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第18回 横浜市公立大学法人評価委員会会議録

最終更新日 2020年3月5日

第18回 横浜市公立大学法人評価委員会会議録

日時 平成20年7月29日(火曜日)14時00分~17時00分
開催場所 ヨコハマジャスト1号館 3号室
出席者 川村委員長、蟻川委員、岸委員、桐野委員、山上委員
欠席者 なし
開催形態 公開(傍聴者2名)
議題
1 第17回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)について
2 平成19年度公立大学法人横浜市立大学の年度計画における業務評価について
3 平成19事業年度財務諸表及び利益処分の承認(案)について
4 その他
決定事項
(1)第17回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)を了承した。
(2)各委員による個別評価をもとに総合調整を行なった。
(3)委員会での議論を踏まえて、評価結果の素案を事務局が作成することとした。

1.第17回横浜市公立大学法人評価委員会議事要旨(案)について

資料1(PDF:282KB)】により事務局から説明があった。
【桐野委員】:国立大学も申請はしていないということはないので、お調べいただきたい。
【川村委員長】:ご指摘の点を確認のうえ、必要があれば訂正する。

2.平成19年度公立大学法人横浜市立大学の年度計画における業務の実績評価について

資料2(PDF:663KB)】【資料3(PDF:175KB)】【資料4(PDF:139KB)】【資料5(PDF:214KB)】により事務局から説明があり、委員会による個別評価をもとに総合調整を行なった。

