計画期間中の「主な施策(事業)」の概算見込額と財政見通しについて 本計画期間においても、「施策の推進」と「財政の健全性の維持」をしっかりと両立します。この考え方により、本計画の「主な施策(事業)」の概算見込額を含め、計画期間中の財政見通しを試算しました。 1 計画期間中の「主な施策(事業)」の概算見込額                               38の政策の「主な施策(事業)」の計画上の見込額の総額は下表のとおりです。 また、計画上の見込額は現時点で見込まれる4か年の概算額の試算であり、各年度の財政状況等を踏まえ、毎年度の予算編成において、事業費を決定していきます。 一般会計 特別会計・企業会計 「主な施策(事業)」の概算見込額※ 約1兆5,100億円 約3,400億円 ※政策間の重複を除く 2 計画期間中の財政見通し(一般会計)                          ■歳入見込みの考え方 ア 市税 30年度収入見込額をもとに、過去の実績、税制改正や今後の経済動向などを踏まえることとし、国の経済成長を勘案して試算。各税目で考慮した主な要因は次のとおり。 * 「これからのみどりの取組[2019-2023]」の財源の一部として、同期間での横浜みどり税収入を見込んで試算。 * 31年度以降については、年間補正財源は留保していません。 ・ 個人市民税 : 横浜市将来人口推計、雇用環境の改善傾向等 ・ 法人市民税 : 企業収益の拡大傾向、28年度税制改正による税率の引下げ ・ 固定資産税 : 33年度における評価替え イ 地方交付税 30年度見込額をもとに、市税収入等を踏まえて試算。 ウ その他(県税交付金等) 地方消費税交付金は、消費税率10%への引上げを見込んで試算。 エ 市債 施策の推進と財政の健全性の維持を両立するため、中長期的な視点から計画期間中の公債費元金の範囲で計画的に活用し、横浜方式のプライマリーバランスについて、「4か年(30~33年度)通期」での均衡を確保することとして試算。 〈参考〉30年度から33年度までの公債費元金(3セク債分除く)(30年9月試算値)    5,960億円(H30:1,455億円 H31:1,489億円、H32:1,507億円、H33:1,509億円) * 公債費元金は毎年度の市債調達方法等により若干変動が生じます。計画期間中の公債費元金は毎年度の予算案公表時や計画の振り返り時等に公表します。 * 計画期間中の各年度の市債活用額は、社会経済情勢等の変化を踏まえ、各年度の予算編成の中で整理します。 オ 特定財源 扶助費などの増加に連動した国費の増などを反映。 ■歳出見込みの考え方 ア 人件費 30年度当初予算をベースに、定年退職予定者数等を積み上げて試算。 *31年度以降の給与等の改定分は見込んでいません。 イ 公債費 過年度の市債発行実績や試算に用いた発行額、今後の経済動向を見込んだ金利に基づき試算。 ウ 扶助費・義務的な繰出金 30年度当初予算をベースに、これまでの実績(29年度決算等)や取組、物価上昇等を踏まえて試算。 エ 施設等整備費   32年度完成を目指し進めている事業の進捗や、計画期間中の市債活用額について、横浜方式のプライマリーバランスを4か年(30~33年度)通期での均衡を確保しながら、必要な投資を計画的に着実に進めることとし試算。 オ 行政運営費・任意的な繰出金 30年度当初予算と同額で試算。 * 本試算は、「中長期の経済財政に関する試算」(内閣府、平成30年7月)における、経済が足元の潜在成長率並みで推移する場合の経済成長(「ベースラインケース」:今後10年の平均成長率が実質1%強、名目1%台後半程度)や、「横浜市将来人口推計」(平成29年12月公表)を見込んで試算。 * 「社会保障と税の一体改革」については、31年度以降の「社会保障の充実・安定化」の内容が不透明であるため、31年度以降の内容は歳出には反映せず、歳入においては、地方消費税交付金の増収分と広義の地方交付税の減額を見込んで試算。 