政策31 障害児・者福祉の充実 ✦政策の目標・方向性 ・障害児・者が自己選択・自己決定のもと、住み慣れた地域で安心して学び・育ち・暮らしていくことができるよう、障害福祉施策の充実を図り、共生社会の実現を目指します。 ・医療的ケア児・者等に対する総合的な相談体制の構築及び受入体制の充実に取り組みます。 ・高齢化・重度化等に備え、地域生活の支援を充実するとともに、必要な施設の整備を進めます。 ・障害者の就労を支援し、雇用を促進する取組を進めます。 ・障害者スポーツ・文化活動南部方面拠点を整備し、障害者スポーツ・文化活動を推進します。 ・障害特性を踏まえたコミュニケーションの推進など、障害者差別解消に向けた取組を進めます。 ✦現状と課題 ・共生社会の実現に向けて、障害者差別解消法※の理念を広く浸透させ、社会全体で障害のある人への必要な配慮を行うことが求められる中、平成28年5月に横浜市障害者差別解消支援地域協議会を設置しました。こうした場での協議をもとに、取組を進めていくことが必要です。 ・障害児・者が住み慣れた地域で安心して生活し続けるために、多様化・複雑化するニーズに応え、地域全体で支えるサービス提供体制を構築します。また、将来自立した地域生活が送れるように支援が受けられるような、人員を含めた体制づくりや施設等の整備が必要です。 ・医療的ケアを日常的に必要とする方等に対し、ライフステージに応じた在宅生活を総合的に支援するための相談体制と受入体制の充実が求めら れています。 ・障害者が働くことへの社会的関心の高まりを受け、障害者本人が社会とのつながりを構築し自己実現を推進するため、雇用障害者数の増加傾向を堅持し、福祉から就労への移行を進める必要があります。 ・東京2020パラリンピックに向けた機運の高まりに合わせて、スポーツ・文化・レクリエーション活動の場や機会をより一層充実させることが求められています。 ※正式名称:障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 障害児・者の生活を地域全体で支える サービス提供体制の構築イメージ (本市における区域の「地域生活支援拠点機能」) 資料:健康福祉局 地域の障害理解と就労支援の取組(瀬谷区)  瀬谷区障害者地域自立支援協議会では、地域の障害理解を進めるため、独自に教材を作成し、障害理解出前講座を実施しています。30年度は、新たに防災をテーマに実施します。 また、障害者の就労支援や工賃の向上を図るため、鉄道会社の協力を得て、 駅で福祉作業所製品のバザーを開催するなど、商店街や企業と協力した取組を 行っており、福祉作業所の利用者と地域に住む方との顔の見える関係づくりが進められています。 ✦指標 指標 直近の現状値 目標値 (33年度末) 所管 1 地域生活に係る相談件数 (基幹相談支援センター、精神障害者生活支援センター分) 208,000件/年 (29年度)(見込み) 261,000件/年 健康福祉局 2 地域療育センターの支援の充実 ①初診待機期間 ②保育所等訪問・巡回支援人数 ①3.2か月(28年度) ②1,650人/年(28年度) ①2.6か月 ②1,890人/年 こども青少年局 3 市内企業(本社登記)における雇用障害者数 11,407人 (29年度) 13,000人 健康福祉局 4 障害者スポーツ文化センター横浜ラポール、ラポール上大岡※利用者数 450,000人/年 (29年度)(見込み) 517,500人/年 健康福祉局 ※ラポール上大岡:上大岡に新たに整備する障害者スポーツ文化センターの名称(主な施策(事業)6) ✦主な施策(事業) 1 【新規】地域生活支援の充実 所管 健康福祉局 障害児・者が住み慣れた地域で安心して生活することができるよう、居住支援の機能を整備するため、地域生活支援のためのコーディネーターの配置や、精神障害者生活支援センターの相談体制の拡充など各区の相談機能の強化とネットワーク化を通して、地域全体で支えるサービス提供体制を構築します。 想定 事業量 ①地域生活支援拠点機能の構築 18か所 ②各区精神障害者生活支援センターの相談機能の強化 18か所 【直近の現状値】29年度:①-  ②- 計画上の 見込額 53億円 2 【新規】医療的ケア児・者等への支援 所管 こども青少年局、健康福祉局、医療局、教育委員会事務局 医療・福祉・教育等の多分野にわたる相談・調整を行うコーディネーターの養成・配置及び医療・福祉・教育等の受入体制の充実に取り組みます。 想定 事業量 コーディネーターの養成・配置 2か所に配置(32年度) 【直近の現状値】29年度:- 計画上の 見込額 1億円 3 障害児支援の拡充 所管 こども青少年局、 教育委員会事務局、区 障害児が早期に支援を受けることができるよう、地域療育センターにおける地域支援の充実・待機期間の短縮等に取り組みます。また、児童発達支援事業所や放課後等デイサービス事業所等において療育訓練や余暇支援を受けることによって、障害児が自立した青年期や成人期を迎えられるよう、支援体制を拡充します。 想定 事業量 ①放課後等デイサービス事業の事業所数 450か所(累計) ②児童発達支援事業の事業所数 139か所(累計) 【直近の現状値】29年度:①262か所(累計) ②110か所(累計) 計画上の 見込額 10億円 4 障害児・者施設の充実 所管 健康福祉局、こども青少年局 障害児・者が自立した日常生活を送ることができるように、常に医療的ケアが必要な人の地域生活を支援する多機能型拠点の整備や、障害者の入所施設である松風学園の再整備などを進めます。 想定 事業量 ①多機能型拠点の整備 6か所(累計) ②松風学園 再整備完了 【直近の現状値】29年度:①3か所(累計) ②- 計画上の 見込額 35億円 5 就労支援施策の推進 所管 健康福祉局 一般企業等への就職支援や就職後の定着支援を行う就労支援センターについて、障害者雇用のニーズに対応し、各区と連携して福祉から就労への移行を推進するため、相談支援機能を強化します。