<1. 大学の運営に関する目標を達成するための取組>
【川村委員長】:2Pの最初の行に「改善改革書」を作成するとあるが、これは18年度の計画に入っていて、それができなかったということで、これで2年越しになる。それからTAについても報告書を作成する計画ではなかったか。
【事務局】:改善計画書については、18年度に全学部で議論を深め、作成を宣言したが、18年度においては、前段である各教員の懇談で終了してしまった。改めて19年度に、年度中に策定すると計画を立てた。スケジュール管理の問題だと思っている。
【蟻川委員】:コース選択について、ガイダンスに対するアンケート調査を行い、評価することが盛り込まれているが、学生にとっては、自分が入った学部で自分が何を学べるかということは大変重要であり、これが上手くいかないと、今後の志願者数などにも影響が出ると思う。学生の指導については大変心配している。入学時からガイダンスをしっかりやることが肝心だ。学生が学んでいく上で何が自分の適正かを自覚してゆくということは当然であるが、ガイダンスを十分にやってほしいと強く希望する。
【川村委員長】:新しい学部なので、コース選択は難しいと思う。学生がいたずらに迷うことがないように、履修モデルやガイダンスはしっかりしてほしい。
【山上委員】:大変大切な問題だ。前から本委員会でも指摘をしていた。学生の声を聞いてからという説明があったが、それが言い訳になり、遅れてきたような気がする。やっと基本的な計画がまとまりつつあるので、早くまとめてカリキュラムを改善してほしい。ベースになることなので、評価は迷ったが、一応ある程度まで進捗していることが確認できたので、Bにした。
【川村委員長】:その点に関して、医学部はしっかりやっている。
【山上委員】:国際総合科学部は新しい学部なのだから、急いでやらなければならなかった。生徒も迷っているが、実際は教員側も迷っていたからこうなったのだろう。
【川村委員長】:各委員の評価が多少分かれているのは6P~7Pの学生支援だが、その前に、6P中程の「2(3)教育の実施体制について」の国際総合学部についてのコメントに「19年度計画の、コース長、カリキュラム長等がカリキュラムに応じて研究院や病院から教員を確保できるよう、学部長と研究院長が調整できる仕組みを推進するは、未だ解決できていない。又、解決策が明確でない。」とあるが、この研究院長というのは法人化した時にも色々と意見があったと思う。医学部・病院を含めて全学部の教員組織が、国際総合学部のカリキュラムの指導に当たるのだという話だったはずだ。このあたりが上手くいっていないということであろうか。
【事務局】:研究院という新しい概念を作って、全教員がそこに所属をする。学部における教育内容に応じて、そこで教えてもらうということを最初は考えていたが、研究院は研究に特化して、研究を活性化させるという目的がある。研究の活性化は思ったほど進んでいない。教育については、法人がそれなりに考えていると当局は思っている。遅れているかもしれないが、医学系についてはデータとして示すことができると思う。研究院を作った理由の一つは研究の活性化だったが、やはりここがうまくいってない。また、旧商学部・旧国際文化学部が昨年は残っていて、そのことで教員側が悩んでいたため、組織のポリシーが実現しえなかった。
【川村委員長】:教育組織と研究組織を組織上別立てとする試みは現在さまざまな大学でおこなわれている。従来の商学部や医学部などの学部は教育と研究の機能を一体的に担当する組織だった。それを新しい国際総合科学部は、教育中心の組織とされ、教員は研究院という研究組織に所属するということで、それはそれなりに整理されたが、それが実際には今のところ上手く機能していないのではないか。これは重要な課題であると思う。
【川村委員長】:6P~7Pにかけて、評価がわかれている。私も少し迷ったが、コメントの2にあるとおり、実際にクラス担任がきちんと配置されているのであれば非常に良いことだと思うが、実績報告書での「担任が不明の学生が発生しないように制度を確立した」という表現を見ると、担任不明の学生が現実には少しはいたのではないかと思ってしまう。そうなると、Aは行き過ぎであるが、たぶん達成されたのであろうと推測して評価した。それができていれば非常に有益なことであると思う。今の初年次、二年次生あたりは、きちんと相談できる教員がいるというのはいいことだと思う。
【事務局】:大学としてはフォローしているが、実際には実態がつかみにくいこともあり、学生の満足度のような具体的な事例が2,3でもあればご説明できると思ったのだが、そこまでは現実には至っていない。今まさに学生と対峙し始めている最中である。おそらくこれから、具体的な業績が出てくる。そうなれば、さらに真価が分かるのではないかと思う。
【蟻川委員】:前よりは今年は少し前進したとみて、Aとつけた。