また、国の「経済財政運営と改革の基本方針2018(平成30年6月15日閣議決定)」等に基づく幼児教育無償化については、消費税率引き上げに合わせて31年10月から全面実施される予定だが、実施に伴う財源措置等が未定であるため、歳入歳出には反映していない。 【図:■計画期間中の財政見通し(一般会計)】 *30年度当初予算の市税収入においては、20億円を年度途中の補正予算のための財源として留保 ■計画期間中の収支不足への対応 ア 不断の行財政改革等による経費縮減・財源確保等の徹底  ・行政内部経費や補助金等をはじめ徹底した事務事業見直し  ・民営化・委託化の推進  ・外郭団体への財政支援の見直し  ・国庫補助事業の積極活用  ・保有資産の有効活用等による財源確保 等 イ 多様な公民連携手法・民間資金活用の検討・導入  ・PFI等多様な公民連携手法や民間資金活用等 ウ 施策の「選択と集中」や事業の平準化 上記取組を推進するほか、毎年度の予算編成における議論等を通じて、収支不足額を確実に解消していきます。 【参考】 財政見通し(30~39年度)(一般会計) 中期的な財政見通しで試算した33年度の試算値を起点に、39年度までの見通しを試算しました。 34年度以降の見通しでは、「中長期の経済財政に関する試算」(内閣府、平成30年7月)における、 経済が足元の潜在成長率並みで推移するベースラインケース(今後10年の平均成長率が実質1%強、名目1%台後半程度)や、「横浜市将来人口推計」(平成29年12月公表)をもとに、次のような前提をおいて試算しました。 〈34年度以降の試算の考え方(主なもの)〉 ①市税収入:33年度の収入見込額をもとに、横浜市将来人口推計や今後の経済動向などを踏まえて試算 ②市債収入:34年度以降、横浜方式のプライマリーバランスが各年度均衡する範囲で活用する場合として試算 ③扶助費・義務的な繰出金:中期的な財政見通しで試算した33年度の試算値を起点に、これまでの実績や横浜市将来 人口推計、物価上昇等を考慮し試算 ④施設等整備費:34年度以降の市債収入を上記「②」の考え方を踏まえ試算 (1)市税収入の試算 試算では、31年(2019年)をピークに人口減少が見込まれることから、市税収入の中心を占める個人市民税について、36年度から減少することが見込まれます。また、法人市民税については、税制改正の影響を除けば、経済成長のもと緩やかに増収することが見込まれます。市税収入全体では、34年度以降、微増となることが見込まれます。 (2)歳入歳出総額の見通し 試算では、歳出総額は、横浜環状北西線や新市庁舎整備等の事業完了により、32年度に一旦減少する見込みですが、試算期間全体を通じて扶助費や医療・介護に係る義務的な繰出金が増加する見込みなどから、33年度以降は増加していくことが見込まれます。 また、歳入総額は、「(1)」で明記したように市税収入全体が微増の見込みであること等から、34年度以降も歳出総額に届かない、収支不足額が見込まれる試算となっています。 (参考)各種財政指標の見込み 項目 30年度 31年度 32年度 33年度 34~39年度 一般会計が対応する 借入金残高 33年度末:3兆1,400億円程度 39年度末: 3兆円程度 うち一般会計市債残高 33年度末:2兆6,200億円程度 39年度末: 2兆6,000億円程度 実質公債費比率 概ね12~13%で推移 概ね12~13%で推移 将来負担比率 概ね140~160%で推移 概ね140~150%で推移 市民一人あたり残高※ 33年度末:84万円程度 39年度末: 81万円程度 横浜方式のプライマリーバランス(一般会計) 4か年通期で均衡確保 概ね均衡で推移 ※「一般会計が対応する借入金残高」を「横浜市将来人口推計」における総人口で割り返した額 コラム 自主的・自立的な公営企業の取組 市民生活に必要なサービスのうち、水道事業、交通事業、病院事業については、企業としての経済性を発揮しながら公共の福祉を増進するため、地方公営企業法の全てを適用し、市長から任命された管理者をトップとする公営企業が独立採算制のもと、経営を行っています。 