また、関内地区や新市庁舎内に、障害者を雇用し、障害者施設の製品等を販売する店舗を整備します。 想定 事業量 就労支援センターの相談支援件数 69,000件/年 【直近の現状値】28年度:60,380件/年 計画上の 見込額 13億円 6 【新規】障害者スポーツ・文化活動の推進 所管 健康福祉局、 市民局、文化観光局 上大岡に新しくスポーツ・文化活動の南部方面拠点(ラポール上大岡)を整備し、その拠点と横浜ラポールや関係機関等の連携により、日常の地域における活動や競技活動など、幅広いニーズに対する支援を行います。 想定 事業量 ラポール上大岡 開所(31年度) 【直近の現状値】29年度:基本設計・実施設計 計画上の 見込額 11億円 政策32 暮らしを支えるセーフティネットの確保 ✦政策の目標・方向性 ・生活困窮や生活上の課題を抱える人々が、周囲から孤立することなく安定した生活を送れるよう、福祉・就労・家計管理など複合的支援の取組を進めます。 ・住宅の確保に特に配慮を要する方に対して、円滑な入居の促進を図るとともに、相談・見守りなど居住支援を推進します。 ・困難を抱えた方が自殺に至らないように、相談支援や啓発などに引き続き取り組みます。 ・アルコールや薬物、ギャンブル等の依存症対策として、当事者や家族からの相談体制の強化など総合的な対策を進めます。 ✦現状と課題 ・生活に困窮している方の支援窓口及びハローワークと一体となって就労支援を行う「ジョブスポット」を全区に設置し、支援を推進しています。ジョブスポットでは、就職率66.3%(平成28年度実績※1)という高い就労実績を上げています。 ・生活保護世帯数がほぼ横ばいとなる中、生活保護受給者への就労支援により、毎年3,000人前後の就労につながっています。 ・社会経済環境の変化に伴い、生活困窮に至るリスクの高い人々が増加しています。 ・複合的な課題を抱える生活保護受給者、生活困窮者に対して、就労支援をはじめ、自立に向けた多様できめ細かな支援が必要となっています。 ・住宅確保要配慮者※2が、家賃滞納や騒音等の不安から入居を拒否されるなどの課題に対して、住まいの確保に向けた支援が求められています。 ・近年では、平成22年をピークに自殺者数は減少傾向にありますが、いまだ多くの方が亡くなっており、地域の実情を踏まえた計画的な施策展開が必要です。 ・アルコールや薬物、ギャンブル等への依存は病気であることや、治療や支援の対象となることへの理解が十分に進んでいない中、患者本人や家族の課題を適切なサポートにつなげるため、普及啓発や専門相談等の取組が必要です。 ※1 参考 神奈川労働局管内 一般職業紹介 就職率24.6% ※2 住宅確保要配慮者:住宅セーフティネット法に規定される低額所得者、高齢者、障害者、子育て世帯、被災者など ①生活保護受給者への就労支援の実績 資料①:健康福祉局 ②生活困窮者自立支援制度における初回相談の主訴 就労、金銭に関する相談に次いで、「住居」に関する 相談が多く、住まいの確保に向けた支援策が必要 資料②:健康福祉局「平成28年度横浜市生活困窮者自立支援事業」相談者集計表 ✦指標 指標 直近の現状値 目標値 (33年度末) 所管 1 生活保護受給者の就労者数 3,112人/年 (29年度)(見込み) 3,100人/年 健康福祉局 2 生活困窮者自立支援事業による支援申込者数 1,530人/年 (29年度)(見込み) 2,130人/年 健康福祉局 3 自殺死亡率※ 14.7 (28年) 13.1 (32年) 健康福祉局 ※自殺死亡率:人口10万人当たりの自殺者数 ✦主な施策(事業) 1 生活保護を受給している方への就労支援 所管 健康福祉局、区 働くことができる生活保護受給者に対して就労支援員が支援を行うとともに、区役所内に設置されたハローワーク窓口であるジョブスポットと連携し、生活保護を受給している方の早期就労に向けた支援を行います。 想定 事業量 生活保護受給者の就労支援者数 5,500人/年 【直近の現状値】29年度:5,002人/年(30年2月まで) 計画上の 見込額 13億円 2 生活に困窮している方への自立支援 所管 健康福祉局、区 生活保護に至る前の段階で生活に困窮している方たちの早期把握と自立に向け、就労支援や家計相談支援など相談者の状況に応じたきめ細かな包括的支援を行います。 想定 事業量 生活困窮者自立支援事業による相談者数 23,500人(4か年) 【直近の現状値】29年度:4,356人/年(30年2月まで) 計画上の 見込額 9億円 3 【新規】住宅確保要配慮者への居住支援 所管 建築局、健康福祉局 こども青少年局 国の新たな住宅セーフティネット制度の創設を踏まえ、空き家等の民間賃貸住宅を活用し、住宅の確保が困難な方に対して、入居を拒まない住宅の登録制度の推進や低額所得の方への家賃補助等による民間賃貸住宅での居住支援に取り組みます。また、公的住宅での高齢者の見守り等の居住支援に取り組みます。 想定 事業量 家賃補助付セーフティネット住宅の供給戸数 700戸(4か年) 【直近の現状値】29年度:― 計画上の 見込額 81億円 4 自殺対策 所管 健康福祉局等、区 総合的かつ効果的な自殺対策を推進するため、本市の自殺対策計画を策定するとともに、自殺防止に向けた啓発の実施や自殺未遂者への支援の強化等に取り組みます。 想定 事業量 ゲートキーパー数(自殺対策研修受講者数) 15,000人(4か年) 【直近の現状値】29年度:3,411人/年 計画上の 見込額 1億円 5 依存症対策 所管 健康福祉局、区 アルコール・薬物・ギャンブル等の依存症に悩む当事者や家族の悩みの解決に向け、身近な場所で相談ができるよう、「依存症相談拠点」の設置など、相談対応を強化します。また、インターネットゲーム障害などの新たな依存についても普及啓発等の取組を進めます。 想定 事業量 依存症専門相談件数(延件数) 2,000件(4か年) 【直近の現状値】29年度:482件/年 計画上の 見込額 0.4億円 「地域」と支える生活困窮者自立支援事業(緑区)  緑区では、生活に困窮し、支援を必要としている方が、より身近な場でも相談や支援が受けられるよう、地域と連携した支援体制の構築を進めています。