【川村委員長】:最近どこかの新聞に、けっきょく学生の面倒見の良い大学が評価されているという趣旨の記事があったが、そういう意味では本学はよく努力していると思う。それがどこまでの成果を出しているかは分からないが、一生懸命努力をしている姿勢は評価する。
【事務局】:キャリアサポートなどの就職支援は他大学からも評価を受けている。従来の公立・国立が弱い分野であり、学生・企業と非常に密に接し、対等な関係を構築することになったのは評価できるが、その他の、日常的な教育がどこまで上がったかというのは、残念ながら突き止めてない。そういった意味では、学生支援のある一面は非常に高く評価したいが、本懐である教育の満足度が、今はどうなっているのかというところが気になる。
【山上委員】:私も年度計画における項目別の状況を見て、色々なことを実施し、努力しているということは分かった。自己評価がBだったので、あえてAにするインパクトは今ひとつ感じられなかったので、Bという評価にした。
【岸委員】:学生の目から見たものがフィードバックされないと、なかなかAと言い切れない。色々やっているし、施設も大学の学生生活を送る上で大切なものであるが、目に見えたものだけやってしまっては本当の意味でAには行かないと思うので、これはなかなか奥が深い問題だと思う。
【桐野委員】:良くやっているという印象はあったが、特別にやっているという印象はなかったのでBとした。
【川村委員長】:4の研究の方はいかがか。先端医科学研究センターについてご意見があるが、これはやはり難しいのだろうか。
【桐野委員】:優しくはない。どこまで進んでいるかによるが、進めば進むほど資金が巨大になっていく。大学として、先端医療のシーズをいくつか作っていくつもりであれば、ベンチャーに移行する考えなのか。
【川村委員長】:本当に進めていくなら、ベンチャーとしてやっていくのも一つだと思う。
【桐野委員】:その場合問題になるのは知財管理である。横浜市立大学で生まれた知財を市場に出せるように、企業との間で渡りをつけて資金を得たり、特許を取ったりすることができる組織を、どの程度作っているのか。本気でやるならばそこが一番重要になる。
【事務局】:法人としては構想を持っている。当初はまさにベンチャー型を想定し、一定程度基礎を作ってしまえば、教員が持っている知識を一箇所に集めることができ、それによって新たな研究が活性化し、民間からも資金が集められるだろうということで、横浜市としてもオーソラズしていた。しかし現実としてはやはりそう甘くなく、すでに3つの部の整備をし、外部資金だけでなく、市からも税金を投与して支援していかなければ進まないというところに立っている。今後のセンターの進め方について、市としても議論を進めていかなくてはならないと思っている。体制としては、現医学部の教員が兼務するという状況である。市としても議論していきたい。
【川村委員長】:多くの大学で行われているように、大学全体としての知財の管理活用体制はできているのか。
【事務局】:形としては研究センターの体制の中で知財の管理をしている。いわゆる職務上の発明についてはここを経由して特許申請をする。形はできている。
【川村委員長】:知財が学内のいろいろの組織に分散しているようならどうかと思う。
【桐野委員】:横浜市大でいい種が生まれる場合もあるので、それを本気でやるというのは大変だ。
【事務局】:お金が大変ということか?
【桐野委員】:体制をどうとるかということだ。その種が本当にいい種かを目利きするのは、なかなか難しい。市場にのるようなものであるか、目利きをしないといけないが、本当にやるとなれば、相当な覚悟が必要になると思う。目利きの判断というのはすごく難しい。まず体制づくりを固めて、これからだんだん強化するのかと思う。京都大学などは先行しているが、自力開発まで行った大学はまだない。CRCやデータマネージャーなどを強化して、標準医療を市立大学から提案し、超一流紙に論文が出てくるような段階まで持って行く必要がある。臨床レベルを国際レベルまで十分引き上げておかないと、本当のトランスレーショナルリサーチは難しい。横浜市として投資をするかどうか、難しいところだ。
【事務局】:中期目標で位置づけている。市立大学に医学部があるというのは一つの売りだと思っている。大学だけにやらせるのではなく横浜市の政策とリンクして、密な関係で進めていこうと中期目標で定めた。それを具体化していく中で、色々な初期投資が必要であるというような事が分かってきて、当初の計画が甘いということには気づいてきている。横浜市もどこまで投資するか、市側の問題として、これから議論を深めていかなければならない。
【川村委員長】:そういうことであれば、法人ばかりに言っても仕方のない話で、設立団体としての市側も本気で投資するつもりがあるのか確認が必要だ。
【桐野委員】:国としても力を入れている事業で、医療クラスターなどの構想がある。最近は開発医療特区の公募が総務省のホームページ上に出ていたが、そういうことに今後積極的に関わるべきか考えなければいけない。

