一括に公表するかの基準が違う。そういう意味では、比較が難しい面がある。法人では、患者取り違え事件以来、こういった事例はしっかり公表する方針でいるので、多いかどうかということは言いかねる。インシデントについてはそれなりのデータがあるのだが、数が多いから悪いとも言い難く、今まで報告しなかったものも報告をした方がいいという医療従事者の意識が出てきた面もある。公表し、病院内で原因を分析し対応する取組を行っており、そちらの方に生かしていく方がいいのではないかという方針である。
    【山上委員】効率・収益を上げ、無駄な経費を削減する努力をした結果、医療に影響が出るのでは非常に困る。バランス良く、安全は最優先されねばならない。今回、収益が上がる一方で事故が増えているというのは、何らかの関連があるのか。
    【桐野委員】かつて、他の大学病院で医療事故が起きた際に、取り扱いに不手際や虚偽が重なり、特定機能病院の取り消しになった例がある。そのような事故を起こすだけで、数十億円の損害になる。さらに捏造や虚偽が重なると大学のイメージに大きな損害を与える。既にそのことはみんな分かっていると思う。しかし、一定の確率でどうしても事故は起きる。起こった時には堂々と公表していかなければならない。もちろん、事故が起こらないように、二重にも三重にも防護する仕組みを作っていかなくてはならない。一回事故を起こしてしまえばそれだけの損害が出るということを認識した上で、効率ばかりを追い求めないことが必要な判断だと思う。
    【川村委員長】医療の安全と質の維持というのは大変大事なことであると思う。それでは「4.附属病院に関する目標を達成するための取組」の総括としてはB、「1.安全な医療の提供のための取組」はB、「2.健全な病院経営の確立のための取組」は今の話のとおりB、「3.患者本位の医療サービスの向上と地域医療への貢献のための取組」はB、「4.高度・先進医療の推進に関する目標を実現するための取組」について、意見が分かれているところであるが、高度先進医療について大変よくやっているとは思うがいかがか。
    【桐野委員】先進医療の承認件数が7件というのは全国でも多いと思うので、Aでもそうおかしなことではない。
    【法人】現在実施中の先進医療は12件である。
    【川村委員長】それでは「4.高度・先進医療の推進に関する目標を実現するための取組」はAとし、「5.良質な医療人の育成に関る目標を実現するための取組」はBとしたい。
    <5.法人の経営に関する目標を達成するための取組>
    <6.自己点検・評価、認証評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標を達成するための取組>
    <7.その他業務運営に関する重要目標を達成するための取組>
    【川村委員長】八景キャンパスの再整備構想については、設立団体の整備へ積極的に関わっていったことは評価すべきだと思う。「5.法人の経営に関する目標を達成するための取組」全体の取組はB、「1.経営内容の改善に関する目標を達成するための取組」はBでよろしいか。寄付金の受け入れについては、始まったとはいえ額が低いという指摘は妥当だと思う。
    【桐野委員】テニュア制度やサバティカル制度など、様々な制度への取組が中途半端である。言っているだけという印象がある。やるならやる、やらないならやらなければいいと思う。やった方がいいとは思うが、そういう選択肢もある。
    【川村委員長】先ほどの研究院と同じ議論である。
    【桐野委員】色々な制約がある中で考えれば、Bでもいいかと思う。
    【川村委員長】では全体としてはBとしたい。桐野委員の指摘通り、研究院も含め、きちんとした対応をお願いしたい。また、国際総合科学部について、専任教員の採用に関する基本方針が決まっていないというのは相当問題だと思うので、指摘しておきたい。続いて、「3.広報の充実に関する目標を達成するための取組」は特にご異論もないのでBとしたい。「6.自己点検・評価、認証評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標を達成するための取組」は認証評価についての意見も共通しており、Bとしたい。
    【川村委員長】「6.自己点検・評価、認証評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標を達成するための取組」について、一応Bという評価で統一されている。認証評価で指摘されていることについては真摯に受け止めてほしいという共通したコメントである。