30年度には、「地域ネットワーク構築支援事業」のモデル区として、地域にもっとも身近な総合相談窓口である地域ケアプラザなどと協働し、支援につながる様々な事業を実施し、生活困窮者の早期把握と自立支援を推進します。 【これまでの取組】・地域子育て支援拠点「いっぽ」での家計講座の開催 ・ケアマネジャー向け制度説明会の実施 政策33 参加と協働による地域自治の支援 ✦政策の目標・方向性 ・自治会町内会など地域で活動する団体や人々、企業、学校、NPO法人と区役所等が連携して、地域まちづくりや福祉保健の推進などに取り組む「協働による地域づくり」を進めます。 ・市民利用施設等におけるコーディネート機能を充実させるとともに、市民が地域でコーディネート力を発揮できるよう支援し、地域の交流やつながりを促進します。 ・市民からの協働事業の提案を事業化につなげられるよう、相談や助成などの支援を行います。また、市民協働・共創スペースを新市庁舎に設置し、市民協働事業の促進に取り組みます。 ・地域とともに課題解決に取り組めるようコーディネート型行政を進め、「地域協働の総合支援拠点」としての区役所と専門性を有する局が一体となって地域支援に取り組みます。 ✦現状と課題 ・横浜では、自治会町内会、地区社会福祉協議会やNPO法人などの団体が多様な活動を行っています。本市では、こうした地域の方々との「協働による地域づくり」を進めてきました。 ・高齢化の進展などにより、身近な地域の課題がより多様化・複雑化する中、様々な担い手が参加し協働して、安全で安心して暮らせるまちづくりを進めていくことが求められています。 ・地域によっては課題解決のための資金確保や深刻な担い手不足といった課題が生じており、活動の低下が懸念されます。地域で活動する各種団体がお互いの強みをいかし連携協力したまちづくりが求められます。 ・地域の中で、様々な団体や人々とつながりを持つことは、災害時の共助や見守り、孤立防止などの安心感や、地域への愛着などに結びつくことから、将来にわたってより安心して暮らせるよう、こうしたつながりを広め、継続させていく必要があります。 ・「協働による地域づくり」をさらに進めるためには、課題解決等に取り組む団体の活性化への支援や、地域におけるつながりづくりを促進し、協働の取組をコーディネートする機能の強化、課題解決等への市民提案を行政が受け止め、支援することが必要です。 協働による地域づくり(イメージ) ✦指標 指標 直近の現状値 目標値 (33年度末) 所管 1 住民や様々な団体が連携して、魅力づくりや課題解決に向けて取り組む地域 ①地域運営補助金をきっかけに活動が継続している地区数 ②地域まちづくりに取り組む地区数(地域まちづくりルール・プラン、ヨコハマ市民まち普請等) ①226地区 (28年度) ②52地区 (29年度) ①266地区 ②71地区 市民局 都市整備局 2 よこはま夢ファンドの登録団体数 205法人 (30年1月4日現在) 245法人 市民局 ✦主な施策(事業) 1 地域や様々な担い手との協働による取組の推進 所管 市民局、健康福祉局、都市整備局、建築局、環境創造局、道路局、区 様々な団体や人々が主体的・継続的に地域の魅力づくりや課題解決に取り組むため、福祉保健活動やまちづくり、防犯・防災などの分野の垣根を越えて、地域の団体間の連携促進、地域人材の確保など多様な支援を行います。 想定 事業量 ①横浜市市民協働条例に基づく市民協働事業件数 210件(4か年) ②地域福祉保健計画の地区別計画推進組織設置地区数 254地区(累計) ※1 ③地域まちづくり支援件数 224件(4か年) ④持続可能な郊外住宅地推進プロジェクト(東急田園都市線沿線、相鉄いずみ野線沿線、十日市場、洋光台)における取組数 63件(4か年) ※2 ⑤地域活動団体の団体数(公園愛護会、水辺愛護会、ハマロードサポーター) 3,140団体(累計) 【直近の現状値】①28年度:51件/年 ②29年度:236地区(累計) ③29年度:66件/年 ④29年度:10件/年 ⑤29年度:3,055団体(累計) 計画上の 見込額 12億円 ※1 p.59の政策14の主な施策(事業)1の想定事業量①と同じ ※2 p.73の政策21の主な施策(事業)2の想定事業量①及びp.75の政策22の主な施策(事業)6の想定事業量①と同じ   2 地域のつながりづくりのためのコーディネート機能の充実 所管 市民局、都市整備局、区 地域の活動拠点である市民利用施設等のコーディネート能力の向上を図ります。また、地域で活動するコーディネーターの充実を図り、市民利用施設等と連携することで、地域の課題・情報の共有化を促進し、地域のつながりづくりや課題解決に向けた取組を支援します。 想定 事業量 ①各区の市民活動支援センターの機能強化 18区(4か年) ②コーディネート力向上のための研修・講座 3回/年 【直近の現状値】29年度:①-  ②2回/年 計画上の 見込額 1億円 3 市民からの協働提案を事業化につなげるための取組の推進 所管 市民局等 市民からの協働事業の提案を促し、提案力や企画力の向上のための講座や相談対応などの支援を行うとともに、提案の実現に向けた行政の支援の仕組みについて検証します。また、市民協働提案のコーディネート等を行う市民協働・共創スペースの新市庁舎への設置等を契機に、多様な主体と協働しながら課題解決を図る取組を一層推進します。 想定 事業量 市民活動支援センター、市民協働・共創スペース相談件数 3,000件(4か年) 【直近の現状値】28年度:741件/年 計画上の 見込額 3億円 4 地域課題解決のための継続的な活動への支援 所管 市民局、経済局等 地域課題解決のための活動が継続できるよう「横浜市市民活動推進基金(よこはま夢ファンド)」による資金的な支援を行います。また、地域課題の解決に向けたソーシャルビジネスなどのビジネスモデルの構築に向けた支援を行います。 