<2. 地域貢献に関する目標を達成するための取組>
【蟻川委員】:当大学にも同様の講座があるが、アカデミックな講座を作ると参加者が少ない。カルチャーセンター的なものを作ると参加者が多い。大学なのだから、アカデミックな方をやりたいが、受講料を取っている関係もある。エクステンションセンターも同じような悩みを持っていると思う。ここでも受講生がなるべく多く集まる講座を作ろうと思っているのだろうか。
【事務局】:みなとみらいという立地であり、基本的にはお金優先ではないが、それなりの採算性が取れることを前提としている。市大の教員の持っている知を市民に提供するというアカデミックな講座を中心にしているが、アカデミックに走りすぎて受講者が少ない場合もある。収支がとれるとはいかないが、にぎわいがあるところに移転した経緯があるとすれば、市側としては物足りないと言わざるをえない。
【蟻川委員】:大学の持っているものを市民に提供することと、市民が望むことがなかなか一致しないのが難しい。
【川村委員長】:蟻川委員の所属される大学の場合は、地域の住民をターゲットにしているのか。
【蟻川委員】:地域の住民と在校生・卒業生と広く視野に置いている。できてから8年目になるが、やはり地域の方に固定客も増えてきた。大学の講座なのでアカデミックな講座を開くことを考えているが、比較的、アカデミックになると受講生が減ったりする。タイトルのつけ方なども工夫がいる。うちは理学部があるので、癌に関する講座を開いてみた時に、内容は基礎的なものだったが多くの受講生がきた。しかし、質問の内容を聞いてみると、雑誌に載っているアガリクス茸のことを聞かれたり、受講者側と教員側のかみ合わない部分が見えたこともある。
【川村委員長】:みなとみらい地区はまさしく横浜の都心地区だが、地域性という点では曖昧で、むしろ上大岡の方が地域ということがはっきり見えていたと思う。ある意味ではみなとみらいという場所が良すぎると思う。誰を対象に、どの様な内容、レベルの講座を開くのか、現在試行錯誤している段階かと思うが、おのずから対象が絞られてくるとは思う。
【事務局】:経緯として、市立大学は地域の社会人も受け入れられる大学院を目指して移転した趣旨からすると、誰がターゲットかわからなくなっているのではないか。市としても、何故あの場所に移転したかを再度考え、存在意義を明確にした上で投資していくべきだと考えている。
【蟻川委員】:受講者はどういう方が多いのか。
【事務局】:リピーターで、5~60代が多い。
【蟻川委員】:うちも退職された男性の方が多い。
【事務局】:上大岡の時より客数は増えたか。
【事務局】:受講者数も収入も減少している。
【岸委員】:市民が望んでいる講座というのも大切だが、独立採算とまではいかなくとも、いくら収入があり、原価がどれくらいかなどの基礎データが出てきていないので、方向性が見えない。やはり独立法人として独立した収支計算をやっていく必要がある。あくまで市民の望んでいるものに対応するならば、時間をかけ、アンケートなどを分析することが必要であり、結果少しずつでも良くなっていけば、地域貢献の目的が果たせると思う。独立した収支計算は絶対に必要だと思う。データを公開してもらった方が分かりやすいと思う。
【事務局】:独立した収支計算という所まではいってないが、事業毎の目標収入の予算は組んでいる。2100万円で予算収入を組んで、現実の受講料の収入は600万円であった。毎年同じくらいである。2100万円で予算収入を組んで決算収入が600万円というものが、どこでどう間違えているか議論する必要がある。
【岸委員】:あとは原価をどこまで考えるか。その収支でどこまで続けられるか、その議論が必要。
【蟻川委員】:無料講座にはたくさんの来場者がある。お金を払ってまで聞く価値があるかどうかということで評価をされてしまうのではないかと思う。無料なら集まるが、有料だとお金を払ってまで来ないというところに問題があるのかもしれない。
【川村委員長】:センターの事業の方向性というのをそろそろ考えないといけない。法人としての考え方をきちんとまとめて欲しい。
【山上委員】:相当努力をされたとは思う。できるものは何でもやろうという姿勢は感じたが、市民にニーズがあったのかどうかという点では疑問もある。今の段階ではやむを得ないかと思うが、大学のエクステンションセンターは、何のためにやるのか。カルチャースクールなら民間がやっている。人が集まればそれでいいのかという問題もある。ともかくスタートの段階なので、試行錯誤しながら、リサーチしたり、反応を見て、大学としてのあるべき姿というのはなんなのか考えて欲しい。エクステンションセンターは地域貢献の柱の一つだと思うので、何とか実らせていかないといけない。現在は種をまいている段階だと思うが、分析をしていく必要がある。これは医学部も入っているのか。
【事務局】:医学部の教員の方もエクステンション講座は入っている。
【桐野委員】:有料と無料との差が分からない。3つ目のピロリ菌に関する講座など関心が高いと思うのに8人しか来ていない。病気のことは無料で行った方が良いのではないかと思う。メールを定期的に送信し、最新の講座をお知らせするなど、お金をかけないで大量に情報が行くような仕組みをされたほうがいいと思う。現在バラバラになっている講座に順列をつけて一連の講座にしたり、やり方次第だと思う。
【蟻川委員】:うちでは登録制の無料閲覧サイトなどがある。
【山上委員】:まだ住民に伝わってないのではないか。
【桐野委員】:これだけ講座があるのはいいことだと思う。
【事務局】:確かに、病院の無料講座はすぐにうまる。やり方があると思う。