    続いて、「7.その他業務運営に関する重要目標を達成するための取組」について、BとCで評価が分かれるところである。中項目1はB、中項目2はCだが、総合的にBとするかCとするか。
    【岸委員】全体で見た時に、中項目にBとCをつけた場合、大項目がBになるかCになるかということがある。前回のUSBの事件は、個人情報の問題だけでなく、業務運営の大変重要な問題を含んでいると考える。危機管理について研究やマニュアルの作成が行われていても、このような事故が起きたということは、起こした年度の評価としては不十分といえるのではないか。
    【川村委員長】確かにご指摘は重要だと思う。蟻川先生はいかがか。
    【蟻川委員】全体として法人は良くやっているのではないか。
    【山上委員】全体としてはBでいいのではないか。USBメモリの問題はCにせざるを得ないが、八景キャンパス再整備構想については前進したし、危機管理規程についても策定された。運用はまだだが、評価していく必要があるのではないか。全体としてはBかと思う。USBメモリの問題についても、もちろん問題点は多いのだが、意図的なものではなく、盗難という不本意な事故に巻き込まれたということであり、それだけで大項目全体をCにしてしまうのはいかがかと思う。
    【桐野委員】基本的には他の先生方の意見と同意である。
    【川村委員長】さきほどのご指摘の点については考えさせていただくとして、「7.その他業務運営に関する重要目標を達成するための取組」は全体としてはB、「1.安全管理に関する目標を達成するための取組」はB、「2.情報公開の推進に関する目標を達成するための取組」はCということでよろしいか。USBの件については、その背景に深夜まで仕事をしてさらに家に持ち帰り、早朝にまた持ってこなければならないという勤務環境自体に問題があるということも含めて、Cとしたい。
    「8.予算、収支計画及び資金計画」については次の議題3で整理する。

議題3:平成21事業年度財務諸表及び利益処分の承認(案)について

  • 事務局より、資料4「利益処分の承認について」について説明。
    法人より、資料5「中期目標において定めた運営交付金・貸付金の考え方について」、資料6「剰余金の処分案について」について説明。
    【川村委員長】20年度決算においては、人件費や医薬材料費の削減に向けた努力がなされ、19年度に比べると法人全体では収支は若干改善したものの、セグメント別で見るとセンター病院は赤字となっているなど、持続可能な経営基盤を早期に構築することが必要と判断された。
    そこで、委員会としては、20年度決算における利益処分の承認にあたっては、「設立団体との共通理解のもと、次期中期目標・計画を見据え、目的積立金の活用も含め、法人全体の財務基盤の強化及び予算統制(収支計画、資金計画、さらには人員配置計画や設備投資計画など)がさらに実質的に機能するための取組を進めること。」という意見を付した。
    この意見を踏まえ、例えば目的積立金の使途については、一定の方向性が示されるなど、取組が進められていると思われる。また、21年度決算においては、センター病院も含め、すべてのセグメントで黒字となったことは評価できる。
    一方で、本来大幅な黒字が想定されない大学部門において12億円以上も黒字となった点や、看護師が予定通り確保できなかった点、また医薬材料費比率の目標達成が困難な状況となるなど、法人全体で計画的に事業が実施されているのか、やや疑問が残る結果となっている。
    そこで、今回の利益処分の承認にあたってご意見を伺う前に、「法人全体の財務基盤の強化及び予算統制(収支計画、資金計画、さらには人員配置計画や設備投資計画など)がさらに実質的に機能するための取組」について、現在どのような検討がなされているのかを確認したい。
    【法人】目的積立金だが、21年度末で約43.6億円ある。内訳としては、退職引当金として約18.7億円を充てる予定である。これは法人の職員として在職した期間に対して支給する退職金である。これとは別に、市の方から借入金を受けている。附属病院の電子カルテ整備事業について、元金の半分相当について病院が負担しており、約6.4億円となる。また、八景キャンパス再整備について、機能をプラスする分については、法人が負担することとしている。ここまでが一応、決められたものに対する引き当てである。これとは別に、センター病院の電子カルテ化を考えており、これから市と調整するが、2分の1の元金については法人が負担する可能性がある。さらに、施設整備について、施設の改修・投資の他、滞っていた医療機器の更新を行う予定である。以上の内容で、21年度末までの43.6億円を充当していきたいと思う。22年度の17億円について、経営努力として認めてもらえると仮定した場合、老朽化した大学・病院施設の整備、消防法の改正に伴う消防設備設置義務への対応、両病院の医療機器の更新などに充てていきたい。