想定 事業量 よこはま夢ファンドの助成金交付件数 160件(4か年) 【直近の現状値】29年度:48件/年 計画上の 見込額 3億円 5 地域の防犯活動支援 所管 市民局、区 県警察等の関係団体と連携し、振り込め詐欺撲滅に向けた広報・啓発等を進めるとともに、防犯カメラ設置などの地域が自主的に行う防犯活動への支援を行います。合わせて防犯灯の適切な維持管理を行うなど、地域の防犯環境の向上を図ります。 想定 事業量 65歳以上の市民に対する振り込め詐欺防止啓発延べ人数360万人(4か年) 【直近の現状値】29年度:89万2千人/年 計画上の 見込額 27億円 政策34 災害に強い都市づくり(地震・風水害等対策) ✦政策の目標・方向性 ・市民や来街者等への災害情報の伝達手段の拡充や多様化の検討、消防防災活動の中枢となる消防本部庁舎の整備等を進め、災害対応力や活動体制を強化します。 ・市民の生命と財産を守り、災害に強い安全で安心な都市づくりを実現するため、横浜市地震防災戦略の減災目標達成に向けた取組を着実に推進します。 ・局地的な大雨等に対して、流域全体での河川、下水道、公園・緑地、道路など、まちづくりの事業が連動した総合的な浸水対策等を着実に進めるとともに、気候変動への適応策として、グリーンインフラを活用した減災対策の検討を進めます。 ✦現状と課題 ・建築物不燃化推進条例による規制の導入、約9,800か所のがけ地調査、土砂災害ハザードマップの全戸配布等、過去の災害の教訓から様々な防災・減災対策を進めています。 ・市立学校の耐震化率100%をはじめ、建築物の耐震化、不燃化や延焼遮断帯形成の推進、緊急輸送路の閉塞を防止する取組、都市基盤施設の耐震化等に取り組んできましたが、近い将来に危惧される大規模な地震の発生に備え、さらなる都市の強靱化が重要です。 ・大規模災害発生時において1,300万トンのがれきが発生すると予測しており、災害廃棄物の迅速な処理に向けた体制の構築等が必要です。 ・建築物や宅地について、適切な維持保全等を促すため、的確な指導や違反対策の取組を着実に実施し、建築物等の安全性を確保することが重要です。 ・気候変動の影響から局地的大雨等が増加傾向にあり、 河川の溢水やがけ崩れなどの被害などの災害リスクが危惧されています。引き続き、基盤整備による対応を推進するとともに、気候変動への適応策として、グリーンインフラを活用した減災対策の検討を進める必要があります。 ・人や都市機能が集中する横浜駅周辺などについては、特に災害に対する安全性の向上を進めてきましたが、今後はさらに進める必要があります。 【横浜市内の地震観測記録(平成19年~28年) 資料:総務局「横浜市の災害」 様々な世代が参加する地域力防災事業(神奈川区)  神奈川区では、学校と地域が連携した防災訓練や「中学生向け防災ガイド」を活用した防災教育の取組を支援しています。 また、発災時に住民がスムーズな避難行動がとれるよう、地域による「地域の防災マップ」作りへの支援や神奈川区PTA連絡協議会と連携した子育て世代への防災啓発を推進します。 このように、様々な世代が地域防災の担い手となるような取組を行い、地域防災力の向上を図ります。 中学生の防災訓練 ✦指標 指標 直近の現状値 目標値 (33年度末) 所管 1 沿道建築物の倒壊リスクが解消している緊急交通路の区間数 64/117区間 (29年度) 72/117区間 建築局 2 条例に基づく防火規制区域内における耐火性の高い建築物の建築件数 1,576件(累計) (29年12月時点) 4,900件(累計) 都市整備局 3 河川の想定氾濫区域面積 (1時間あたり約50mmの雨) 540ha (29年度) 385ha 道路局 ✦主な施策(事業) 1 危機対応力の強化 所管 総務局、消防局、 資源循環局等 既存システムを活用した災害情報の伝達手段の強化、多様化の検討を進めるとともに、消防防災活動の中枢となる消防本部庁舎の整備や港湾消防力等の強化、大規模災害発生時の広域応援活動拠点や災害廃棄物の迅速な処理に向けた検討などを進め、災害対応力や活動体制の強化を図ります。 想定 事業量 緊急情報を伝達する設備(防災スピーカー等)の増設 190か所(4か年) 【直近の現状値】29年度:140か所(累計) 計画上の 見込額 80億円 2 建築物の耐震対策・安全で良好な市街地形成 所管 建築局、都市整備局等 民間建築物(特定建築物、マンション、木造住宅)の所有者へ支援を行い、耐震化を図るとともに、公共建築物の特定天井の耐震改修を進めます。また、安全で良好な市街地形成のため、建築物の適切な維持管理を促すとともに、狭あい道路の拡幅整備等を進めます。 想定 事業量 ①既存公共建築物の特定天井耐震化率70% ②狭あい道路の拡幅整備延長距離 221km(累計) 【直近の現状値】29年度:①9.7% ②183.4km(累計) 計画上の 見込額 716億円 3 地震火災対策の推進 所管 都市整備局、道路局、 消防局、区 条例に基づく防火規制等により、耐火性の高い建築物への建替え等を促進し、まちの不燃化を進めるとともに、出火後の延焼を防ぐ延焼遮断帯の形成、消防力の強化などにより、地震火災に強い都市づくりを進めます。 想定 事業量 老朽建築物の除却・建替えに対する補助件数 1,400件(4か年) 【直近の現状値】29年度:788件(累計) 計画上の 見込額 60億円 4 局地的な大雨等の風水害対策 所管 道路局、環境創造局、 都市整備局、温暖化対策統括本部 局地的な大雨等に対して、流域全体での河川、下水道、公園・緑地、道路など、まちづくりとの連動や、気候変動への適応策としてグリーンインフラを活用した減災対策など、総合的な浸水対策を進めます。 また、人や都市機能が集中する横浜駅周辺などで浸水対策をはじめとした防災機能の向上を進めます。 