<3. 国際化に関する目標を達成するための取組>
【川村委員長】:残念ながらCの評価をつけざるを得ない。あまりにも取り組みが遅いと思う。これなしでは大学は生き残っていけない。留学生200人計画と銘打って倍増を計るのはいいが、具体的にどういう手法、段取りで進めようとしているのか。個々の部分的な取組はやっていると思うが、総合的な取り組みをぜひお願いしたい。
【山上委員】:私もBと評価したが、Cでもいいと思った。国際化は横浜市立大学の戦略の大変重要なテーマであるが、法人が真剣に取り組んでいるのか疑問である。中身の十分な吟味もせずになんとなく200人という数を合わせているといったかんじだ。ネットワークづくりについても、目標20のうち17まで達成とあるが、しっかりしたビジョンを持って、国別にアプローチをしているのか。国際化に向けた環境整備が必要なのに、数合わせだけをしている気がする。大学をあげてこの問題に目標を定め、それぞれが役割分担を決めて行っているようには見えない。細かいことで努力をしているのは分かるが、基本的なところでCではないかという気持ちが正直ある。
【事務局】:大学でも議論を重ねているはずだが、できることを極力手広くやっているのは事実である。しかし留学生宿舎や英語のカリキュラムなどの入り口の議論で止まっている印象のものもある。国際化推進センターがリードをしているつもりだろうが、実態的にこの議論から進まないといけない。
【蟻川委員】:受け入れだけでなく送り出しである留学についても、4年間のうち1年海外で学ぶという制度にはなっていない。1年間留年をしてまで留学をしないという人も多い。4年間の1年を海外で学べるという制度を早く整備してほしい。これだけ英語に力をいれているのだから、留学をさせるということも重要なのではないか。
【桐野委員】:実際に海外との単位認定をやっている大学というのはあるのか。
【蟻川委員】:うちの大学でも、協定大学に留学して取得した単位をカリキュラムと照合して認定するという制度を取っている。4年間無駄なく1年間留学している。
【桐野委員】:留学は生徒にとってとても良い強烈な体験だと思う。
【蟻川委員】:立派な大人になって帰ってくる学生が多い。海外から日本を見直すということも大事なことであり、海外の文化を見てくるだけでなく、日本の良さ・悪さを海外から見ることが重要だ。自分たちが日本を知らないという自覚を持つこともできる。
【事務局】:市大で交換留学をした生徒は3人である。また、サマースクールなどを含めると20~30人程度である。留学するほとんどの学生は1年休学して留学するのでロスが出る。
【蟻川委員】:うちでは協定大学以外でも自分の大学と同レベルかそれ以上の大学であれば、認定大学として、留年なしで留学できる制度を取っている。ただし、語学留学はその範囲ではない。しかし実際には海外の大学でたくさん単位が取れるわけではないので、4年生になってから卒業するための単位を取得する必要がある。