    【川村委員長】ただ今の目的積立金の計画の内容については前回も資料をいただいている。去年のこの委員会で、法人全体で収支計画や資金計画や人員配置計画を作成し、全体的な統制のもとに事業を実施されたいという意見をつけたことについて、法人全体としてそういう取組がその後どのように行われてきたのか。
    【事務局】今日の時点でお示しできるものは無いのだが、法人から第2期6年間の計画の素案を提出してもらい、調整している最中である。それを元にして第2期の運営交付金を確保したいと思っている。中期計画の案と併せてご議論いただければと思う。設立団体としての考えは、施設改修や病院の医療機器の更新について、第1期期間中に十分な財源を措置できなかったという問題があると思っている。第2期中期計画期間中には必要な額を交付できるよう、設立団体としても努力していきたいと思っている。しかし、本市の財政状況も逼迫している。そのため、原則は設立団体が措置するべきということは十分承知しているが、法人と本市が協議の上、施設改修や医療機器の更新に例外的に目的積立金も活用していくことになった。
    【法人】ご指摘のとおり、法人には様々な課題がある。しかし何もしていないというわけではなく、例えば看護師確保対策として、本学の看護学科の学生に両病院に就職してもらうため、4年生の学生に対して、卒業後に附属病院に就職してもらうことを条件に、年間最大60万円の就学資金の貸付金を行う制度を新設した。また、キャンパスの施設改修についても、経費のやりくりを行い、年間5000万円程度で行っているが、今回は1億円程度に増やし、目的積立金を取り崩さずに、経費削減等の努力から経費を捻出して行っている。経済困窮学生に対しての減免措置も、例年の倍程度に増やしている。端的に目的積立金を取り崩しているわけではない。やはりこれからの6年間を考えていくと、市側の事情もあり、これまで通りの支援が受けられないという可能性もある。財政的に中々手を付けられなかった改修などを留保していた件もある。今後、新しいことに取り組む中で、目的積立金を効率的に使いたいという思いがある。
    【川村委員長】今年度の17億円の利益処分の承認について、ご意見を伺いたい。
    【桐野委員】目的積立金について、非常に夢のない使い方になってしまった。もう少し全体として夢のある使い方ができないかと思う。退職給付引当を積立金から出すとして、本来は引き当てをしないといけないものであったのなら、今後毎年度のことになる。本当は設立団体である横浜市の方に基金を作るなどをするのではないか。本来は、積立金から引き当てるのはおかしいのではないか。
    【法人】法人化当初に引当金を積めばよかったのだが、引き当てるお金がなかった。
    【桐野委員】国立大学では引当金はなく、国がその都度全額を交付金で出している。
    【法人】国立の場合は、国が法人化の際に一定額支出し、さらに毎年度運営交付金で支給している。我々には一切それがない。
    【岸委員】法人化までの分はその都度市が払うことになったため、引当金は計上してない。しかし法人化後の1年後、2年後の引当金の財源は交付しなかった。今回は剰余金が出て、市の財政状況も厳しいので、ここから支出しようとしている。お金が入ったから急に引き当てようというのはおかしな話に聞こえるかもしれないが、会計理論上の話としては、あり得るものだ。
    【桐野委員】ではそれは仕方がないのだろう。それとは別に、高額な医療機器を目的積立金で購入した場合について、再度これを更新する義務が横浜市になくなってしまう。目的積立金にせずに、市に寄付した上で、市が医療機器の更新のために交付してくれた方が、本来は良い。
    【事務局】医療機器を早く購入したいが、市ではすぐに交付できないという状況である。財政当局の考え方としては、市として用途を指定した寄附は受けられない。緊急的に更新を行なうが、再度の更新について市が措置をするという担保をとっていくという形を考えていかなければならない。そうでなければ、努力をして残した積立金を何のために使うのかという話になる。設立団体側の我々が財政当局と調整させていただければと思う。
    【桐野委員】しかし、今年度で第1期中期計画期間は終わってしまうので、夏休みを過ぎてからすぐに入札を始めないと、執行できなくなってしまう。