想定 事業量 横浜駅周辺の浸水対策工事 公共下水道事業による浸水対策工事着手(32年度) 【直近の現状値】29年度:民間事業者による雨水貯留施設の工事着手 計画上の 見込額 318億円 5 がけ地の防災対策 所管 建築局、環境創造局、 道路局、教育委員会事務局 がけ地現地調査の結果を活用した地権者への働きかけ、対策工事費用の助成や相談体制の充実などの取組によりがけ地の改善を促進するとともに、道路や公園緑地、学校敷地のがけ地の安全対策を推進します。 想定 事業量 がけ地防災・減災対策工事助成金交付件数 120件/(4か年) 【直近の現状値】29年度:25件/年 計画上の 見込額 44億円 6 緊急輸送路等の強化整備・都市基盤の耐震対策 所管 道路局、環境創造局、 建築局、港湾局、水道局 緊急輸送路等の整備や道路の無電柱化、橋梁の耐震化、耐震強化岸壁の整備を進めるとともに、沿道建築物の耐震化を図るなど、災害時における消火活動や救助活動、輸送機能の確保のための取組を進めます。また上下水道施設の耐震化を進め、災害に備えたライフライン施設の整備を進めます。 想定 事業量 緊急輸送路のミッシングリンクの解消 3か所 【直近の現状値】29年度:事業中 計画上の 見込額 3,001億円 政策35 災害に強い人づくり・地域づくり(自助・共助の推進) ✦政策の目標・方向性 ・自助・共助の大切さを広め、災害に強い人づくり・地域づくりを進めるため、地域における防災・減災の取組を率先して行う人材の育成、幅広い世代への防災教育の充実、出火防止や初期消火力向上の取組などを推進します。 ・河川の氾濫等に対し、適応の観点も含め、自助・共助の促進による「逃げ遅れゼロ」に向けた意識啓発等を推進します。 ・これまでの大規模な自然災害の教訓を踏まえ、防災・減災の取組の見直しを図るとともに、災害時要援護者等の支援の強化や、女性の視点からの防災対策の充実に取り組みます。 ✦現状と課題 ・市民や地域が災害への事前の備えや発災時に命を守る行動がとれるよう、町の防災組織において防災・減災の取組を率先して行う約1,800人の防災・減災推進員の育成など、地域の防災・減災の取組を支援しています。 ・横浜市民防災センターのリニューアル以降、11万人超が自助共助プログラムを修了し、幅広い世代に防災教育が進んでいます。今後一層の防災意識向上を図るため、小中学校での防災教育の充実や、自治会・事業所への研修機会の提供等を推進することが重要です。 ・地震火災による被害が大きい地域では、自助・共助の取組を推進し、市民や地域の防災意識を高め、出火を抑える取組の徹底や、具体的な防災まちづくりにつなげていく必要があります。 ・河川整備等のハード対策だけでは防護しきれない洪水が発生するとの考えに立ち、社会全体で洪水に備えるため、河川の氾濫等に対し、「逃げ遅れゼロ」、「社会経済被害の最小化」を目指して、「神奈川県大規模氾濫減災協議会」が策定(平成30年1月)した河川の減災に係る取組方針に基づいた取組を進めて必要があります。 ・熊本地震などの教訓から、避難所において安全な避難生活を確保するためには、地域防災拠点の機能の充実・強化をはじめ、福祉避難所の円滑な開設や女性の視点からの防災対策の充実、ペット同行避難を受け入れる体制作りなど、支援の充実が必要です。 【大地震への不安】 資料:総務局「横浜市民の危機管理アンケート調査(平成27年度)」 防災対策事業(泉区)  泉区では、地域防災拠点での訓練、地域・消防・医療機関・警察等と連携した総合訓練、身近な防災資機材の拡充などを展開し、地域防災力の強化を図っています。なかでも、担い手の高齢化が課題となっているため、既存の担い手が連続講座等により次の担い手を育成する全区的なネットワーク(町の防災ネットワーク会議)を新たにつくり、つながりの輪を広げつつ、地域の核として継続的に地域防災に取り組む人材の確保・育成を進めます。 訓練の様子 ✦指標 指標 直近の現状値 目標値 (33年度末) 所管 1 消防団員の充足率 92% (29年度) 100%維持 消防局 2 災害時要援護者支援の取組を実施している自治会町内会の割合 82.2% (29年度) 95% 健康福祉局 3 災害時下水直結式仮設トイレ(災害用ハマッコトイレ)のある地域防災拠点数 162か所(累計) (29年度) 367か所(累計) 環境創造局 資源循環局 ✦主な施策(事業) 1 地域防災の担い手育成 所管 総務局、消防局 地域防災の要である消防団活動の充実強化や、町の防災組織において防災・減災の取組を率先して行う防災・減災推進員の育成を進めるとともに、自助から始まり地域防災の担い手となる家庭防災員の研修を充実するなど、地域の防災力を高める人材育成を推進します。 想定 事業量 防災・減災推進員 1,600人(4か年) 【直近の現状値】29年度:500人/年 計画上の 見込額 26億円 2 防災教育の充実等による防災意識の向上 所管 総務局、消防局、教育委員会事務局 道路局、環境創造局 横浜市民防災センターにおける地震や風水害等の自助共助プログラムの拡充、幅広い世代への防災教育の充実等により、防災意識向上を推進します。また、局地的な大雨等への自助共助の取組として、内水・洪水ハザードマップの活用、河川の水位情報の提供等による意識啓発を推進し、「逃げ遅れゼロ」を目指します。 想定 事業量 横浜市民防災センターの自助共助プログラム修了者数 200,000人(4か年) 【直近の現状値】29年度:46,325人/年 計画上の 見込額 7億円 3 地域・事業所における防災力の向上 所管 都市整備局、総務局、消防局、建築局、水道局、区 地域で取り組む防災まちづくりの促進や、自治会等での防災訓練により、地域の防災力向上を図ります。 また、建築物や危険物施設等の火災や事故などの防止のため、事業所等への立入検査や指導等を通じて、自主防火・防災体制の確保を図ります。 想定 事業量 防災まちづくり活動への支援を行った団体数:20団体/年 【直近の現状値】29年度:18団体/年 計画上の 見込額 8億円 4 出火防止や地域における初期消火力向上 所管 総務局、消防局、 都市整備局、区 地震による出火や延焼防止対策を強化するため、さらなる広報活動等による感震ブレーカーの普及促進や、スタンドパイプ式初期消火器具等の設置・更新促進を図ります。