<4. 附属病院に関する目標を達成するための取組>
【桐野委員】:附属病院の資料を見ると、どの部分を見ても努力のあとが見られ、良くやっている。国立の病院と比べると、ここは都市部であり背景の人口が多いこと、施設整備について横浜市が負っているということや、経営改善係数を負っていないということは有利なことであるが、これからもがんばって欲しい。ちなみに、国立の方は、施設整備の償還と経営改善係数を負っているため、今後は経営が苦しくなると言われている。
【川村委員長】:Aという評価をつけたが、病床休止問題を失念していた。去年の7月から5月まで10ヶ月の間、病床を15床休止したことが、業務実績報告にも書かれていない。確かに年間を通じての収入は上がったが、市民の立場から言えば、ICUを減らしたり特別病床を減らす期間がこれだけ長期化したことはやはり問題である。看護師確保に努力をしたのは大変いいことであるが、そもそも看護師不足による病床休止が前提にあってのことだ。収入が増えたのはいいことだが、サービスが1年近く停止したということはやはり残念なことである。さらに、こういうことがあった場合は提出資料にきちんと書いておいていただきたい。
【川村委員長】:ISOと病院機能評価は内容が重複しているところが多いのか。
【桐野委員】:被っている部分が多くあるので、どちらか片方だけを取得する病院が多い。両方取得となれば、大変な作業である。片方だけを選択するというのは実際的だと思う。