    【岸委員】昨年の議論が繰り返されるなら同じだと思う。ただ承認するだけでなく、付帯意見をつけているのだから、今後しっかり意見を認識して実施してもらいたい。さらに、計画を立て、優先順位をつけて取組を進めてほしいというのが昨年の意見である。今回も同じ意見になるかもしれないが、期限を定めて実施してもらわないと、来年も同じことになる。具体的な方法を設立団体と法人でよく話し合って欲しい。
    【事務局】前回の委員会で桐野先生からお話をいただいたが、大学で非常に大きな利益が出てしまった。経営努力の結果とはいえ、17億円という金額になると、当局としては剰余金が発生した理由を庁内で説明しづらい。今年度の中で計画的に積み立てるもの、活用するものを早い段階で整理していかないといけない。第2期計画の中で生かせるように調整をしていきたいと思う。
    【桐野委員】この財務状況を議会に報告する際、議会に内容を説明しないまま見せてしまうと、交付金を交付しすぎているのではないか、という反応になると思う。今回の結果は、法人化した他の大学も含めて、非常に努力をされた結果であるということと、たまたま医師不足という時期的な問題で、大学病院に対して手厚くするという国や自治体の考えがあった上で、このような結果になっただけであり、例えば医療費の額が変わればすぐに大きく変動してしまう数字であるということを良く理解していただく必要がある。日本全国みんな同じような状況であり、目的積立金を運営や教育のために使っているということを説明し、交付金減額につながらないようにしてほしい。国立病院の現状も同様である。短期的な現象であるため、長期的に運営交付金を減らしていいという議論にならないように気をつけていただきたい。
    【山上委員】結局、全体の予算管理ができていないということである。各セグメントにて利益を出すこと頑張った結果、これだけ剰余金が生まれたが、本来であれば設備更新や、教職員の増員など、充てるべきことがあったと思う。それを全体としてしっかりとコントロールしていなかったため、いざ剰余金が出た際に、使途に悩むことになる。普通の企業であれば、剰余金の額を見越して引当てるなど、予算の中で統制されている。やってみなければわからないということではなく、当初からちゃんと予算の中で運営されていれば、設備更新などを行っても、収支のバランスの中で適正な水準の数字になるはずである。今はそれが機能していない。病院経営は機能しづらいという面があるかもしれない。
    【桐野委員】山上委員のおっしゃるとおりであると思う。民間に見習うところはまだまだ多い。法人化したばかりで単年度会計を引きずっている。今、山上委員がおっしゃったように、年度会計をやってきて、夏休み明けの時点で、剰余金の存在を仮定できなければならない。そしてその金額を8月末には決断し、使ってしまって、剰余金を残さない。これも一つの選択である。また、剰余金を残しておいて大きな事業を行うという選択もある。そのような選択ができるようにしておかないと、法人として成り立たなくなってしまう。今は収入と支出が連動しているが、昔は関係がなかった。法人化して、収入と支出が連動する中で経営をすることに慣れる必要がある。
    【山上委員】独立行政法人として運営していくなら、そのような予算の作り方をするべきだと思う。民間では今は四半期ごとに決算を行い、コントロールを行っている。1年間終わってみたらこんな状態だった、では、交付金を減らそうという議論に必ずなってくる。そうならないためにも、無理をして利益を出すのではなく、支出すべきところには支出するなど、適正な努力をして利益を出す必要がある。それが去年の付帯意見の意味である。
    【桐野委員】企業に近づいた面と、横浜市の一部だった時代の面と、ちょうど中間以上まで来ていると思う。月次で計算をしているし、大体の決算は分かるようになっているので、山上委員が言うよりは良いところまで来ている。
    【法人】法人として、収支管理ができてないというご指摘を受け、最近は年度内の執行管理を行っている。ただ、一方で、法人として一定の剰余金を持っていたいという気持ちもある。市の予算や資金に頼るだけでは難しいものがある。国立大学は明確に諦めて、年度中に使い切るように指令が出ているが、我々としては、それを適用するのは難しい。
    【岸委員】だからこそ、なおのこと、単年度での剰余金の額・使い方を意識してほしい。民間はさらにこれに税金も考慮して、いわゆる税引後利益を考えている。何億になるかは別として、いざという時に貯めておくのはいいが、単年度で10何億も出したら、交付金を減らそうという話になる。毎年ある程度の金額を計画的に貯めたら、大学として何年度にこの事業を行うという計画を作ることが肝心なことだと思う。