それぞれの公営企業では、管理者が事業環境を踏まえた経営目標を定め、その目標を達成し、将来にわたって安定的に事業を継続していくために、中期的な経営計画を策定し、自主的・自立的な経営を推進しています。(各公営企業の中期的な経営計画の詳細については、Webサイト等をご覧ください。) 1 水道事業 所管 水道局 「暮らしとまちの未来を支える横浜の水」を基本理念とする「横浜水道長期ビジョン・中期経営計画(平成28~31年度)」のもと、水道施設の更新・耐震化を着実に進めるとともに、民間と連携した災害対策、環境保全やお客様サービスの拡充、国内外の社会貢献に取り組みます。 また、施設や水道管の更新需要が増大する一方、今後の人口減少社会の到来により長期的な水道料金収入の減少が見込まれる厳しい経営環境の中、持続可能な経営基盤を確立するため、全ての事業を点検し経費削減や資産の有効活用により財源確保に努めながら、水道料金等の在り方を取りまとめていきます。 これらの経営状況を分かりやすく情報発信し、市民や事業者の皆様のご理解を得ながら、24時間365日安全で良質な水をお届けしてきた130年の歴史ある横浜水道を、次世代に引き継いでいきます。 主な目標 ◯西谷浄水場など基幹施設や水道管路の着実な更新・耐震化 ◯民間事業者等との連携強化や応急給水施設の整備などによる災害対応力の強化 ◯審議会答申を踏まえた水道料金水準、料金体系等の取りまとめ 2 交通事業 所管 交通局 「自主自立の経営」を維持し、「信頼と共益の市営交通」の実現を目指した「市営交通 中期経営計画(平成27~30年度)」のもと、安全を最優先に地下鉄、バスの運行を継続していきます。 高速鉄道事業では、沿線の人口増加が見込まれる市営地下鉄グリーンラインの輸送力の増強・混雑緩和のため、6両化の検討を進めるなど、快適で利用しやすい交通サービスの提供に努めます。自動車事業では、超高齢社会が進展する中、最も身近な地域の交通手段として、バスネットワークの維持・充実を図っていきます。両事業とも、安心してご利用いただくため、全体の採算性を維持しながらも、老朽化した設備への必要な投資を確実に実施していきます。平成33年に100周年を迎える市営交通は、今後とも、まちづくりの一翼を担いながら、公営交通として市民の足を支えていく役割を担っていきます。 主な目標 ◯安全性の向上・サービスの充実などによる「安全・確実・快適な交通サービスの提供」 ◯増収策・コスト削減などによる「経営力の向上」 ◯本市まちづくり政策とも連携した「交通ネットワークの充実」 3 病院事業 所管 医療局病院経営本部  経営目標や市立病院の役割を明確化する次期「横浜市立病院中期経営プラン(仮称)」を策定し、患者や市民の視点に立った良質な医療の提供と持続可能な経営基盤の確立を達成します。 「市民病院」では、市民の皆様に将来にわたり高度で良質な医療を提供し続けるため、手術室の増室や緩和ケア病棟の拡充、災害機能の強化などを折り込んだ再整備事業に取り組みます。「脳卒中・神経脊椎センター」では、脳血管疾患や神経疾患、脊椎脊髄疾患を中心とした医療を提供し、自立的な経営を確立していきます。「みなと赤十字病院」では、指定管理者である日本赤十字社による運営のもと、アレルギー疾患医療の中心的な施設として、専門的な治療や啓発、専門医等の育成に引き続き積極的に取り組むとともに、救急医療や精神科救急の提供等、政策的医療のより一層の充実に取り組みます。 主な目標 ◯政策的医療・高度急性期医療のさらなる充実・強化による「安全で質の高い医療の提供」 ◯地域医療を担う人材育成や市立病院の機能をいかした「地域包括ケアシステムへの支援」 ◯老朽化・狭あい化を解消し、医療の高度化等に対応する「市民病院再整備事業の実施」 ○みなと赤十字病院の「都道府県アレルギー疾患医療拠点病院の選定」