<5. 法人の経営に関する目標を達成するための取組 >
<6. 自己点検・評価、認証評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標を達成するための取組>
<7. その他業務運営に関する重要目標を達成するための取組>
<8. 予算、収支計画及び資金計画>
・5.~7.の説明の後、「学位審査等に係る対策委員会最終報告」を事務局が説明
【桐野委員】:二重三重に悪質だと思う。すでに全国的に、審査において金品の授受をすることは禁止され、ニュースや名古屋市大の事件等でも取り上げられていた。また、金銭の要求をした上に学位を出さないと発言したことは信じられない。さらに、本人は行為を否定したのに対し、大学は事実であるという認定をしているということは、この教授は虚偽の発言をしているということになる。大学の教員が虚偽の発言をしたということは、論文においても、患者に対しても、場合によっては嘘をつく可能性があるということになる。とても普通の状況ではないくらいに悪質だと思う。
【事務局】:もう少し正確に報告すると、この事件の発覚する半年前に名古屋の事件があり、その事件を受けて金品を返金する教授がいるなど、事件の波紋が広がった結果、現在の事件が発覚した。いずれにしても、かなり前からこういう状況であったものが発覚していったという経緯がある。
【桐野委員】:その時点で全部正直に洗いざらい出してしまえば良かったが、さらに裏があったという印象だ。
【事務局】:その時点からずっと調査中であったため、調査が遅いということはあったが、名古屋の教訓が活かされてないということはない。また、金銭要求の件であるが、本人の言い分と報告書は多少食い違っている点がある。本人の言い分も書いてあるが、結果的には金銭を渡した側の主張に説得力があったため、事実であったと認定している。単純に請求して受けとったというスタイルであるかは調査中だが、少なくとも相手側にプレッシャーをかけたことは相当罪が重いと断定した。ここまでは事実認定の話であり、大学側はかなり厳しい処分をする予定である。
【山上委員】:この報告書を拝見して、強制調査権の無い立場で、さすがによく調べられたなと思う。調査委員会にプロが入っただけあり、事件の全容が良くつかめている。指導教授と教えを受ける生徒との関係では、生徒にすればものすごいプレッシャーがあったと思う。教授としては慣行という認識での発言だったと思うが、生徒側からすれば要求されたと感じる。やはり厳しく処分するべきである。そういう土壌が市大にあったことは不幸なことだ。問題は、これが再発しないためにどのように風土を変えていくか、この報告書を共有して、深い反省の元に新しいスタートを切ろうと全員が思っているかどうかである。報告書を見ると、関係者は芯から反省していないのではないか。今までの慣行の中で起こったことであり、犯罪者扱いされていることに対して組織としての不満が見受けられるような、中途半端な反省では意味がない。実際の市大内部の状況や雰囲気は分からないが、厳しく反省しているのか気になる。医局の治外法権的な部分が感じられるので、この事件を契機として新しい大学として変わっていくべきだと思う。
【岸委員】:やはりスピードが遅かった。それが大学として自主的に取り組めなかった一番の問題点である。起きたことは仕方がないが、そのことに対する取組が結果として非常に遅れたのではないか。いまだに不明な点があり、様々な影響が出ているようだが、実際に金銭を受けとったのかどうか、この報告書では分からない。 評価委員会としては、この事件の結果として、業務運営の改善以前に、業務運営がしっかりなされていなかったということが分かった。運営体制は改善どころか非常にまずかったということになる。審議しないといけないような非常に大きな問題を抱えてしまった。業務運営は、コンプライアンスがしっかりしていないところでうまくいくわけがない。現在出てきているさまざまな問題も運営がまずかったということである。
【桐野委員】:問題の先生があと何年か後に影響力を取り戻し、内部告発した人に報復するという可能性は大いにあるので、法人としてその対策をしておかなければならないと思う。
【事務局】:法人もそれについて自覚し、対策に取り組んでいる。横浜市としても関心があるところである。
【山上委員】:再発防止の中で医局運営の問題も書いてあるが、ここをしっかりとやらないとまた再発する危険がある。
【桐野委員】:医局費というのがどうなっているのか分からないが、寄付は通常の場合、大学に対する寄付がなされ、それが医局にまわってきて、大学の機関経理で医局が使うという形になると思う。少なくとも私のいた大学は全てそうだった。病院の口座に入ったり、教授の懐に入るお金というのはありえない。医局に対する寄付というのは大学に対する寄付であるべきなのだから、そういうところを明確にしてほしい。
【山上委員】:医局が力を持っているから、大学は医局に対して遠慮してしまい、治外法権的な扱いになってしまっていることはないか。ほかの大学ではすでに相当改善されていると伺っており、もしそうだとしたら非常に遅れている部分だと思う。医局運営のあり方について、みんなが反省してスタートに立っていかないといけない。その辺は共通の認識になっているのだろうか。
【事務局】:医局のあり方がこれだけ具体的に提言されたので、今まさに横浜市大は、これを受けて具体的な話を進めているところである。非常に大きく難しい問題だと理解している。対策委員会報告書は、医局の運営に関して大学側は指導していくべきだとしている。法人もこれを重く受け止めているので、段々と進化していくと思う。
【川村委員長】:今後どうすべきかということであるが、評価委員会としては本件をきちんと評価しなければならないので、個々の、業務運営の部分でCにすべきだと思う。ただ事柄の性格上単に業務運営の箇所だけでなく、評価書の冒頭かどこかで、コンプライアンスや業務運営への対応についてきちんと書くべきではないかと思う。法人全体として本気で取り組んでほしいということをきちんと伝えないといけない。
【山上委員】:私も評価で迷ったが、「B(C)」と書いた。計画に対してはそこそこやっていると思ったが、その期間にこういう問題があったということは、結局十分機能していなかったということだろう。とてもBの評価にふさわしくないのではないかと思う。私もCという評価にせざるをえないと思う。毎回評価する時に迷うことは、計画・目標にないことをどう評価するのかということだ。もう一つ迷ったことは、情報公開に関する取組であり、これはCとした。ただ研修等をしていると書いてあるだけでは、非常に遅れているのではないか。一般の企業はもっと進んでいる。もし、悪意を持って個人情報に触ろうと思えば、いつでも触れるという状態になっているならば、大変危険な状況だと思う。管理・ルールができているのか読み取れず、まだ啓発段階にいるのではないかと思ってしまう。計画通りだと言われても、計画レベルが遅れているのだから、とてもBとは私は言えないのではないかと思う。あえてCを付けたのは、危機意識が欠けているのではないか気になったためだ。実際問題として個人情報管理はどのようなレベルになっているのか。
【事務局】:市役所においても同じだが、基本的に職員に対しては性善説に立っている。
【山上委員】:色んなデータは部外者はアクセスできないようにガードされているのか。
【事務局】:マニュアルとしては、パソコンにパスワードをかけてガードするなど対策はしている。市役所と同様、研修などを行って啓発している。
【山上委員】:啓発・啓蒙・研修という段階ではないと思うのだが、やはり遅れているのだなと思う。
【岸委員】:私も考え方は同じである。計画をし、研修などを行った結果、どうなったのか。改善すべき点があったのか、そこが分からない。
【事務局】:たとえば個人情報が漏洩した場合は、横浜市役所と同様の対応をする法体系になっている。法人独自の取組は当然であるが、横浜市役所の個人情報保護の審議会に報告義務がある。当然、市役所同様に説明責任があり、発表する。そういう点では19年度は個人情報の漏洩等はなかった。
【岸委員】:この項目だけでなく、全ての項目で最後の検証が不足していて、まとめができていない。結果がどうなったのかという点が不足していると思う。企業であれば、損を出したのかどうかの結果がない状態だ。 大学はそれだけでなく色々な見方があると思うが、業務運営については、Cとするのは賛成である。具体的に今回の不祥事を大きな問題として、再発防止策等計画をたてて実施してみる、掘り下げたことをしてみる。中期計画に入れてもいいかと思う。
【川村委員長】:秋に行われる中間評価のまとめの際に法人全体としてのこの問題を含め業務運営全体へのこれまでの対応と再発防止策など改善に向けての取り組みを評価するようにしたい。計画自体が間違っていたり、計画は立てたが実行できなかった、計画は立てて実行したけど結果はどうだったのかなど、色々なパターンがあると思うが、この3年間の中間のまとめの際にぜひまた委員から話を出していただき、整理したい。計画自体にも見直さなければならない部分があることは、以前からもご指摘いただいている。