    【桐野委員】一部の大学だが、内部のキャッシュを蓄積して、運用によって授業料の免除などの様々な事業を行おうとしているところがある。一番貯めているところでは1千億円ほどになっているところもある。基金ではないが、運用できるお金を増やしていくというのは一つの方法かと思う。
    【法人】我々としてはそのような基金による留保が望ましいが、監査法人としては、市と調整の上で基金をつくるべき、という回答であった。
    【岸委員】会計的にはそうせざるを得ない。年度によって剰余金を勝手にできないところに問題がある。
    【川村委員長】退職引当金は今後どうするのか。
    【法人】今後は法人で毎年きちんと積んでいく予定である。
    【蟻川委員】引当金は100%留保しているのか。
    【岸委員】私立大は引当金50%が多いと思う。
    【蟻川委員】22年度もこれくらい剰余金がでる見込みなのか。
    【法人】22年度は21年度に取り組んだ経費削減策等をすでに盛り込んであるため、21年度よりは多少剰余金は少なくなると思う。
    【蟻川委員】少し努力すればこれだけ減るならば、今まではかなり無駄使いをしていたのではないかという気がする。
    【川村委員長】去年からの懸案事項であった、運営費交付金が減らされるのではないかという議論でも申し上げたが、運営費交付金というのは本来収支差額によって積算すべきものではない。国立大学では法人化から6年経って、昨年の事業仕分けで国立大学法人というあり方自体の見直しを行うことになり、様々な議論があった結果、その見直しの中間のまとめが先月出された。そこにそもそも運営費交付金がどういうものかということについて、これは国立大学を法人化した際の付帯決議にも書いてあるのだが、「大学が教育研究を確実に実施できる、病院の最先端医療の開発や、地域医療の最後の砦として運営できる額を確保すべきもの」という趣旨のことが書いてある。つまり、運営費交付金とは、単なる収支差額という性格のものではなく、公的社会的インフラとしての大学の基盤を確保するための経費であるということなのだが、実際には多額の利益が出てしまうと、交付金を下げろという収支差引の議論にすぐに転じてしまう。これはまったく法人化の趣旨に反していると思う。社会的に、大学を法人化した意義というものをきちんと理解してもらう必要がある。しかし、現実に単年度17億円の剰余金が出るというのは、その内容は別としてやはり大きな事態である。交付金の性格をより鮮明にしていき、公的なインフラストラクチャであるということを明確にするためにも、今後このような事態が生じないような適切な運営に努めていただきたい。
    【川村委員長】今年度の利益処分について、前年度も同様の事態があり意見を付したが、今回ももう一度同趣旨の意見を付ける必要があるのか。法人としてのいわゆる予算統制への取組は昔よりも大分良くなっているということだが、しかしやはり全体としての予算統制というか計画的な経営という面から見ると残念な結果といわざるを得ない。
    【事務局】額が大きいのは事実であるが、病院に関しては非常に努力して収益をあげている。大学自体も、外部資金の導入など、これまで以上に努力をしてきた。努力した結果は相応以上に入っているのではないかと思う。来年度以降、どういう形で運営していくか、明確な方向を検討してほしいと、設立団体としても思っている。
    【川村委員長】確かに、外部資金については大変な努力をしていると思う。今後ともさらに努力されたい。
    法人・設立団体から話を伺った結果、これからさらに全体の予算統制や計画的な運営に努力をされるという話であり、そういった点をふまえながら、21年度の決算における剰余金の扱いは、基本的に目的積立金ということで、先ほど示されたような考え方で良いとのではないか。ただ、付帯意見の文案については今日のところは素案までまとめるのは時間の関係で難しい。よく整理した上で、事務局で素案を検討していただき、評価書と同様に、案が出来次第、委員にお目通しいただくことにして、次回の委員会で最終的に意見をまとめたい。

議題4:その他

  • 特になし

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電話:045-671-4273

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