また、火災の早期発見に有効である住宅用火災警報器の設置更新を促進します。 想定 事業量 ①感震ブレーカー等設置補助件数 28,000件(4か年) ②スタンドパイプ式初期消火器具の設置・更新等 400件(4か年) 【直近の現状値】29年度:①簡易タイプ5,127件/年 ②104件/年 計画上の 見込額 1億円 5 地域防災拠点の機能強化 所管 総務局、環境創造局、資源循環局、 水道局、温暖化対策統括本部 下水直結式仮設トイレ(災害用ハマッコトイレ)の整備、耐震給水栓の整備による飲料水確保、防災備蓄庫の校地への移設を進めるとともに、地域防災拠点の資機材や備蓄食料等の更新を行うなどの機能強化を図ります。 想定 事業量 耐震給水栓の整備数 30か所(累計) 【直近の現状値】29年度:2か所(累計) 計画上の 見込額 37億円 6 災害時要援護者等支援の強化など災害対応の充実 所管 健康福祉局、総務局、 国際局、区 災害時要援護者や外国人などに対する地域での自主的な支え合いの取組支援の充実を図るとともに、福祉避難所が円滑に開設・運営するための対策を進めます。また、女性の視点をいかす取組や、地域防災拠点でペット同行避難の円滑な受入体制づくりなどの検討を進め、防災対策の充実を図ります。 想定 事業量 地域に名簿情報を提供している要援護者数 72,700人 【直近の現状値】29年度:51,215人 計画上の 見込額 3億円 政策36 交通ネットワークの充実による都市インフラの強化 ✦政策の目標・方向性 ・東名高速道路など広域的な道路網とのアクセスを強化することで、全国各地との人やモノの往来を円滑化し、市民生活や経済活動を支えます。 ・都市計画道路の整備や道路と鉄道の連続立体交差事業を推進し、地域の利便性や安全性の向上を図ります。 ・充実した鉄道ネットワークの構築を進め、市内外への移動の円滑化や利便性の向上を図ります。 ✦現状と課題 ・横浜北線が平成29年3月に開通し、新横浜駅から羽田空港までの所要時間が短縮することで、交通利便性が向上しました。 ・相模鉄道本線(星川駅~天王町駅)の連続立体交差事業により、下り線が高架化されたことで踏切の待ち時間や自動車の渋滞が大幅に減少しています。 ・都市としての競争力を高めていくとともに、大規模地震発生時の物資の輸送路を確保するため、横浜環状道路(北西線・南線)などの整備を推進し、東名高速道路など広域的な道路網とのアクセスを強化する必要があります。 ・市内各地への円滑なアクセスを実現するため、市域の骨格を形成する道路ネットワークの構築やボトルネック箇所の解消も合わせて進める必要があります。 ・快適な市民生活や企業活動の活性化につなげるため、鉄道のさらなる利便性・速達性の向上や混雑緩和を図る必要があります。 広域道路ネットワーク図 (資料:道路局) 市内外の拠点間を結ぶ鉄道計画 (資料:都市整備局) 連続立体交差事業と連携した鶴ヶ峰駅北口周辺のまちづくり(旭区) 旭区では、鶴ヶ峰駅付近の連続立体交差事業の推進を契機に、駅北口周辺の地域の方々とまちの課題や将来像を話し合い、まちづくり構想の作成を進めています。鉄道の地下化に伴いまちづくりの自由度が高まることを踏まえ、区役所・公会堂の立地をいかした「行政機能と文化施設の充実したまち」や「横浜動物の森公園(ズーラシア)への玄関口としてふさわしいまち」を目指します。 ✦指標 指標 直近の現状値 目標値 (33年度末) 所管 1 横浜環状北西線開通による横浜港から東名高速道路までの所要時間 約40~60分 (29年度) 約20分 道路局 2 相鉄・JR直通線開業による二俣川駅から東京都心方面の所要時間(朝ラッシュ時) 約1時間 (29年度) 約45分 都市整備局 ✦主な施策(事業) 1 横浜環状道路等の整備 所管 道路局 横浜港の国際競争力の強化や、横浜経済の活性化及び市民生活の利便性向上などを図るため、横浜環状道路(北西線、南線)及び横浜湘南道路等の整備を推進します。 想定 事業量 ①北西線開通(東京2020オリンピック・パラリンピックまでを目指す) ②南線・横浜湘南道路開通(32年度※) 【直近の現状値】29年度:北西線、南線及び横浜湘南道路事業中 計画上の 見込額 1,426億円 ※土地収用法に基づく手続による用地取得等が速やかに完了する場合(事業者:国土交通省、東日本高速道路株式会社) 2 都市計画道路の整備 所管 道路局 市民生活の安全・安心を確保し、横浜経済の活力を支えるため、都市計画道路の事業中路線の整備を推進するとともに、未着手の優先整備路線についても整備に向けて取り組みます。 想定 事業量 整備率 70% 【直近の現状値】29年度:68.5% 計画上の 見込額 280億円 3 連続立体交差事業の推進 所管 道路局 道路交通の円滑化を図るとともに、分断された市街地の一体化による地域の活性化を図るため、相模鉄道本線(星川駅~天王町駅、鶴ヶ峰駅付近)の連続立体交差事業を推進します。 想定 事業量 ①相模鉄道本線(星川駅~天王町駅) 事業完了 ②相模鉄道本線(鶴ヶ峰駅付近) 事業着手に向けた手続等の推進 【直近の現状値】29年度:①相模鉄道本線(星川駅~天王町駅) 下り線高架化 ②- 計画上の 見込額 68億円 4 神奈川東部方面線整備事業の推進 所管 都市整備局 本市西部から新横浜を経由して東京都心部と直結することにより速達性を高め、利用者の利便性の向上を目指すとともに、新横浜都心の機能強化や沿線地域の活性化を図るため、神奈川東部方面線の整備を推進します。 想定 事業量 ①相鉄・JR直通線 開業(31年度下期) ②相鉄・東急直通線 事業中 【直近の現状値】29年度:①・②事業中 計画上の 見込額 326億円 5  高速鉄道3号線延伸等の事業化推進 所管 都市整備局、交通局 鉄道ネットワークの構築に向けて、高速鉄道3号線の延伸(あざみ野~新百合ヶ丘)について事業化検討を推進します。また、国の交通政策審議会答申を踏まえ、横浜環状鉄道等について事業性の確保に向けた検討を進めます。 