横浜をとりまく環境 横浜をとりまく環境 日本の潮流 人口減少と高齢化の加速は必至。 社会、地域、経済への影響は避けられない。 課題先進国として語られてきた日本では、これまで通りの在り方を見直さなければならない。 横浜の現在 2022年、約380万人が暮らす日本最大規模の地方自治体である横浜市であっても、人口減少と少子高齢化の影響は、今後顕著となる。 一方で、文化・自然・インフラや住宅地をはじめとして、市民・企業・協働による様々な優れた取組など、歴史の中で培われた多様な 資源が多く存在している。 ありたい姿 市民・企業・各団体・行政が、同じ方向を見つめ、共に手を取り合いながら、未来を探索する関係へ。 日本・世界の中でも、率先して課題を解決し、未来を切り拓いていく都市へ。 ●人口減少と横浜への影響 日本の人口は世界に先駆けて「人口減少・超高齢社会」を迎えており、2065年には総人口が9,000万人を割り込み、高齢化率は38%台の水準になると推計されています。また、団塊の 世代の方々が全て75歳以上となる2025年には、75歳以上の人口が全人口の約18%となり、2040年には65歳以上の人口が全人口の約35%となると推計されるなど、諸外国と比較しても、 少子高齢化の動きは進行しています。 そのような中で、これまで増加傾向にあった本市の人口も、昨年1年間で4千人以上減少し、戦後初のマイナスとなるなど、人口減少の兆しが見え始めています。横浜市将来人口推計 (2017年度)に2020年国勢調査数値を簡易に反映した見通しにおいても、人口のピークは2021年の3,779,510人と推計されるなど、本市は今後、本格的な人口減少社会に突入していくことが見込まれます。このような人口動態における大きな変化が、本市にも次のような 影響を与えることが考えられます。 社会では、地域人口の減少や高齢化率の上昇により、コミュニティの維持が困難になるなど、人と人との結びつきが希薄になる懸念があるほか、さまざまな場面で、担い手不足が生ずる懸念があります。 今後の人口の見通し推計(令和3年度) 横浜市は2021年に3,779,510人でピークを迎えその後減少。国と比べピークは遅く減少カーブも緩やかとなる見込み 0〜14歳、15〜64歳の人口は減少が続く。一方、65歳以上人口は増加が続き、2045年に1,241,804人でピークを迎え、その後減少。高齢化率は2020年の25.1%から増加し、2040年には33.5%、2065年は36.7%となる見込み 経済では、需要面と供給面の双方にマイナスの影響が生じ、中長期的な経済成長を阻害する可能性があります。需要面では、様々な分野において国内市場の縮小をもたらし、供給面では、労働投入の減少につながるほか、国内市場の縮小に対する懸念から、資本投入にも影響 が生じる可能性があります。 このような、人口減少・超高齢社会などの多くの課題に対応し、市民の皆様の暮らしをしっかりと支え、また、経済を活性化させて大都市としての力を最大限に発揮していくために、横浜市では、新たな大都市制度「特別自治市」の早期実現に向けて取り組みを進めています。 また、将来にわたる安定した市政運営の“土台”となる、持続可能な財政運営を実現するため、中長期の財政方針として、財政ビジョンを策定しています。 「横浜市将来にわたる責任ある財政運営の推進に関する条例」に基づき、必要な施策の推進と財政の健全性の維持との両立を図り、将来の横浜市民の生活を守るため、活力ある横浜市を今後も持続的に発展させていくことが必要です。 このような中で、安定した行政サービスの提供などの持続可能な市政運営を実現するためには、限られた資源からより多くの付加価値を生み出していくことが必要です。また、人口減少に歯止めをかけるために、子育て世代の転入や出生率の向上などに取り組む必要もあります。 子育てや教育関連施策、産業振興や雇用創出、魅力あるまちづくりなどに総合的に取り組むことで、人や企業を呼び込み、都市の活力を向上させることが重要です。 横浜市の持続的な発展に向けた財政ビジョン 高齢化の進展による社会保障経費の増加や人口減少による市税収入の減少により、今後、各年度の収支差が拡大し続ける見込み。 ●受け継ぐ資源を活かし、共に未来を切り拓く横浜へ 一方、横浜には、開港以来、先人達が築いてきた様々な都市基盤や良好な住宅地、高い市民力が存在します。また、国際連合から「ピースメッセンジャー都市」の称号を授与されるなどの国際平和や多文化共生の風土、イノベーション志向の高い企業の集積など、多くの資源が存在します。 1859年の開港以来、港で世界と通じ、海とのつながりで発展してきた横浜では、海洋分野に関係する企業・教育機関・研究機関などが様々な活動を展開しています。近年では、このような皆様とともに、「海洋都市横浜」を目指した取組が進んでいます。 また、内外から多くの人々や情報が集まり、文化や自然、歴史あるものが交わり合うことで、新たな価値を生み出してきた、「開放性」「進取の気性」などの横浜のDNAを活かして、企業や起業家、大学など多様な人材が集い、組織や領域を越えて交流し、イノベーションを生み出せる環境づくりにも積極的に取り組んできており、支援したスタートアップに対する投資額累 計が約120億円※となるなど、新時代を切り拓く動きも現れています。※令和元年度からの3年間の累計額 横浜を住まいとして選んだ理由 横浜を住まいとして選んだ理由は、「通勤・通学に便利だから」が最多。次いで「親や子、親族、友人などがいるから」、「横浜が好きだから」となっている。 横浜に住み続ける理由 横浜に住み続ける理由は、「自分や家族の持家だから」が最多。次いで、「長年住んでいて愛着があるから」、「買い物、医療などの生活環境が整っているから」となっている。 【出典】令和3年度「横浜市民意識調査」 横浜の活力の源である活発な市民活動においては、これまで高齢の方や主婦の方が担ってきた面がありますが、時代の変化の中で、こうした方々のほかにも、学生など若い方、30〜40代の働き盛りの地域の事業者などの多様な主体にも地域活動への参画が求められるようになってきています。そのような中で、ビジネスの視点をもった地域への関わりをひとつのテーマとして、リビングラボ※が生まれ、現在、市内15か所以上でエリアの名を冠したリビングラボの取組が、介護や教育など、様々なテーマのもと、展開されています。※住民(生活者)の視点に立ったサービスや商品を生み出す一連の新しい地域・社会活動 また、近年では、東京一極集中の潮流の変化や企業誘致・立地による雇用の場の創出、観光集客実人員の増加など、これまで行ってきた横浜経済の強化に向けた取組の成果が現れつつあります。 こうした横浜の資源や強みを生かしながら、多くの皆様から選ばれるような都市を目指し、真に効果のある施策を進めていくために、データ等で予測される課題に対応した、2040年頃のめざす横浜の姿を、暮らしやすく誰もがWELL-BEINGを実感でき、いきいきと暮らしている様子を描く「市民生活の未来」、人や企業が集い、新たな価値を生み出し続ける様子を描く「都市の未来」、そして、それらを支える「都市基盤の未来」という3つの姿で描いていきます。