3.平成19事業年度財務諸表及び利益処分の承認(案)について
【岸委員】:監事の意見のところに「昨年度と同様」と書いてあるが、昨年度も同じような意見だったろうか。利益処分の承認に係る意見にしては、論点がずれていると思う。昨年はこうではなかったような気がする。今年は「目的積立金にしても良い」という意見にマッチングしにていない。
【事務局】:記憶で申し訳ないが、昨年はもう少し立ち入った意見だったように思う。法人評価委員会のご意見があり、横浜市が判断すべきところを、監事の方が「ぜひこのような形で認めて欲しい」という少し立ち入った形で意見があった。その理由などが、形式を整えて表現されていた。長期的な視点に立って目的積立金という形にし、市側で取らないで欲しいという意図は変わっていない。
【岸委員】:監事の意見が、利益処分の承認としてすんなり入ってこなかったので気になった。
【川村委員長】:監事にとっては、目的積立金とすることが前提という気持ちがあったのかもしれない。
【川村委員長】:病床の休止というのは市民の医療サービスという観点から見たら非常に困ったことではあるが、全体としての医業収益の改善ということもあり、目的積立金の減額までいくかという気はする。
【事務局】:事務局としても、経営努力認定をする・しないについて、委員の先生方のご意見を頂戴しながらも、市側が厳密にどこまで認定するのか悩んでいる。都市経営局としても議論をし、法人とも議論をした。例えば、建物を造るための経費として3億を渡したが、建物を建てなかったので3億返してほしい、というような明確な議論になかなかなりえない。特に看護師の確保に非常にがんばった経緯もあり、そこは市側としてもぜひ評価していただきたいという気持ちが強くある。そういったところから、本来的には少しマイナスの評価をいただかざるを得ないが、総合的には、トータルでの病院の収支の改善、また、具体的には看護師確保策の具体性を見て、ぜひ目的積立金にしていただきたいと思う。ただし、昨年・一昨年は、全体を見て評価を出していただいたが、今年はできればご意見いただきたいと思う。
【川村委員長】:全額を目的積立金と認めるにあたって、きちんと意見を述べる必要がある。それについて何か意見はないか。
【事務局】:事務局として考えたのは、前回の山上委員の方からご意見いただいたが、収支構造がかなり固定化してきた感がある。特に大学について大幅に収益が見受けられない。病院においては非常に収益が高まっているが、一方で医薬材料比率は高くならざるをえない。人件費は、看護師が不足してるが逆に新しく採用することで構成費が増えるという指摘もあった。そういったことから、残りの3年間この調子で行くと、市側としては危機感がある。委員の先生の意見を参考にしたいと思うが、今後は、持続可能な経営基盤を早期に構築することが大事なのではないかと思っている。固定費が増加し、収支が悪化していると見受けられると思うが、それは今年度が剰余金1億9千900万だったが昨年度は10億であった。10億から2億になっている。いくら病院が頑張って稼いだとしても、大学部門がマイナスとなれば、それに足を引っ張られる形になる。そういうことからも、やはり収支構造自体をもう一度法人として分析してもらいたい。この辺りについて協議していただけたらと思う。19年度の決算はこれまでに比べて大幅に収支が悪化している。これについてすぐに原因を分析し、収支改善にむけて年度計画を実施していただきたいという趣旨の内容を議論していただけるのであれば、市としてもこれに加えて具体的な指示ができる。20年度の決算も大分厳しくなるということも聞いているので、そういう意味では法人を急かしながらやっていけるのではないか。それが事務局としての、考え方である。
【山上委員】:評価作業シートの最後の27Pに、全体的な所見として掲載されているが、全体的所見と言うよりも財務諸表について意見を述べたつもりである。下の4つが私が書いた部分だが、私はこの4番目に書いてあるとおり、色々なことをスタートして、今後も市の中核医療機関としてやるべきことをやらないといけない。病院も先端的な医療のために色んな経費を投入しないといけない。実際には予算よりも多い投資をしている。予算案は作ったが、予算案を気にせずにどんどん追加投入するというのであっては意味がない。経営の根幹となる予算統制、収支計画・資金計画・人員計画など、様々な計画を全員で共有して、経営の規範として守っていく必要がある。計画は計画のための計画であって、実際は関係なく動くという傾向が多少見受けられる。その結果、決算報告で予算と比較して各項目で決算が大幅な増減があったりする。こういうことが大事なことではないかと思う。今、事務局の案の中に経営改善を条件にするとあったが、もちろんそれはやらなければいけないことであるが、もう一つの仕組みとして、このような条件が必要じゃないかと思う。現状がどうなっているのか分からないが、各部署から積み上げてきたものをきっちりと理事会などでコントロールできるような形にし、これが学校経営の全体の計画であるということを示し、全員がそれに合わせて行動するようになっているのだろうか。計画は経理が各部署のヒアリングを行ない作っているが、実際には規範力や統制力に欠けており、計画に載っていないものもどんどん行っているような感じを受けた。例えば人員計画や設備投資計画など、計画を作り、計画の範囲の中で行われているのであれば、計画と合うはずなのに、全然予算と違う数字が結果として出ている。予算が統制されている仕組みになっていない気がする。その結果、収入が増えたからいいじゃないか、となるかもしれないが、費用も増えて収支は悪くなっている。予算に書いてある赤字よりも減ったからよしとするべきといった感じであるが、そうではないのではないか。もうちょっと収支全体に関してしっかりした認識を持って動いていかないと。病院の経営というのは構造的に赤字になりやすい。現場の先生方はどうしても最新型の機器を入れたがるものであり、それがなければいい医療が行えないとなれば、理事会も認めざるをえない。横浜市の中核の病院として、地域からそのような期待を持たれていると言われれば、どんどん押されていってしまう。だから、病院の先生に対しても作成した予算に対して一定の責任をもち、やむにやまれない場合だけ予算に組まれていない例外を設けてもいいが、今はそれを例外だという認識を持っていない気がする。独立行政法人になったのだから、今までのように市が最終的にバックアップしてくれるという体質ではなくなってきており、変わらなければならない。そのような認識が大事なのではないか。
【事務局】:病院に関しては、やはり医療機器などは値が張るため、前年度の段階から、来年度に購入する機器の選定や入札などは、ある程度きちんとやっている。そういう意味では、比較的病院の方は、固定費は上がっているが、また一部修繕などを慌ててやっているところもあるが、機器の購入であったり、医療・病院の運営については計画があって、多少時期が遅れることもあるが、横浜市との協議の元に進んでいる。どちらかというと問題は、大学側の方が、柔軟性ということを前面に押し出しているので、大学本体の方が山上委員の言うようなリスクがある。相対的に見ると、病院の方が計画を立てて執行している状況である。
【川村委員長】:委員会としてつける意見としては、大学あるいは医療機関としての社会的使命があり、市民の期待に応える必要があるということはきちんと踏まえながら、同時に独立した組織体としてしっかり収支改善に取り組んでいく、そのバランスが大切である。そうだとすると、意見にあったとおり、内部のきちんとした意思決定機能が必要である。それは理事会がリーダーシップをどう確立するのかということにも繋がっていく。その辺に触れながら、収支の改善ということにつなげていく方向でまとめていったらどうだろうか。そういう意見をつけるとして、この財務諸表と利益処分については、全額目的積立金にするということでいかがだろうか。
(異議なし)
【川村委員長】:それでは具体的な文章は事務局と私の方で調整させていただいて、また各委員にご確認いただいて最終的にまとめていきたいと思う。

4.その他

特になし

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