想定 事業量 高速鉄道3号線延伸の事業化推進 【直近の現状値】29年度:事業化判断に必要な調査検討 計画上の 見込額 1億円 政策37 国際競争力の強化と市民生活を豊かにする総合港湾づくり ✦政策の目標・方向性 ・「国際コンテナ戦略港湾」や完成自動車取扱拠点として、物流を支えるふ頭機能の再編・強化を進めるとともに、航路の維持・拡大を図るなど選ばれる港づくりを推進します。 ・「国際旅客船拠点形成港湾」※として、受入施設の充実、多様な客船の誘致や観光客へのおもてなしの充実を図り、我が国を代表するワールドクラスのクルーズポートを目指します。 ・臨海部での新たな港の賑わい創出や回遊性の向上を図ります。 ・環境にやさしい港、災害時でも安全が確保され、経済活動を維持できる港づくりを進めます。 ※国際旅客船拠点形成港湾:民間による受入施設整備を促すため、国際クルーズ拠点として国に指定された港湾。 ✦現状と課題 ・企業間のアライアンス再編など、国際的な競争が激しい海運業界では、輸送効率の向上のためコンテナ船の大型化や寄港地の絞り込みが顕著となっています。そのため、平成27年に供用した南本牧ふ頭MC-3コンテナターミナルに連続するMC-4など、世界標準の港湾施設の整備を進めています。これに合わせ、横浜川崎国際港湾株式会社が、28年3月に国から港湾運営会社として指定され、戦略港湾施策を推進しています。 ・横浜港は、関東地方の自動車生産拠点を抱え、世界各地とのネットワークをもつ航路が集積しており、今後も東日本最大の取扱拠点としての役割が求められています。 ・近年、アジアをはじめ世界のクルーズ人口が伸びており、横浜港では、29年に過去最多の178隻を誘致し、外国航路からの上陸者数も5年間で倍増するなど、多くの人々が船により横浜を訪れることとなり、まちの賑わいにつながっています。 ・今後も、横浜港のポテンシャルをいかし、クルーズ客船の乗降客や見学者など、観光客が楽しめる魅力的な滞在環境の充実が必要です。 ・国際的に大気汚染物質や温室効果ガスの削減対策が求められており、LNGバンカリング拠点形成、環境負荷の低減の取組が必要です。 ・ふ頭などで企業が安心して活動できるよう、減災・防護レベルを想定した津波対策などの地震等に対する防災機能の強化に取り組む必要があります。 コンテナ船の大型化の推移 客船受入岸壁の位置 資料:国土交通省資料を基に港湾局作成 ✦指標 指標 直近の現状値 目標値 (33年度末) 所管 1 コンテナ船用大水深岸壁の整備率 57%(29年度) 70% 港湾局 2 100,000トン以上の超大型コンテナ船着岸数 80隻/年   (29年) 90隻/年 港湾局 3 外国航路の上陸者数 82,329人/年 (28年) 120,000人/年 港湾局 ✦主な施策(事業) 1 ふ頭機能の再編・強化の推進 所管 港湾局 本牧ふ頭、南本牧ふ頭、事業化予定の新本牧ふ頭にコンテナ取扱機能を集約し、高規格コンテナターミナル及びロジスティクス拠点や臨港幹線道路等の整備を推進します。 大黒ふ頭の自動車取扱機能強化のため、自動車専用船岸壁の整備や荷捌き地の拡張等を推進します。 想定 事業量 ①南本牧ふ頭 MC-4コンテナターミナル 供用(31年度) ②大黒ふ頭 P3・P4岸壁 供用(33年度) 【直近の現状値】29年度: ①・②事業中 計画上の 見込額 743億円 2 国内外貨物の集中に向けた選ばれる港づくり 所管 港湾局 国や横浜川崎国際港湾株式会社等と連携し、船舶・貨物誘致策や利便性向上策、LNGバンカリング拠点形成検討、戦略的なポートセールスなどを推進します。 想定 事業量 ①船舶・貨物誘致、利便性向上 推進 ②LNGバンカリング拠点形成 推進 【直近の現状値】29年度:①事業中 ②検討中 計画上の 見込額 13億円 3 客船の誘致促進と受入機能の強化 所管 港湾局 新港地区、大黒ふ頭、大さん橋等で客船の受入環境整備を進めるとともに、客船の誘致促進に向けて公民連携によるポートセールス等の取組を進めます。 想定 事業量 ①新港地区客船ターミナル 供用(31年度) ②大黒ふ頭客船受入施設 供用(31年度) 【直近の現状値】29年度:①事業中 ②事業中 計画上の 見込額 71億円 4 臨海部の賑わいの創出や回遊性の向上 所管 港湾局 山下ふ頭の再開発の推進や山内地区の将来構想の検討に加え、水上交通や水際線をいかした歩行者動線を検討し、臨海部の回遊性向上などの取組を進めます。帆船日本丸の大規模改修とともに、東京2020オリンピック・パラリンピック期間中のホテルシップ※の実現に向け、国家戦略特区等を活用した取組を推進します。 想定 事業量 ①山下ふ頭の再開発 推進 ②ホテルシップ 実現(32年度) ③国指定重要文化財「帆船日本丸」の大規模改修 終了(31年度) 【直近の現状値】29年度:①事業中 ②検討中 ③事業中 計画上の 見込額 253億円 ※ホテルシップ:大型客船を岸壁に停泊させ、ホテルのように活用する方法 5 安全・安心で環境にやさしい港づくりの推進 所管 港湾局 緊急物資の受入れを行う耐震強化岸壁の整備を進めるとともに、防護レベルの津波や高潮からの被害を防ぐため、護岸の嵩上げを基本とした海岸保全施設の整備を進めます。船舶からの排出ガスの国際基準を踏まえたLNGバンカリング拠点形成の検討や水素等の再生可能エネルギーの活用検討を進めます。 想定 事業量 耐震強化岸壁整備延長 2,905m(累計) 【直近の現状値】29年度:2,065m(累計) 計画上の 見込額 42億円 政策38 公共施設の計画的かつ効果的な保全・更新 ✦政策の目標・方向性 ・市民生活や経済活動を支える公共施設(都市インフラ※1・公共建築物※2)の老朽化の進行に対し、長寿命化を基本とした、確実な点検と優先度を踏まえた計画的かつ効果的な保全・更新を、これまで以上に重視し着実に取り組みます。 ・特に、今後一斉に建替え時期を迎える市立小中学校・市営住宅などについては、事業費の平準化やコスト縮減、多目的化や複合化等の再編整備の検討など、あらゆる工夫を重ねた計画的かつ効率的な建替えを着実に進め、時代のニーズに対応できる公共建築物へ再生します。 ・質の高い公共施設の保全・更新を安定的に進めるため、新技術の活用や適正工期の確保等を通じて、市内中小企業における担い手の確保・育成と生産性向上を図ります。 ※1 都市インフラ:道路、河川施設、公園、上下水道施設、ごみ処理施設、港湾施設、市営地下鉄等 ※2 公共建築物:市民利用施設、社会福祉施設、学校施設、市営住宅等 ✦現状と課題 ・人口急増期を中心に集中的に整備してきた公共施設の老朽化の進行に対し、点検や計画的な保全・更新を着実に進めてきました。 ・公共施設の保全・更新の重要な担い手となる市内中小企業の活性化等に取り組んできましたが、さらなる取組の推進が求められています。 ・「横浜市公共施設管理基本方針」に沿って、より効果的に保全・更新を進める必要があります。 ・特に事業量の多い市立小中学校や市営住宅などの建替えでは、財政負担の軽減、最適な施設配置などに着実に取り組む必要があります。 保全・更新費に係る長期推計(30~49年度) 将来にわたり施設を健全に保つには、長期的な見通しをもって保全や更新に取り組むことが必要です。 本市では、安全性を確保するとともに、使えるものはできる限り長く使う長寿命化を進めるため「状態監視保全※1」の考え方を採用しており、30~33年度の4か年でも継続して取り組んでいきます。 これに加え、市立小中学校などの建替えを、財政負担の軽減・平準化を図りながら取り組んでいきます。 将来の見通しとしては、本市の一般会計で保全・更新する施設(道路、河川施設、公園、ごみ処理施設、港湾施設、市民利用施設、社会福祉施設、学校施設、市営住宅等)について、長期的な費用を「時間計画保全※2」の考え方で推計しており、24年度からの20年間の総額(23年度推計)は、約1.8兆円でした。このたび、30年度からの20年間を推計(29年度推計)した結果では、学校建替えや市営住宅再生の方針策定に伴い、平準化による建替え時期の一部前倒しを含めた計画的な事業費を盛り込んだことなどにより、総額は約2.5兆円となっています。 なお、右ページの計画期間中(30年度から33年度)における「主な施策(事業)」の見込額は、「状態監視保全」の考え方によるものです。 ※1 状態監視保全:点検結果から、施設の劣化度合いや重要度を加味して、必要な保全・更新を行う手法 ※2 時間計画保全:メーカー等により推奨された標準的な周期で保全・更新を行うことを前提にした手法 一般会計 20年間総額 約2.5兆円 【保全・更新】約1.8兆円 【建替え】約0.7兆円 【用語について】 <保全>点検・修繕・改修により、施設(設備を含む)の全体または部分の機能・性能を使用目的に適合させること <更新>老朽化等に伴い機能・性能が低下した施設(設備を含む)の全体または部分を同程度の機能・性能のものに取替えること <建替え>施設の全体を除却して再整備すること(この推計には、「市立小中学校・市営住宅の計画的な建替え」のほか、庁舎の耐震化のための建替え等を含んでいます。) ✦指標 指標 直近の現状値 目標値 (33年度末) 所管 1 30年を経過した下水道管きょ内面のノズルカメラを用いた点検調査 計画策定 (29年度) 4,000km (4か年) 環境創造局 2 緊急輸送道路を構成する橋りょうの長寿命化対策工事の推進 4橋/年 (29年度) 33橋 (累計) 道路局 3 水道管の更新延長 110km/年 (29年度) 440km (4か年) 水道局 ✦主な施策(事業) 1 計画的かつ効果的な保全・更新の推進 所管 各所管局、区、建築局※1 橋りょうや公園、学校や市民利用施設などの主要な施設群ごとに策定している「保全・更新計画」や、施設の確実な点検と優先度を踏まえた計画的かつ効果的な公共施設の保全・更新を推進します。 想定 事業量 道路、河川施設、公園、上下水道施設、ごみ処理施設、港湾施設、市営地下鉄、市民利用施設、社会福祉施設、学校施設、市営住宅等の長寿命化を基本とした保全・更新の推進 【直近の現状値】29年度:推進 計画上の 見込額 2,680億円※2 ※1 市民利用施設等については、建築局で各所管局の保全業務について取りまとめて長寿命化対策事業を行います。 ※2 一般会計における見込み額であり、下水道事業や水道局、交通局、医療局病院経営本部において地方公営企業法が適用される事業で管理する施設は、公営企業会計により保全・更新を推進します。 2 長寿命化や平準化を踏まえた計画的な建替え 所管 各所管局 従来から取り組んできた施設の長寿命化を図ったうえで、学校及び市営住宅の公共建築物について、実施時期の平準化を考慮しつつ計画的に建替えを進めます。 想定 事業量 市立小中学校及び市営住宅の建替え推進 【直近の現状値】29年度:- 計画上の 見込額 120億円 3 将来も見据えた時代のニーズに対応できる公共建築物の再編整備 所管 財政局、各所管局、区 時代のニーズに対応できる公共建築物へ再生するため、「横浜市公共建築物の再編整備の方針」等に基づき、学校や市営住宅等の建替えなどの機会をとらえて、公共建築物の多目的化や複合化等の再編整備を検討します。 想定 事業量 市立小中学校や市営住宅等の建替えなどの機会をとらえた再編整備の検討等 【直近の現状値】29年度:「横浜市公共建築物の再編整備の方針」策定 計画上の 見込額 - 4 公共事業の品質確保と担い手の確保・育成に向けた取組 所管 各所管局、区 地域防災や減災とともに、公共施設の保全・更新や再生において重要な担い手となる市内中小企業の受注機会の増大に向けた分離・分割発注の推進に取り組みます。 また、受発注者双方が連携し、労働時間の短縮、社会保険加入促進などの建設業における働き方改革に向けた取組と、発注・施工時期の平準化、ICT導入などの生産性向上のための取組を推進します。 想定 事業量 ①週休2日制確保モデル工事の推進 ②公共工事発注・施工時期の平準化の推進 【直近の現状値】29年度:①推進、②推進 計画上の 見込額 - 橋りょうの保全工事 河川護岸の崩壊 小学校体育館の改修工事